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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DK2I

有価証券報告書抜粋 日本海洋掘削株式会社 事業等のリスク (2018年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには、以下のようなものがあります。ただし、下記事項は当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外のリスクも存在するものと考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 一般的な海洋掘削市況の変動によるリスク
一般的に、当社グループの顧客となる石油・天然ガス開発会社は、原油・天然ガス価格の上昇局面では、探鉱開発活動に対する投資意欲が高まり、海洋での坑井掘削に必要とされるリグ需要が増加する傾向が見られます。逆に原油・天然ガス価格の下降局面では、新たな探鉱開発活動は手控えられ、リグ需要は低下する傾向が表れます。
原油・天然ガス価格の低迷が継続する場合、石油・天然ガス開発会社の投資意欲が減退し、開発投資の縮小による工事案件数の減少を主たる要因としてリグ稼働率が低下し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(2) 顧客との契約に関するリスク
顧客との契約に関するリスクとしては、以下が挙げられます。
なお、業界の成り立ちの大前提として、坑井を掘削した結果責任、すなわち原油・天然ガスの有無あるいは出油・ガス量に関するリスクは、顧客である石油・天然ガス開発会社が負うものとされ、掘削会社の収入であるリグの作業料金は、このような結果の良し悪しによって左右されることはありません。

① 工事発注のキャンセル、早期解約ほかのリスク
市況の悪化などを背景とした顧客の都合により、発注内示が取り消される、または計画された掘削工事が中止される、あるいは契約締結後に工事案件がキャンセルされることもあります。
なお、一般的に掘削契約に基づく工事開始後も、掘削会社が一定の事由に該当する場合には、顧客に解約する権利が与えられております。
また、工事期間の途中であっても、一定の違約金を掘削会社に支払うことにより契約を早期に終了する権利を顧客に与える場合があります。その他、市況悪化などの事情により、作業料金引き下げや工事期間短縮など契約条件の見直しを顧客から求められることもあります。
これらの事態が顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

② デイレート方式によるリスク
リグの作業料金建てとしては、石油・天然ガス井掘削に特有のダウンホールリスク(注1)は、地質構造に関する情報を有する顧客が負うべきとの観点から、一般船舶の傭船料方式に近い1日当たりの定額によるデイレート方式が最も一般的に採用されております。本方式の下で、デイレートの料率としては、
a.作業が進行する間に適用される料率
b.リグが移動する間に適用される料率
c.顧客の指示待ち・顧客提供資機材待ち・天候待機などにより作業が中断する間に適用される料率
d.掘削会社が提供するリグ設備・機器の故障・修復などにより作業が中断する間に適用される料率
ほかが設定されます。
このため、契約工事期間中であっても、aよりも低いb~dの料率適用により、作業収入、貸船料収入などが減少する可能性があります。
また、上記dの場合には、故障・修復による作業中断が一定期間を経過すると、デイレートはゼロとなり、さらに一定期間を経過すると、顧客は契約を終了できるものとすることが一般的であり、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。
(注1) ダウンホールリスク
掘削中のパイプが坑井崩壊などにより抑留され回収できなくなったり、高圧流体が坑内に浸入するなどの坑内トラブルに遭遇するリスクをいいます。

③ デイレート以外の方式によるリスク
デイレート以外の方式として、ターンキー方式(注2)や掘削深度に応じた出来高方式(注3)等があり、これらの方式による場合には、作業収入が1坑当たりの総額あるいは掘進長1メートルなり1フィート当たりの定額で固定されるため、掘進率が早い場合には一定の収益が得られる半面、作業上のトラブルが発生した場合、操業コストが大幅に増加する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(注2) ターンキー方式
1坑当たりの工事請負高を予め決めておく一括請負の契約方式をいいます。
(注3) 出来高方式
1メートル/フィート掘削当たりの定額を予め決めておく部分的一括請負の契約方式をいいます。この方式においても、掘削作業以外の付随作業期間についてはデイレート方式になる場合もあります。

