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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LNZQ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 旭化成株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社及び連結子会社(以下、「当社グループ」)の主たる研究開発活動の概要、成果及び研究開発費(総額89,745百万円)は以下のとおりです。

1 コーポレートの研究開発における基本方針
(1) ミッションとあるべき姿
コーポレートの研究開発のミッションを以下のとおり定め、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを含むサステナビリティ及びヘルスケア領域で、当社グループの技術フロンティアとして、新事業創出に繋がる新しい価値を創造し続けることを、あるべき姿として目指していきます。
(コーポレートの研究開発のミッション)
コア技術の深化・獲得差別性・優位性の高い製品・サービス開発のためのコア技術の深化及び外部技術獲得・育成
新価値創造潜在的な顧客・社会ニーズを捉えた未来視点での新しい価値の創造
技術基盤機能の深化と進化当社グループを支える技術基盤機能の深化と進化


(2) 重点戦略分野・重点技術プラットフォーム
重点戦略分野として、「脱炭素・水素」「資源循環」「ヘルスケア」の3分野を設定し、サステナビリティの実現に貢献するための研究開発テーマに資源配分を進めていきます。また、これらを含めた研究開発を進めるにあたっては、「R&D DX」を重点技術プラットフォームとして設定し、デジタル技術を駆使した研究開発のDXを推進します。具体的には、マテリアルズ・インフォマティクスやIPランドスケープ、デジタルプラットフォーム等を駆使し、技術戦略の策定やマーケットトレンドの先読み等を積極的に実施していきます。

2 基盤的な取り組み
(1) ステージゲート制度によるテーマの取り組み
研究開発テーマのポートフォリオ管理や適切な資源配分を目的として、ステージゲート制度を導入しています。探索、研究、開発、事業開発の各ステージの要件や、各研究開発テーマのステージ上の位置付けを明確にし、研究開発テーマを次のステージに移行させる判断にあたっては、技術視点のみならず、ビジネスモデル、事業戦略、特許戦略、環境安全対応等、ステージごとに必要な審査を強化しています。また、審査プロセスを通じて、適切なテーマの管理を可能にするだけではなく、研究開発部門の内外のメンバーから多面的な助言を得ることや、研究開発テーマの意義、既存事業との関係性の整理・明確化も実行することができています。

(2) 知的財産の活用
当社グループにおける知的財産に関する重点活動として、①知的財産権の活用シナリオに基づいた事業に貢献する知財網の構築、②事業遂行を保証する知財クリアランス、③事業のグローバル化を支える知財活動の実践、④DXによる業務高度化への知的財産面からの貢献、の4つに取り組むとともに、そのベースとなる計画的な人財育成プランを進めています。DXによる事業高度化については、知財解析を経営・事業戦略の構築・見直しに活用する「IPランドスケープ」にも積極的に取り組んでいます。業界・マーケット情報を踏まえて、ビッグデータである特許や論文情報の知的財産情報を収集・加工して、俯瞰マップ等を経営・事業部へ提供しています。その後、市場における当社グループの事業のポジションや強み、発展性等についての議論を行い、最終的に、事業強化、新事業の創出、M&A等の経営・事業判断に繋げています。最近では、IPランドスケープをベースにした議論を通じて、旭化成の多様なコア技術、マーケティング機能、企画機能を結び付け、気づきの連鎖を起こさせることで、新事業の創出の前段階であるイノベーション創発を促す社内コネクトイベント(IPL de Connect) を主導するなど、全社を牽引する取り組みも行っています。
このような知財活動が高く評価され、2021年4月には経済産業省特許庁が主催する、「知財功労賞」の経済産業大臣表彰を受賞しました。


(3) CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活動
当社グループは、2008年に日本国内でCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を設立し、2011年から米国を拠点として、ベンチャー企業への投資を通して最先端技術・ビジネスを獲得し、新事業の創出を行っています。現在は、米国のみならず、ドイツ、中国の拠点において活動の幅を広げています。具体的には、当社グループと親和性のあるベンチャー企業を発掘するための情報ネットワーク構築と関連部門への情報発信、投資・買収の交渉と関連実務の遂行、投資先企業のサポートを通じた事業化推進を行っています。また、3年間で7,500万ドルの投資枠を設けており、1社当たり500万ドルまでの投資に関しては本社での決裁を不要とするなど、スピーディな意思決定、手続きができるような仕組みを運用しています。これまで数十社の企業へ投資を実施し、深紫外LEDを開発するCrystal IS, Inc.や、ガスセンサーモジュールを開発・製造・販売するSenseair ABの買収を実施してきました。今後も投資ポートフォリオの拡大とともに、CVC活動体制の最適化と拡大を図り、当社グループの新事業創出を継続的に行っていきます。

