シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W1E2 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 ENEOSホールディングス株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。

(1)石油製品ほか (研究開発費 11,359百万円)
エネルギー・素材関連の研究開発活動は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)の中央技術研究所と潤滑油カンパニーの潤滑油研究開発部が連携をしながら進めています。「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け、エネルギートランジションを実現すべく、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また、社外との連携にも力を入れており、大学・研究機関や企業・スタートアップとも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。これらの取組をさらに加速できるよう、研究所敷地内に新たな研究棟の建設を進めています。
①脱炭素エネルギー分野
カーボンニュートラル社会の実現に向け、海外の安価で潤沢な再生可能エネルギー(再エネ)を大量貯蔵・輸送に適した物質に変換し、エネルギー供給の安定性を高め、国内に使いやすい形で提供するための技術開発を進めています。
CO₂フリー水素分野では、再エネから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送に適したメチルシクロヘキサン(MCH)を低コストで製造する技術(Direct MCH®)の商業化に向けた開発を進めています。豪州クイーンズランド州に建設した、工業化サイズの電極面積を有する中型電解槽実証プラント(150kW級)にて再エネを用いてMCHを製造、日本へ輸送し、取り出した水素を燃料電池小型バスへ充填、走行させることに成功しました。さらに2025年度に大型電解槽プラント(MW級)の建設を開始予定です。これらは、「直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発」として、経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の進めるGI基金事業に採択されており、本技術に関する発明が、未来創造発明奨励賞及び未来創造発明貢献賞を受賞しました。また、CO₂フリー水素と工場等や将来的には大気から回収したCO₂を原料に液体燃料を製造する「合成燃料」の開発についても、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な取組と位置付け、技術開発を進めています。2024年度には、中央技術研究所敷地内にて、国内初となる原料から一貫製造可能な合成燃料製造実証プラントの実証運転を開始しており、製造した合成燃料を2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催期間中に駅シャトルバス、及び来賓・関係者向け車両に提供します。こちらもGI基金事業「CO₂等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」に採択されており、各反応工程の性能向上とプロセス全体の高効率化を通じて早期の技術確立を目指します。さらに大気中のCO₂を回収するClimeworks社製のDirect Air Capture(DAC)装置をアジア太平洋で初めて中央技術研究所内に導入し、DAC技術の実証試験を実施しています。
バイオ燃料分野では、TOPPANホールディングス株式会社と古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向け共同開発契約を締結、実証事業を開始しており、本実証事業は、バイオものづくり革命推進事業に採択されています。
再エネの有効活用に向けては、VPP(仮想発電所)事業における蓄電池の運用計画の最適化を行うシステムや、発電量や電力価格、水素需要に応じて水電解装置による水素製造を制御する水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発に取り組んでいます。自社開発したアルゴリズムによって、国内最大級の系統用蓄電池(室蘭事業所内)や大型蓄電池(根岸製油所内)、水素ステーション(横浜旭、福島、清水)内の水素製造装置等の運用最適化を行い、実設備での運用を通じて、技術・ノウハウの蓄積を進めています。また、東京都東村山市における電気自動車を活用したEMS実証や、静岡県裾野市におけるパイプラインによる水素供給効率化に向けた水素EMSの機能拡張等を通じて、地産地消エネルギー活用に向けた技術開発も推進中です。
さらに循環型社会の実現に向け、廃プラスチックを利用したアスファルト舗装技術を開発し、実証試験を社内外複数のサイトで進めています。また、株式会社ブリヂストンと使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを進めています。本プロジェクトは「使用済タイヤ(廃ゴム)からの化学品製造技術の開発」としてGI基金事業に採択されており、検討を継続しています。
社外連携については、早稲田大学との包括的かつ分野横断的なオープンイノベーションを通して、持続可能な未来社会の実現に資する革新的シーズ探索及び、蓄エネルギー技術や新規素材の開発に取り組んでいます。
②燃料油・化学品製造技術分野
製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化、及び液体燃料におけるCO₂削減を目指した研究を行っています。中でもデジタル化技術の開発・活用においてはAI技術による石油化学プラントの連続自動運転が実用段階に入っており、川崎製油所のブタジエン抽出装置及び常圧蒸留装置で手動操作を超える経済的・高効率な運転が実現可能なことを確認しました。引き続き石油化学プラントにおけるAI自動運転の実用化・導入拡大を目指し、開発を進めていきます。また、エンジンの熱効率向上が期待される革新燃焼技術(超希薄燃焼:スーパーリーンバーン)に適した燃料組成の検討を行い、製油所から得られる留分の利用によるCO₂削減の可能性を示すとともに、触媒・反応技術を活用し、自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けた石油化学誘導品の開発や、医薬品製造を想定した有機系触媒の開発等も進めています。
③潤滑油分野
潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発を行っています。世界的な潮流である脱炭素化への貢献のため、植物由来の基材を活用した潤滑油の開発に取り組んでおり、植物由来のベースオイルを100%使用し、API SP、ILSAC GF-6の認証を取得したガソリンエンジン油の開発に新たに成功しました。また、電動モビリティ向けに冷却性能や電気絶縁性能と潤滑性を高次元で両立した製品の開発にも注力しており、2024年度には液浸冷却バッテリー技術における世界的リーダーであるXING Mobility社と戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。今後大幅な増加が予測されるデータセンター(DC)の省エネルギー化に貢献する液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」の展開も進めており、2025年3月には国内初の商用液浸冷却DCの運用を開始したQuantum Mesh株式会社に、可燃性液体類のENEOS IX Type Jを納品しました。同社DCの冷却性能は一般的な空冷式DCに比較し各段に優れ、省エネ型DCとして今後の需要拡大が期待されます。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を新規材料、新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発を行っています。
④デジタル技術分野
デジタル技術を活用して自社業務の効率化や新たな価値を生み出すことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援に加え、革新的な素材・触媒探索技術の研究を推進しています。一例として、株式会社Preferred Networks(以下、PFN)と戦略的な協業体制を構築し、AI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野では2021年にPFNとの合弁会社として株式会社Preferred Computational Chemistry(以下、PFCC)を設立し、共同開発した新物質開発・材料探索を高速化する汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」のクラウドサービスを国内だけでなく米国の企業・団体向けにも展開しています。同サービスは自然界に存在するすべての元素を含む96元素に対応しており、2024年12月時点で100以上の企業・研究団体に導入され、触媒、電池材料、半導体、合金、潤滑油、セラミック材料、化学材料等、幅広い開発に用いられています。さらに、Matlantis™によってHPCシステムズ株式会社の手掛ける化学反応経路の自動探索ソフトウェア「GRRM」の高速化を実現した「GRRM20 with Matlantis」を同社、PFCCと共同で開発、サービス提供をしています。
また、ロボティクスを活用したプラント・次世代型エネルギー設備への保守点検サービス事業について、株式会社イクシスに出資し、各種設備に適用できるロボットの共同開発を行っています。デジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも目指し、国内外のスタートアップ企業等との連携も活発化させています。

