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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L3IS (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 ニューラルグループ株式会社 事業の内容 (2020年12月期)


沿革メニュー関係会社の状況

(1) 事業の概況

当社は、「世界を便利に、人々を幸せに」をミッションとし、独自開発のAIアルゴリズムによる画像・動画解析と端末処理(エッジコンピューティング)技術を活用した「AIエンジニアリング事業」を展開しております。
なお、当社は、AIエンジニアリング事業の単一事業であります。デジタルトランスフォーメーションの潮流が加速し、さまざまな分野のデジタル化が進む中、新しい社会の形、人々の働き方の変化に合わせて「人流・防犯」、「駐車場・モビリティ」、「3D都市マップ」、「サイネージ広告」、「在宅勤務支援」、「ファッショントレンド解析」の6つのサービスを展開しております。

(2) 当社技術の特徴と優位性

① 独自の深層学習技術のライブラリの開発
当社は、技術分野として、独自の深層学習技術のライブラリを開発し、当社AIエンジニアリング事業に活用しております。深層学習の開発にあたっては、汎用のオープンアルゴリズムを転用せず、独自の学習データを収集して構築した高い検出精度の学習モデルを使用しております。また、当社は、光学分野の専門家等を有しており、画像の認識・解析の際に、カメラ特性等を踏まえた独自の前処理、後処理による精度の向上、新しい学習データによるAI技術の使用目的に合わせたカスタマイズをおこなうことができます。当社では、深層学習における学習データ準備に深い知見をもつアノテータチームがサービス開始後もAIの精度の継続的な向上を進めております。
例えば、ファッショントレンド解析関連サービスでは、ファッションコーディネート画像を学習データとして独自に収集・分類し、98%注を超えるファッションアイテムの検知を実現しております。
学習データの仕分けに用いる独自のソフトウエアを開発・保有しており、数百万枚規模の学習データ分類を用いた学習モデルを数ヶ月という短期間にて実装する能力を保有しております。また、実際の画像を基にコンピュータ・グラフィックスを活用した学習モデルの開発も行っております。開発した学習モデルは、さまざまなサービスに活用・転用でき、新規サービス開発期間の短期化や、AIモデルの継続的な精度向上、スケーラビリティをもった事業開発に直結しております。
(注)人物の全身が映った100枚の写真を対象に行ったファッションアイテム検知の精度評価において、写真に写っていた424のファッションアイテムうち416アイテムを正しく検知し、正解率は98.1%となりました。

② 端末処理(エッジコンピューティング)による深層学習モデルの優位性
当社は、端末処理(エッジコンピューティング)による深層学習モデル(エッジAI)の低コスト活用を進めております。これまでのAI解析では、動画や写真、音声やデータといった容量の大きな情報を、通信網を用いてサーバールームにアップロードし、サーバーで大規模処理を行う必要がありました。こうしたサーバールームの活用は、画像を送受信する通信網やサーバーへの負担に加え、通信料やサーバールームの運用コスト、電気代などが大きく膨らむことから、AIサービスが広く実社会に浸透していくための課題でした。
エッジAIでは、画像を撮影しながらカメラなどに搭載したエッジコンピューター内でAI解析が行われ、解析後のメタデータ(解析結果を記した文字データ)のみが必要に応じてサーバーに送信されることになります。そのため、容量の大きい動画そのものを通信を使って送受信する必要がなく、大規模なGPUサーバーを使う必要がないため、低コスト化・省電力化が実現できます。また、携帯電話が使える程度のインターネット環境と電源さえあれば、当社のAIを搭載した機器の設置ができることから、拡張性の高いサービスを提供できます。
エッジコンピューティングを活用することで、個人情報を含む人物の顔画像等をサーバーに送ることなく解析できることから、個人情報やプライバシー保護の面においても優位性の高い技術と言えます。
当社のAIソフトウエアはデバイスとプロセッサ種別に横断的に搭載することが可能です。当社は、商用基準を満たすパッケージを用いた開発の経験を有しており、社会インフラとして設置できる信頼性を担保した製品を開発することができます。また、内蔵のメモリに負荷をかけない最適化されたアルゴリズムを実装する開発に深い知見を有しており、スマートフォンにもこれまでになかった高度なAIを組み込むことが可能です。
当社はエッジコンピューティングを積極的に用いることにより、保有する深層学習モデルの産業応用を加速すると同時に、省電力化といった環境負荷低減やSDGs(持続可能な開発目標)、プライバシー保護に配慮した産業発展を支援しております。