④ 不可抗力に関するリスク
掘削契約には、一般的に不可抗力条項が設けられており、天災地変、異常気象・海象、戦争、暴動、テロ、ストライキなど両当事者が制御できない事態により作業の中断を余儀なくされ、その状況が長期化する場合は、契約を終了することができるものとされております。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績が直接的な影響を受ける可能性があります。

⑤ 競合他社との競争に関するリスク
当社グループは、海洋掘削事業を営む世界中の競合他社と競争関係にあり、受注競争は激しさを増しています。当社グループが競争優位性を維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

⑥ 各連結会計年度単位での顧客数が少数であるリスク
当社グループが保有又は運用するリグの数は限られているため、連結会計年度ごとの業績は少数の顧客との掘削契約に依存しております。従って、一顧客との契約において各リスクが顕在化した場合や債権回収遅延・不能等の事態が発生した場合、多数のリグを保有している同業他社に比べて当社グループの業績及び財務状況に与える影響が大きくなる可能性があります。

⑦ 会社更生手続き開始申立てによる受注への影響に関するリスク
当社グループは、会社更生手続開始申立てを行ったことにより、新規工事案件の入札時において顧客の要求する基準を満たすことが出来なくなる場合があり、その結果、新規工事案件の受注に悪影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(3) 海洋掘削工事に固有のリスク
海洋掘削工事に固有のリスクとしては、以下が挙げられます。

① 掘削作業上のリスク
当社グループでは、HSQEマネージメントシステム(注4)に基づく安全操業・環境保護体制の整備、運用に努めておりますが、石油鉱業あるいは洋上での作業という事業の特性から、操業上の事故及び災害の発生によって人的・物的損害が発生するリスクが常に存在しております。
一般的な事故や災害のほかに、最悪の場合には、暴噴や火災の発生等により、重大な物損事故や人身災害が発生する可能性があります。また、坑井の暴噴や火災に起因して、あるいはリグ上の資機材、廃水等が落下、流出することで海洋汚染が発生する可能性があります。
従来は、坑井からの油濁や坑井への損害等については、石油・天然ガス開発会社による責任負担が一般的でしたが、最近、石油・天然ガス開発会社によっては、掘削会社側に故意または重過失が認められる場合において、掘削会社へ責任を求める傾向が現れてきております。
これら当社グループが負うべき損害につき、その全てが保険によりカバーされるものではなく、また作業収入などに係わる逸失利益は、顧客からも補償されないケースが一般的であり、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。
(注4) HSQEマネージメントシステム
当社海洋掘削事業における健康、安全、品質及び環境(Health、Safety、Quality、Environment)に関する事柄を組織的、体系的に管理するために採用されたものであり、国際的規格であるISM Code、OHSAS18001、ISO9001、ISO14001の現行の要求を満たす統合型管理システムです。

② 自然災害リスク
当社グループは、海洋掘削作業にあたり、台風、暴風雨、異常潮流、高波、地震、津波、不十分な海底地盤強度など予期しない気象・海象条件や海底土質条件により、リグ上の作業中断・遅延や移動の遅延、最悪の場合には、重大な物損事故や人身災害につながる可能性があり、当社グループの業績に直接的な影響を与える場合があります。

③ リグ設備の保全・増強工事等に関するリスク
当社グループは、リグに係わる法定検査あるいは船級協会の基準による検査を受検するため、新規顧客の求める仕様に合わせるため、リグの競争力を維持、強化するためなどの理由により、リグを造船所に回航し、本体及び搭載機器に係わる保守・整備、修繕、改造、アップグレードなどの工事を実施しております。また、リグの建造を造船所に発注し、新規に建造する場合もあります。
これらの造船所工事は、顧客の都合などにより実施時期を延期または前倒しする場合があります。また、造船所の工事遂行能力による制約、発見工事(注5)の増加、機器の納期の遅れ、調達額の増加などにより、工期が延びることで作業収入等が減少したり、工事費用が増加する場合があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(注5) 発見工事
工事箇所の開放時に初めて追加の不具合が発見され、その対策工事が必要となる場合に行う工事をいいます。

