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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R0DS (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社商工組合中央金庫 事業等のリスク (2023年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当金庫グループ(以下、本項目においては「当金庫」という。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、これらのリスクは必ずしも全てを網羅したものではありません。また、リスクは独立して発生するとは限らず、あるリスクの発生が他のリスクの発生につながり、様々なリスクを増大させる可能性があります。
当金庫は、経営環境の変化を踏まえて、適切にリスク事象の抽出と評価を行いながら実効性のある対応策を講じていくとともに、リスクマネジメントの更なる強化に取り組んでまいります。
本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

1 トップリスク
当金庫では、経営層による議論のもと、半期ごとに当金庫を取り巻くリスク事象を選定するとともに、経営として最も注視すべきリスク事象をトップリスクとして決定し、必要な対応策を講じてリスクを適切に管理・コントロールしていく態勢を整備しております。
2023年4月の取締役会において、企業活動に深刻な影響を与えるサイバー攻撃のリスクの高まりや、労働の流動化・働き手の価値観の多様化といった雇用環境の変化を踏まえ、従来、トップリスク以外の主要なリスクで認識していた「サイバー攻撃に関するリスク」及び「人財の確保・育成」を、トップリスクとして認識することを決定しました。
一方で、従来、トップリスクで認識していた「新型コロナウイルス感染症の拡大」について、感染症法上の取扱いや現下の感染状況等を踏まえ、引き続き、主要なリスクとして認識しつつも、トップリスクからは除外することを決定しました。
これに伴い、当金庫が認識するトップリスクは、以下の7つのリスク事象となります。
① 気候変動リスクへの対応
② 産業構造の変化
③ 大規模自然災害の発生
④ サイバー攻撃に関するリスク
⑤ 人財の確保・育成
⑥ 格付低下
⑦ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の不備

① 気候変動リスクへの対応
近年、異常気象による被害が甚大化しており、世界各国で気候変動に対応していこうとする動きが広がっています。日本でも2050年温室効果ガス排出ネット・ゼロが宣言され、今後、脱炭素社会への移行に向けた社会の変革が予想されます。
異常気象等によってもたらされる物理的な被害や、脱炭素社会への移行に伴う政策変更及び規制強化、社会通念や産業構造の変化等が、当金庫のお取引先の事業に影響を及ぼし、これにより、当金庫の事業戦略や信用ポートフォリオが影響を受けることで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
また、気候変動問題に対して、機関投資家を含めたステークホルダーや社会の関心が高まる中で、企業としての取組みや情報開示が不十分であると見なされた場合には、当金庫のレピュテーションを毀損する、または資金調達に影響するなど、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、2019年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同署名を行い、TCFDの提言に沿った気候変動のリスク・機会の把握・評価、リスク管理態勢の構築や情報開示の拡充に取り組んでおります。あわせて、お取引先との間で、脱炭素社会への移行に向けた課題の共有、対話の充実を図っていくとともに、当金庫におけるCO2排出量の削減に向けて店舗改革等にも取り組んでおります。詳細な内容については、「第2 事業等の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。


② 産業構造の変化
日本を含む世界各国で、経済安全保障等の観点から産業政策を強化する動きが加速しており、特にグリーン分野・デジタル分野では顕著となっています。急速に進む技術革新とあわせて、今後、産業構造が大きく変容する可能性があり、当金庫の事業環境・競争環境が大きく変化する可能性があります。この場合、当金庫が想定していたビジネス戦略の前提条件が崩れ、戦略投資の効果が剥落する、または、必要な人財を確保できないことで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
また、自動車産業におけるEV化の動きや、新型コロナ禍を契機とした生活スタイルの変容等が、当金庫のお取引先の事業に影響を及ぼし、これにより、当金庫の信用ポートフォリオが影響を受けることで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、こうした事業環境・競争環境の変化に対応するため、広く情報収集を行い、当金庫の経営に与える影響を分析・評価するとともに、中期経営計画や年度間の総合計画を策定し、様々な戦略や施策を実行しております。自動車産業におけるEV化の動きに対しては、トランジション支援のための外部関係先との連携強化やお取引先との課題共有に注力しております。今後は、新たに創設した自動車産業を支援する専門チーム中心に、審査の高度化と経営支援ノウハウの更なる充実を図ってまいります。 また、急速に進むデジタル化に対応するため、組織態勢を整備するとともに、DX実現に向けたプロジェクトを進めております。

