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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DBIJ

有価証券報告書抜粋 五洋建設株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー株式の総数等


当連結会計年度は、生産性向上とICT技術の積極的導入を技術開発方針として、ブランド技術の開発や技術提案力の向上に資する技術開発を推進した。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、2,122百万円であった。
また、当連結会計年度における主要な研究開発内容および成果は次のとおりである。

(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)
1.土木分野

(1)CIMへの取組み

国土交通省は2017年3月にCIM(Construction Information Modeling)導入ガイドラインを公開し、また港湾分野でも2018年度中に港湾版CIM導入ガイドラインの公開を予定するなどCIM導入を加速している。当社は、この動きに先行して、将来的な港湾工事の生産性向上に資するため、相馬港のLNG基地建設工事において本格的なCIMを導入した。
CIMの導入により、構造物の位置関係や各部材、仮設構造の取り合いなどの干渉チェックの効率化に加え、船舶の配置計画や資機材の搬入計画、その他の作業計画を3Dモデルに統合し、工事の進捗状況を反映した4Dシミュレーションを可能にした。これらの取り組みにより工事関係者の意思疎通を円滑に行い、施工の効率化、安全性の向上を可能にした。
当社はこれからも積極的にCIMに取り組むことで、建設生産プロセスの効率化・合理化につとめ、建設現場の生産性向上に貢献していく予定である。

(2)PCa(プレキャスト)桟橋の開発

近年、建設工事における担い手不足を背景に、省力化・省人化の取組みが求められている。とりわけ、海上に構築される桟橋工事では、気象海象の影響を受けやすく、海上での作業を最小限に抑えるプレキャスト施工が有効な手段として注目されている。
当社は、国立大学法人東京工業大学および国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所との共同研究により、構造実験を通して優れた構造性能を有する杭頭接合構造を開発し、東北地方整備局発注の桟橋工事において適用した。今後は、CIM施工と連携しながら、多様な桟橋形式の生産性を向上させていく予定である。

(3)京浜港ドックを活用した重力式係船岸増深工法の実大規模実験

船舶の大型化に対して既存係船岸を増深する検討事例が増加している。そのため捨石マウンドの一部を注入・固化することで、法線位置を変更せずに重力式係船岸の増深を可能とする工法が国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所と一般社団法人 日本埋立浚渫協会の共同研究により2013年に開発された。しかしながら当該工法は注入・固化に用いる可塑状グラウトの2次元注入実験を行った段階であり、実施工上の課題は未検討であった。
当社及び東洋建設㈱は、関東地方整備局から一般公募された「海洋・港湾技術の早期実用化に向けた実証試験」に共同で応募し、京浜港ドックにて増深工法の実大規模実験を行った。容易に注排水できるドック内に実大規模の捨石マウンドを構築し、水中にて捨石マウンド内へのグラウト注入や潜水士による捨石掘削など増深手順を模擬した実証試験を行い、当該工法が施工可能であることを確認した。その後ドック内から排水して増深時の捨石斜面の状況を確認し、さらに未固結の捨石を撤去してグラウトの注入範囲を陸上計測し、増深工法の実施工に向けた貴重なデータを得ることができた。

(4)桟橋の調査診断システムの開発

港湾施設の目視調査は、専門知識を有する者が小型船に乗り、船上から観察して劣化状況を把握するが、船舶接岸中に調査することも多く、専門家の確保や調査時間・コストがかかることが問題となっている。
そこで桟橋下面に『無線LANボート』を航行させ、搭載したカメラにより劣化状況を撮影し、画像を3次元化することでひび割れや剥離などの欠陥位置を正確に把握でき、劣化度の診断を自動で行うことができるシステムの開発を行った。
無線式LANボートは、全長が2.2mであり、遠隔からの無線操船と撮影用カメラの操作が可能である。撮影した画像から、SfM/MVS (Structure from Motion/Multi-View Stereo)技術により、3次元モデルが構築され、専用のソフトウェアを用いることでひび割れ密度や剥落面積の有無、鉄筋の露出面積割合などの判定基準をもとに劣化度を自動で診断できる。
2017年度には民間桟橋に対して無線LANボートによる調査を初めて受注し劣化診断を実施した。今後は港湾構造物の維持管理に積極的に活用していく予定である。

(5)五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)の開発

一般的なICT土工事では、複数の重機や機器ごとに異なる施工情報を収集し、管理を行っている。最近では、クラウドへデータを集約化し、独自ソフトウェアでデータを統合する取組みも進んではいるものの、複数のクラウドと連携し、自動的にデータを集約するものは無かった。また、建設現場では、ICT化の進展により職員がシステム操作やデータ処理に時間をとられることが新たな負担となっており、それらに関わる時間を短縮することが求められている。本システムでは、多様な機器のICT施工情報から自動的にデータをクラウドサーバーに集約させ、各システムを連携することにより、①システム担当職員の負担軽減、②トレーサビリティの確認、③効率的な出来高の管理や施工計画への反映、④計測データのリアルタイム把握による安全管理が可能となる。
今回、延長約11km、土工数量約80万m3の道路工事現場でICTバックホウ1台、ブルドーザ2台、振動ローラ2台を稼動させ、約6,000m3/月の土工事に本システムを運用したところ、2名の担当職員のデータ処理や機器操作に必要な時間を1人あたり1日約1.2時間低減することができた。

