有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100XSCU (EDINETへの外部リンク)
株式会社資生堂 研究開発活動 (2025年12月期)
当社グループは、強みである皮膚科学技術や処方開発技術、感性科学、情報科学に加えて、デジタル技術や機器開発技術などの新しい科学技術を国や業界を超えて融合し、資生堂の企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に取り組みます。
資生堂グローバルイノベーションセンターをはじめ、米国、フランス、中国に代表される海外研究開発拠点においては、現地のマーケティング部門と連携しながら、各地域のお客さまの肌や化粧習慣の研究、その特性にあった製品開発に取り組んでおり、世界中のお客さまに対して安全・安心、高品質な商品・サービスの創出に向け、資生堂グループ全体の成長に貢献するとともに世界の化粧品業界をリードします。
当社グループが生み出した研究開発成果は外部より高い評価を受けています。化粧品技術を競う世界最大の研究発表会である第35回国際化粧品技術者会連盟カンヌ大会2025において、全798件の研究報告(口頭発表68件、ポスター発表730件)のうち、ポスター発表部門で「最優秀賞」を受賞しました。そして、2025年6月にフィリピンで開催された第17回アジア化粧品技術者会(ASCS)マニラ大会2025にて口頭発表部門で「1等賞」を受賞しました。
また、戦略実現を加速するアプローチとして、皮膚科医をはじめとする医師や研究機関等との連携および生活者との共創においてイノベーション創出を積極的に進めることを示しました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は271億円(売上高比2.8%)であり、商品カテゴリー別の主な研究成果は、以下のとおりです。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。
(1) スキンケア
肌自らが持つ力で未来の肌悩みを未然に防ぐという考えのもと、30年以上前から肌の免疫機能に関する研究にマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(以下「CBRC」という。)と共に取り組み、常に進化を続けています。今回、当社とCBRCは新たな皮膚の免疫細胞の機能として、老化した繊維芽細胞(老化細胞)を除去することと、そのメカニズムを発見しました。これまで老化細胞は年齢とともに蓄積すると考えられていましたが、老齢の皮膚においても必ずしも老化細胞が多いわけではなく、免疫細胞の一種であるCytotoxic CD4+ T細胞(以下「CD4 CTL」という。)が老化細胞の蓄積抑制に強く関わっていることを明らかにしました。またCD4 CTLが老化細胞の蓄積を抑えるメカニズムとして、老化細胞内で活性化したヒトサイトメガロウイルスの一部分(抗原)が老化細胞の表面に出現することで、それをCD4 CTLが認識し、老化細胞を選択的に除去していることを世界で初めて発見しました。なお、本研究成果は生命科学分野において世界最高峰の学術雑誌であるCell誌に掲載されました。さらに、ツバキ種子発酵抽出液が、CD4 CTLの誘引するCXCL9(注1)の発現を高めることを世界で初めて発見しました。これにより、ツバキ種子発酵抽出液によって皮膚の免疫細胞による老化細胞除去効果が高まることが期待され、本研究成果を「SHISEIDO」の商品開発に応用しました。
近年、美容医療市場が拡大するなど生活者が望む明るい肌を叶える手段が多様化する中、安全でさらに効果の高い美白化粧品、医薬部外品の開発のためには新規開発が難しい美白有効成分の「浸透性」を高める技術の強化が求められていました。そこで、融点(個体が融解し液体になるときの温度)の高いイオン性の物質を組み合わせることで元の物質の融点より低い温度で液体になるイオン液体に着目しました。その結果、当社独自開発の美白有効成分4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)を、イオン液体である保湿成分トリメチルグリシンと組み合わせることで、皮膚浸透性を高める4MSK/フリュイド浸透促進技術を開発することに成功しました。この技術は、常温で固体の4MSKを液体化し、肌に塗布した後も液体(フリュイド)状態を持続させる画期的な技術です。最適な配合比率で2つの成分を基剤に配合すると、4MSK単独で基剤に配合する場合と比べて、4MSKが皮膚へ約2倍浸透することを確認しました。さらに、3次元培養皮膚モデルで検証した結果、4MSKのメラニン生成抑制効果を高める効果があることが分かりました。また、本技術を搭載した新プロトタイプ基剤では、シミの数が12週間で1.8倍減少し、肌の明るさも12週間で1.9倍の改善を確認しました。本研究成果は「SHISEIDO」の商品開発に応用されました。
