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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100O9RP (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 コニカミノルタ株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

(1)当社のリスクマネジメント体制
当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。
当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。

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(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況
当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2021年度は、同委員会を2回開催し、主に米中摩擦に起因するグローバルでの保護主義的な潮流及び米中のハイテク冷戦に対し、事業に影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。2019年度末から影響が拡大した新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大による経営環境への影響を同委員会で体系的に整理し、情報を共有し、各リスク項目の対応状況を確認しました。
また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しております。
なお、取締役会へは必要に応じて報告が行われ、取締役会を構成するメンバーに月次の報告が行われております。
地震・台風などの自然災害や火災・爆発などの災害が発生した場合、あるいは、事件・事故などの不祥事案件が発生した場合の対応を誤ると、企業価値の毀損につながる可能性があります。また、インターネットやSNS上の書き込みなどで、企業が批判を受けるリスクが高まっており、ウイルス感染などは一企業のみならず、社会への影響が懸念され、また伝播する速度も速いために、一刻も早い情報収集と、速やかな対応が必要です。さらに、当社の事業領域が製品の販売からITサービスへも広がる中、上記リスクは高まる傾向にあります。
当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。
2021年度は、当社グループ会社である株式会社コニカミノルタサプライズの辰野工場における爆発事故について、最高責任者である代表執行役のもと、危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会及び社内臨時体制により、事故発生の原因究明を第三者機関も交え徹底的に行い、確実に安全な生産体制を実現すべくリスクアセスメントを行った上で、問題がないことを確認し、新工程によるトナー生産を再開しております。

(3)事業等のリスク
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。
リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。
記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2022年4月末現在において当社グループが判断したものであります。
最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。
なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価。「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。
また、「発生可能性」と「影響度」について、前年度より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、2020年度と2021年度の評価を記載しております。


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①経済環境に関するリスク
1)経済動向・市場環境
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。
当連結会計年度は、各国の経済政策やワクチン接種者の増加により、世界経済は回復基調を維持しているものの、世界的な経済活動の本格的な再開に伴い、半導体を中心に電子部品が不足するなど、グローバルサプライチェーン上の問題が発生し、また、2021年末にかけて物価上昇圧力が一段と強まりました。
米国経済は、雇用・所得環境の改善により総じて回復基調を維持しましたが、経済活動回復に伴う需要増加による資源価格の高騰、供給網の混乱による需給の不均衡や労働市場の人手不足などの影響によりインフレ率の上昇が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制に向けて金融緩和の縮小ペースを加速させています。
また、欧州連合(EU)では、感染対策と経済活動を両立する動きが続けられ、変動を繰り返しながらも景気回復基調は維持されましたが、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、ロシアからの天然ガス供給は不安定な状況が続きました。
中国は、不動産市場の冷え込み、ゼロコロナ政策下の経済活動抑制から成長減速が継続しています。特に、2022年3月より中国の主要都市で実施されたロックダウンは、供給面での制約となり、中国内外の物流にも悪影響を与えています。
昨今のウクライナ情勢が、世界各国の安全保障並びに経済活動に大きく影響し、ロシアが主な輸出国である天然ガスなどの資源エネルギー、ウクライナが主な輸出国である半導体製造用ネオンガスなどの物資の供給が滞ることにより、今後、エネルギー価格の高騰、更なる半導体不足が加速するリスクがあります。また、ウクライナ情勢による欧州を中心とした物流ルートの変更及びロシア産原油の禁輸措置による原油の高騰は、物流コストの高騰につながります。このような地政学的リスクが継続した場合、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。
今後の世界経済は、防疫と経済活動の両立が進む中で景気回復を持続するとみられますが、世界経済の回復ペースは、ウクライナ情勢前と比べて大幅に鈍化し、同情勢のもたらす経済損失は、2022年に世界の経済成長が減速する要因となるほか、欧米での高い物価上昇圧力や米国金融政策、中国のゼロコロナ対策などが引き続きリスク要因として懸念されます。
また、新型コロナウイルス感染症は、国・地域によって差はあるものの、変異株が出現するなど依然として感染拡大の懸念を残しており、米中の覇権争いに起因するハイテク冷戦の影響なども引き続き懸念されます。
各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格の下落、新たな機器設置数の減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。

