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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100MIVJ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ジェイテックコーポレーション 事業の内容 (2021年6月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」を経営理念とし、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」という経営方針のもと、産学連携を中心に技術開発、製品開発を推進しております。現在は大学や研究機関と共同で4件の競争的資金(委託開発、助成金)を獲得し、それぞれ技術開発を推進し、各種製品化を目指しております。
現在「オプティカル事業」と「ライフサイエンス・機器開発事業」の2つのセグメントを有しております。

(1) オプティカル事業
当事業では、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」やX線自由電子レーザー施設「SACLA」のような国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザー施設等で使われる反射表面の形状精度が1ナノメートル(10億分の1メートル、以下nmと表記。)以下の超高精度の反射表面形状をした集光ミラー、高調波カットミラーや回折格子基板等をユーザーに合わせて設計し、カスタムメイドで製造・販売しております。
当社は、2005年に大阪大学と理化学研究所が共同開発した世界で初めて硬X線を回折限界まで集光(最小集光径36nm×48nm)したX線ナノ集光ミラーの実用化に成功しました。
本X線ミラーは大阪大学の独自のナノ加工、ナノ計測技術により製造したX線ミラーであり“OsakaMirror”と商標登録し、2006年より販売を開始し、現在も世界の特に先端的な放射光施設やX線自由電子レーザー施設の研究者から高い評価を得ております。
現在、当社が販売するX線ナノ集光ミラーは国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザー施設等で使われ、顧客は主に国内外の国立研究機関や大学の研究者であり、年々積極的に新しい研究が提案され、当社ではその新しい光学系に対応した各種X線ミラーの開発に応えてまいりました。
近年、放射光施設やX線自由電子レーザー施設は、物理、化学、生物などの基礎科学研究分野から、高度化医療、創薬や材料評価などの応用分野に加えて産業利用ニーズも高まりをみせ、化粧品、食料品、電池、タイヤ等身近な製品の開発にも放射光利用は年々増大しており、各国の多様な地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)において、現在もコアな機関として位置づけられ、イノベーションを強力に推進しております。
しかし、この約1年半に及ぶコロナ禍の影響で、世界の放射光施設の研究者は研究意欲があるものの、特に欧米各国では放射光施設での計画が遅れ、研究自体の遅れも散見されておりましたが、最近、欧米では第4世代へのバージョンアップの計画も進み、特に中国においても10か所以上の新設やバージョンアップの計画が同時に進行するなど国家レベルで積極的に放射光利用を推進しております。また、国内においても東北に第4世代放射光施設「SLIT-J」が建設中で、2024年には稼働予定です。
この第4世代の放射光施設では光源がさらに強化され、より小さな試料やより高い空間あるいは、エネルギー分解能(放射線のエネルギー測定の精度を表す指標)で、より高度な分析が求められ、光を扱う技術への高度化の需要は世界レベルで高まり、当社の“OsakaMirror”の需要の拡大を期待しております。
当事業年度は、海外の競合他社に対して技術的優位性を保持するために独自のナノ加工、ナノ計測技術の高度化を進めるだけでなく、分析の多様化に伴った新しい次世代放射光向けのX線ミラーとして、形状可変ミラー、回転楕円ミラー、回転ウォルターミラー等を提案・納入するなど、研究開発を進め、魅力のある新製品を継続的に提案してまいりました。