当社は100年を超える肌研究と先進のシミ研究から、これまでメラニンやシミが発生する肌内部環境への多角的なアプローチで様々なシミ形成要因を解明してきました。一方でシミ特有の要因に結びつく肌内部のダイナミックな変化を実際の皮膚と同様の環境において細胞レベルでとらえる必要があることがわかってきました。しかしながら、生きたシミ内部を細胞レベルで、かつリアルタイムで解析することは困難でした。そこで、生きたヒトの皮膚をリアルタイムで観察することができる顕微鏡の一種であるFLIM(注2)を用いて、シミ部位の細胞代謝を評価する新手法を世界で初めて確立し、これまで観察が難しかった、シミがどのように悪化していくかという「シミの一生」を時間軸で捉えることに成功しました。FLIMを用いた解析によって、シミ部位ではメラニンの蓄積によってミトコンドリア代謝が低下し、細胞老化が生じることでシミが悪化すると考えられ、いわばシミがシミを呼ぶ悪化根源があることを明らかにしました。なおこの画期的な研究成果は、第34回国際化粧品技術者会連盟イグアス大会2024の口頭発表基礎部門で最優秀賞を受賞し、第32回日本色素細胞学会学術大会にて発表を行っています。さらに、資生堂独自のトリプル薬剤を配合した基剤において、シミにおけるミトコンドリア代謝が高まることを見出しました。細胞老化の主要な要因のひとつであるミトコンドリア活性低下を抑えるとともに、老化した細胞から分泌され、細胞老化を悪化させるSASP因子(注3)のひとつであるGROα(注4)を抑制することが分かりました。本研究成果は「HAKU」の商品開発に応用されました。
(2) サンケア
ミネラル類に代表される紫外線散乱剤は配合量を高めることで紫外線防御力は高くなりますが、肌が不自然に白浮きしやすくなります。一方で、濃度を低くすると白浮きは防げますが紫外線防御力は低くなるというジレンマが存在しました。そこで、国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門教授 稲澤晋先生との共同研究により、世界で初めてミネラルサンスクリーン(ノンケミカルサンスクリーン)処方において、紫外線散乱剤が肌の上で最適な分散状態に変化する技術を開発しました。この技術により、高い紫外線防御力を発揮しながら、透明で均一な防御膜を形成する新しい日焼け止め製剤を提供することが可能になりました。これまでミネラルサンスクリーン処方の課題だった塗布後の白浮きを軽減させ、紫外線散乱剤が肌のキメまでムラなくフィットするため、紫外線防御力は本技術未搭載の場合と比較して最大2.2倍を実現しました。なお、本技術は日焼け止め製剤の開発において従来不適切とされてきた「凝集」状態(紫外線散乱剤の粒子が集まって繋がった状態)をあえて活用し、肌の上で均一な分散状態へと徐々に変化させることで実現されます。一般的に「凝集」状態は、機能が低下するため敬遠されていましたが、逆転の発想により日焼け止め技術の新たな価値へと転換することができました。本研究成果は「SHISEIDO」の商品開発に応用されました。
従来、ウォーターベース日焼け止めは軽い使用性のため、日常使いとして人気がある一方で、汗や水に弱く、紫外線防御膜が崩れやすいとされてきました。そのため、日焼け止め製剤開発においては、耐水性を高めるために紫外線散乱剤や被膜剤を多く配合することが一般的な手法となっており、白浮きやべたつき、衣類への色移りを引き起こす要因となっていました。そこで、ウォーターベースでありながら高い耐水性と紫外線防御力が持続し、かつ過酷な蒸し暑さや冷房による乾燥など外部環境の湿度変化に応じて肌表面の水分量を調整する新しい日焼け止め技術を開発しました。本技術は、汗や海水に含まれる金属イオンと反応する石鹸由来の成分を利用し、肌表面の塗布膜に特殊な構造を形成させることで撥水性と密着性を向上させます。水より軽く、柔軟でヨレにくい膜を形成することが可能になり、高い耐水性と紫外線防御力を持続しつつ、白浮きや黒い服への白移りが少ない透明な仕上がりを実現しました。さらに、外部環境の湿度変化に応じて自発的に水分透過をコントロールする技術を応用し、乾燥下では肌表面の水分を逃さずに留め、湿潤化では過剰な水分を放出することで常に肌表面の水分バランスを一定に保ち、シミの原因となる炎症因子IL-1αの活性化を抑制させることが期待されます。なお本研究の成果の一部は、第3回日本化粧品技術者会(SCCJ)学術大会にて発表を行っており、肌表面を覆って紫外線を防ぐだけでなく、日常のストレスや不快感、さらには環境にも配慮した製品の開発へつなげていきます。
肌の光老化についてまだ広く知られていなかった100年以上前から、いち早く紫外線防御研究に着手し、あらゆる環境下でも紫外線の悪影響から肌を守りたいという生活者ニーズに応えるべく技術開発を行ってきました。昨今、紫外線防御機能と高いスキンケア機能を兼ね備えた日中用化粧品の需要が高まる中で、当社はどのようにしてその期待に応えるべきかを考えてきました。そこで、東京科学大学の清水重臣特別教授との共同研究により、細胞内の不要な物質を分解し再構築するメカニズムとして知られるオートファジーの中でも、特に細胞が過度のダメージを負ったときに機能するオルタナティブオートファジーが、紫外線による肌の光老化を抑制する働きを持つことを明らかにしました。紫外線により損傷した表皮細胞内のミトコンドリア(注5)の周辺では、炎症性因子を発していることを確認し、オルタナティブオートファジーを活性化させると炎症性因子が抑えられることが分かりました。さらに、オルタナティブオートファジーが働かずに炎症性因子が表皮細胞の外に放出され、その影響が真皮細胞に及ぶようになるとコラーゲン分解酵素(NMP)の発現が高まることが分かりました。そして、オルタナティブオートファジーを活性化するエキスとして毛葉香茶菜エキスを見出しました。今回の共同研究の知見から開発したソリューションによって、従来の紫外線防御や抗炎症剤といった外側からのアプローチに加え、肌の内部からもシミによる肌悩みを防ぐ画期的なアプローチが可能になりました。
(3) メディカル・ダーマ