(4) 海外事業に関するリスク
当社グループの活動地域においては、それぞれの地域における政治・経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しております。

① カントリーリスク
当社グループの事業は、資源開発の一般的な傾向として、カントリーリスクが相対的に高い地域で実施されることがあり、これらの国々における次の要因により、当社グループの海外事業が悪影響を受け、さらには事業遂行の遅延、中止等に至る可能性があります。このような場合、当社の業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
a.政治的または経済的要因
b.事業・投資許認可、租税、為替規制、輸出入規制、ローカルコンテント要求(自国産品の購入または使用要求、自国民の雇用義務)、カボタージュ規制(他国船籍リグの操業規制)など公的規制の影響
c.戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱

② 合弁事業に関するリスク
当社グループは、一部の国及び地域においては、各国・地域の法律上あるいはその他の理由により、現地有力企業との合弁ないし提携により事業を展開しております。しかしながら、契約条件の見直し・変更等により、当社グループが出資先の経営、事業、資産に対して、十分なコントロールができなくなる可能性、あるいは合弁・提携先企業の事情等によって当該事業運営に影響を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

③ 売掛債権の回収に関するリスク
当社グループは、債権の貸倒れに備えるため、貸倒懸念債権等特定の債権に対しては個別に回収可能性を検討し、回収不能となった場合の損失に対し貸倒引当金を計上しております。
しかしながら実際の貸倒れが当該前提等を上回ったり、政治・経済状況の悪化や規制の強化等により、設定した前提等を変更せざるを得なくなり、貸倒引当金の積み増しを実施する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 為替市場及び金融市場変動によるリスク
当社グループは、海外での事業展開の比重が高いことから外貨建て取引が多く、また、設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、その一部を外部から調達しております。
為替・金利の変動ならびに資金調達に関するリスクとしては、以下が挙げられます。

① 為替変動リスク
連結売上高の大部分が外貨建て決済であるため、外貨建て支出の比率を高めるとともに、外貨建て借入れや為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、為替相場の変動が当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

② 金利変動リスク
金利の変動に対しては、固定金利及び変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、今後借入金利が上昇した場合には支払利息が増加するなど、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③ 資金調達リスク
当社グループは、国内外の金融機関等からの借入、私募債の発行により、事業に必要な資金を調達しております。しかしながら、当社は会社更生手続開始の申立てを行ったことにより、当社グループの金融市場での信用力低下が顕在化しており、当社グループが必要な時期に希望する条件で資金調達ができなくなる可能性や資金調達コストが増大する可能性があります。
その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(6) 資機材調達に関するリスク
当社グループは、操業上必要となる多数の資機材を直接あるいは専門業者経由で調達しておりますが、何らかの理由で供給価格が高騰したり、品質上の問題の発生、供給不足・納入遅延や調達困難な状況等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
また、会社更生手続開始の申立てに起因する当社グループの信用力低下により、調達先から取引継続条件として不利益変更を要求された場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(7) 人材確保に関するリスク
当社グループは、グローバルな事業活動を進める上で優秀な人材を継続確保する必要がありますが、専門性の高い優秀な人材は限られております。特に、探鉱開発活動が活発化する局面においては、リグ要員の採用及び確保の競争が激化し、充分な熟練リグ要員を確保できなくなる可能性や業界全体の賃金水準が上昇する可能性があります。
このような場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(8) 公的規制、訴訟等に関するリスク
海洋掘削事業では、海外における事業・投資許認可、租税、為替規制などの公的規制のほかにも、リグ設備の安全性や船舶としての安全運航を確保するために設けられた国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。これらの規制が改定、変更された場合、規制を遵守するために当社グループの事業が制約を受け、また大幅な追加費用が発生する可能性があります。
当社グループは健全かつ透明なビジネス活動を行うべく、継続的なコンプライアンスの実践に努めていますが、万が一、当社グループ各社に対して訴訟や法的手続きが行われた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