③ 独自に開発する軽量・高精度な深層学習モデルと、エッジコンピューティングの親和性の活用
AIとエッジコンピューティングの親和性の高さは、従来から認識されていましたが、エッジコンピューターに深層学習モデルを搭載するには、モデルの軽量化が必須要件でした。オープンソース化された汎用ライブラリを組み合わせて開発した深層学習モデルでは、メモリサイズが大きすぎることがら、エッジコンピューター上で動かすためには独自に軽量化したモデルを開発する必要がありました。当社は、独自に開発した軽量・高精度な深層学習モデルと、エッジコンピューティングの親和性を最大限に活かし、拡張可能性を担保した深層学習の開発と事業化を進め、AIサービスの活用場面を広げてきました。当社は、エッジAI技術によるビジネス創出基盤を持つAIエッジプラットフォーマーとして事業を推進しております。


(3) 独自に開発・保有する深層学習モデル及び開発・運用支援ツール

当社が現在保有している深層学習の学習モデル及び開発・運用支援ツールは、以下の通りとなっております。
深層学習モデル又は開発・運用支援ツール名機能
物体検知・分類ライブラリ通行する車両や人物、動物の検知と種別解析。インフラ破損、災害発生の有無の検知。
単眼カメラ・360度カメラ・暗視カメラによる
奥行き推定ライブラリ
多様な単眼カメラで、空間の奥行、距離、位置座標を把握。人間が空間認識をする過程と全く同様な奥行推定を実現。
視線検知ライブラリ人物の姿勢などの情報から視線方向を読み取ることで、興味の有無を推定。大人数の中や歩行中などでも適用が可能。
グループ解析ライブラリ歩行者が一人で歩いているか、それとも複数人のグループで歩いているかを推定。
歩行モード解析ライブラリ歩行速度や経路などのモードを分析することで、通行者の消費意欲 (ショッピングに足をとめそうか等)を推定。
通行者属性推定ライブラリカメラを用い、通行者の年齢・性別を、歩行中かつ距離が離れている状態から推定する。
ファッション属性解析ライブラリ着衣のアイテム・色・模様などを認識。その情報を組み合わせることで、人物の属性(ビジネス、カジュアル、等)を推定。
顔画像からの人物検知・認証ライブラリ
(同一人物特定)
人物の顔から、同一人物を特定。複数のカメラにまたがった情報も連携可能。
全身画像からの人物検知・認証ライブラリ
(同一人物推定)
人物の体格・ファッション・所有物などから、同一人物を推定。顔が見えない遠距離や、後ろ姿からでも推定が可能。
車両ナンバープレート認識ライブラリナンバープレートの文字認識を行う。OCRを用いた既存技術とは異なり、動きブレや汚れなどに頑健な認識を実現。
車両ナンバープレート学習用画像生成ツールアクティブラーニングを用い、車両ナンバープレート認識ライブラリ向けの学習データを迅速かつ大量に生成。
スマートフォンでも動作可能な軽量化済み
物体検出・分類ライブラリ
軽量化された物体認識モデルにより、スマートフォンなどの限られた計算リソースの中でもリアルタイムで物体認識を実現。
動体検知・分類・追跡ライブラリ動体を対象とし、非常に少ない計算資源においても、高速な物体認識と分類・追跡を行う。
3次元箱形状測定ライブラリスマートフォンのカメラにより撮影された画像から、箱の縦・横・高さを非接触で一度に測定。
作業工程認識ライブラリ工場などにおける作業員の作業工程をカメラ動画から自動で読み取る。少量のサンプル画像により工程の登録が可能。
作業動線解析ライブラリ工場・倉庫などにおける作業員や車両などを、360度カメラなどから認識・追跡することで、動線を解析。
異常検知・予知保全ライブラリ構造化データと非構造化データを活用し、機器の故障やパフォーマンス低下を予知。
CTスキャン異常検出ライブラリCTスキャン画像から、不良個所を検知。人が目視確認するよりも高い精度で、不良を判定。
GANを用いた異常検知ライブラリGANの技術を応用し、異常画像が少ない条件下であっても、高感度で異常を検知。
ブラウザで高速動作可能なスマホ・人物・顔認識ライブラリスマホ・人物・顔認識といった複数の認識処理を、ブラウザ内で高速に実行可能
満空認識ライブラリカメラで撮影された画像から、駐車場や店舗内の席などの満空状況を認識する。
広告配信最適化ライブラリデジタルサイネージ前の通行者属性や過去の視聴率などを元に、広告の配信を自動最適化する。
予測・レコメンドエンジンライブラリ時系列情報を用い、将来予測とそれに伴うレコメンドを実現。行動履歴から消費行動や危険行動を予知する。
流行自動検出ライブラリファッショントレンドなどの時系列情報から、突発的に発生した流行を自動検出する。
単眼カメラによる3次元モーション解析・
3Dモデリングライブラリ
単眼カメラで、人体の形状や服装のしわなどを正確に3Dモデルで再現。人間の行動解析や、スポーツ選手のパフォーマンス管理を実現。
シミュレーションを併用した画像認識モデル生成フレームワークシミュレーションを活用し、かつ、それに適した学習モデルを準備することで、学習モデル開発を加速。
アクティブラーニングを用いた
アノテーションツール
アクティブラーニングを用いることで、迅速なアノテーションを実現。使えば使うほど効率化が進む仕組みを実現する。
サービス横断的なデータの統一管理ソリューション当社が提供する複数サービス間で、匿名化情報を統一管理するためのデータ管理プラットフォーム。
モジュール化された地方自治体向けソリューション地方自治体における様々なユースケースに対応可能な柔軟性を持つ、モジュール化された分析プログラム
エッジデバイスライブラリ管理システムエッジデバイスに搭載される深層学習モデルを管理する各種ソフトウエア。低コストでスケーラビリティのあるAI活用を実現。
エッジデバイス死活監視システムエッジデバイスにおける各種ライブラリ・ハードウエアの稼働状態を監視し、動作ログを一括で管理。
エッジデバイス自動インストーラー携帯通信を用いることで、多数のエッジデバイスの、遠隔地からの自動インストール・アップデート・メンテナンスを実現。
エッジデバイスセキュリティシステムエッジデバイスの盗難や改ざんなどに対するセキュリティを担保するシステム。