理想の肌を実現する手段として近年では美容医療が一般的になり、化粧品にも高い効果を期待する声が高まっています。美容医療技術で人気を博しているマイクロニードル(注6)は、肌に微細傷をつけ、薬剤の浸透を高めるとともに創傷治癒の反応を惹起し、皮膚深部の構造を再構築して高い効果をもたらすとされています。一方で、治療による出血等を伴う侵襲的な側面もあることから、施術を受ける際の負担、不安感が課題でした。そこで、美容医療に迫る高い効果と安全性を両立し、日常的に使用できる独自構造の次世代マイクロニードルを開発しました。「注入」と「押圧」の2つの機能を備えた新しいアプローチで、皮膚を傷つけずに皮膚浅層(角層を含む表皮)に有効成分を注入すると同時に、皮膚深部(真皮以下)に押圧刺激を与えることができ、免疫・血管・コラーゲンなどの細胞外マトリクス(注7)に関連する遺伝子群の発現状態を変化させます。まず、皮膚浅層のみを精密に刺し、同時に皮膚深部に押圧による圧刺激を効率的に与えることのできる形状パラメータを見出し、ナイアシンアミドなどの水溶性薬剤の浸透量を有意に向上させるとともに、素早くより深くまで送達させることを明らかにしました。次に、マイクロニードルを2日に1回の頻度で7日間使用し、皮膚深部に刺激を与えることにより免疫・血管・コラーゲンなどの細胞外マトリクスに関連する遺伝子群の発現を変化させ、皮膚を傷つけずに肌改善を促すことが示唆されました。さらに、ナイアシンアミドを配合したマイクロニードルの連用試験の結果、短期間でしわ・透明感を改善し、8週間後にほうれい線がより浅く、短くなっており、バリア機能を破壊せずむしろバリア機能を改善するなど複合的な肌悩みを改善することが明らかになりました。なお、本研究成果の一部は、第34回国際化粧品技術者会連盟イグアス大会2024にて発表を行っており、本研究成果を「SHISEIDO」の商品開発に応用しました。
また、日本におけるダーマ市場の成長に向け、皮膚科医等の専門医と協力した研究開発の強化を加速しています。東北大学病院 皮膚科・周産母子センター(以下「東北大学病院 皮膚科」という。)との共同研究により、生後2カ月時点で角層に含まれる特定のタンパク質が多い乳幼児は、3歳時点でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症する確率が高いことを発見しました。両親のうち少なくともひとりにアトピー性皮膚炎の既往がある乳児について、アトピー性皮膚炎・食物アレルギーの発症と角層中に含まれるタンパク室であるSCCA1量の関係性を統計的解析により調べたところ、生後2カ月時の頬の角層中のSCCA1の量は、アトピー性皮膚炎を発症していない乳幼児と比較をして、発症した乳幼児においては著しく高い結果となりました。また、生後2カ月時の口周りの皮膚の角層中のSCCA1の量が、食物アレルギーを発症していない乳幼児と比較をして、発症した乳幼児においては著しく高い結果となりました。これらの結果は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーで悩む方が増えている中、早期予測に基づいた適切なケアにより発症リスクが低減できることで乳幼児と家族の生活の質向上に寄与できると考えられます。本発見は着想から10年以上の歳月をかけて、東北大学病院 皮膚科との協働を通じて見出されました。なお、本研究の共同研究者である東北大学病院 皮膚科 小澤麻紀先生の論文は、2025年度サノフィ優秀論文賞「一般部門」を受賞し、本成果は2025年10月24日~26日に開催された日本アレルギー学会にて発表されました。今後も国内の皮膚科医等の専門医と協力した研究開発を通じ、敏感肌サイエンスを強化していきます。
肌の内部や身体と心の状態、さらにはそれらの関係性を解明する独自の技術を活用し、50年以上にわたって敏感肌の研究に取り組んできました。当社は、肌の敏感さには皮膚常在菌叢(注8)の中でも大きな割合を占めるアクネ菌と表皮ブドウ球菌の影響が大きいのではないかという考えの下、そのバランスに着目して研究を進めてきました。東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター井元清哉教授、植松智特任教授らとの共同研究において、敏感肌には、健康な肌に必要な表皮ブドウ球菌の生育を阻害する特殊なアクネ菌(以下「阻害菌」という。)が多いことを発見しました。この発見は従来よりも解析範囲と解像度を大幅に向上できる全ゲノムショットガン解析を活用した成果です。そして、この阻害菌を選択的に抑制し、表皮ブドウ球菌が育ちやすい環境を作る成分として、過酷な環境に生息する微生物由来の発酵エキスを独自のスクリーニングで見出しました。本研究で得られた皮膚常在菌叢に関する知見と成分は今後の敏感肌向けのスキンケア製品へと応用していきます。
(4) サステナビリティ
ボトル製造と中味液充填をワンステップで実現することで環境負荷を軽減する製造技術「LiquiForm(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ型容器にも採用し、環境負荷軽減だけでなく、化粧品ならではの容器の魅力や心地よい使用感に繋がるデザイン性、持ちやすさや使い勝手といった機能性を同時に実現する化粧品容器を開発しました。今回、ボトルを「LiquiForm(リキフォーム)」による成形で作ることで、現行品から容器単体のプラスチック使用量を約56%、CO2排出量(温室効果ガス排出量)を約48%削減(注9)可能です。ポンプの付いた硬い素材の容器上部をこの柔らかなレフィルに差し込む形状にするために、落下強度や中味の耐光性、ディスペンサーポンプ型ならではの中味の吐出のしやすさ、プラスチック量削減など複数の課題を解決しています。人間の手の大きさと本体容器のサイズのバランスなど、人間工学の観点からも検討を重ね、実際にお客さまにも試していただくことで、手になじむ最適な形状の開発に成功しました。本研究成果を「イプサ」の商品開発に応用しました。