本X線ナノ集光ミラーはカスタムメイドであり、研究者の実験条件等により、反射表面形状が異なります。当社は大阪大学、理化学研究所及び高輝度光科学研究センターとの共同研究を推進し、その研究を通してX線ミラーの光学設計のノウハウを習得しており、顧客である研究者に対して最適なX線ミラーの提案が可能となり、この点も海外の競合企業に対して強みと考えております。
販売体制としては、顧客の大半が国立研究機関や大学などであるため入札になる場合が多く、基本的に直接販売を行っております。また、放射光施設のビームラインをまとめて、あるいは一部をプラント業者に発注するケースもあり、その工事受注業者からの発注になる場合もあります。
さらに、例えば半導体及び宇宙分野などの成長産業分野で用いられる光学素子において従来の加工技術では不可能なナノメートルレベルの表面形状精度が望まれており、当事業年度は、このような成長分野に新規参入を図るために大阪大学、名古屋大学及びJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で新たな競争的資金を獲得し、新しいX線計測・分析技術の開発を推進し、さらに高精度の2次元集光X線ミラーの製造方法の確立を目指しております。
また、当社では現在のナノ加工技術EEM以外にも大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMやCARE(触媒基準エッチング法)加工を技術導入して実用化開発を進めており、総合的に加工の技術ポテンシャルを上げ、選択肢を広げることにより、これからも様々な産業分野への参入を図ってまいります。


〔事業系統図〕
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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図1.オプティカル事業系統図

なお、2021年6月期のオプティカル事業の顧客属性別の売上高(売上高比率)については、大学が22,660千円(4.4%)、企業が73,825千円(14.2%)、公的研究機関が422,788千円(81.4%)となっております。

(2) ライフサイエンス・機器開発事業
当事業では、創業当初より創薬スクリーニングに関連する各種細胞培養操作の自動化の開発を手掛け、その後、再生医療に関連する細胞培養操作を自動化した各種自動細胞培養装置やiPS細胞用の各種細胞培養装置の開発・製造・販売を推進してまいりました。
当社の自動細胞培養装置「CellMeister®シリーズ」は、培地と呼ばれる細胞増殖に欠かせない栄養分(培養液)を交換したり、細胞を培養したり、培養液を保存したりする様々な機能をオールインワンにまとめた全自動化のシステムであることが特長で、医療・バイオ分野では顧客の希望する内容が多様化しており、顧客ごとに独自の操作手順を提案し、カスタムメイドで自動化装置の製造・販売を行ってまいりました。しかし、iPS細胞の出現により、従来の高価な大型の自動細胞培養装置に対して、小規模な研究室でも広く使ってもらえる安価な量産汎用型を目指し、2013年に日本で初めてiPS細胞専用の培地交換に特化した自動細胞培養装置CellPet®の開発をし、さらに本培養装置をもとに、多様化するユーザーニーズに応えるために、後継機種「MakCell®」を開発、販売を推進してまいりました。
当事業年度は新型コロナウイルス感染症拡大が続く中、新型コロナウイルス治療薬の探索のために、設立当初より開発・販売してまいりました全自動型の細胞培養装置「CellMeister®」の引合いが増え、受注を獲得しました。さらに、量産汎用型の自動細胞培養装置「MakCell®」も、テレワークが推進され、就業時間の短縮化が求められるため、手軽な自動化装置として引き合いが活発になってきております。

再生医療分野においては、産業技術総合研究所と長年にわたり共同研究を推進してきた浮遊培養(培地内を細胞が浮遊状態で増殖する培養方法)の一種である独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をもとに、再生医療向け3次元細胞培養システムCellMeister® 3Dの試作開発に成功し、2016年度からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の競争的資金を得ながら、横浜市立大学及び神奈川県立こども医療センターと再生医療の医師主導の治験を目指し、共同研究を推進しております。
さらに、大阪大学医学部との共同研究を開始し、心筋細胞の培養に当社独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」を適用し、従来培養方法と比べ優位性が証明されました。今後臨床研究への導入を目指して共同研究を推進してまいります。
本培養技術を用いてiPS細胞等の培養への展開を図り、未分化維持培養のための回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」やスフェロイドを均一な小さな組織に分散する小片化装置「CellPet FT®」を開発、販売してまいりましたが、さらにオルガノイド培養向けに特化した培養装置「CellPet® CUBE」や酸素透過型の培養容器など関連機器を積極的に製品開発し、当事業年度は国内での実績を上げてまいりました。
今後は「CellPet 3D-iPS®」や「CellPet® CUBE」の海外展開を図り、受注につなげてまいります。
また、今後は東北大学医学部と共同開発を進めております「網膜色素変性症治療のための埋込型薬剤徐放デバイスの作成装置」や公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(神戸)及び日本光電工業株式会社と共同開発を進めております「脳梗塞治療用の幹細胞分離機器」(AMEDの競争的資金を獲得)は、医療機器としての製造・販売を目指してまいります。

