シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QFB8 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 カルナバイオサイエンス株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社は、主にキナーゼ(*)タンパク質を標的とした低分子の分子標的薬(*)であるキナーゼ阻害薬(*)の創製研究(*)及び医薬品候補化合物の開発を行うため、研究開発へ積極的に先行投資を行っております。さらに、キナーゼ阻害薬等を創製するための基盤となる技術である「創薬基盤技術」をさらに強化するための研究開発を行うとともに、長年培ってきたこの創薬基盤技術を駆使し、他の製薬企業やアカデミア等からのニーズが高いキナーゼ関連製品・サービスを開発するための研究開発も行っております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は1,882,319千円であり、セグメント別の研究開発活動は以下のとおりであります。

(1) 創薬事業
当社は、がん、免疫・炎症疾患を重点領域としてキナーゼ阻害薬を中心に低分子医薬品の創薬研究開発を行なっています。2022年12月末現在で、がん領域においては2つのキナーゼ阻害剤(AS-0141、AS-1763)の臨床開発を実施しており、さらに2つの創薬標的キナーゼについて阻害剤の研究開発を進めています。また当社が創出した新規脂質キナーゼ阻害剤のプログラムについて導出先であるギリアド社が研究開発を進めており、AS-1763の中華圏での開発はバイオノバ社が準備を進めました。免疫・炎症疾患領域ではAS-0871の臨床試験を実施しています。また当社が創製し、2021年末に前臨床開発段階にステージアップしたSTINGアンタゴニストについては、導出先のFRTX社が開発を進めています。重点領域以外では、住友ファーマと共同で、精神神経疾患を標的とした創薬プログラムの研究開発をしており、また国際貢献の一環として、三大感染症のひとつであるマラリアに対する新薬創出を目指した研究開発も実施しております。この他、次世代パイプラインの構築を目的として複数の探索研究を実施しています。

[当社のパイプライン一覧]
がん領域
化合物標的対象疾患開発段階・開発パートナー
AS-1763BTK血液がん・がん免疫フェーズ1
AS-0141CDC7/ASKがんフェーズ1
低分子DGKαがん免疫ギリアド社に導出
低分子ALK5血液がん・がん免疫探索
低分子CDK1がん探索

がん以外の疾患領域
化合物標的対象疾患開発段階・開発パートナー
AS-0871BTK免疫・炎症疾患フェーズ1
低分子キナーゼ精神神経疾患住友ファーマと共同研究
低分子N/Aマラリア探索
低分子STING
アンタゴニスト
免疫・炎症疾患FRTX社に導出


主な創薬プログラムの2022年12月期の研究開発の概況は以下のとおりです。

BTK阻害剤 AS-0871(免疫・炎症疾患)
BTKは血液がんだけでなく、自己免疫疾患やアレルギー疾患の治療標的分子としても注目されていますが、これまでに同適応疾患を対象として承認されたBTK阻害薬はありません。AS-0871は当社が創製した非共有結合型BTK阻害剤で、BTKに対して非常に高い選択性を示すことから、現在、免疫・炎症疾患を対象に開発を進めています。
AS-0871のフェーズ1試験はオランダで、健康成人男女を対象としたSAD試験およびMAD試験の2つの試験として実施しています。このうちSAD試験はすでに完了しており、全ての用量で安全性、忍容性および良好な薬物動態プロファイルが確認されています。また、薬力学的評価の結果から血中の好塩基球およびB細胞の活性化を100mg以上の用量で強く持続的に阻害することが確認されています。SAD試験に続き、2021年12月から新製剤を用いたフェーズ1試験のMAD試験を開始しています。当該MAD試験は新製剤を用いた相対的バイオアベイラビリティを評価するBAパート、反復投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用を評価するMADパートの2つのパートで構成されています。このうちBAパートでは新たに開発した複数の製剤(カプセルおよびタブレット)での相対的バイオアベイラビリティを比較した結果、タブレット型製剤がより良い薬物動態を示しました。当該結果を基に、タブレット型製剤を選択し、2023年1月末からMADパートを開始しています。

