有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VGVW (EDINETへの外部リンク)
株式会社クラレ 研究開発活動 (2024年12月期)
当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社等が各事業所に研究開発部署を有しています。
コーポレート研究開発は、研究開発本部内に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点に加え、東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に「東京ラボ」を有しています。またイノベーションネットワーキングセンター及びポートフォリオ戦略推進部との連携のもと新規事業創出を推進しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を進めており、主要な研究開発テーマについては早期設備化を推進しています。並行してデジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。
ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,039人です。
当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート9,664百万円、イソプレン1,810百万円、機能材料4,213百万円、繊維2,228百万円、トレーディング130百万円、その他713百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,939百万円、合計25,699百万円になります。
セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、EVOH樹脂〈エバール〉(樹脂、フィルム)のビニルアセテートチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行っています。その中で、グローバルサプライチェーンのサステナビリティ向上の一環として、2024年に米国と欧州のビニルアセテート関連製品について、ISCC PLUS認証を取得し、米国ラ・ポルテ工場が生産する酢酸ビニルを起点とする欧米間の認証済サプライチェーンを構築しました。米国内では、酢酸ビニルからポバール樹脂を経て水溶性フィルムに至る、すべての製品で認証を取得しました。欧州では、クラレヨーロッパのトレーダー認証取得とともに、ビニルアセテートカンパニーが欧州で生産する樹脂(ポバール樹脂、PVB樹脂、〈エバール〉樹脂)製品の認証取得が完了し販売を開始しました。2025年度は引き続き、PVBフィルム製品や日本国内に生産拠点を持つ製品についても手続きを進め、自消・外販を通じて、継続してサステナビリティの向上に努めます。
・ポバール樹脂は、ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。
・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。なお、広幅対応可能な新ラインについて、2024年度第2四半期から商用生産を開始しました。また、洗剤包装用途を中心に益々拡大する水溶性フィルムについても、顧客からの新たなニーズに応えるべく、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。
・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、近年の先進運転支援システム(ADAS)の進展により、今後益々高度な光学精度がカメラに求められる中、フロントガラスの光学歪みを低減できる特殊PVBフィルム〈Cam Viera〉や意匠性を高めたサンルーフ向け特殊PVBフィルム〈Sky Viera〉など最先端の技術提案とともに、アイオノマー樹脂をシート化した〈セントリグラス〉の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。また、顧客の合わせガラスメーカーにて発生するPVBフィルムトリムを回収・有効活用する再生中間膜のビジネスモデルを確立しており、カーボンフットプリント削減にも積極的に取り組んでいます。
・〈エバール〉樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながらバリア材料の新技術開発・用途開発を推進し、持続的な成長を目指します。また、旺盛な需要に応えるべく、2024年度にシンガポールでの新プラント建設を決定しました。現在、順調に建設を進めており、2026年末の商用生産開始を計画しています。〈エバール〉フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料〈PLANTIC〉については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。
[イソプレン]
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に新規用途開発を推進しています。また、特に環境貢献を強く意識し、脱炭素やサステナビリティといった社会のニーズに応える機能性ポリマー・化学品の創出にも注力しています。
・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。熱可塑性エラストマーでは、軟質コンパウンドや樹脂改質などの用途で環境に配慮した製品を開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。
・耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉では、サーバー向けコネクタ及び自動車用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化や電気自動車の急速充電時の高電圧化に対応するため熱マネジメント部品や高電圧部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。
[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発、リサイクル技術開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル㈱の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。
・環境ソリューション事業では、重点戦略領域である「環境(水・大気)・エネルギー」分野において、環境阻害物質の効果的吸着剤開発、商品群展開に加え、吸着物の無害化処理を含む吸着活性炭の再生技術、再利用法の開発を推進しています。また、拡大するエネルギー関連材に向け、新素材、新商品開発に取り組んでいます。
・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。
[繊維]
・液晶ポリマー繊維〈ベクトラン〉は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で需要が広がっており、さらなる用途拡大を目指し、性能向上、用途開発を進めています。
・ビニロン事業では、ゴム補強用フィラメントや難燃材料、特殊紙分野の拡大に応じた体制整備を行い順調に稼働しています。社会のニーズに応えるべく、生産技術、製品開発を続けています。
・人工皮革〈クラリーノ〉は、環境配慮型生産プロセスにより、リサイクル原料などを用いたサステナブルで低CFP(カーボンフットプリント)の商品の開発、靴やラグジュアリー用途などに向けた拡販に取り組んでいます。