2)為替レートの変動
発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約13億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約3億円のマイナスの影響を与えます。
●対応策
為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、2020年10月に、グループ間決済の一部について、金融機関が提供するネッティングシステムの利用を開始し、2022年3月までに全世界への拡大をほぼ完了しました。グループ間決済における支払タームを統一することにより為替エクスポージャーを削減し、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行うことを目的としております。
②事業活動に関するリスク
1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうした顧客の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
先進国を中心に紙文書のデジタル化が進み、複合機のスキャン需要やプリント出力のセキュリティ対応や管理強化等のオフィスソリューションのニーズが高まっております。加えてマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスの市場も拡大基調にあります。
また、日本市場においては電子帳簿保存法の改正に伴う中小企業の文書電子化やデジタル庁創設に伴う自治体のDX推進などの機会が増え紙文書のデジタル化に対するIT投資が活性化すると予想しております。
●対応策
当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、複合機を活用したスキャンサービス、ドキュメントマネジメントサービスの拡大に努めてまいります。またプリント管理サービスにおいても従来のオンプレミス型からクラウド型の対応を行うことでシステム構築のコストを抑えることが可能となり、中小の顧客に対してもサービス導入が容易になります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。
また、自治体のDX推進にも取り組んでおり、コア業務とノンコア業務の識別、ノンコア業務のワークフロー改善にAI-OCRやRPAの導入による自動化やプロセスの標準化を提案し、自治体職員の方々の生産性向上に貢献しております。2021年10月に子会社を設立し、さらに2022年3月には株式会社チェンジとの合弁に向けた会社を設立し、当該領域の事業拡大に取り組んでおります。
以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、プレシジョンメディシン、計測機器、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。

2)各国・各地域の規制
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中
●リスク
当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPRなど、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。
さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続きなどの変更に直面するリスクがあります。
また、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。
ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出へとつながります。
●対応策
各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学的リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。
ヘルスケア事業は、近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。当社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国、新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。

3)次世代技術変化
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中
●リスク
温暖化による気候変動・長期化する新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌する中で、革新的な技術は企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想されます。当社グループにとって他社に先んじた技術革新は重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
はじめに、グローバルかつ広範な技術理解に基づいて、競争優位を確立し得るコア技術を的確に見定める能力が重要と考えられます。次に、対象となるコア技術にデジタル技術を駆使して迅速に開発する能力が、開発競争に先んじるためには必要です。さらに、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、社外と連携しエコシステムを自ら迅速に再編し柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。
当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持った企業との連携により、多様化する顧客課題に対応し解決策を導き出す機会を通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでおります。
●対応策
当社グループは、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速にコア技術を開発してまいります。コア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」をプロダクトとして具現化、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリー各事業を通じて顧客に提供します。また、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、環境デジタルプラットフォームや画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を介して大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとエコシステムを構築してまいります。
これらの対応によって当社グループは気候変動・新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。



4)新製品への移行
発生可能性:低 → 中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大
●リスク
当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発又は生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響など当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
新製品への移行にとらわれず、取り組んだ技術開発成果を順次、バージョンアップという形式でリリースするプロセス実行比率が増加しております。単に機能の向上や重要問題の対策に留まらず、バージョンアップを起点に製品コストダウン、製造中止を含めた調達困難な部品・材料の切り替え、メンテナンス性の改善を積極的に進め、既存製品であっても常に競争力を失わない取組みを実施しております。
●対応策
当社グループは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期の段階から量産に至る各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、各種規制準拠(安全・環境・セキュリティなど)を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切替時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。
また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの診断・改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷をけん引しジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。

5)他社との協業、企業買収等について
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。
企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合などでは、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
●機会
当社グループが実施する他社との協業や企業買収等は、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。双方が有する技術、製品、顧客基盤、人財等の経営資源を有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。
●対応策
当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。
また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じられるようにしております。