(4) 展開するAIサービスと販売形態

当社は、独自に開発した多数の深層学習モデルを用いて事業を創出し、AIサービスを提供しております。現在、当社で展開するAIサービスは、以下の通りであります。いずれのサービスにおいても、ライセンス供与の対価を受領しています。「サイネージ広告」では、当社AIを搭載した機器の広がりに応じて顧客企業の利益の一定割合をサービス対価として受領する予定です。独自開発のライブラリを掛け合わせてサービス開発を行うため、新たに多額の研究開発費を投入することなく新規サービスの開発が可能となります。
① 人流・防犯
新型コロナウィルスの感染拡大により、人の混雑や交通渋滞を回避できる都市モデルへの社会的ニーズが高まっています。そうした要請に応え、当社サービスを観光地での過観光回避や人が密集しやすい場所の防犯対策等での当社サービスの活用が進んでいます。
また、地方創生の枠組みでは、道の駅などの観光施設の活用の見える化や効率的な施設運営に活かすサービスも徐々に広がっています。
具体的には、官公庁や地方自治体と連携して、国内複数拠点の街づくりプロジェクトの実証実験等に関わり、海外大手デベロッパーと当社顧客企業が共同で進めるASEAN/OCEANIA諸国で進むスマートシティ案件への参入を進めています。

