有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TQW2 (EDINETへの外部リンク)
住友ファーマ株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
当社グループは、「中期経営計画2027」のもと、精神神経領域およびがん領域ならびにその他領域において、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献するため、自社研究に加え、技術導入、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究など、あらゆる方法で先端の技術を取り入れて研究開発活動に取り組みました。
一方で、複数の後期開発品目で期待したマイルストンを達成することができなかったことから、開発優先品目の見直しを行いました。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
(1) 精神神経領域
① 他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(開発コード:CT1-DAP001/DSP-1083)
日本において、京都大学医学部附属病院が実施していたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(医師主導治験)について、2023年12月に2年間の観察期間が終了しました。
米国において、カリフォルニア大学サンディエゴ校が非凍結細胞(CT1-DAP001)を用いたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(医師主導治験)を開始しました。
米国において、凍結細胞(DSP-1083)を用いたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(企業治験)を開始しました。
② 他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞(開発コード:HLCR011)
日本において、網膜色素上皮裂孔を対象としたフェーズ1/2試験を開始しました。
③ ウロタロント(開発コード:SEP-363856)
米国において、統合失調症を対象として実施していた2本のフェーズ3試験について、2023年7月に解析結果を得ましたが、いずれの試験においても主要評価項目を達成することができませんでした。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止し、大塚製薬株式会社に開発を委ねることとしました。
④ SEP-4199
米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を実施していましたが、被験者登録の進捗の大幅な遅れにより、試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
⑤ EPI-589
米国におけるパーキンソン病を対象としたフェーズ2試験ならびに米国および日本における筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたフェーズ2試験の結果を踏まえ、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
(2) がん領域
① TP-3654
米国および日本において、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験を推進しました。
② DSP-5336
米国および日本において、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験を推進しました。
(3) その他の領域
①「ジェムテサ」(一般名:ビベグロン)
米国において、2024年2月に前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応追加申請を行いました。
②「オブジェムサ」(一般名:ビベグロン)
欧州において、2023年5月に提携先が過活動膀胱に対する承認申請を行いました。
③「ライエクオ」(一般名:レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン配合剤)(レルゴリクス配合剤)
欧州において、提携先が子宮内膜症に対する適応追加承認を2023年11月に取得しました。
④ rodatristat ethyl
米国において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象としたフェーズ2試験を実施していましたが、期待した有効性および安全性が認められなかったことから、すべての試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
⑤「ゼンレタ」(一般名:lefamulin acetate)
中国において、市中肺炎を適応症とした承認を2023年11月に取得しました。
⑥ ユニバーサルインフルエンザワクチン
ベルギーにおいて、TLR7アジュバント(開発コード:DSP-0546LP)を添加して作製した新規のユニバーサルインフルエンザワクチン製剤のフェーズ1試験の開始申請を2024年3月に提出しました。
このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,126億円(前連結会計年度比14.6%減)となりました。なお、当該金額は、当連結会計年度に計上した事業構造改善費用および減損損失等217億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は、909億円(前連結会計年度比14.3%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
当社グループにおける開発状況は、以下のとおりです。
1.精神神経領域 | (2024年5月14日現在) | |||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 | |
低分子 | ラツーダ (ルラシドン塩酸塩) | (新用法:小児)統合失調症 | 日本 | フェーズ3 |
DSP-0038 | アルツハイマー病に伴う精神病症状 | 米国 | フェーズ1 | |
DSP-0187 | ナルコレプシー | 日本 | フェーズ1 | |
DSP-3456 | 治療抵抗性うつ | 米国 | フェーズ1 | |
DSP-0378 | ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群 | 日本 | フェーズ1 | |
DSP-2342 | 未定 | 米国 | フェーズ1 | |
再生・細胞医薬 | CT1-DAP001/DSP-1083 (他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞) | パーキンソン病 | 日本 | フェーズ1/2 (医師主導治験) |
米国 | フェーズ1/2 (医師主導治験) | |||
フェーズ1/2 (企業治験) | ||||
HLCR011 (他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞) | 網膜色素上皮裂孔(RPE tear) | 日本 | フェーズ1/2 |
2.がん領域 | (2024年5月14日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
TP-3654 | 骨髄線維症 | 米国・日本 | フェーズ1/2 |
DSP-5336 | 急性白血病 | 米国・日本 | フェーズ1/2 |
DSP-0390 | 膠芽腫 | 米国・日本 | フェーズ1 |
SMP-3124 | 固形がん | 米国 | フェーズ1/2 |
3.その他の領域 | (2024年5月14日現在) | ||
製品/コード名 (一般名) | 予定適応症 | 地域 | 開発段階 |
ジェムテサ (ビベグロン) | (新効能)前立腺肥大症を伴う過活動膀胱 | 米国 | 申請(2024/02) |
ビベグロン | 過活動膀胱 | 中国 | フェーズ3 |
KSP-1007 | 複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎 | 米国・日本 | フェーズ1 |
fH1/DSP-0546LP | インフルエンザ | 欧州 | フェーズ1 |
4.フロンティア事業 | (2024年5月14日現在) | |||
領域 | プログラム | 概要 | 開発状況 | 連携先 |
精神神経 | 認知症行動・心理症状用機器 | General Wellness品として「Aikomiケア、Aikomi DS」を試験販売中。非薬物療法をデジタルで実現し、個別最適化された五感刺激コンテンツを含むDTx品を研究開発中であり、承認機器としての保険償還を目指す。 | 日本 臨床研究 準備中 (医療機器) | ㈱Aikomi |
社交不安障害向けVRコンテンツ(BVR-100) | 暴露療法や認知再構築トレーニングなど認知行動療法(CBT)に即したモジュール等をVRコンテンツ化したDTx品を開発中。General Wellness品としてのメンタルヘルスVRコンテンツ「First Resort」を上市済み。 | 米国 臨床試験 準備中 (医療機器) | BehaVR社 | |
ウェアラブル脳波計 | 日常的にどこでも簡単に前頭2極から測定可能な簡易型脳波計。これにより、脳波トレンドを把握し精神疾患の早期検知を可能にするサービスを目指す。 | 日本 製品開発中 (医療機器) | ㈱ニューロスカイ | |
うつ病検出・重症度評価支援プログラム | リストバンド型のウェアラブルデバイスの情報から機械学習を用いて、うつ病の早期発見や重症度評価を客観的、定量的かつ簡便に行えるソフトウェアを開発し、薬事承認を得て臨床現場に導入することを目指す。 | 日本 製品開発中 (医療機器) | 慶應義塾大学、i2medical合同会社 | |
バイオレットライト | 40Hzに点滅するバイオレットライトによる視覚を介したニューロモジュレーション技術を開発し、精神疾患の治療・予防を目指す。 | 日本 製品開発中 (医療機器) | ㈱坪田ラボ | |
運動機能 障害 | 手指麻痺用ニューロリハビリテーション機器 | 認証機器「MELTz」として上市済み。 手指麻痺等を対象に、筋電信号を利用したロボットニューロリハビリテーション装置について、承認機器としての保険償還を目指す。 | 日本 製品開発中 (医療機器) | ㈱メルティンMMI |
手指麻痺用トレーニング機器 | 「MELTz Potarble」として開発中。 手指麻痺等を対象に、筋電信号を利用したロボットを用いてトレーニングを行う小型で簡易な装置を目指す。 | 日本 製品開発中 (非医療機器) | ㈱メルティンMMI |
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