3 セグメント別の研究開発活動
(1) 当社グループ全体(「全社」)
・アルカリ水電解システムの開発
カーボンニュートラルを実現するための取り組みとして、再生エネルギーを活用したアルカリ水電解システムの開発を実施しています。福島県双葉郡浪江町にて10MW級大型アルカリ水電解システムを立ち上げ、水素の供給運転を開始し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発」において、NEDOや協力企業とともに、水素を用いたエネルギー貯蔵・利用の実用化に向けた技術開発事業の拡充・強化を行っています。現在では、水電解システムに掛かるトータルコストは、水素・燃料電池ロードマップ目標値より依然として高く、更なるイノベーションが必要と認識しています。電解槽のコストダウン検討を継続して取り組み、EPC(設計・調達・建設)費用の割合も大きいため、技術力を有する企業との連携を進めていきます。

・CO2ケミストリー技術、CO2分離回収システムの開発
当社グループでは、CO2を原料に使用するポリカーボネート(PC)樹脂製造プロセスを世界で初めて確立し、有毒な化合物(ホスゲン)を使用しない、CO2を原料に代替することによる地球環境にやさしい製法で、社会へ新たな価値を提供してきました。また、2018年に実証が完了したCO2を原料とするジフェニルカーボネート製造プロセスや、現在開発中であるCO2誘導体利用技術のイソシアネート製法など、更なる展開を進めていきます。加えて、ゼオライトを吸着材として用いたCO2分離回収システムの開発も進めています。

・ポリエチレンリサイクルの取り組み
使用済みのポリエチレンのリサイクルにおいて、大学や消費材メーカー、成型メーカー、リサイクル業者等サプライチェーンの関係者でリサイクル技術の開発に取り組んでいます。また、ブロックチェーンを活用し、サプライチェーンを管理・可視化するプラットフォーム構築に取り組んでいます。リサイクル製品を改ざん不可能なブロックチェーンで来歴管理することにより、循環性、透明性、トレーサビリティを提供することで、新たなビジネスモデルを確立し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

・XRP(セルロースナノファイバーコンポジット)の開発
バイオ由来のセルロースナノファイバーと、エンジニアリング樹脂をナノコンポジット化することで、素材の高機能化と環境技術を両立し、サステナビリティに貢献する製品の実現を目指しています。当社グループでは、セルロースナノファイバーからセルロースナノファイバーコンポジットまでの一貫製造プロセスを保有していることの特長を活かし、今後は低コスト、低環境負荷、高機能を満たす製品開発及びマーケティング活動を通じた事業化の検討を進めていきます。


・エンジニアリング樹脂発泡体の開発
自動車の車体軽量化に寄与する、構造部品向けのエンジニアリング樹脂発泡体の開発を進めています。ポリアミド発泡体では、高い発泡倍率と吸音性能を強みとして展開を加速し、各自動車メーカーや自動車部材メーカーとの関係を活かしたマーケティングを進めています。また、独自のCAE(Computer Aided Engineering)技術の高度化を推進し、部品設計の提案まで手掛けることにより、提供価値の創出に努めています。

・深紫外LED/深紫外レーザーの開発
現在、殺菌、ウイルス不活性化に最も効果の高い、波長265nmを高出力で実現できる深紫外LEDの展開を実施していますが、更なる高出力化に向けた研究や、基板の大口径化や高品質化にも継続して取り組んでいます。また、名古屋大学との協力により、深紫外レーザーの開発を行っており、2019年にはUV-C帯の世界で最も短波長のレーザー発振に成功しました。今後は、ガス分析等センシングへの応用、局所殺菌、DNAや微粒子などの計測・解析といった、ヘルスケア・医療分野への応用の検討を進めていきます。

当社グループ全体(「全社」)に係る研究開発費の金額は、14,185百万円です。

(2) 「マテリアル」セグメント
・ 基盤マテリアル事業
アクリロニトリル事業では当社の強みである触媒のブラッシュアップに継続的に取り組んでいます。

・ パフォーマンスプロダクツ事業
繊維事業では、グループ内外との連携により、研究開発機能を充実・高度化させるとともに、成果実現のスピードアップを図っています。主力製品である人工皮革「ラムース®」、キュプラ繊維「ベンベルグ®」、ナイロン66繊維「レオナ®」及び各種不織布において、独自性を活かした付加価値の高い製品の創出や、生産プロセスの革新を進めています。
また、「健康で快適な生活」「環境との共生」に寄与する新事業領域の創出にも注力しており、新規セルロース素材の事業化や、高機能テキスタイル、新基軸不織布の開発などに取り組んでいます。
高機能ポリマー事業では、新たなポリマー設計による高剛性・易成形性のポリアミドや次世代低燃費タイヤ用変性S-SBRなどの開発が進捗しています。さらに、独自のCAE(Computer Aided Engineering)技術の高度化を推進し、機能樹脂事業において新規用途開拓と海外展開を加速していきます。