BTK阻害剤 AS-1763(血液がん)
イブルチニブを代表とする共有結合型BTK阻害薬は、CLLを含む成熟B細胞腫瘍の有効な治療薬として幅広く使われていますが、これらBTK阻害薬に対する薬剤耐性が深刻な問題となってきています。近年、耐性患者においてC481S変異したBTKが高頻度に見い出され、この変異が共有結合型BTK阻害薬の共有結合を妨げ阻害活性を低下させることが主な薬剤耐性の原因と考えられています。このような背景からBTK C481S耐性変異に対する新しい治療方法の開発が非常に望まれています。当社が創製した非共有結合型BTK阻害剤AS-1763は野生型BTKだけでなく、変異型BTKにも高い阻害効果を示すことから、共有結合型BTK阻害薬耐性患者を対象とした次世代型BTK阻害剤として開発を進めています。
AS-1763のフェーズ1試験は、ヒトでの安全性、薬物動態等の検討を早期に行うため、まず健康成人を対象として、簡易製剤を用いたSADパートおよび新製剤を用いたBAパートをオランダで実施しました。当該SADパートにおいて、AS-1763の安全性、忍容性および良好な薬物動態プロファイルが確認されています。また、BAパートでは新製剤の良好な薬物動態を確認しています。
当該フェーズ1試験結果を基にして、米国において患者を対象としたフェーズ1b試験を計画し、当該試験開始に必要な新薬臨床試験開始届(IND application)を米国FDAに提出し、2022年5月に承認を得ています。フェーズ1b試験は、治療歴を有するCLL・SLLおよびB-cell NHLの患者を対象としており、用量漸増パートと用量拡大パートの2つのパートから構成されています。用量漸増パートでは、最大耐用量(MTD)及び用量制限毒性(DLT)を決定することを主目的とし、副次的に安全性、忍容性、薬物動態、さらに有効性についても評価します。用量拡大パートでは、用量漸増パートで推奨された複数の用量で症例を追加し、安全性、有効性、薬物動態を調査し、フェーズ2試験の推奨用量(RP2D)を決定することを目的としています。IND申請承認後は、米国内の治験実施施設について、当該臨床試験実施可否等に関する調査を開始し、現在、その中から選定した治験実施施設との契約等の準備を行っています。最初の患者登録(FPI)は2023年第1四半期を予定しています。
当社は、AS-1763の中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利を2020年3月から2023年3月まで中国バイオノバ社に供与しており、同社は、CLL、SLLおよびB-cell NHLの患者を対象としたフェーズ1試験を中国で実施するためのIND申請を行い、2022年3月に中国国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration,NMPA)から治験開始の承認を取得しました。このIND承認を受け、当社はバイオノバ社から最初のマイルストーン・ペイメント50万ドル(58百万円)を受領しました。しかし、その後の中国における厳しい感染症対策などの影響で中国での治験開始が遅れており、中国での臨床試験データを他の地域に先行して得るという導出時の目的の達成が困難と判断し、2023年3月に中華圏における開発・商業化の権利をバイオノバ社から再取得しております。

CDC7阻害剤 AS-0141
AS-0141は、当社が創製した選択的CDC7キナーゼ阻害剤でファースト・イン・クラスが期待される経口投与可能な低分子化合物です。様々ながん種の細胞増殖を強く阻害し、各種ヒト腫瘍移植動物モデルにおいて優れた抗腫瘍効果を示しています。2021年上期に、日本国内において切除不能進行・再発又は遠隔転移を伴う固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を開始しました。フェーズ1試験は、用量漸増パート及び拡大パートの2段階に分かれており、用量漸増パートでは、薬剤の投与量を増やしながら安全性と忍容性を評価し、また薬物動態や薬力学についても調べます。本パートで決定した最大耐用量と推奨用量に基づき、拡大パートでは、より多くの患者で本剤の安全性及び有効性を評価いたします。
用量漸増パートでは加速漸増デザインを採用し、DLT評価期間中にGrade 2以上のAEが発現するまで各コホート1名の登録で増量し、Grade 2以上のAEが発現した場合、以降は3+3デザインの用量漸増に移行する計画としております。現在実施中の用量漸増パートにおいて、コホート5(用量レベル:250 mg BID)までGrade 2以上のAEは観察されませんでしたが、コホート6(用量レベル:300 mg BID)においてGrade 2以上のAEが発現したため、計画通り3+3デザインに移行いたしました。その後、3名中2名でDLTが発現したため、300 mg BIDにおいてMTDを超えたと判断し、今後、用量を下げて症例を追加し、MTDを決定する予定です。今回投与した20 mg BIDから300 mg BIDまで、概ね良好な薬物動態を示していることから、MTD、薬物動態及び薬力学的評価の結果を考慮して、拡大パートで用いる臨床推奨用量を決定する予定です。