パッケージに関してはサステナビリティへの対応のみならず、意匠性の向上にも取り組んでいます。その進捗の評価を受けるために公益社団法人 日本包装技術協会が開催する2025日本パッケージコンテスト(第47回)に出品し、当社製品が4作品で受賞しました。上述の「LiquiForm(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ容器に採用した「イプサ ME n 1~8(医薬部外品)」が本コンテストの最高賞であるジャパンスター賞の経済産業大臣賞を受賞しました。また、「アネッサ パーフェクト UV ブラッシュオンパウダー」、「イプサ ザ・タイム R アクア(医薬部外品)」が包装技術賞を、「SHISEIDO アルティミューン パワライジング セラム」が包装部門賞を受賞しました。日本パッケージコンテスト包装におけるデザインからロジスティクスに至るまでの各年の包装の最高峰と優秀群を決定するものです。最高賞のジャパンスター賞は、保護性や機能性等、多くの包装に求められる要件を満たし、かつ経済性や環境にも配慮された総合的に最もすぐれているパッケージに授与されます。今後も、環境への負荷が最小限になる原材料調達や処方開発など、独自の技術開発や社外とのコラボレーションを通じて、循環型の社会に貢献していきます。
(5) 生活者との共創による研究力の価値への転換
まずは、当社の強みの一つである感性研究の価値を生活者に実際に体験いただいた試みについてです。2025年7月11日~14日(現地時間)までの4日間、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」という。)の河瀨直美テーマ事業プロデューサーが担当するシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater – いのちのあかし - 」の対話シアター棟にて当社の感性研究である香りを用いた共感体験の実証実験を来場者参加型で実施しました。これは、人とのつながりの希薄化や孤独・孤立問題が懸念される現在において、香りに人々の関係性をより良い方向性に変えられる力があるかを実証するものです。森の集会所内感性研究体験機器で体験者の二人は向かい合い、お互いの顔を見ながら自由に対話を楽しみます。対話中、当社の感性研究技術により体験者双方の表情から関わる情報を読み取り、共感の度合いを計算、共感したタイミングで香りが空間に放出されます。体験後には、香りの提示された回数と最大共感度の結果を見ることができます。一人ひとりが生涯を通じて自分らしい健康美を実現できる社会を目指し、新しい感性研究・技術と、心と心のつながりの強化を実現し、五感研究・技術によってお客さま同士のつながりをサポートしていきます。
次に、処方技術や肌だけでなくひとをひと全体として捉えてきた肌・身体・心に関する基礎研究知見に触れていただく新たな場のローンチについてです。研究員が生活者とつながり、未来の美を共創するために、横浜・みなとみらい21地区に位置する研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1・2階を刷新し、「肌・身体・心がつながるサイエンスで、あなただけの美が、目を醒ます。」をコンセプトとした「Shiseido Beauty Park」を2025年1月22日にオープンしました。「Shiseido Beauty Park」には肌・身体・心のつながりを解き明かす先進サイエンス「Beauty Artscape」を体験できるラボとして「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」、「Shiseido Kitchen Lab」、そして「Shiseido Art & Science Lab」があります。さらに、オープンイノベーションを推進する「fibona Lab」や、すべてのイノベーションを支える研究員の進化を目指す「ShiseidoPeople Lab」があり、5つのラボで構成されています。総来場者数は目標を大きく上回り、「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」の予約は多くのキャンセル待ちが出るなど大変好評をいただいており、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向け、革新的な価値創出をさらに加速させていきます。
(注) 1 免疫細胞などの細胞の遊走を促進するタンパク質
2 Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy。蛍光寿命イメージング顕微鏡法。蛍光分子の固有の性質である蛍光寿命を利用して画像化する観察手法
3 細胞老化随伴分泌現象(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)と呼ばれる細胞老化した細胞が分泌する炎症因子等を含む様々な因子の総称
4 表皮角化細胞(ケラチノサイト)から分泌されるSASPのひとつ。メラノサイトがメラノーマへ転換する過程にもかかわることが知られている
5 1つの細胞の中に100個以上存在する細胞内小器官で、エネルギー産生など生きるために重要な役割を果たしている
6 マイクロスケールの超微細な針。角層に極小の穴をあけることで、皮内送達や細胞の賦活化を促す手法として、化粧品・医療分野での活用が進んでいる
7 生体組織において細胞間隙に存在し、網目構造、ゲル状を呈したタンパク質と糖質からなる不溶性の高分子会合体のこと
8 ある一定の環境に存在する細菌などの微生物群。マイクロバイオームとも呼ばれる
9 リニューアル前後でのレフィル容器単体のプラスチック量と温室効果ガス排出量を当社にて比較。容器単体での温室効果ガス排出量について、SuMPO EPDで第三者検証を実施済(ISO 14025に準拠)