(6)新船種作業船の開発・建造

近年、沖合での洋上風力施設の設置や離島での各種土木工事、大水深防波堤の築造、海洋資源開発など外洋における様々な工事が見込まれている。特に洋上風力発電施設の設置に関しては、2018年3月に国土交通省と経済産業省によって「港湾における洋上風力発電設備の施工に関する審査の指針」「洋上風力発電設備に関する技術基準の統一的解説」が策定され、プロジェクトの本格的な進展が見込まれている。当社はこれらの工事の受注に向け、日本初のSEP型多目的起重機船「CP-8001」を建造している。
本船は800t吊全旋回式起重機船にSEP機能を付加することにより、気象・海象条件の厳しい海域であっても安全性、稼働率、施工精度の高いクレーン作業が可能となる。また、充分な居住スペースと人員輸送のヘリデッキを備えており、遠隔地での作業と長期滞在を可能としている。完成後(2018年11月予定)は、当社保有の自航式多目的起重機船「CP-5001」などと併用することにより、多種多様な工事に積極的に投入していく予定である。

2.建築分野

(1)設計、施工におけるBIM活用

設計施工案件の実施設計において意匠、構造、設備の3次元BIM(Building Information Modeling)モデルを作成し、それらを統合して納まり調整を行うとともに、3次元BIMモデルから実施設計図を作成して図面間の整合性を確保した。また施工案件では、スロープの形状、躯体と仕上、設備等の施工詳細納まりについて3次元BIMモデルを用いて事前検討・調整を行い、現場施工に反映した。

(2)200N級超高強度コンクリート

設計基準強度200N/mm2のコンクリートの結合材として使用するシリカフューム混合セメントおよびシリカフューム(混和材)の比表面積から、フレッシュコンクリートのワーカビリティーを評価する方法を確立した。これにより、良好なワーカビリティーを確保するための対策を事前に取ることができるため、品質の安定した超高強度コンクリートの製造が可能になった。

(3)鉄筋コンクリート(RC)基礎合理化工法

① トラス筋を有するハーフPCa版を基礎梁の構造体の一部として型枠使用する基礎の省力化工法について、基礎梁の構造性能および施工精度等を検証した。
② 構造実験により、本開発工法の基礎梁が短期許容応力時に要求される目標性能(構造耐力・損傷程度)を満足していることを確認した。
③ 施工実験により、本開発工法を用いた基礎梁ユニットの地組み・据付けの各段階において、PCa版と鉄筋の施工手順および施工精度を確認した。

(4)長周期地震動対策技術

超高層建築物を対象とした南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策として、制震装置の選定方法および解析技術に関する整備を行い、超高層建築物案件に適用した。

(5)非線形有限要素解析ソフトの活用技術

① RC構造物を対象とする汎用非線形FEM解析プログラムを導入し、過年度に実施した構造実験との比較検証結果を用いて、構造実験で確認していない因子(コンクリート強度の組合せ、断面形状)が、梁の荷重変形性能および構造耐力に及ぼす影響をFEM解析により検証した。
② 構造実験において確認していない因子について、設計に関わる有用な知見が得られた。また、構造実験の実施をFEM解析で補完することにより、開発業務の省力化と開発費用の削減を図ることができた。

(6)省エネ評価ツールの開発、省エネ技術の開発と検証

① 建物の計画、設計時の省エネ化、ZEB(Zero Energy Building)化検討において、各種省エネ技術を組み合わせて導入した場合のエネルギー評価を行えるZEB評価ツールをゼネコン6社で共同開発した。
② 建物の省エネ化技術の一つとして、消費割合が高い空調のエネルギーを低減するため、自然エネルギーである地中熱を利用した換気システムについて、シミュレーションおよび実大実験で効果検証を行った。

3.環境・リサイクル分野

(1)繊維補強カルシア改質土の開発

従来のカルシア改質土に比べて靱性を高めた繊維補強カルシア改質土を開発し、一般財団法人 沿岸技術研究センターが実施する港湾関連民間技術の確認審査・評価事業において、評価証を取得した。
浚渫土とカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理・粒度調整した材料)を混合したカルシア改質土は、強度発現・濁り発生抑制等の特徴があり、埋立材や浅場・干潟の基盤材、深掘跡の埋戻し材等に使用されている。これに対し、カルシア改質土に短繊維を添加した繊維補強カルシア改質土では、変形追随性が高い特徴を活かし、海面処分場の底面遮水材、潜堤材、吸出し防止材等への適用を図る予定である。

(2)洋上風力発電

再生可能エネルギーの一翼を担う洋上風力発電は、2016年改正港湾法施行による港湾区域への導入が促進され、2018年3月には日本特有の自然条件や日本国内関連法規に鑑みた適合すべき基準の統一的な考え方や施工審査に関する指針類が整備された。また、一般海域においても、洋上風力発電の占用ルールに関する法律案が2018年3月に閣議決定され、多種多様な海域において洋上風力発電の建設が今後益々推進されると考えられる。
当社は、洋上風力発電設備建設に向けて建造中である国内初のSEP型多目的起重機船の活用を目的として、2017年度は基礎構造設計手法の確立に向けた、水中振動台等による実験的検討および解析的検討を行った。

4.技術評価証等の取得
・繊維補強カルシア改質土:港湾関連民間技術の確認審査・評価 評価証(一般財団法人 沿岸技術研究センター) 2017年9月
・高強度コンクリート(Fc80~120):国土交通大臣認定(一般)2件、2017年11月
・高強度コンクリート(Fc48~100):国土交通大臣認定(一般)、2018年1月
・高強度コンクリート(Fc39~120):国土交通大臣認定(一般)、2018年1月

(国内開発事業及びその他事業)
研究開発活動は特段行っていない。

経営上の重要な契約等株式の総数等


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