有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TVRZ (EDINETへの外部リンク)
日本電解株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
研究開発の基本方針
当社グループでは、今後の市場ニーズや技術動向を先取りした製品を提案し、「未来に貢献する銅箔の製品化」を開発の基本方針とし、研究開発に取り組んでおります。
また、改正RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances:電子機器における特定有害物質の使用を制限するEU(欧州連合)の指令)をはじめとする有害物質規制に適応し、新規化学物質を使用する場合は、社内の化学物質審査専門委員会で安全性を確認した後に製品への適用を実施しております。当社では環境に配慮しつつ、顧客ニーズに対応する製品を提供します。
当連結会計年度における品種別の研究成果は以下のとおりです。
(1) 車載電池用銅箔
電動自動車の高性能化に伴い、LIBの高機能化、次世代電池の開発のため、負極集電体に用いられる電池用銅箔にも様々な特性が要求されています。各種電池の技術要求に対応するため、当社ではベース銅箔の機械特性制御や表面処理技術を適用した多様な電池用銅箔の研究開発を進めております。また、大学等、外部研究機関との共同研究を進め、先端の分析技術や解析技術の活用も行っております。その中で、車載電池用銅箔においては、国内外xEV関連企業と共同で、
① 高容量化を実現する次世代LIBに対応する銅箔の開発
② 全固体電池に対応する銅箔の開発
③ 電池サプライチェーン強靭化に対応するため、蓄電池に用いられた銅箔の再利用技術の開発
について各々研究開発を進めました。
①の高容量化を実現する次世代LIBに対応する銅箔の開発については、充電時間の短縮や航続距離・加速性能の向上(高容量・高エネルギー密度化)等を実現するため、高強度・高密着性表面処理銅箔の研究開発を進め、既に新規負極材料や工法に最適化した表面処理銅箔を実現し、良好な評価結果を確認しております。この結果に基づき、顧客と共同して、LIBの実装評価を進め、量産スケールを見据えた設備による評価に移行しております。
②の全固体電池に対応する銅箔の開発については、安全性・信頼性の飛躍的向上、高エネルギー密度化等を実現するため、全固体電池用負極集電体への最新の要求特性調査、国内自動車メーカーとの共同研究の推進、国内外電池メーカーへのサンプル供試等を進めておりますが、顧客による製品化がやや後ろ倒しとなり、製品採用は遅れる見込みとなっています。
③については、蓄電池に含まれる不純物成分が再利用する銅原料に混入することを防止する必要があり、回収された銅溶液から不純物を除去する技術の検討を行いました。
(2) 回路基板用銅箔
移動体通信の5G規格に代表される高周波領域に対応するため、また、HDI(高密度相互接続)基板に用いられる微細配線に対応するため、銅箔にはより低い表面粗さと樹脂基材との密着性が要求されます。回路基板用銅箔においては、
① 高速通信(高周波領域信号)に対応するための低損失銅箔形成技術
② 低損失銅箔を低誘電率基材に密着させるための銅箔表面処理技術
について各々研究開発を進めました。
①の高速通信、5Gに対応する銅箔については、銅箔の平滑化技術及び伝送特性を損なわない表面形状の最適化技術の高度化を図り、電気信号損失の最小化と樹脂基材との密着性の両立を実現し、5G分野の顧客製品に採用されました。さらに次世代の高速通信(6G等)に対応した銅箔を実現するべく要素技術の開発を行っております。
②の技術を適用する低損失銅箔は、次世代の高速通信に適用可能なものですが、様々な低誘電率基材を用いても高い密着性が要求されます。そのため、適用される低誘電率基材の種類に応じて銅箔の表面処理技術を顧客要求に応じた設計をする必要があり、その基盤技術を開発しています。今後、顧客から要求される様々な種類の低誘電率基材に対応した極低損失表面処理銅箔の製品化を進めていきます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は185百万円です。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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