6)生産・調達等
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点の一つに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により業績に影響を及ぼす可能性があります。特にウクライナ情勢によって、原材料価格・エネルギー価格に加え物流費の高騰が顕在化しており、その長期化によって影響がさらに大きくなる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の局所的又は全世界的な感染拡大は、当社グループ内の生産、サプライヤー生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えたことから、今後も新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。
さらに世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国の最低賃金切り上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。

(株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場における爆発事故について)
トナーを生産しているグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で発生した爆発事故によりトナー供給リスクが顕在化しました。その後、事故原因の究明・再発防止策を実施し、確実に安全な生産体制を実現した上で生産と供給を再開し、現在、事故前の水準までトナー生産能力は順調に回復しております。今後、事故によって減少したトナー在庫を安全水準まで回復させるべく、生産効率の向上など、更なる能力増強策を進めてまいります。
●対応策
当社グループは、生産に関するリスクへの対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めております。
主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し、消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。
また、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。
さらに、主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。ウクライナ情勢に起因する原材料価格・エネルギー価格高騰に対しては商社・サプライヤーとの連携を密にして先読み対応し、調達リスクを回避するとともに価格高騰影響を最小化するよう取り組んでまいります。
BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産で連携して構築し、活動を継続しております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握し、早期の課題対応を推進しております。
また、部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価・検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証において最優先課題として対応し、リスク回避を継続しており、これらによる事業への影響を抑制しております。



7)グローバルサプライチェーン
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
●リスク
当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展
開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは中国・ASEANでの生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。欧米を中心とした新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における経済活動優先策により輸出物量は増加しており、各国・各港でコンテナ船のスペース不足、輸送コンテナ不足が発生、長期化しています。さらに各国港湾における新型コロナウイルス感染症拡大の影響により不定期に荷役作業が停滞し、輸送遅延が発生、継続しており、影響の拡大リスクがあります。
製品の到着地である欧米各港では、輸入物流増加により港湾の作業が追い付かず、コンテナ船の到着遅延が慢性化しております。また、各港でコンテナヤードの混雑が発生しており、当社グループ販売拠点の倉庫への入荷も遅延が発生しております。今後、更なる輸出入物量の増加、並びに、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキが発生すると、これまで以上に国際輸送リードタイムが長期化する可能性があります。結果、販社拠点での在庫不足が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ウクライナ情勢により、欧州向け航空輸送サービス減少の懸念があり、長期化した場合、航空便を利用した緊急出荷に影響するリスクがあります。さらに中国のゼロコロナ政策による活動制限、特に上海市での影響から、港湾、空港での混雑により輸出物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクがあります。
●対応策
当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、物流ルートを柔軟に変更するなど、販売への影響を回避しております。
また、物流上の問題に対しては、従来取引があるフォワーダーに加えて、各地域のフォワーディング会社と新規の取引を開始し、船のスペース、輸送用コンテナの確保に努めております。また、欧州ではギリシア、北米ではカナダ、メキシコの港を荷揚げ地として新規に設定することにより、輸送リードタイムの短縮を図ると共に、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキリスクを最小化しております。
ウクライナ情勢の影響の回避策として、欧州向けの航空貨物用スペースの一部をチャーターしており、定期的に航空輸送できる体制を構築しております。
また、上海市における活動制限の影響を受けた港湾課題についても、フォワーディング会社の拡大、上海以外の輸出港の利用、生産拠点からの貨物の優先付けを行い、物流上のリスク回避に努めております。
当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。



8)製造物・品質責任
発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応策
重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスク極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。
製品品質に関わる問題が発生した場合、全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、「製品安全教育」をグループ展開し、品質マインドの定着に努めております。
さらに、品質不正を起こさない仕組みとして、当社グループにおいて「品質不正予防ガイドライン」の策定・運用と定期的診断・監査を実施しております。継続的に、ガイドラインの内容や運用の見直し・強化、グループ本社としての指示や教育・啓蒙、各所における好事例共有などを実施し、運用徹底を図っております。
また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まります。当社グループではリスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。