一方、機器開発事業では、当社X線ミラーを用いた集光装置やナノ加工装置関連の機器開発、企業からの委託開発業務及びOEM生産等も実施しており、当事業年度は従来からのOEM製品のロット生産、当社X線集光ミラー用の集光ユニットの製作だけでなく、VOC関連機器の委託開発や水晶振動子メーカーからの水晶振動子ウエハの厚みを均一に加工する量産加工システムの開発に成功し、パイロットユーザーに納品いたしました。
今後は国内外の水晶振動子メ―カー等を中心に本格販売してまいります。

当事業では、自社製品及び委託開発製品の開発・設計は自社で実施しておりますが、製造に関しては外部の協力会社に委託するファブレス化を進めております。
また、販売体制は、直接販売のほか販売チャンネルとして広く販売代理店を活用しております。

〔事業系統図〕
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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図2.ライフサイエンス・機器開発事業系統図

なお、2021年6月期のライフサイエンス・機器開発事業の顧客属性別の売上高(売上高比率)については、大学が7,668千円(2.6%)、企業が287,515千円(95.5%)、公的研究機関が5,890千円(1.9%)となっております。

(3) その他事業
当社は、2021年5月に電子科学株式会社を子会社化いたしました。同社は、昇温脱離分離装置(TDS)のメーカーで、本装置は、超高真空環境に設置した試料を独自の加熱方式(赤外線)により試料から微量に放出される成分(特に水素、水)を四重極質量分析装置(QMS)で、独自の分析ソフトウェアにより高感度でリアルタイムに検出する装置です。
現在、半導体や液晶業界を中心に材料の研究や、製造工程の評価、品質管理に用いられており、高い評価を得ております。しかし、本装置は、その他鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等様々な産業分野にも用いられるポテンシャルがあり、最近では海外からの引合いもありますが、営業体制等の問題で積極的に取組めていないのが現状であります。
そこで、当社のオプティカル事業の海外チャンネルを用い、営業体制の強化による拡販が急務と考えております。

注1:大型放射光施設「SPring-8」(Super Photon ring-8 GeV)
「SPring-8」とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。「SPring-8」では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーから産業利用まで幅広い研究が行われています。「SPring-8」の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来しています。
「SPring-8」は国内外の産学官の研究者等に開かれた共同利用施設であり、1997年から放射光を大学、公的研究機関や企業等のユーザーに提供しています。課題申請などの手続きを行い、採択されれば、誰でも利用することができます。
「SPring-8」の施設者は理化学研究所であり、「SPring-8」の運転・維持管理、並びに利用促進業務を高輝度光科学研究センターが行っています(図3参照)。

注2:X線自由電子レーザー施設「SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」
2006年3月に策定された第3期科学技術基本計画(2006年3月28日閣議決定)において国家基幹技術の一つとして選定されたX線自由電子レーザー施設として、2006年度から理化学研究所と「SPring-8」を運営する高輝度光科学研究センターが共同で施設の建設・整備を行い、2011年3月に完成、0.063nm(0.63Å(オングストローム:微小な長さを表すのに用いられる単位。1Å=0.1nm))の世界最短波長のX線レーザー生成に成功した施設であり、2012年3月7日より供用運転を開始しています(図3参照)。

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図3 大型放射光施設「SPring-8」、X線自由電子レーザー施設「SACLA」


沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E33777] S100MIVJ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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