・ スペシャルティソリューション事業
電子材料事業では、環境に配慮した食塩電解プロセス用のフッ素系イオン交換膜の開発を強化するとともに、電子材料関連では、次世代電子デバイスの要求に対応できる感光性樹脂材料の開発を加速しています。また、事業本部の広範な技術シナジーを活用した新事業創出の取組みも実施しています。
セパレータ事業では、高分子設計・合成や、製膜加工などのコア技術を活かして、「省資源・省エネルギー」「環境負荷軽減」に貢献する新規材料の開発を推進しています。電気自動車等の環境対応車や電子機器、蓄電システム用途に展開するリチウムイオン電池用高機能セパレータや鉛蓄電池用セパレータ等の環境・エネルギー関連素材の展開に注力していきます。
電子部品事業では、デジタル社会の進展に対応して、「磁気」「音」「可視外光」「高周波」を主軸に「エンドユーザーのベネフィット」に繋がるソリューションを提供できる技術及び製品の開発を推進しています。豊富な技術資産と柔軟なエンジニア組織運営により、ミックスドシグナルLSI・化合物半導体・高機能パッケージ等を融合し、独自のソフトウェアを活かした高機能電子部品の開発のみならず、モジュール型製品への展開にも積極的に取り組んでいきます。

当セグメントに係る研究開発費の金額は32,848百万円です。


(3) 「住宅」セグメント
住宅事業では、「ロングライフの実現」を支えるコア技術について、重点的な研究開発を続けています。シェルター技術については、安全性(耐震・制震・免震技術、火災時の安全性向上技術)、耐久性(耐久性向上・評価技術、維持管理技術、リフォーム技術)に加えて、居住性(温熱・空気環境技術、遮音技術)、環境対応性(省エネルギー技術、低炭素化技術)の開発を行っています。住ソフト技術については、二世帯同居等の住まい方についての研究を、評価・シミュレーション技術については、デジタル技術等の活用により直感的に理解可能な環境シミュレーションシステムの構築を、それぞれ進めています。また、住宅における生活エネルギー消費量削減とともに、人の生理・心理から捉えた快適性を研究し、健康・快適性と省エネルギーを両立させる、環境共生型住まいを実現する技術開発に注力しています。
建材事業では、「良質空間を追求し、グッドマテリアルを通じて、未来を見据え新たな価値を創造する」を事業ビジョンとし、軽量気泡コンクリート(ALC)、フェノールフォーム断熱材、杭基礎、鉄骨造構造資材の4つの事業分野において基盤技術の強化を推進しています。

当セグメントに係る研究開発費の金額は3,412百万円です。

(4) 「ヘルスケア」セグメント
医薬事業では、自社オリジナル製品の研究開発で培った経験をもとに、整形外科領域(骨、疼痛等)、リウマチ関連領域及び救急領域を中心に、有効な治療方法がない医療ニーズを解決することによって、「健康でいたい」と願う世界中の人びとのQOL(Quality of Life)向上を図ることを目指して、積極的な研究開発を行っています。創薬技術や創薬シーズ、創薬テーマについては、世界中の企業や大学とのコラボレーションを積極的に推進することによって、絶えざる革新を日々進めています。
医療事業では、治療の可能性を広げ、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供するために、グループ総力をあげた研究開発に取り組んでいます。これまで培ってきた豊富な基礎技術と研究開発の応用により、人工腎臓、血液浄化技術、白血球やウイルスの除去技術をさらに発展させていきます。
クリティカルケア事業では、突然の心停止からの生存率を向上する技術開発を原点とし、新規領域にも研究を広げています。急性心筋梗塞・脳卒中・敗血症・呼吸困難等、予後の悪い緊急疾病に対する新規治療法や技術が求められており、患者様と臨床医に役立つことを使命としています。

当セグメントに係る研究開発費の金額は39,169百万円です。

(5) 「その他」
エンジニアリング分野等に関する研究開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費の金額は131百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


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