有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VXR3 (EDINETへの外部リンク)
アステラス製薬株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』 (注) へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」に記載しています。
(注) 患者さんにとって真に重要なアウトカム (治療等による臨床上の成果) を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したもの
当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。
(1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現
中長期にわたり成長を支える重点戦略製品 (注) に優先的に経営資源を振り向けました。尿路上皮がん治療剤PADCEVや地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAH等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。
開発後期段階においては、下記等の多くの進展がありました。
・尿路上皮がん治療剤PADCEVのMerck社 (米国) のPD-1阻害剤KEYTRUDA (一般名:ペムブロリズマブ) との併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における一次治療の追加適応としての欧州、日本及び中国における承認取得
・地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAYについて、米国における第Ⅲ相GATHER2試験の良好な2年間に渡る投与データの添付文書への追加に関する一部変更承認の取得
・胃腺がん及び食道胃接合部腺がん治療剤VYLOYについて、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果とした日本における発売、また、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療に関する欧州及び米国での発売並びに中国における承認取得
(注) PADCEV、IZERVAY、VEOZAH、VYLOY、XOSPATA (2025年3月31日現在)
当連結会計年度における主要製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。
・前立腺がん治療剤XTANDI (一般名:エンザルタミド)
当連結会計年度売上:9,123億円 (前連結会計年度比21.6%増)
全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は大きく拡大しました。また米国において、生化学的再発のリスクが高い非転移性去勢感受性前立腺がんの浸透と他の適応症への波及効果が売上伸長に貢献しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。
2024年4月 欧州において、サルベージ放射線療法が適応とならない生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加に関して承認を取得しました。
2024年7月 中国において、転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加に関して承認を取得しました。
・尿路上皮がん治療剤PADCEV (一般名:エンホルツマブ ベドチン)
当連結会計年度売上:1,641億円 (前連結会計年度比92.2%増)
全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は大きく拡大しました。転移性尿路上皮がん患者を対象とした一次治療の承認国が拡大し、各国での市場浸透が売上伸長に貢献しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。
2024年8月 中国において、白金製剤を含む化学療法及びPD-1又はPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における単剤療法に関し、承認を取得しました。
2024年8月 欧州において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、白金製剤適応の切除不能又は転移性の尿路上皮がん患者の一次治療として適応追加の販売承認を取得しました。
2024年9月 日本において、厚生労働省から優先審査品目の指定を受けていた、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、根治切除不能な尿路上皮癌に対する一次治療として、適応追加に関する承認を取得しました。
2025年1月 中国において、本剤とKEYTRUDAとの併用療法について、局所進行性又は転移性尿路上皮がんに対する治療法として、適応追加に関する承認を取得しました。
・地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY (一般名:avacincaptad pegol)
当連結会計年度売上:583億円 (前連結会計年度比380.6%増)
発売している米国において、売上が大きく拡大しました。承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。
2024年10月 欧州において、2023年8月に欧州医薬品庁に受理された販売承認申請を取り下げる決定をしました。本決定は、欧州医薬品庁の欧州医薬品委員会との議論の結果に基づきます。現在、主要国で当局との議論を個別に実施中です。