③ 大規模自然災害の発生
当金庫は国内外の営業拠点やシステムセンター等の施設において事業活動を行っております。これらの施設等は大規模な地震や風水害等の自然災害により被害を受け、被害の程度によっては、業務の一部が停止する可能性があります。かかる事態が発生した場合には、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、当金庫のお取引先の事業所が被災した場合、お取引先の業績や担保資産の価値が悪化し、これにより、当金庫の信用ポートフォリオが影響を受けることで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、不測の事態の発生に対し、迅速に対応できるよう、事業継続計画(BCP)を整備するとともに、実効性を高めるため、定期的に各種訓練や研修を実施しております。加えて、地方自治体が公表しているハザードマップをもとに、年1回、浸水リスクのある拠点と被害予測を調査するなど、リスクを適切に認識しております。また、お取引先の被災リスクに関しては、自然災害の発生を想定したストレステストを定期的に実施し、ストレス下におけるリスク量と資本の十分性を検証しております。

④ サイバー攻撃に関するリスク
近年のデジタル技術の著しい発展により、インターネットを利用した取引が増加している一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も急速に進んでおり、金融機関を取り巻くサイバーリスクは一層高まっております。サイバー攻撃によるシステム停止、データ改ざん、情報漏洩、不正送金等が発生した場合、それに伴う損失により、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、経営の重要課題としてサイバーセキュリティ対策に取り組んでおります。具体的には、組織内CSIRTとして「商中SIRT」を設置し、サイバー攻撃に関する情報収集・分析や、サイバー攻撃に備えた定期的な対応訓練、コンティンジェンシープランの見直し等を実施するとともに、サイバー攻撃への多層防御対策やウィルス侵入に備えた対策を講じております。今後は、サイバーセキュリティに関するリスクアセスメント結果を踏まえた課題への取組みのための中期活動計画を策定し、その計画に基づく管理態勢の更なる強化を図ってまいります。

⑤ 人財の確保・育成
労働力人口の減少に加え、労働市場における流動化の動きや働き手の価値観の多様化等により、企業と職員を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。 当金庫は、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っており、有能な人財の確保・育成に努めておりますが、戦略遂行に必要な人財を確保・育成できない場合には、主要分野でのビジネス戦略が想定通りに実施できず、その結果、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、人的資本経営に対して、機関投資家を含めたステークホルダーや社会の関心が高まる中で、企業としての取組みや情報開示が不十分であると見なされた場合には、必要な人財を確保できないばかりか、当金庫のレピュテーションを毀損する、または資金調達に影響するなど、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、人的資本の一層の充実を図るため、採用活動にさらに力を入れるとともに、職員一人ひとりのWell-beingや働きがいのある組織の実現、働き方改革や職員のキャリア開発・スキルアップ支援に取り組むことで、経営戦略と連動した人財の確保・育成を図っています。詳細な内容については、「第2 事業等の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

⑥ 格付低下
格付機関により当金庫の格付が引き下げられた場合、当金庫の資金調達や市場業務等が悪影響を受けるおそれがあります。具体的には、金融債の発行や外貨調達において、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化が想定されるほか、デリバティブ業務において、追加担保の提供、一部取引の困難化、既存取引の解約等が発生する可能性があります。かかる事態が発生した場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、財務体質の強化策や収益力増強策等の諸施策に取組み、格付の維持・向上に努めております。また、ストレス時を想定して流動性の高い資産を一定以上保有するなど安定的な資金繰り運営に努めております。

⑦ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の不備
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。したがって、当金庫のマネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制への違反やマネー・ローンダリング等への関与等の事態が発生した場合には、内外の金融当局からの業務停止・制裁金等の行政処分、コルレス契約の解除による海外送金業務等の停止、レピュテーションの毀損等により、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、マネロン対策を経営上の重要課題の一つと位置付け、システム面を含む顧客管理態勢の高度化や、職員に対する教育・研修の充実に努める等、マネロン対策の強化に継続的に取り組んでおります。