(9) 水平孔掘削事業に関するリスク
当社が陸上で掘削を実施する水平孔掘削事業につきましては、以下の複合的要因により損失が発生するリスクがあり、当社の業績に直接的な影響を与える場合があります。

① 工事受注に当たっては、工事の完了が条件となる「請負契約」によることが土木業界の慣行となっており、工事収入は原則として定額とされております。

② 掘削作業を進める過程で予期せぬ破砕帯、軟岩及び硬岩等の地質状況の変化によりトラブルが発生し、工期の延長あるいは工事の打ち切り等により工事費その他の費用が増加あるいは工事収入の回収が困難となる可能性があります。

なお、本事業は、2018年3月31日をもって停止することとしました。

(10) リグの減損損失、リース契約損失、建造プロジェクト損失の計上に関するリスク
当社グループが保有あるいはリースするリグについて、市況の悪化に伴う収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果として損失を認識するに至った場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(11) リグの売却等による損失計上に関するリスク
当社グループでは、リグの需給バランスの悪化や技術革新による陳腐化、または公的規制の変更や顧客要求等による使用制限等により、保有リグを売却または廃棄処分する場合があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(12) 退職給付費用及び退職給付に係る負債に関するリスク
当社は、社員を対象とする退職金制度として、退職一時金制度及び規約型確定給付企業年金制度を設けております。退職給付費用及び退職給付に係る負債算定には、前提条件として、割引率、期待運用収益率等を設定しておりますが、これらの実績が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、あるいは年金資産の運用環境が変動した場合などにおいては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(13) 情報システム及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、高い情報セキュリティレベルを確保することを会社の重要事項と認識し、すべての役員及び従業員に対し、情報の取扱に関する行動規範を定めております。また、情報共有や業務の効率化のため情報システムを構築し、情報システム運営上の安全性確保の徹底に取り組んでおります。しかしながら、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等による企業機密情報、個人情報の漏洩、さらには自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブル等により情報システムに不稼働が生じた場合、業務効率の低下を招くほか、被害の規模によっては当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(14) 個人情報その他情報流出に関するリスク
当社グループは、顧客、取引先、従業員などの個人情報やその他秘密情報を有しています。これら情報の保護には細心の注意を払っており、全社管理体制のもと、従業員教育及び内部監査の実施などの施策を推進しておりますが、万が一、情報流出が生じた場合、当社グループの信用低下や多額の費用発生(流出防止対策、損害賠償など)により当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

(15) 会社更生手続きに関するリスク
当社及びJDN社は2018年6月22日、東京地方裁判所に会社更生手続開始の申立てを行い、受理されました。今後、当社及びJDN社は、東京地方裁判所より会社更生手続の開始決定を受けた後、引き続き更生手続を遂行してまいりますが、現時点において更生計画は未定であり、更生計画が作成できない、または、債権者・担保権者の賛同を得られず裁判所から認可決定がなされない、あるいは更生計画に定めた内容が遂行できない等の場合においては、当社の事業の存続に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