(注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループの製品脆弱性対応チーム


③その他のリスク
1)大地震・自然災害・感染症等
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大
●リスク
当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。
当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
●対応策
当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。
巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベースなどのITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めております。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、テレワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。
また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害時の避難場所や水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。



2)気候変動・環境規制
発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中
●リスク
世界全体が低炭素社会へ移行した場合、当社グループは、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等、新規・追加の環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、適時及び適切に対応できなければ、投融資及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。
また、気候変動の影響を抑えようと社会・顧客の志向が変化すると、オフィスにおける紙への出力機会の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、当社グループは、極端な異常気象や大規模な森林火災等の発生により森林資源の保護に関する規制や社会要求が強まることで、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が発現すると、自然資源の調達が不安定化し、原材料等の供給量が制限又は一時停止して工場の稼働に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な台風や洪水などの急性的な気候災害が発生すると、当社グループの設備や労務環境が被災し、従業員の就業が困難になる可能性があります。その結果、自社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止してサプライチェーンが寸断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、これら緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。
●機会
低炭素社会への移行が加速すると、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献できれば、事業機会を生み出す可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。
中長期的には、紙に代わる情報共有の手段の需要拡大を見込み、既存の複合機の事業から“as a Service”モデル(プロダクトとDXによる高付加価値サービス)へ変容してまいります。当社の強みである無形資産(顧客接点、技術、人財)と最新のIoTやAI技術を組み合わせた独自のプラットフォームビジネスを確立し、エネルギー負荷や温室効果ガス排出を大きく低減させ、社会全体で高まる脱炭素社会への期待に応えてまいります。
中期的には、大量生産・大量廃棄など無駄な生産を抑え事業モデルを変革するオンデマンド生産プロセス、紙出力への依存を無くし多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、エネルギー及び資源使用量を抑制する材料加工プロセス変革ソリューション、シェールガスなど温室効果ガスのパイプラインからの漏えいを非破壊で検査する画像IoTソリューション、企業の環境・サステナビリティ経営を支援するエコシステム、新たな資源採掘の抑制に貢献する再生プラスチック、バイオ材料の製造・活用技術を提供してまいります。
短期的には、継続的な省エネルギー活動は、積極的に推進することで自社工場での原価低減に留まらず、取引先やビジネスパートナーと連携することで新たなビジネス機会を創出できる可能性があると考えております。
一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。
中長期的には、急性的な自然災害への安全・安心への期待から、異常気象・自然災害による影響を未然防止し予防保全型インフラメンテナンスを実現する画像IoT・センシングソリューション、被災時にニーズが高い災害医療現場で活用できるヘルスケアソリューションなど、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。


●対応策
当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するとともに、自社の製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2021年度には、自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約79万トン、2005年度比で61%削減まで到達しております。
低炭素社会への移行に向けて、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「サステナブルファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化により提供し、サプライヤーと一体となってエネルギー削減に取り組む「DXグリーンサプライヤー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。また、化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに当社グループの事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギー由来にする目標を設定しております。
気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの生産及び充填を行う拠点として、日本、欧州、北米に自社生産拠点を複数展開し、消費地で生産して供給するレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。また、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握を行い、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料検討に取り組んでおります。人・場所・国・変動に依存しない生産方式を確立するデジタルマニュファクチャリング構想に沿って、調達先を選定しております。
当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指しております。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (7)気候関連財務情報開示の新しいフレームワークへの対応」に関連事項を記載しております。


3)知的財産権
発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小
●リスク
当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。
●機会
当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社グループで事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンスすることにより、産業界全体への貢献及び当社グループの収益向上を図っております。
さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。
また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知的財産面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症のまん延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。
●対応策
当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。
また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。
これらのリスク対応に加え、知的財産が他社参入障壁の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの事業成長及び事業ポートフォリオ転換を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、知財人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えた知財プロ人財の育成に努めております。