資生堂グローバルイノベーションセンターをはじめ、米国、フランス、中国に代表される海外研究開発拠点においては、現地のマーケティング部門と連携しながら、各地域のお客さまの肌や化粧習慣の研究、その特性にあった製品開発に取り組んでおり、世界中のお客さまに対して安全・安心、高品質な商品・サービスの創出に向け、資生堂グループ全体の成長に貢献するとともに世界の化粧品業界をリードします。
当社グループが生み出した研究開発成果は外部より高い評価を受けています。化粧品技術を競う世界最大の研究発表会である第35回国際化粧品技術者会連盟カンヌ大会2025において、全798件の研究報告(口頭発表68件、ポスター発表730件)のうち、ポスター発表部門で「最優秀賞」を受賞しました。そして、2025年6月にフィリピンで開催された第17回アジア化粧品技術者会(ASCS)マニラ大会2025にて口頭発表部門で「1等賞」を受賞しました。
また、戦略実現を加速するアプローチとして、皮膚科医をはじめとする医師や研究機関等との連携および生活者との共創においてイノベーション創出を積極的に進めることを示しました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は271億円(売上高比2.8%)であり、商品カテゴリー別の主な研究成果は、以下のとおりです。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。
(1) スキンケア
肌自らが持つ力で未来の肌悩みを未然に防ぐという考えのもと、30年以上前から肌の免疫機能に関する研究にマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(以下「CBRC」という。)と共に取り組み、常に進化を続けています。今回、当社とCBRCは新たな皮膚の免疫細胞の機能として、老化した繊維芽細胞(老化細胞)を除去することと、そのメカニズムを発見しました。これまで老化細胞は年齢とともに蓄積すると考えられていましたが、老齢の皮膚においても必ずしも老化細胞が多いわけではなく、免疫細胞の一種であるCytotoxic CD4+ T細胞(以下「CD4 CTL」という。)が老化細胞の蓄積抑制に強く関わっていることを明らかにしました。またCD4 CTLが老化細胞の蓄積を抑えるメカニズムとして、老化細胞内で活性化したヒトサイトメガロウイルスの一部分(抗原)が老化細胞の表面に出現することで、それをCD4 CTLが認識し、老化細胞を選択的に除去していることを世界で初めて発見しました。なお、本研究成果は生命科学分野において世界最高峰の学術雑誌であるCell誌に掲載されました。さらに、ツバキ種子発酵抽出液が、CD4 CTLの誘引するCXCL9(注1)の発現を高めることを世界で初めて発見しました。これにより、ツバキ種子発酵抽出液によって皮膚の免疫細胞による老化細胞除去効果が高まることが期待され、本研究成果を「SHISEIDO」の商品開発に応用しました。
近年、美容医療市場が拡大するなど生活者が望む明るい肌を叶える手段が多様化する中、安全でさらに効果の高い美白化粧品、医薬部外品の開発のためには新規開発が難しい美白有効成分の「浸透性」を高める技術の強化が求められていました。そこで、融点(個体が融解し液体になるときの温度)の高いイオン性の物質を組み合わせることで元の物質の融点より低い温度で液体になるイオン液体に着目しました。その結果、当社独自開発の美白有効成分4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)を、イオン液体である保湿成分トリメチルグリシンと組み合わせることで、皮膚浸透性を高める4MSK/フリュイド浸透促進技術を開発することに成功しました。この技術は、常温で固体の4MSKを液体化し、肌に塗布した後も液体(フリュイド)状態を持続させる画期的な技術です。最適な配合比率で2つの成分を基剤に配合すると、4MSK単独で基剤に配合する場合と比べて、4MSKが皮膚へ約2倍浸透することを確認しました。さらに、3次元培養皮膚モデルで検証した結果、4MSKのメラニン生成抑制効果を高める効果があることが分かりました。また、本技術を搭載した新プロトタイプ基剤では、シミの数が12週間で1.8倍減少し、肌の明るさも12週間で1.9倍の改善を確認しました。本研究成果は「SHISEIDO」の商品開発に応用されました。
当社は100年を超える肌研究と先進のシミ研究から、これまでメラニンやシミが発生する肌内部環境への多角的なアプローチで様々なシミ形成要因を解明してきました。一方でシミ特有の要因に結びつく肌内部のダイナミックな変化を実際の皮膚と同様の環境において細胞レベルでとらえる必要があることがわかってきました。しかしながら、生きたシミ内部を細胞レベルで、かつリアルタイムで解析することは困難でした。そこで、生きたヒトの皮膚をリアルタイムで観察することができる顕微鏡の一種であるFLIM(注2)を用いて、シミ部位の細胞代謝を評価する新手法を世界で初めて確立し、これまで観察が難しかった、シミがどのように悪化していくかという「シミの一生」を時間軸で捉えることに成功しました。FLIMを用いた解析によって、シミ部位ではメラニンの蓄積によってミトコンドリア代謝が低下し、細胞老化が生じることでシミが悪化すると考えられ、いわばシミがシミを呼ぶ悪化根源があることを明らかにしました。なおこの画期的な研究成果は、第34回国際化粧品技術者会連盟イグアス大会2024の口頭発表基礎部門で最優秀賞を受賞し、第32回日本色素細胞学会学術大会にて発表を行っています。さらに、資生堂独自のトリプル薬剤を配合した基剤において、シミにおけるミトコンドリア代謝が高まることを見出しました。細胞老化の主要な要因のひとつであるミトコンドリア活性低下を抑えるとともに、老化した細胞から分泌され、細胞老化を悪化させるSASP因子(注3)のひとつであるGROα(注4)を抑制することが分かりました。本研究成果は「HAKU」の商品開発に応用されました。