② 駐車場・モビリティ
当社は、AI画像解析技術及びエッジ処理技術を応用した駐車場サービスを展開しております。当社技術を活用すると駐車場全体の満空状態だけでなく、具体的にどの車室が空いているのかといった詳細情報を限られた台数のカメラを設置するだけで把握することができます。また、従来のOCR(光学的文字認識)技術に変わる新しい技術を開発し、ナンバーナンバープレートを100%に近い精度で検知できるようになりました。事前登録などと合わせてパーキングチケットのチケットレス化への取り組みも強化し、精算時の混雑を緩和し、より快適なパーキング運営の実現を目指しています。
本サービスにおける当社の位置づけ
(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
当社は、AIカメラに搭載するAIソフトウエアの提供・機能更新、データレポーティングを行います。ショッピングモールの大規模駐車場や、物流施設のトラックバース等で導入が進んでいます。顧客がカメラ等の機器を購入し、当社がそれにAIソフトウエアを搭載する方法が主流ではありますが、顧客の要望に応じてカメラにAIソフトウェアを搭載したAIカメラをセットにして提供するユニット販売も開始しております。
(ⅱ) 本サービスの特徴
屋外の大規模駐車場から屋内の小規模な駐車場までさまざまなタイプの駐車場で導入いただけるサービスです。1台のカメラで最大200車室の満空を解析することができるのが最大の特徴で、駐車場運営の効率化を実現します。
・設置の容易さ
本サービスで使用するAIカメラは、多くの数値・指標をリアルタイムで取得するという非常に高度な機器ではあるものの、設置においては、設置作業者に特別な技術を要求することはなく、設置する機器の画面に表示される指示に従って数分程度の簡単な作業を行うだけで設置を完了できるようにしております。通常、高機能機器は、その管理運営面においても相応の技術を要求するケースがあり、事業展開の大きな課題となりますが、本サービスで使用する機器は、オペレーションの簡易さとして設置作業の難易度が低いという特徴を有しています。
・エッジ処理技術の活用
取得する数値・指標の判定等の全てを機器の端末内で完結させるエッジ処理技術も大きな特徴となっております。通信負荷が低く長時間にわたり安定稼働ができ、また、データ送信などに有線回線が不要なため、AIカメラから外部に出る配線は電源コードのみで、機器の出荷・納入、設置の手軽さにつながっています。

③ 3D都市マップ
当社は、AI画像解析技術及びエッジ処理技術を応用することで、スマートフォンで運用可能なAI搭載のドライブレコーダー「スマートくん」を提供しています。当該アプリケーションをダウンロードすることで、ユーザーのスマートフォンがドライブレコーダーとして使えるようになります。本サービスでは、録画機能を搭載するだけでなく、急発進・急ブレーキ検知や前方車両発信アラートなどの機能を搭載しております。当社は、これを無償で提供し、ユーザーの同意のもと当該ドライブレコーダーを介して運転データや白線欠損、道幅、道路の傾き等の道路情報、駐車場の有無や価格、道の混雑などの道路周辺の情報の取得が可能です。こうした情報をAI解析に活用し、リアルタイムの街の情報が分かる3D都市マップ化し、自動車会社、タクシー会社や保険会社といった事業者へ有償で提供し、さまざまな事業に役立てていくことを想定しています。
④ サイネージ広告
従来のデジタルサイネージは、広告を掲示するだけで、視聴者の属性や視聴率、視聴後の動向などを解析できませんでした。また、ネットワークに接続されておらず、設置するデバイス毎に個別でシステムを設定する必要がありました。そのため、設置の際の初期投資が大きく、作業にも時間がかかり、また、設置後も定期的なメンテナンスや緊急の不具合対応が必要な場合には、エンジニアが設置場所で作業しなければならず、人的にも負担がありました。そうした課題に応えるべく、広告主や不動産企業、商業施設等の施設運営者に向けたAIデジタルサイネージ広告サービスの本格提供に向け、当社、大手通信事業者及び大手広告代理店が連携して取り組みを進めてまいります。
当社が提供するAIを搭載したカメラとエッジデバイスを使ったデジタルサイネージでは、オンラインで一斉に端末の設定を行うことができます。また、広告コンテンツを放映しながら、通行人の動きを感知し、視聴情報や施設内の人の流れなどの空間情報を各端末がその場で取得します。服装や人数によってビジネス利用か、家族連れかなどをAIが判定します。そうした属性情報は、その人が端末を見ていた時間などの視聴情報と一緒に解析され、施設運営者と広告主にそれぞれ報告されます。施設運営者においては、施設の来館者数や人の流れ、属性情報を取得でき、それに合わせてクーポンなどを活用したテナントマーケティング支援などによって来訪者行動の流動化を促すことができます。広告主は、サイネージ広告の視聴に係る詳細情報を把握することで、効果を測定し、広告内容を改良することができます。また、来館者等の属性を把握できることで、時間帯ごとの視聴者属性に合わせて放映する広告を変更するターゲティング広告も可能になります。
(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
大手通信事業者は、本事業の旗振り役として各関係者との調整のハブを担います。主な役割としては、サイネージ機器の発注・調達・設置前の保管、設置作業・保守メンテナンス、顧客窓口対応、設置先(商業施設、オフィスビル等)への営業活動、サイネージ機器への通信機能提供を担います。
大手広告代理店は、サイネージで放映する広告コンテンツの広告主集め、及び広告コンテンツの制作・集約を担当します。また営業で獲得した設置先ごとの広告枠の管理や配信準備、AI機能で検知した数値の広告主向けのレポーティング準備など、サイネージ展開を実際の広告メディアとして構築する一連の活動を担います。
当社は、AIソフトウエアの提供・機能更新、AIで検知した数字(広告視聴率、属性解析等)のデータレポーティングを行います。
本サービスの収益については、契約に基づき大手通信事業者から固定報酬を受領しております。今後、本格運用が進んだ段階においては、現行の固定報酬に加え、大手通信事業会社が大手広告代理店から受け取る広告収益のうち一定の割合を受領する報酬形態とするべく、協議が進んでおります。
(ⅱ) 本サービスの特徴
本サービスで使用するサイネージ機器では、従来品では取得できなかったものを含め、年齢・性別の推定、視線の検知、ペルソナ判定、歩行速度解析、ビジネスパーソンのグループか家族連れかなど多くの数値・指標をリアルタイムで取得できるという特徴があります。また、駐車場・モビリティで使われるAIカメラと同様に、エッジ処理技術の活用で通信負荷が低く長時間にわたり安定稼働ができ、また、有線回線が不要です。機器の出荷・納入、設置の手軽さと高精度のリアルタイム解析を実現しております。