4)人財確保
発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 → 大
●リスク
当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、DX/IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。
●機会
当社グループの強みである約200万の顧客基盤は、優秀な人財を獲得できる機会につながると考えております。すなわち、この顧客基盤から得られる特徴的なデータを分析できるという点が、「仕事の面白さ」を大事にするデータサイエンティストなどのIT人財獲得の上でアドバンテージになります。また、副業やテレワーク等、柔軟な働き方を認めている点も、当社の魅力として訴求できる点となります。
●対応策
IoT人財の獲得にあたり、長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発テーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の魅力付けを強化しております。
また、2019年、大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設、2020年10月、高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、画像IoT開発の本格的な拠点展開を図り、関西地区での人財獲得を進めております。
さらに、海外大学での専門性の高い外国籍IT人財を獲得することを目的として、インド工科大学へのリクルート活動を約10年の期間、続けております。これにより優秀エンジニアの獲得につなげるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。
次に、人財育成においては、今年度より「ファーム戦略」を開始しております。これは、新卒採用において、学生時代に必ずしも即戦力というレベルでなくとも、IT系の素養ある学生に対し、IT専門部門でリアルテーマを通した専門教育を、1年程度の短期集中で実施します。その後、適性を見た上で事業部門に配属するものです。
また、社内におけるIT人財の認定制度を設けております。各人財がめざすべきハードルを明確にした上で、それに対して必要となるスキル教育プログラムを用意し、社内人財の育成強化を図っております。
さらに、人事制度を見直し管理職制度の中に「エキスパート」職を新設しました。これにより、ITを含めた専門人財のキャリアアップの道を明確化しております。


5)情報セキュリティ
発生可能性:中 → 高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大
●リスク
当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏えい等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
企業を狙ったサイバー攻撃が多発しておりますが、当社グループにおいても、2022年3月に英国の子会社が第三者によるサーバーへの不正アクセスを受けました。この事案を受け、当社グループ全てに対してセキュリティ運用ルールの再徹底を実施しております。
●機会
当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub(ワークプレイス・ハブ)」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏えいに対応しております。
●対応策
情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。
また、サイバー攻撃を含むセキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(注)を全グループで運用し、定期的な訓練を全グループで実施しております。さらに、2020年度に発足させた包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)を強化拡大すべくアメリカ、ヨーロッパ、中国、ASEANの各地域にRegional Security Management Officeを設立いたしました。事業の枠を越えて、リスクマネジメントを各地域で実施することによりグループ全体でのセキュリティレベル向上を実現しております。
新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワーク実施者の増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。

(注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)、当社のセキュリティ事故対応チーム

④新型コロナウイルス感染症に関するリスク
1)新型コロナウイルス感染症拡大の影響
発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大
当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、欧米地域では当社グループの顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社グループの販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、2022年4月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしております。
一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じております。パルスオキシメーターの増産による感染者の在宅療養への対応、胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。
以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面から説明いたします。