ギリアド社に導出した低分子阻害薬の創薬プログラム
2019年6月に、米国のギリアド社と、当社が創製した新規がん免疫療法の低分子阻害薬およびその創薬プログラムの開発・商業化にかかる全世界における独占的な権利を供与する契約を締結しています。契約締結時に一時金として20百万ドル(約21億円)を受領したほか、開発状況や上市などの進捗に応じて追加的に最大で450百万ドル(約585億円、1ドル130円で換算)のマイルストーン・ペイメントを受け取ることになり、さらに、本プログラムにより開発された医薬品の上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取ります。ギリアド社は、2021年12月に本創薬プログラムを次の開発ステージに進めることを決定し、当社はライセンス契約に基づいた最初のマイルストーン・ペイメントを受領しております。ギリアド社は2022年4月に開催した「Gilead Sciences Oncology Deep Dive」の中で、同プログラムから創出したGS-9911に関して、重要な新規プログラムであるとして紹介しています。

住友ファーマとの共同研究プログラム
2018年3月に住友ファーマ株式会社と精神神経疾患を標的とした共同研究契約を締結しており、当該共同研究の進捗状況から2021年12月に本契約の共同研究期間を2025年3月27日まで延長することを両社で合意しております。本研究では、沢山の知的財産が生み出されており、当該疾患領域における新薬の創出を目指して共同研究を継続しております。本共同研究により見出されたキナーゼ阻害剤については、同社が、がんを除く全疾患を対象とした臨床開発および販売を全世界で独占的に実施する権利を有します。その対価として、当社は契約一時金および研究マイルストーンとして、最大8千万円を受領し、その後の研究開発の進展に伴い、進捗に応じて追加的に最大で約106億円のマイルストーン・ペイメントおよび売上高に応じたロイヤリティを受け取ることができます。

FRTX社に導出したSTINGアンタゴニスト
キナーゼ以外を標的とした次世代パイプラインとして当社が創製し、2021年末に前臨床開発段階にステージアップしたSTINGアンタゴニストは、2022年2月に全世界における開発・商業化の独占的な権利をFRTX社に供与するライセンス契約を締結いたしました。STINGシグナル経路は自然免疫において中心的な役割を担っており、STING経路による過剰なシグナル伝達は、全身性エリトマトーデスやリウマチなどの自己免疫疾患やインターフェロン過剰産生が特徴である希少遺伝子疾患のインターフェロン異常症など、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患を引き起こすことが知られています。本ライセンス契約の対価として、当社はFRTX社から契約一時金2百万ドル(227百万円)を受領したほか、開発、申請・承認などの進捗に応じたマイルストーンおよび販売マイルストーンを最大で258百万ドル(約335億円、1ドル130円で換算)受け取ることになります。さらに、当社は上市後の売上高に応じた1桁半ばから10%の料率の段階的ロイヤリティを受け取ることができます。

上記以外の創薬研究プログラムにつきましても、画期的な新薬創製に向けて様々な創薬研究プログラムを実施しております。これらの創薬プログラムにつきましても、早期ステージアップを目指して研究を継続してまいります。
当事業に係る研究開発費は、1,760,278千円であり、主に臨床試験関連費用、人件費、化合物合成委託費用、研究材料費等で構成されています。また、当社は臨床試験に必要な原薬および製剤の開発・製造を医薬品開発製造受託機関(CDMO)に、臨床試験の実施に関わる業務を医薬品開発業務受託機関(CRO)に委託しており、臨床試験関連費用にはこれらの業務委託費用が含まれています。

(2) 創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、新たなキナーゼタンパク質製品の開発ならびにキナーゼタンパク質およびプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの品質および作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質およびそれを用いた受託試験サービスは顧客から高品質との評価を得ており、今後さらなる信頼を獲得し売上拡大を図るため、一層の品質の向上に取り組むとともに、顧客ニーズに基づく新製品の開発にも取り組んでまいります。また、収益力の強化を目指した作業工程の改善にも取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は、122,041千円であり、主に新製品・サービスの開発に係る人件費および材料費で構成されています。

(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00987] S100QFB8)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。