上記のとおり、本サービスで使用するサイネージ機器は、従来の機器では対応できなかった付加価値の提供可能なため、施設運営者側及び広告主側の本サービスを利用することの動機付けになっていると考えています。

⑤ 在宅勤務支援
新型コロナウィルス感染拡大を受けた緊急事態宣言を受け、国内外の多様な事業者において、従業員の在宅化が急速度で進みました。そうした新しい働き方を支えるソリューションとして在宅勤務支援「リモデスク」の開発し、特に、個人情報を多く扱うために在宅勤務が難しいとされているコールセンター向けにサービスを提供しています。
エッジAIの優位性を生かし、個人情報保護やプライバシーに配慮しながら自宅でも高い情報セキュリティを維持できるインフラを整えることで、コールセンターの在宅化を推進するツールとして活用の場を広げております。
(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
当社は、本サービスにおいて、ユーザーが使用する一般的なコンピューターに内蔵されたカメラとCPUを使って画像を解析しております。コールセンター内で問題行動とされる、スマートフォンを使った画面撮影や、オペレータ―以外の第三者のなりすまし、画面の覗き込み等の行為が行われた場合に、それを検知し、監督者に通知するAIソフトウエアを提供しております。
(ⅱ) 本サービスの特徴
本サービスはエッジAIを活用することにより、勤務中の画像を通信し続けることなく、問題行動が起きた場面だけが通知される仕組みになっており、働く人の個人情報やプライバシーを保護しながら、機密性の高い情報を扱う方の在宅勤務を可能とするサービスです。顧客側では特別な機器の導入の必要がなく、容易に導入できるのも特徴の一つです。
⑥ ファッショントレンド解析
当社は、拡大する余剰在庫や商品値引、並びに焼却廃棄等の社会問題に課題認識を持ち、AIを通じた業界再生やSDGs(持続可能な開発目標)の観点での持続可能性の向上、人の感性に頼った手作業からの進化を目指しています。
(i) 本サービスにおける当社の位置づけ
当社は、本サービスにおいて独自の画像解析エンジン(特許 第6511204号)を用いて、SNSなどにおける2,500万枚以上のファッションコーディネート画像をAIが解析し、ファッションのアイテム(シャツ、ポロシャツなど)、色彩(ホワイト、グレーなど)、シルエット(半袖、長そでなど)、素材感(ナイロン、レザーなど)などをビッグデータ化します。
本サービスのユーザーとなるアパレル企業は、そのデータ解析結果により、それまで属人的な勘と経験によって断定されていたファッション特性を定量化し、MD(商品企画)業務をデジタル化・強化しています。
(ii) 本サービスの特徴
AIによるファッション解析を行うことで、トレンドに合わせた商品投入計画の策定に活用され、プロパー消化率(定価で販売した割合)の向上に寄与するサービスです。直近のトレンドデータに基づき、値引き判断を最適化することもできると考えています。結果として、投入商品と在庫水準が最適化され、営業利益率の改善につながると考えています。当社サービスを活用して企画された商品は大手アパレルブランドをはじめ、全国の店舗で販売されています。当社サービスを導入している顧客企業の一部ではプロパー消化率を改善する成果があがるなど、粗利改善に貢献しています。