2 トップリスク以外の主要なリスク
有価証券報告書提出日現在、認識しているリスクは以下のとおりであります。

( i ) 経営環境に関連するリスク
① 国内外の金融経済環境の悪化
世界的なインフレ率の高止まりに加え、米欧を起点とした金融不安の拡大が懸念されるなど、国内外の金融経済環境の先行きには注意が必要な状況です。 国内外において、経済状況の悪化や金融市場の混乱等が生じた場合には、お取引先の企業業績の悪化に伴う与信関係費用の増加や、保有有価証券の価格下落、資金調達環境の悪化等により、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、こうした金融経済環境の悪化に対して、リスク管理態勢の整備・高度化を進めながら、様々な対策を講じることで、リスクが顕在化した場合の影響の極小化に努めております。

② 日本銀行の金融政策に関するリスク
当金庫の収益は、運用・調達の金利収益に大きく依存します。現状、円金利については、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」により、極めて低い水準で推移する状況となっていますが、同政策の見直しがあった場合には、貸出債権や有価証券ポートフォリオに変動が生じ、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、市場金利の低下に伴う金利収益の低下リスクも念頭にいれたALM(※)運営を行い、金利収益の適切なコントロールに努めております。
※Asset Liability Management 資産・負債の一元的な総合管理

③ 地政学リスク・経済安全保障
米中対立の激化やロシア・ウクライナ情勢の深刻化・長期化等を背景に、地政学リスクや経済安全保障への対応が企業の経営課題として急浮上してきています。世界各国の分断が意識されることにより、グローバル化が進展した現代においては経済の弱体化が懸念されるとともに、世界的な供給網の見直しが進む可能性があります。こうした動きに加えて、各国が展開する経済安全保障政策が、お取引先のビジネスモデルや業績に影響を及ぼし、これにより、当金庫の信用ポートフォリオが影響を受けることで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、金融機関は、基幹的なインフラの一つとして、情報の適切な管理や、機器・システムの利用、業務提携・委託等について、経済安全保障の観点から制約を受ける可能性があり、この場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響が及ぶ可能性があります。
当金庫では、国際情勢や日本政府の動向を含め地政学リスクや経済安全保障に関して広く情報収集を行うとともに、当金庫の経営に与える影響を分析・評価する取組みを実施しております。

④ 人権問題への対応
企業には社会の持続可能な発展に貢献することが期待されており、企業の事業活動について、社会や環境に及ぼす影響への配慮と倫理的な行動が求められています。人権問題への対応もその一つであり、企業は国際的に認められた人権を尊重し、あらゆる事業活動の中で、児童労働・強制労働等の搾取的労働慣行を排除していくことが必要となります。人権問題に対し、機関投資家を含めたステークホルダーや社会の関心が高まる中、企業としての取組みが不十分である場合、当金庫のレピュテーションを毀損する、または資金調達に影響するなど、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、人権の尊重は企業の社会的責任を果たすうえで重要な経営課題であるとの認識のもと、世界人権宣言をはじめとする国際規範の尊重を含めた人権方針を策定するとともに、全職員を対象に人権意識を高める研修・啓蒙活動を行っております。また、人権問題に関して広く情報収集を行い、当金庫の経営に与える影響を分析・評価する取組みを実施しております。

⑤ 感染症の拡大
新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種の普及に伴い感染者数が減少するとともに、感染症法上の分類が5類に引き下げられるなど、収束の兆しが見えつつあります。一方、コロナ禍を教訓として、今後も、新興感染症の出現や既知の感染症の再流行により、国内外の経済の不安定な状態が再び生じる可能性を認識しておく必要があります。
感染症の拡大による経済活動の低迷が、当金庫のお取引先の事業に影響を及ぼし、当金庫の信用ポートフォリオが影響を受けることで、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、当金庫の職員間で感染が拡大すれば、業務継続が困難になる可能性があります。この場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、信用リスクの把握及び評価を適切に行った上で、信用ポートフォリオの状況をモニタリングするなど必要な管理を行っております。また、当金庫の業務継続にかかるリスクに対しては、在宅勤務や時差出勤、サテライト拠点の活用を通じたスプリットオペレーション体制の強化を図ることで、職員の感染防止と業務継続の両立を図っていきます。