・不織布事業では、メルトブローン(MB)不織布の開発に注力し差別化樹脂銘柄、各種複合銘柄の開発を進めています。液晶ポリマーを用いたMB不織布〈ベクルス〉は高機能を活かした用途拡大が進展しています。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維〈クラベラ〉では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維〈スペースマスター〉、再生ナイロンを用いた分割繊維〈WRAMP〉)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した速乾繊維〈エプシロン〉、衝撃吸収繊維〈スパンドール〉、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維〈クラカーボ〉などの機能性原糸の開発を推進しています。
[その他]
・クラレプラスチックス㈱では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド〈アーネストン〉及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、〈エバール〉をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維〈ベクトラン〉を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
研究開発本部では、以下3点を通じて、当社グループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。
①新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした研究開発テーマの発掘・推進を継続します。
② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働体制のもと、分析・解析・成形加工・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社グループ事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。
③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。
以下、研究開発活動を示します。
新規化学品や高分子素材原料の創出に資する触媒技術、高分子化合物の設計・重合・変性技術、高分子材料の成形・加工技術、炭素材料の合成技術等の基盤技術をベースに、新たな要素を加え、新事業創出及び既存事業強化・拡大のための研究開発活動を加速しています。サステナビリティを機会とする取組みとして、新規バイオマス素材の創出に向けた開発、PFAS(有機フッ素化合物)や廃プラスチック等の環境規制への対応を機会とする環境負荷低減素材の開発、GHG排出を抑制する新規合成プロセス開発等を推進しています。エネルギー分野ではリチウムイオン電池用の添加剤としての活用が期待できる新規炭素材料・新規ポリマー材料を着想し、製造技術開発や市場開発に取組んでいます。加えて、再生医療や細胞農業などライフサイエンス領域での事業創出に向けた研究開発を推進し、細胞を大量に培養する培養資材であるマイクロキャリア〈スキャポバ〉の事業化に取組んでいます。またライフサイエンス領域でのオープンイノベーション推進を目的に、東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に「東京ラボ」を設立し顧客ソリューションの充実や産学連携の強化を図っています。また、競争力強化を目的に、DX推進グループを組織し、高度シミュレーション技術、マテリアルズインフォマティクスの活用、独自AIの開発やロボティクスによる自動化といった各種デジタル関連技術を導入し、研究開発のあり方の変革を図っています。
既存事業の強化・拡大に関しては、先進的かつ豊富な分析・解析技術、成形加工技術及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、カンパニー、事業部、グループ会社が抱える生産・開発課題を解決する取組みを実施しています。具体的には、緊急的トラブルシューティングや、作用機構の解明、社内外の機器分析を用いた原因解析、成形加工シミュレーションの構築などの顧客要望の解決への寄与、各拠点のグローバルサポートを実施しています。
[イノベーションネットワーキングセンター]
イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、中期経営計画「PASSION 2026」で掲げる「3つの挑戦」の内の1つ「ネットワーキングから始めるイノベーション」を推進するため、2022年1月に設立されました。INCは社内外のネットワーキングを広げながらイノベーションを生み出していけるよう、アクセラレーターの役割を担いグループ一丸となった活動を推進しています。
多様なバックグラウンドをもち、グローバルに展開する40名余のINCメンバーと各本部や事業部門が連携し、クラレグループの多様な人材、ユニークな技術力、これまでに培った顧客との関係性や市場へのアプローチ手法などを駆使することで、中長期的な視点から新たなビジネス機会の創出に取り組んでいます。この組織が担う業務・役割は主に以下になります。
①当社グループの保有する技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を全社員で共有するプラットフォーム(コア技術プラットフォーム)、試作用設備を全社で共有するためのプラットフォーム(技術設備プラットフォーム)を展開し、ネットワーキングを推進します。
②グループ全体で取り組んでいる新規ビジネス開発プロジェクト群の優先順位を明確にし、事業創出の確度を高めるためのシステム(イノベーションパイプライン)を運用しながら、各プロジェクトのインキュベーションを進めます。
③当社グループソリューション群をまとめて市場へアプローチするため、自動車、紙・包装資材、建築・建設といった市場セグメント別のマーケティングチームを横串で運営します。INCメンバーが主導して各チーム運営を行い、お客様に持続的な提案をすることによってビジネス機会を発見・発掘し、顧客やパートナー企業との協業を進めます。
以下、INCの2024年度の成果を示します。
・2023年に立ち上げたコア技術プラットフォーム、及び技術設備プラットフォームの全社的な活用を促すべくグローバル・イントロダクションツアーを実施しました。また利便性向上のためにモバイルアプリとAI検索機能を開発し、運用を開始しました。
・イノベーションパイプラインは試運転を経て、2024年5月に正式に始動しました。現在、6つの新規ビジネスプロジェクトが登録され、研究開発本部や事業部のプロジェクトメンバーとINCのインキュベーターが事業化に向けて推進しています。
・重点戦略領域を定義すべくイノベーション戦略を策定し、定義された戦略領域に基づき、経営企画室、研究開発本部、各事業部と連携してアイデア創出とビジネスシナリオ作りを開始しました。イノベーションパイプラインへの提案に向けた活動を展開しています。
・市場セグメントごとのチーム活動を基盤に、日本国内外で500回を超える顧客対話と提案を実施しました。対話を通じて4つのテーマが新たにプロジェクトとして本格稼働し、市場セグメントチーム活動を通じたクロスセルの実績としても、既存技術が採用につながった案件が複数生まれました。
・グローバル全社での新規プロジェクト創出とイノベーション文化の醸成を目指し、米国で「第2回イノベーションデイズ」を開催しました。24名の有志メンバーがグローバルから集結し、設定した3テーマを集中的に議論しました。現在もイノベーションパイプラインへの提案に向けて精力的にテーマ検討を続けています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00876] S100VGVW)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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