2024年11月 米国において、2024年3月に受理された、第Ⅲ相GATHER2試験の良好な2年間に渡る投与データの添付文書への追加に関する一部変更承認申請について、米国食品医薬品局から審査完了報告通知を受領しました。
2024年12月 米国において、審査完了報告通知に記載されたフィードバックを明確にするために実施した米国食品医薬品局との協議を経て、一部変更承認を再申請しました。
2025年2月 日本において、条件付き承認制度に基づく製造販売承認申請を行いました。
2025年2月 米国において、添付文書の一部変更に関する承認を取得しました。今回の添付文書の一部変更により、投与期間の制限の無い投与が可能になりました。
・閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状治療剤VEOZAH (一般名:fezolinetant)
当連結会計年度売上:338億円 (前連結会計年度比363.6%増)
発売国の拡大も堅調に推移し、グローバル売上は大きく拡大しました。米国に加えて、2024年1月に発売したエスタブリッシュドマーケットも売上伸長に貢献しました。追加適応症の開発の進捗状況は以下のとおりです。
2024年8月 補助内分泌療法中の乳がん患者における血管運動神経症状を対象とした第Ⅲ相HIGHLIGHT1試験の最初の症例への投与を達成しました。
2025年4月 中国において、第Ⅱ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
・胃腺がん及び食道胃接合部腺がん治療剤VYLOY (一般名:ゾルベツキシマブ)
当連結会計年度売上:122億円
2024年6月に日本で発売以降、2025年4月現在で日本、欧州及び米国を含む15か国で発売され、グローバル全体で期待以上に売上が拡大しました。想定を上回るClaudin 18.2検査の普及率が、期待以上の売上伸長に貢献しました。承認取得及び発売の状況は以下のとおりです。
2024年6月 日本において、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として発売しました。
2024年9月 欧州において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、販売承認を取得しました。
2024年10月 米国において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、承認を取得しました。
2025年1月 中国において、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性又は転移性胃腺がん及び食道胃接合部腺がん患者に対する一次治療として、化学療法との併用療法で、承認を取得しました。
・急性骨髄性白血病治療剤XOSPATA (一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)
当連結会計年度売上:680億円 (前連結会計年度比23.4%増)
グローバル売上は着実に拡大しました。追加適応症の開発の進捗状況は以下のとおりです。
2025年2月 未治療で強力な化学療法不適応の急性骨髄性白血病を対象として、第Ⅱ相段階に移行したことを公表しました。
その他の主要製品の売上は以下のとおりです。
・過活動膀胱治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ (一般名:ミラベグロン)
当連結会計年度売上:1,700億円 (前連結会計年度比14.2%減)
米国における後発品参入の影響で、グローバル売上は減少しました。追加適応症の承認取得の状況は以下のとおりです。
2024年8月 欧州において、3歳以上18歳未満の小児における神経因性排尿筋過活動の適応追加の承認を取得しました。
・免疫抑制剤プログラフ (一般名:タクロリムス水和物)
当連結会計年度売上:2,010億円 (前連結会計年度比1.0%減)
グローバル売上は前連結会計年度と比べ同水準でした。
上記以外に、医療用医薬品事業に関する以下の取り組みを行いました。
2024年4月 子会社であるアステラス B.V. とアステラス ファーマ ヨーロッパ B.V. は、メッペル工場のDelpharm Industrie社 (フランス) への事業譲渡を完了しました。
2024年5月 2025年度末をもって、高岡工場における医薬品の生産活動を終了することを公表しました。
(2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ
当社は、Focus Areaアプローチという研究開発戦略の下、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチで革新的な製品の創出に取り組んでいます。2025年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus (注) として「がん免疫」「標的タンパク質分解誘導」「遺伝子治療」「再生と視力の維持・回復」の4つを認定しています。一方、2024年4月にPrimary Focus「ミトコンドリア」の解消を、2025年2月には、Primary Focus候補「免疫ホメオスタシス」の解消を公表しました。Focus Areaアプローチ及びPrimary Focusについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 対処すべき課題」もご確認ください。
(注) Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗度の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの
当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。
・Primary Focus がん免疫