⑥ 中小企業の休廃業増加
当金庫は中小企業による中小企業のための金融機関であり、融資先における中小企業の比率が高い水準となっております。少子高齢化が進展する中、中小企業では、経営者の高齢化や後継者不足が深刻な課題となっております。足もとでは、こうした構造的な要因に加え、景気の先行き不透明感も背景に、中小企業の休廃業リスクが高まっております。中小企業の休廃業が増加した場合、地域経済の衰退や雇用への悪影響を及ぼす可能性があるとともに、当金庫の顧客基盤の減少にもつながるなど、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、中期経営計画に基づき、コンサルティング・本業支援の一環としてM&A支援を含む事業承継支援の取組みを強化するとともに、業態転換や第二創業といった事業の変革・再構築に対する支援にも積極的に取り組んでおります。

⑦ 規制・法制度等の変更
当金庫は、現時点の規制・法制度等に則って事業活動を行っております。これらの規制・法制度等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、業務の制限を受ける、または新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる場合があります。加えて、規制・法制度等変更への対応が不十分な場合には、当局から処分等を受けるおそれもあります。2023年6月に株式会社商工組合中央金庫法の改正法案が国会において成立し、公布後2年以内の政府保有株式売却が決定され、今後財政制度等審議会国有財産分科会において審議されることとなります。現時点において、具体的な売却方法等は決定しておりませんが、その結果、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
また、当金庫はバーゼルⅢに基づく自己資本比率等に関する規制が適用されるため、自己資本比率やレバレッジ比率等の規制比率について、株式会社商工組合中央金庫法に定める数値以上を目標とし、自己資本等の充実に努めなければなりません。自己資本比率等の規制比率が目標を下回った場合には、金融庁長官、財務大臣及び経済産業大臣から様々な命令を受けることがあります。
当金庫では、2023年3月期において新資本規制を前倒して導入いたしましたが、今後とも規制・法制度等の制定・改廃状況を適宜モニタリングしながら、必要な態勢を整備してまいります。また、事業活動の適切性や健全性を確保しながら、質・量ともに十分な自己資本を維持するとともに、リスクに見合った十分な自己資本比率の確保に努めております。

( ⅱ ) 当金庫業務に内包するリスク
(1) コンプライアンスに関するリスク
① 不祥事件・不正事案の発生
当金庫は、2016年10月に判明した危機対応業務の不正行為事案等に対する反省を踏まえ、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題と位置付け、毎年度、コンプライアンス・顧客保護等管理プログラムを策定し、プログラムに沿って様々な施策を実行しております。しかしながら、仮に役職員等による不法行為、その他の不公正・不適切な取引が行われた場合、業務改善命令、業務停止命令、業務についての許認可の取消しを受ける、また、お客さま及び市場等からの信頼失墜等により、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、コンプライアンス意識の立て直しのため、倫理憲章・行動基準等の策定・定着、継続的な教育研修の実施、不正抑止のための処分厳正化、内部通報制度の改善、エリア・コンプライアンス・オフィサーの設置等を実施するとともに、コンプライアンス意識の定着状況を定点観測するため、全職員に対し、定期的にコンプライアンスに係る意識調査を実施しております。
職員のコンプライアンス意識定着に向けた具体的な取組みとしては、部室店毎に任命したコンプライアンス・リーダーを中心として、2022年度以降、自律的なコンプライアンスの実現に向け、各部室店それぞれが独自のコンプライアンス・プログラムを策定し、自部室店の抱えるリスク・課題の把握と、課題解決に向けた取組みを実施しております。加えて、危機対応業務の不正行為事案を風化させない取組みとして、毎年10月をコンプライアンス強化月間とし、全職員を対象としたコンプライアンス検討会を開催し、職員間での議論を通して、問題の真因や自分自身の行動を振り返る機会を作ることで、様々な規則の背景やあるべき姿(原理原則)について理解を深める取組みを実施しております。また、コンプライアンス・リスク管理態勢の強化として、コンプライアンス部署の指導・牽制機関として外部弁護士を委員長としたコンプライアンス委員会を取締役会から委任を受けて設置しております。こうした取組みを不断に行うことで、公正・誠実でコンプライアンス最優先の組織と業務運営を実現・定着させ、コンプライアンス・リスクの顕在化を未然に防止してまいります。