(2)石油・天然ガス開発(研究開発費 205百万円)
石油・天然ガス開発事業(ENEOS Xplora株式会社)では、これまで蓄積した石油・天然ガス開発の知見を活かしてCCS/CCUSを中心とした環境対応型事業に関する研究開発活動に取り組んでいます。また、既存事業とは独立した環境で技術開発に専念することで、技術革新及び将来の成長事業の発掘を通じ当社の長期的な成長に貢献する組織として、2024年4月にe-テクノロジー・イノベーションセンターを設立しました。
①CCS/CCUS関連技術
地下に圧入したCO₂のモニタリング(監視)を低コストかつ継続的に行えるよう、常設された小規模な機材による自動化されたモニタリングシステムの構築を目指して技術開発を進めています。東京大学を始めとした国内、海外の大学等との共同研究を通じて、小型発振装置を使用した観測の実証実験、弾性波動の高精度モデル解析等の要素技術の確立、地下岩石サンプルを活用したデジタル岩石物理化学の研究を行っています。また、次世代のCCS技術としてCO₂を地下で鉱物化し貯留する技術に関する研究開発に取り組んでいます。CO₂鉱物化貯留はCO₂を固体として地下に貯留できるため、流体として貯留する一般的なCCSと異なり、長期的にCO₂を一定の場所に固定できる特徴があります。CO₂鉱物化の有望な貯留対象である火成岩は日本にも広く分布していることから日本におけるCCSの新たな選択肢となることが期待されます。
②地球環境・資源エネルギー分野
老朽油田を活用して地中で水素を製造し、温暖化ガス排出を低減しながら低コストで水素を製造する地下水素製造技術の開発を進めています。また、CO₂を物質に固定化することにより大気中のCO₂削減を行うCCU技術として、CO₂から固体炭素を製造する技術の研究開発に取り組んでいます。

(3)機能材(研究開発費 3,803百万円)
株式会社ENEOSマテリアルでは、自社の強みである高分子製造技術、分子設計技術、配合技術、性能評価・分析技術を最大限に磨き、社会ニーズに応えるとともに、顧客ニーズを捉え、新たな価値の創造、社会的課題へのソリューションの提供に取り組んでいます。エラストマー事業では、摩耗粉塵の削減に寄与し、かつ低燃費で、安全に止まる高グリップ性能を有する高機能タイヤ用エラストマーSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)や、電気自動車(EV)への搭載を主とし、EVの性能向上に貢献する二次電池の材料等の開発を行っています。機能材事業では、次世代高速通信で使われる高周波帯に対応する低誘電LCP(液晶ポリマー)や、半導体封止材等への適用が期待される独自エポキシモノマーを使用した高耐熱熱硬化レジン等の開発を行っています。また、エラストマー事業と機能材事業それぞれが保有する技術の融合による新たな素材開発も進めています。さらに産学連携として、東京科学大学と共同研究講座を設置しています。競争力強化、新規事業の創出に繋がる要素技術確立を目指してオープンイノベーションの拠点としています。

(4)電気
該当事項はありません。

(5)再生可能エネルギー
該当事項はありません。

これらに、その他の事業における研究開発費749百万円を加え、非継続事業を除いた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、16,116百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E24050] S100W1E2)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。