(2) サンケア
ミネラル類に代表される紫外線散乱剤は配合量を高めることで紫外線防御力は高くなりますが、肌が不自然に白浮きしやすくなります。一方で、濃度を低くすると白浮きは防げますが紫外線防御力は低くなるというジレンマが存在しました。そこで、国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門教授 稲澤晋先生との共同研究により、世界で初めてミネラルサンスクリーン(ノンケミカルサンスクリーン)処方において、紫外線散乱剤が肌の上で最適な分散状態に変化する技術を開発しました。この技術により、高い紫外線防御力を発揮しながら、透明で均一な防御膜を形成する新しい日焼け止め製剤を提供することが可能になりました。これまでミネラルサンスクリーン処方の課題だった塗布後の白浮きを軽減させ、紫外線散乱剤が肌のキメまでムラなくフィットするため、紫外線防御力は本技術未搭載の場合と比較して最大2.2倍を実現しました。なお、本技術は日焼け止め製剤の開発において従来不適切とされてきた「凝集」状態(紫外線散乱剤の粒子が集まって繋がった状態)をあえて活用し、肌の上で均一な分散状態へと徐々に変化させることで実現されます。一般的に「凝集」状態は、機能が低下するため敬遠されていましたが、逆転の発想により日焼け止め技術の新たな価値へと転換することができました。本研究成果は「SHISEIDO」の商品開発に応用されました。
従来、ウォーターベース日焼け止めは軽い使用性のため、日常使いとして人気がある一方で、汗や水に弱く、紫外線防御膜が崩れやすいとされてきました。そのため、日焼け止め製剤開発においては、耐水性を高めるために紫外線散乱剤や被膜剤を多く配合することが一般的な手法となっており、白浮きやべたつき、衣類への色移りを引き起こす要因となっていました。そこで、ウォーターベースでありながら高い耐水性と紫外線防御力が持続し、かつ過酷な蒸し暑さや冷房による乾燥など外部環境の湿度変化に応じて肌表面の水分量を調整する新しい日焼け止め技術を開発しました。本技術は、汗や海水に含まれる金属イオンと反応する石鹸由来の成分を利用し、肌表面の塗布膜に特殊な構造を形成させることで撥水性と密着性を向上させます。水より軽く、柔軟でヨレにくい膜を形成することが可能になり、高い耐水性と紫外線防御力を持続しつつ、白浮きや黒い服への白移りが少ない透明な仕上がりを実現しました。さらに、外部環境の湿度変化に応じて自発的に水分透過をコントロールする技術を応用し、乾燥下では肌表面の水分を逃さずに留め、湿潤化では過剰な水分を放出することで常に肌表面の水分バランスを一定に保ち、シミの原因となる炎症因子IL-1αの活性化を抑制させることが期待されます。なお本研究の成果の一部は、第3回日本化粧品技術者会(SCCJ)学術大会にて発表を行っており、肌表面を覆って紫外線を防ぐだけでなく、日常のストレスや不快感、さらには環境にも配慮した製品の開発へつなげていきます。
肌の光老化についてまだ広く知られていなかった100年以上前から、いち早く紫外線防御研究に着手し、あらゆる環境下でも紫外線の悪影響から肌を守りたいという生活者ニーズに応えるべく技術開発を行ってきました。昨今、紫外線防御機能と高いスキンケア機能を兼ね備えた日中用化粧品の需要が高まる中で、当社はどのようにしてその期待に応えるべきかを考えてきました。そこで、東京科学大学の清水重臣特別教授との共同研究により、細胞内の不要な物質を分解し再構築するメカニズムとして知られるオートファジーの中でも、特に細胞が過度のダメージを負ったときに機能するオルタナティブオートファジーが、紫外線による肌の光老化を抑制する働きを持つことを明らかにしました。紫外線により損傷した表皮細胞内のミトコンドリア(注5)の周辺では、炎症性因子を発していることを確認し、オルタナティブオートファジーを活性化させると炎症性因子が抑えられることが分かりました。さらに、オルタナティブオートファジーが働かずに炎症性因子が表皮細胞の外に放出され、その影響が真皮細胞に及ぶようになるとコラーゲン分解酵素(NMP)の発現が高まることが分かりました。そして、オルタナティブオートファジーを活性化するエキスとして毛葉香茶菜エキスを見出しました。今回の共同研究の知見から開発したソリューションによって、従来の紫外線防御や抗炎症剤といった外側からのアプローチに加え、肌の内部からもシミによる肌悩みを防ぐ画期的なアプローチが可能になりました。
(3) メディカル・ダーマ
理想の肌を実現する手段として近年では美容医療が一般的になり、化粧品にも高い効果を期待する声が高まっています。美容医療技術で人気を博しているマイクロニードル(注6)は、肌に微細傷をつけ、薬剤の浸透を高めるとともに創傷治癒の反応を惹起し、皮膚深部の構造を再構築して高い効果をもたらすとされています。一方で、治療による出血等を伴う侵襲的な側面もあることから、施術を受ける際の負担、不安感が課題でした。そこで、美容医療に迫る高い効果と安全性を両立し、日常的に使用できる独自構造の次世代マイクロニードルを開発しました。「注入」と「押圧」の2つの機能を備えた新しいアプローチで、皮膚を傷つけずに皮膚浅層(角層を含む表皮)に有効成分を注入すると同時に、皮膚深部(真皮以下)に押圧刺激を与えることができ、免疫・血管・コラーゲンなどの細胞外マトリクス(注7)に関連する遺伝子群の発現状態を変化させます。