(2) 戦略に関するリスク
① 事業戦略が奏功しないリスク
当金庫は、2022年3月に制定した新たな企業理念の実現に向け、2022年度から2024年度を計画期間とする「中期経営計画」を策定し、持続可能なビジネスモデルの実現を通じた当金庫自身の企業価値向上を目指して、様々な戦略や施策を実行しております。しかしながら、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合にはこうした戦略や施策が成功しない、あるいは成功したとしても当初想定した成果を得られない、または計画の変更を余儀なくされ、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
・サービスのシフトや差別化分野におけるソリューション提供等が進まず、顧客基盤の拡充を通じた資金利益や目指している手数料収入の獲得が想定通りに進まないこと
・募集債、法人預金、リテール調達などの資金調達が想定通りに進まないこと
・経営合理化に向けての戦略が想定通りに進まないこと
・危機対応業務等、ほかに優先すべき業務が発生し、リソースの再配分を余儀なくされること
当金庫では、中期経営計画に基づき、サービスの拡充、組織体制の整備、外部連携の強化、経営の合理化を進めるとともに、Well-being・ダイバーシティ&インクルージョン、お客さま本位の業務運営、デジタルトランスフォーメーションといったテーマにおける各種推進策の実施等により、多くの新しいチャレンジをはぐくむための企業変革に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、中期経営計画の実現を目指すとともに、仮に社会や経営環境の大きな変動が生じた場合にも柔軟に対応が可能な、変化につよい企業経営を実践してまいります。

(3) 信用リスク
① 大口与信先の企業業績の悪化
国内外の経済動向、特定の地域や業種における経営環境の変化等によって、大口与信先の企業業績が悪化した場合、不良債権及び与信関係費用が大幅に増加し、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
また、当金庫は、お取引先の業況、債権の保全状況及び過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、大口与信先の企業業績が想定を超えて悪化した場合や地価下落等に伴い担保価値が低下し債権の保全状況が悪化した場合、あるいは経済状態全般が悪化した場合等には、貸倒引当金の積み増しにより、与信関係費用が大幅に増加し、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、過去からの融資ノウハウに基づく融資審査基準及び審査体制により信用リスクの把握及び評価を適切に行った上で、信用ポートフォリオの状況をモニタリングするなど必要な管理を行っております。
また、中期経営計画に基づき、差別化分野の1つとして「事業再生支援」の取組みを強化し、お取引先の経営危機の未然防止や危機状態からの脱却支援に積極的に取り組んでまいります。

(4) 市場リスク
① 金利変動・株価変動
当金庫は債券、デリバティブ等を取扱う市場取引を行っており、金利変動により保有する資産・負債の価値が変動し、損失を被る可能性があります。また、当金庫は市場性のある株式を保有しており、大幅な株価下落が発生した場合には、減損又は評価損が発生し、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、金利や株価などのリスクの種類や業務の内容に応じてリスク限度や損失限度等を設定し、市場環境に応じて適切にリスクコントロールを行うとともに、市場環境急変時には速やかに必要な対応を審議する態勢を構築する等、厳格なリスク管理態勢を整備しております。

(5) 流動性リスク
① 資金調達環境の悪化
国内外の急激な景気の悪化や金融市場の混乱、当金庫に対する評判の悪化が生じた場合には、必要な資金を確保できずに資金繰りが悪化する可能性や通常の取引よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされ、その結果、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、資金繰りに関する各種リミットを設定し、運用と調達のバランスを意識しながら、資金繰りを適切にコントロールしております。また、ストレス時を想定して、流動性の高い資産を一定以上保有するなど円滑な資金繰りに努めております。

(6) オペレーショナル・リスク
① 事務過誤の発生
役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故等を起こすことにより、当金庫の信用低下等が生じた場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では厳格な事務規定を定め、役職員に対する研修等を通じて正確な事務処理を励行することを徹底するとともに、事務ミスの発生状況をモニタリングし、リスクの所在・原因を分析することにより、再発防止策等のリスク低減策の策定に繋げております。