2024年4月 がんを対象として第Ⅰ相段階にあった抗TSPAN8/抗CD3二重特異性抗体ASP2074の開発を中止したことを公表しました。
2024年4月 当社の完全子会社であるザイフォス バイオサイエンシズ Inc.を通じて、Poseida Therapeutics社 (米国) と、両社の革新的な細胞医療プラットフォームを組み合わせた新規convertibleCAR細胞プログラムに関する共同研究及びライセンス契約を締結しました。
2024年5月 レプチン-IL-2遺伝子を搭載した全身投与型腫瘍溶解性ウイルスASP1012について、がんを対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2025年2月 CD20陽性B細胞リンパ腫を対象とする細胞医療ASP2802の開発を中止したことを公表しました。
・Primary Focus 標的タンパク質分解誘導
2024年4月 KRAS G12D分解誘導薬ASP4396について、がんを対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2025年4月 KRAS G12D分解誘導薬ASP3082について、膵腺がんにおいてPoC (注) 達成を公表しました。
(注) コンセプト検証
・Primary Focus 遺伝子治療
2024年10月 AviadoBio社 (英国) と、前頭側頭型認知症及びその他の適応症を対象とする遺伝子治療プログラムAVB-101の独占的ライセンスを得るオプション契約を締結しました。
2024年12月 Sangamo Therapeutics社 (米国) と、中枢神経疾患を対象とする遺伝子治療の開発に向けた新規AAVカプシドを使用するライセンス契約を締結しました。
2025年2月 フリードライヒ運動失調症に伴う心筋症を対象とする遺伝子治療薬ASP2016の開発を中止したことを公表しました。
2025年4月 遺伝子治療薬AT845について、ポンペ病を対象とする第Ⅱ相段階に移行したことを公表しました。
・Primary Focus 再生と視力の維持・回復
地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性を対象とする細胞医療ASP7317の第Ⅰ相試験が進行中です。
当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。
2024年4月 武田薬品工業株式会社と株式会社三井住友銀行との間で、日本発の革新的な医薬品の創出に向けた創薬シーズのインキュベーション (注) を行う合弁会社の設立に関する基本合意契約を締結しました。
2024年4月 原発性ミトコンドリアミオパチーを対象として第Ⅱ相段階に、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として第Ⅰ相段階にあったPPARδ調節剤ASP0367の開発を中止したことを公表しました。
2024年7月 当社の完全子会社であるアステラス インスティテュート フォー リジェネレイティブ メディシン及びユニバーサル セルズ Inc.と、国立大学法人大阪大学が、椎間板変性症に対する多能性幹細胞由来の革新的な軟骨細胞医療プログラムの創出に向けた共同研究契約を締結しました。
2024年7月 JAK阻害剤ペフィシチニブについて、関節リウマチを適応症として、中国において承認を取得しました。
2024年9月 STING阻害剤ASP5502について、原発性シェーグレン症候群を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2025年3月 株式会社安川電機との間で、汎用ヒト型ロボット「まほろ」を活用した、細胞医療製品の製造プラットフォームの開発及びスタートアップやアカデミアにプラットフォームの提供を行う合弁会社設立に関する合弁契約を締結しました。
(注) 起業及び事業の創出をサポートするサービス・活動
(3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展
当社は、医療用医薬品 (Rx) に留まらず、ペイシェントジャーニー (診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン) 全体において、様々な方法で患者さんに「価値」を届けることを目指しています。私たちはこの取り組みをRx+事業と呼んでいます。患者さんが医療従事者と共に治療計画に積極的に参加できるよう、臨床研究や患者視点に基づく利用しやすい技術、ツール、リソースを提供することで、患者自身が自らの健康をより良くコントロールできるよう支援することを目指し、Rx+プログラムの事業化に取り組んでいます。
当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。
・デジタルヘルス
2024年11月 米国において、2024年9月に米国食品医薬品局から認証を取得した、心不全管理を目的とした非侵襲的なデジタルヘルスDIGITIVAについて、初期販売を開始し、米国の医療団体Desert Oasis Healthcareにて試験的に導入されました。
・埋め込み型医療機器
2024年10月 低活動膀胱を対象とした体内埋め込み型医療機器について、米国食品医薬品局から早期フィージビリティ試験実施の承認を取得したことを公表しました。
(4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化
当連結会計年度における代表的なサステナビリティ向上の取り組みとその結果は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
なお、当連結会計年度の研究開発費は3,277億円 (前連結会計年度比11.4%増)、売上収益研究開発費比率は17.1%となりました。
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