まず、皮膚浅層のみを精密に刺し、同時に皮膚深部に押圧による圧刺激を効率的に与えることのできる形状パラメータを見出し、ナイアシンアミドなどの水溶性薬剤の浸透量を有意に向上させるとともに、素早くより深くまで送達させることを明らかにしました。次に、マイクロニードルを2日に1回の頻度で7日間使用し、皮膚深部に刺激を与えることにより免疫・血管・コラーゲンなどの細胞外マトリクスに関連する遺伝子群の発現を変化させ、皮膚を傷つけずに肌改善を促すことが示唆されました。さらに、ナイアシンアミドを配合したマイクロニードルの連用試験の結果、短期間でしわ・透明感を改善し、8週間後にほうれい線がより浅く、短くなっており、バリア機能を破壊せずむしろバリア機能を改善するなど複合的な肌悩みを改善することが明らかになりました。なお、本研究成果の一部は、第34回国際化粧品技術者会連盟イグアス大会2024にて発表を行っており、本研究成果を「SHISEIDO」の商品開発に応用しました。
また、日本におけるダーマ市場の成長に向け、皮膚科医等の専門医と協力した研究開発の強化を加速しています。東北大学病院 皮膚科・周産母子センター(以下「東北大学病院 皮膚科」という。)との共同研究により、生後2カ月時点で角層に含まれる特定のタンパク質が多い乳幼児は、3歳時点でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症する確率が高いことを発見しました。両親のうち少なくともひとりにアトピー性皮膚炎の既往がある乳児について、アトピー性皮膚炎・食物アレルギーの発症と角層中に含まれるタンパク室であるSCCA1量の関係性を統計的解析により調べたところ、生後2カ月時の頬の角層中のSCCA1の量は、アトピー性皮膚炎を発症していない乳幼児と比較をして、発症した乳幼児においては著しく高い結果となりました。また、生後2カ月時の口周りの皮膚の角層中のSCCA1の量が、食物アレルギーを発症していない乳幼児と比較をして、発症した乳幼児においては著しく高い結果となりました。これらの結果は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーで悩む方が増えている中、早期予測に基づいた適切なケアにより発症リスクが低減できることで乳幼児と家族の生活の質向上に寄与できると考えられます。本発見は着想から10年以上の歳月をかけて、東北大学病院 皮膚科との協働を通じて見出されました。なお、本研究の共同研究者である東北大学病院 皮膚科 小澤麻紀先生の論文は、2025年度サノフィ優秀論文賞「一般部門」を受賞し、本成果は2025年10月24日~26日に開催された日本アレルギー学会にて発表されました。今後も国内の皮膚科医等の専門医と協力した研究開発を通じ、敏感肌サイエンスを強化していきます。
肌の内部や身体と心の状態、さらにはそれらの関係性を解明する独自の技術を活用し、50年以上にわたって敏感肌の研究に取り組んできました。当社は、肌の敏感さには皮膚常在菌叢(注8)の中でも大きな割合を占めるアクネ菌と表皮ブドウ球菌の影響が大きいのではないかという考えの下、そのバランスに着目して研究を進めてきました。東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター井元清哉教授、植松智特任教授らとの共同研究において、敏感肌には、健康な肌に必要な表皮ブドウ球菌の生育を阻害する特殊なアクネ菌(以下「阻害菌」という。)が多いことを発見しました。この発見は従来よりも解析範囲と解像度を大幅に向上できる全ゲノムショットガン解析を活用した成果です。そして、この阻害菌を選択的に抑制し、表皮ブドウ球菌が育ちやすい環境を作る成分として、過酷な環境に生息する微生物由来の発酵エキスを独自のスクリーニングで見出しました。本研究で得られた皮膚常在菌叢に関する知見と成分は今後の敏感肌向けのスキンケア製品へと応用していきます。
(4) サステナビリティ
ボトル製造と中味液充填をワンステップで実現することで環境負荷を軽減する製造技術「LiquiForm(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ型容器にも採用し、環境負荷軽減だけでなく、化粧品ならではの容器の魅力や心地よい使用感に繋がるデザイン性、持ちやすさや使い勝手といった機能性を同時に実現する化粧品容器を開発しました。今回、ボトルを「LiquiForm(リキフォーム)」による成形で作ることで、現行品から容器単体のプラスチック使用量を約56%、CO2排出量(温室効果ガス排出量)を約48%削減(注9)可能です。ポンプの付いた硬い素材の容器上部をこの柔らかなレフィルに差し込む形状にするために、落下強度や中味の耐光性、ディスペンサーポンプ型ならではの中味の吐出のしやすさ、プラスチック量削減など複数の課題を解決しています。人間の手の大きさと本体容器のサイズのバランスなど、人間工学の観点からも検討を重ね、実際にお客さまにも試していただくことで、手になじむ最適な形状の開発に成功しました。本研究成果を「イプサ」の商品開発に応用しました。