●リスク
(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)
デジタルワークプレイス事業では、顧客企業のテレワーク導入や事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社グループの経営成績においてもマイナスの影響がでております。
プロフェッショナルプリント事業では、企業内印刷等のオフィスドキュメント印刷が減少しております。また
リアルイベントの中止などにより、店頭における販促用の印刷物の需要回復が遅れております。
(ヘルスケア事業)
病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の減少がワクチン接種による集団免疫獲得までは継続することが想定されます。
(インダストリー事業)
顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。特に中国の「ゼロコロナ政策」によるロックダウンが発生した場合、当該地区に工場を構える偏光板メーカー、パネルメーカーの工場稼働率に大きな影響が生じます。
(生産・調達)
新型コロナウイルス感染症拡大とその後の需要回復局面では、当社グループの生産に加え、サプライヤーの企業活動や物流網に至るサプライチェーン全体に影響が及んでおります。サプライヤーの需要回復に向けた過剰稼働による事故や局所的なロックダウンによる生産停止などの発生により、当社グループへの部材類の供給不足、生産への影響が断続的に発生しており、特に中国の「ゼロコロナ政策強化」等により、その影響範囲が拡大・長期化する可能性があります。また、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは調達の継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。
●機会
(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)
デジタルワークプレイス事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、リモートによる商談や保守サービスに対する顧客の抵抗感が減り、デジタル技術を活用した商談の機会が増加しております。
例えば、テレワークの導入について悩まれている顧客へ、安全に社内の情報にアクセスできるテレワーク環境の整備、在宅勤務時でも社内に届くFAXを確認できるソリューション、稟議書等の社内ワークフローの電子化等、テレワーク環境を整備するための支援、個々の課題を解決するソリューションを多数、提供しております。
前期から強化している非対面営業に加えWebinar(ウェビナー)による販売機会の創出や電子商取引サイトを活用した複合機やIT機器、ソフトウエアの拡販に努めております。また、家庭でも使えるコンパクトA4プリンターの商品化を行い、オフィスと家庭でシームレスに印刷・スキャンが可能なサービスを提供してまいります。
プロフェッショナルプリント事業においては、ニューノーマル時代におけるブランドオーナーによる印刷物購買のオンデマンド化、それに対応するデジタル機活用による効率化推進が、顧客となる印刷会社の経営課題に挙げられており、併せて、アナログ印刷機を稼働するための熟練労働者の確保や後継者育成が新型コロナウイルス感染症拡大以前よりも厳しい状況にあります。このような状況は、スキルレスで印刷を行えるデジタル印刷機の販売に追い風になると考えております。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業においては、ウィズコロナ・ポストコロナのニューノーマル時代において、遠隔医療や分散化診断のニーズが増え、プライマリケアの重要性が高まり、医療施設間連携強化が必要となり、医療サービスデジタル化が加速すると見ております。
例えば、持続可能な医療環境を支援するX線動画解析、AI読影支援システム、遠隔画像診断システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、医療従事者の安全確保と作業効率の向上に貢献する生体情報モニタリングシステム、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。なお、米国子会社のAmbry社では、2020年7月より開始した地域・企業・医療機関に対するPCR・抗体検査について、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策への支援として引き続き取り組んでおります。
(インダストリー事業)
機能材料の分野においては、新しい働き方の広がりに伴い、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、中国における大型テレビの需要増に伴う大型ディスプレイ用の部材販売、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。
画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションへの高い需要は落ち着いたものの、今後は、製造業、防災、セキュリティ等の領域を中心に、予知保全、安心・安全の確保に向けた遠隔でのモニタリングと人行動のAI解析を組み合わせたソリューションの需要が高まり、販売機会の拡大が想定されます。
●対応策
当社では、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、顧客、取引先を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会や顧客への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。
特に、生産では以前より自社生産のデジタル化に取り組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。また、BCP管理体制を、開発・品質保証・調達・生産の連携で整え調達リスクの回避を進めるとともに、社内生産及びサプライヤーにおける労働環境整備(感染症防止策の徹底、リモート生産支援などへの対応)も継続しております。サプライヤーと事業環境の共有を継続し、必要な支援をタイムリーに行ってまいります。
顧客に対しては、特にデジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業において、顧客ニーズを的確にくみ取り、当社グループが以前から取り組んでいる、自動化、省力化、スキルレスといったデジタル化推進への強みを活かし、顧客の経営課題を解消すべく取組みを進めております。
日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。新型コロナウイルス収束後のニューノーマル時代においても、テレワークとオフィスワークのハイブリッド型の働き方が定着するものと思われ、従業員の様々な労働環境に対応したサポートを進めております。
従業員が、新型コロナウイルス感染症に「感染しない」、「うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、こまめな手洗いやマスク着用等)を継続し徹底しております。さらには、テレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活環境の変化などに起因する従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点においても、各国政府など行政の要請に基づいた適切な対応を継続しております。


(4)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において2期連続して営業損失を計上した結果、当連結会計年度末において、複数の金融機関と締結している一部のシンジケートローン契約等に付されている財務制限条項に抵触しましたが、本書提出日現在において、当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことについて全ての当該金融機関より承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

従業員の状況研究開発活動


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