(16) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、前連結会計年度において2期連続で営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度におきましても、「HAKURYU-14」をはじめ、当社が運用するジャッキアップ型リグ「SAGADRIL-1」、「SAGADRIL-2」、「HAKURYU-12」の資機材、他について、足元の事業環境の悪化に伴い収益が見込めず、減損の兆候が認められたため、減損損失151億円を、また、2019年1月31日に完成引渡し予定の「HAKURYU-15」につき、将来損失が発生する可能性が高まったことに伴い、建造プロジェクト損失引当金繰入額171億円を特別損失に計上し、さらに、すでに東銀リース株式会社(以下「BOTL社」)の連結子会社であるMaple Maritime S.A.(以下「MAPLE社」)と契約を結びリース運用しているジャッキアップ型リグ「HAKURYU-12」のリース契約損失引当金繰入額51億円を売上原価に計上したこと等により、114億円の営業損失、120億円の経常損失及び454億円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。その結果、155億円の債務超過となりました。
また、当社グループが金融機関及びMAPLE社との間で締結している借入契約及びリース契約の中には、財務制限条項が付されているものがあります。財務制限条項は、各年度の決算期末日における連結貸借対照表の株主資本合計の金額を150億円以上に維持することでありますが、当連結会計年度末において債務超過となった結果、当該財務制限条項に抵触しております。なお、財務制限条項の対象となっている借入金残高及び未経過リース料の合計は270億円であります。当該借入金及び未経過リース料については期限の利益を喪失する可能性があります。その場合、さらに、クロスデフォルト条項に基づき、当該借入やリース契約以外の当社グループの社債、借入金についても同様に期限の利益を喪失する可能性があります。
その結果、当社グループは期限の利益を喪失した全ての借入金及び未経過リース料並びに社債について直ちに支払いに応じる必要が生じますが、当社グループの自己資金のみでは支払いは困難です。
そして、当社は、BOTL社が組成する特別目的会社Cyan Maritime S.A.から「HAKURYU-14」を279億円で取得する割賦売買契約を2018年1月30日付で締結し、同年1月31日に本リグの引渡しを受けました。当該契約に基づく支払方法は2回の分割払いであり、1回目の支払金額100億円は、2018年1月31日にBOTL社発行の有価証券40億円と相殺するとともに、60億円を自己資金より支払っておりますが、同年7月31日に予定されている2回目の支払金額179億円は、自己資金のみでの支払いが困難です。
加えて、当社とBOTL社が2014年9月25日に締結したプロジェクト取組合意書に基づき、BOTL社が2014年10月にシンガポールの造船所Keppel FELS Limitedに建造発注した「HAKURYU-15」につき、当社又は当社関係会社は2019年1月31日の完成引渡し後にリース契約を締結し運用することを予定しておりますが、リースが組成できない等の所定の場合においては当社がBOTL社のリグ建造契約上の地位を承継し、BOTL社がそれまでに支払いを行った建造代金及びその他の費用合計300億円規模の補償を行うことになっております。その場合、自己資金のみでの支払いが困難です。
さらに、取引金融機関の一つは、当社に対して銀行取引約定書に基づき、債権保全を必要とする相当の事由が生じたとして同金融機関が適当と認める担保の提供を請求してきており、当社と同金融機関は本請求の妥当性について協議を継続しておりますが合意に至っていないため、同金融機関より期限の利益を喪失させるための請求の通知を受ける可能性があります。その場合、同金融機関以外の金融機関及びMAPLE社からも、社債、借入金、リース契約につき期限の利益喪失の請求を受ける可能性があり、当社の資金繰りが困難になる可能性があります。
当該状況により、当社グループには、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当社グループは、このような事象又は状況を解消又は改善すべく、以下の対応策を実施してまいりました。
① 経営再建に向けた金融機関、BOTL社並びにスポンサー候補企業との協議
足元の事業環境を考慮すると、事業活動による収益のみで債務超過を解消することは困難となっております。債務超過を解消するための増資等の資本政策及び「HAKURYU-14」の2回目の割賦支払代金に関する資金繰り並びに「HAKURYU-15」のリグ建造契約上の地位を承継し、建造代金及びその他の費用を支払うことになった場合の資金繰りなど、当社グループへの財務支援につき、当社は主力取引銀行、BOTL社並びにスポンサー候補企業との間で、協議を進めておりました。しかしながら、各関係者が合意できる再建計画の構築に時間を要し、合意に至っていません。
また、当社グループが主力取引銀行及びBOTL社の財務支援を受けるためには、長期的かつ安定的な事業継続の観点から、スポンサー企業の資本参加等が必要となります。
なお、大株主による増資引受の支援は得られていません。
さらに、当社グループの資金繰りを踏まえ、「HAKURYU-14」の売却交渉を実施しておりました。
② 期限の利益喪失の権利行使留保に向けた金融機関及びMAPLE社との協議
当連結会計年度末において財務制限条項に抵触している借入契約については、期限の利益喪失を回避するため、金融機関に対し、2018年4月26日付けで、同年7月20日まで期限の利益喪失に係る権利行使を行わないことの要請を行った結果、各々の借入契約について期限の利益を喪失させるための権利行使を行わないことに同意を得ております。また、当連結会計年度末において財務制限条項に抵触しているリース契約については、リース契約上の終了事由と見做されることを回避するため、MAPLE社に対し、2018年4月26日付けで、同年7月20日までリース契約上の終了事由と見做さないことの要請を行った結果、終了事由と見做さないことに同意を得ております。
同年7月21日以降につきましては、主力取引銀行及びBOTL社並びにスポンサー候補企業が合意できる再建計画案を提示した上で、期限の利益喪失の権利行使留保を要請する予定でした。
③ 増担保設定を要求している金融機関との協議
当社は、当金融機関と担保提供の請求の妥当性について協議をしてまいりましたが合意に至っていないため、同金融機関より期限の利益を喪失させるための通知を受ける等の可能性がありました。
当社グループは、期限の利益を喪失させるための通知を受けた場合、速やかに期限の利益喪失事由が発生していないことを主張するとともに同金融機関以外の金融機関及びMAPLE社に対して社債、借入、リース契約に規定の期限の利益喪失事由は発生していないことを丁寧に説明し、期限の利益を喪失させるための通知を行う意思結集を行わないこと、他の金融機関及びMAPLE社が期限の利益を喪失させるための通知を行う意思結集を要請した場合に、当該通知を行わないよう協力を求める所存でした。
④ 当社グループ保有固定資産の売却
当社グループは、事業活動から得られるキャッシュ・フローを改善するとともに、さらなるキャッシュ・フローを創出するため、保有リグ等の固定資産売却についても検討しておりました。なお、当社保有リグ「HAKURYU-14」を売却すべく相手先と交渉していました。
⑤ 設備投資、売上原価、販売費及び一般管理費の削減
当社グループは、引き続き、リグ操業に係る人件費、修繕費、物品費等の売上原価、役員報酬、社員の給与・賞与等販売費及び一般管理費の削減、人員採用の凍結、また事業の根幹である安全操業を確保しつつ、設備投資を最小限に止めることにより、キャッシュ・フローの改善に注力していました。