② 情報漏洩
お客さまの情報等の重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分の対象となり、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では情報セキュリティに関する規定を定め、役職員に対する研修等を通じて情報管理の重要性を周知徹底するとともに、保有する情報資産のリスク評価に応じた対策を行っております。

③ 外部委託に関するリスク
当金庫業務の委託先において、システム障害や情報漏洩、重大な事務ミス等が発生した場合、社会的信用の失墜などにより、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、外部委託業務にかかる管理手続きに基づき、業務委託先の経営の健全性や委託業務の遂行能力、情報管理態勢等の確認・検証を実施し、内在するリスクの低減に取り組んでおります。

④ システム障害
基幹システム等コンピュータシステムがダウンまたは誤作動した場合等システムに不備が生じた場合、当金庫業務やサービスの停止等に伴う損失により、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、基幹システム及び重要なシステムの二重化やバックアップ体制の構築、大規模災害等不測の事態に備えたコンティンジェンシープランの整備等を行うとともに、大規模システム障害およびBCP(業務継続)訓練にも努め、システムリスクに対し万全の態勢で臨んでおります。

⑤ 重大な訴訟・法令違反の発生
当金庫は事業活動にあたり、会社法、株式会社商工組合中央金庫法、金融商品取引法等の法令諸規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。役職員が法令違反行為等により法令諸規制や契約内容を遵守できない場合や、法令解釈の相違、法令手続きの不備が発生した場合には、罰則適用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫ではこれら法令諸規制や契約内容が遵守されるよう規定・体制の整備及び教育研修等を実施しております。また、訴訟事案についても一元的に管理を行い、リスクの極小化に努めております。
なお、現在、当金庫には大口の損失に繋がりかねない重要な訴訟はありません。

⑥ 人事運営上のリスク
処遇や労務・職場の安全衛生等の人事運営上の不公平・不公正や、差別的行為(ハラスメントを含む)が発生した場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、こうした人事運営上のリスク発生の未然防止のため、リスクの状況に関するモニタリング、リスク顕在時の各段階において対応すべき事項を定め、リスクの極小化に努めております。特にハラスメントについては、研修や注意喚起等を通じて繰り返し啓蒙することで、職員の意識改革・リスク認識の向上を図っております。

⑦ 評判の悪化・風説の流布
マスメディアやインターネット等の情報媒体において、当金庫に対する否定的な風評や風説等が流布された場合、その内容の正確性に関わらず、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、こうした評判の悪化や風説の流布等の早期把握に努めるとともに、リスク顕在時の各段階において対応すべき事項を定め、影響の極小化に努めております。

(7) その他のリスク
① コーポレートガバナンスの機能低下
コーポレートガバナンスが有効に機能しない場合、経営者によるステークホルダーの利益に反する企業運営や組織的な不祥事に繋がる可能性があり、この場合、社会的信用を大きく失墜し、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、過去、危機対応業務における不正行為ならびにその他の不適切な業務運営により二度の行政処分を受けたことを教訓に、監督と執行の分離によるモニタリング型の取締役会を実現するためのガバナンス体制とし、社外過半数の取締役を登用する経営体制とするとともに、毎年、取締役会の実効性を分析・評価し、洗い出された課題に対し、改善策を検討・実施する等、企業価値向上の実現に向けて、取締役会の機能強化に取り組んでおります。

② リスク管理態勢の不備
当金庫は、リスク管理規程及びリスクの種類ごとの管理方針や手続きを定め、リスク管理の強化に努めております。しかしながら、急速な業務展開、または外部環境の変化により、リスク管理の方針や手続きが有効に機能しない場合、当金庫の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当金庫では、新たな商品や業務を取り扱う場合には、戦略やリスクの検証を行い、必要に応じてリスク管理の方針や手続きの見直しを行っております。また、半期ごとに、業務展開や外部環境の変化等を点検したうえで「リスク管理プログラム」を策定し、リスク管理手法の高度化に取り組んでおります。

③ 固定資産の減損
当金庫が保有する固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用しており、固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落などにより評価損が発生する可能性があります。当金庫では、保有する固定資産の収益性及び価格についてモニタリング等を行い固定資産の減損可能性の把握に努めております。

従業員の状況研究開発活動


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