パッケージに関してはサステナビリティへの対応のみならず、意匠性の向上にも取り組んでいます。その進捗の評価を受けるために公益社団法人 日本包装技術協会が開催する2025日本パッケージコンテスト(第47回)に出品し、当社製品が4作品で受賞しました。上述の「LiquiForm(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ容器に採用した「イプサ ME n 1~8(医薬部外品)」が本コンテストの最高賞であるジャパンスター賞の経済産業大臣賞を受賞しました。また、「アネッサ パーフェクト UV ブラッシュオンパウダー」、「イプサ ザ・タイム R アクア(医薬部外品)」が包装技術賞を、「SHISEIDO アルティミューン パワライジング セラム」が包装部門賞を受賞しました。日本パッケージコンテスト包装におけるデザインからロジスティクスに至るまでの各年の包装の最高峰と優秀群を決定するものです。最高賞のジャパンスター賞は、保護性や機能性等、多くの包装に求められる要件を満たし、かつ経済性や環境にも配慮された総合的に最もすぐれているパッケージに授与されます。今後も、環境への負荷が最小限になる原材料調達や処方開発など、独自の技術開発や社外とのコラボレーションを通じて、循環型の社会に貢献していきます。
(5) 生活者との共創による研究力の価値への転換
まずは、当社の強みの一つである感性研究の価値を生活者に実際に体験いただいた試みについてです。2025年7月11日~14日(現地時間)までの4日間、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」という。)の河瀨直美テーマ事業プロデューサーが担当するシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater – いのちのあかし - 」の対話シアター棟にて当社の感性研究である香りを用いた共感体験の実証実験を来場者参加型で実施しました。これは、人とのつながりの希薄化や孤独・孤立問題が懸念される現在において、香りに人々の関係性をより良い方向性に変えられる力があるかを実証するものです。森の集会所内感性研究体験機器で体験者の二人は向かい合い、お互いの顔を見ながら自由に対話を楽しみます。対話中、当社の感性研究技術により体験者双方の表情から関わる情報を読み取り、共感の度合いを計算、共感したタイミングで香りが空間に放出されます。体験後には、香りの提示された回数と最大共感度の結果を見ることができます。一人ひとりが生涯を通じて自分らしい健康美を実現できる社会を目指し、新しい感性研究・技術と、心と心のつながりの強化を実現し、五感研究・技術によってお客さま同士のつながりをサポートしていきます。
次に、処方技術や肌だけでなくひとをひと全体として捉えてきた肌・身体・心に関する基礎研究知見に触れていただく新たな場のローンチについてです。研究員が生活者とつながり、未来の美を共創するために、横浜・みなとみらい21地区に位置する研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1・2階を刷新し、「肌・身体・心がつながるサイエンスで、あなただけの美が、目を醒ます。」をコンセプトとした「Shiseido Beauty Park」を2025年1月22日にオープンしました。「Shiseido Beauty Park」には肌・身体・心のつながりを解き明かす先進サイエンス「Beauty Artscape」を体験できるラボとして「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」、「Shiseido Kitchen Lab」、そして「Shiseido Art & Science Lab」があります。さらに、オープンイノベーションを推進する「fibona Lab」や、すべてのイノベーションを支える研究員の進化を目指す「ShiseidoPeople Lab」があり、5つのラボで構成されています。総来場者数は目標を大きく上回り、「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」の予約は多くのキャンセル待ちが出るなど大変好評をいただいており、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向け、革新的な価値創出をさらに加速させていきます。
(注) 1 免疫細胞などの細胞の遊走を促進するタンパク質
2 Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy。蛍光寿命イメージング顕微鏡法。蛍光分子の固有の性質である蛍光寿命を利用して画像化する観察手法
3 細胞老化随伴分泌現象(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)と呼ばれる細胞老化した細胞が分泌する炎症因子等を含む様々な因子の総称
4 表皮角化細胞(ケラチノサイト)から分泌されるSASPのひとつ。メラノサイトがメラノーマへ転換する過程にもかかわることが知られている
5 1つの細胞の中に100個以上存在する細胞内小器官で、エネルギー産生など生きるために重要な役割を果たしている
6 マイクロスケールの超微細な針。角層に極小の穴をあけることで、皮内送達や細胞の賦活化を促す手法として、化粧品・医療分野での活用が進んでいる
7 生体組織において細胞間隙に存在し、網目構造、ゲル状を呈したタンパク質と糖質からなる不溶性の高分子会合体のこと
8 ある一定の環境に存在する細菌などの微生物群。マイクロバイオームとも呼ばれる
9 リニューアル前後でのレフィル容器単体のプラスチック量と温室効果ガス排出量を当社にて比較。容器単体での温室効果ガス排出量について、SuMPO EPDで第三者検証を実施済(ISO 14025に準拠)
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00990] S100XSCU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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