しかしながら、財務制限条項に抵触している借入契約及びリース契約について、期限の利益喪失の権利行使を行わないことに同意を得ているのは2018年7月20日までであり、また、「HAKURYU-14」の2回目の割賦支払代金179億円のBOTL社に対する支払期日が2018年7月31日に予定されていましたが、同割賦支払代金の主な支払原資として位置付けていた「HAKURYU-14」の売却について未だ交渉中であり、当社は同割賦支払代金の支払期日の延期を含む具体的な支払方法についてBOTL社と合意に至っておりません。金融機関、BOTL社及びスポンサー候補企業との間で協議中の経営再建に向けた計画も合意に至っておりません。こうした状況のまま、6月29日の定時株主総会を迎えた場合、当社の社会的信頼がさらに損なわれる可能性があります。以上の状況を踏まえ、当社は、私的整理の枠組みの中で経営再建を目指してまいりましたが、法的事業再生手続なしでは当社事業の再建は困難と判断するに至り、注記事項(重要な後発事象)に記載のとおり、2018年6月22日開催の取締役会において、会社更生手続開始の申立てを行うことを決議し、同日東京地方裁判所に会社更生手続開始の申立てを行いました。
また、当社の連結子会社であるJapan Drilling (Netherlands) B.V.(以下JDN社)は、当社が、会社更生手続開始の申立てを行うことにより、JDN社の「HAKURYU-12」に係るリース契約の終了事由に該当することとなり、将来の資金繰りの見通しも立たなくなったことから、2018年6月22日開催の取締役会において、会社更生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所に会社更生手続開始の申立てを行いました。今後、当社及びJDN社は、東京地方裁判所より会社更生手続の開始決定を受けた後、更生手続を遂行することとなりますが、現時点では、更生計画案は未作成であるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。


従業員の状況研究開発活動


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