ファッショントレンド解析においては、AI MDのトレンド予測を活用したECサイトでのレコメンド機能の拡充やサイネージを活用した実店舗のデジタル化等、新たな取り組みも進んでいます。







用語集
用語用語の定義
アクティブラーニング学習データ作成の労力を低減することを目的として、AIに初期的な推論を行わせ、それを人間が評価を行う学習データ作成手法
後処理検出精度の向上を目的として、出力データに対して行う処理
アノテーション人工知能の学習に用いられる学習データ作成作業のこと。物体検出であれば、画像内の当該箇所を指定し物体種別を設定する作業を、多数の画像データに対して行うこと
アノテータ学習データを作成する者
アルゴリズムコンピュータ上における問題を解くための手順・解き方
AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム
MDMerchandising:目標を達成するために行う商品構成、仕入れ、販売方法、価格設定、陳列、販売促進等を計画・実行・管理すること
学習データ学習モデルのアルゴリズムで使用される内部変数を最適化するのに使われるデータであり、特に画像と正解ラベルを組みにしたもの
学習モデル画像等を入力とし、推論を行わせるための機械学習アルゴリズム
機械学習技術人工知能技術の主要な研究分野。データを反復的に学習させ、そこに潜むパターンを見つけ出すことで、コンピュータ自身が予測・判断を行うための技術・手法
強化学習行動が環境の状態変化を引き起こし、目的にかなうと報酬を受け取れるモデルにおいて、試行錯誤による学習を繰り返し、状態に応じて報酬を最大化する行動を学習する
計算資源計算機が計算量のために費やす、具体的あるいは抽象的な資源のこと
検出精度正解ラベルと学習モデルによる推論結果の一致度
構造化データコンピュータが処理できるようにルールに従ってつくられたデータ、行と列を持つ表形式のデータのこと
サイネージ表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字を表示する情報・広告媒体
深層学習技術ディープラーニング(Deep Learning、深層学習)。ニューラルネットワークにより機械学習技術を実装するための手法の一種。従来の機械学習技術では人間が特徴量を定義する必要があった(複雑な特徴を表現できない)が、ディープラーニングではアルゴリズムが学習データから特徴量を抽出できる技術・手法
スケーラビリティ機器やソフトウエア、システムなどの拡張性、拡張可能性
スマートシティ先進的技術の活用により、街の機能やサービスを効率化・高度化し、各種の課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する街づくりのこと
3Dモデリング2次元の画像データを3次元で表現すること
端末処理(エッジコンピューティング)データをデータセンターに送信せず、端末自体によって処理すること
ニューラルネットワーク人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化したものの組み合せのこと
非構造化データ例えば文書テキストや画像など、テーブル形式で整理されていない生データのこと
プロパー消化率建値消化率のこと。すなわち投入商品が値引き・廃棄等されずに売れた割合のこと
前処理検出精度の向上を目的として、入力データ(画像等)に対して行う処理(白黒化、明度調整等)



沿革関係会社の状況


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