有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VI6W (EDINETへの外部リンク)
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 事業等のリスク (2024年12月期)
NXグループは、リスク発生の抑制および発現時の被害最小限化に向けた予防的活動をリスク管理として、発現したリスクへの対処を危機管理として定義し、これらを統合的に管理する体制を整備しております。リスク管理においては、リスク統括部門がNXグループ全体におけるリスクの棚卸および定期的なリスク評価実施の推進、NXグループにおける重要リスクの特定、重要リスクのモニタリングを行い、リスク所管部門・NXグループ各社と連携し、リスクへの対応に取り組んでおります。リスクマネジメントの推進にあたっては、代表取締役社長を委員長としたリスクマネジメント委員会を設置し、NXグループの重要方針や重要課題について協議し、取組みを推進しております。
NXグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものであります。
(1)事業環境に関わるリスク
①市場環境の変化について
NXグループは、B to Bの企業間物流を中心に事業を展開しておりますが、生産分業や多国間取引の拡大など顧客の事業活動のグローバル化はより一層進展しております。そのような中において、米中間の貿易摩擦やテクノロジーを巡る覇権争いは近年激化しており、貿易や製造業の成長の下押しの要因となりうる不確実な状況が続いており、また、アジアや東欧、中近東を中心とした紛争等による地政学リスクも高まっております。これらを背景に世界マクロ経済が後退すると、顧客企業の輸送需要の動向に影響を与えることになり、NXグループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなります。特に、米国、中国経済の鈍化は日本を含む多くの国々の製造業にも影響することもあり、NXグループのロジスティクス事業セグメントにおいて大きな影響を及ぼす可能性があります。
引き続き、製造業の顧客に対する生産調達物流に関わる貢献領域の拡大に取り組むとともに、各国における消費財関連の販売物流領域の一層の強化、拡大や、新興エリア等への事業進出の加速などを通じて、リスク低減に努めてまいります。
また、NXグループの事業の中心は「ロジスティクス(日本)」であり、今後も事業の核となるのは強みである日本事業と日系企業との取引になると考えております。一方で、少子高齢化を背景とした需要低下の予測や、eコマースを代表としたロジスティクス物流の変化など、日本国内市場における事業環境は変化するとともにB to Bの貨物輸送需要は減少することが想定されます。
日本国内市場の輸送需要の減少は、NXグループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクとなりますが、中長期的な課題として位置付けており、当面は緩やかな減少になると考えております。引き続き、NXグループの事業の中心である日本でしっかりと収益を確保するとともに、医薬品関連産業や半導体関連産業へのロジスティクスや、グリーンロジスティクスなど、今後、日本国内で需要が拡大すると見込まれるロジスティクスのニーズを取り込んでまいります。また、成長領域である海外のロジスティクス物流市場へ更なる投資を進めることで、事業の成長につなげてまいります。
②デジタル化等のテクノロジーの進化について
IT等デジタル技術の急速な発展を背景に、あらゆる業界において新たなビジネスモデルやサービスの創造が進んでおります。物流業界を取り巻く環境においても、ITにより顧客と輸送業者等を結びつけるデジタルフォワーダーなど異業種からの参入を代表に、様々な変化が起こっております。このような変化は、IT等デジタル技術の活用による事業の省力化や効率化につながると考えられますが、中長期的にはNXグループが長年培ってきた強みを打ち消す、もしくは物流ニーズの低減につながるリスクとなりえると考えられます。
また、2024年問題によるドライバー・スタッフ不足を始めとして、災害の激甚化・頻発化、国際紛争による地政学的リスクの高まりなどの影響により、サプライチェーンが滞るリスクが生じております。この対策として、物流現場における自動搬送機・ロボティクス等の先端機器の導入による効率化や、AIによる需要予測モデルを活用した作業計画の最適化・自動化を検討しております。
2028年までの経営計画期間内においては、これらの事業環境の変化に関する分析や異業種との共働・協創などを通じて、現在、そして今後起こりうる変化への対応や備えに努めるとともに、デジタル化を取り込み、時代の変化に対応するサービスの創出を通じて事業の成長につなげてまいります。
③コンプライアンスについて
グローバルでさまざまな法規制の強化が進む中、企業には高いコンプライアンス意識が強く求められております。NXグループは、「NXグループ企業理念」を拠りどころに、「安全・コンプライアンス・品質」へのこだわりを基本とし、企業理念を具現化した行動指針として「NXグループ行動憲章」を制定し、NXグループのコンプライアンス経営を実践しております。コンプライアンスの推進にあたっては、代表取締役社長を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、NXグループの重要方針や重要課題について協議し、取組みを推進しております。しかしながら、NXグループが展開する物流を中心とした事業は、グローバルに多岐にわたっており、法的規制により営業活動等の一部が制限された場合、売上収益の減少、あるいは、新たな費用の増加等により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④自然災害について
世界各地で昨今発生する自然災害はその頻度を増し、また、気候変動の影響により激甚化しており、大規模地震やそれに伴う津波・火山の噴火、大規模風水害などが、NXグループ及び顧客の事業活動にとって大きなリスクとなっております。NXグループは、「NXグループ事業継続基本方針」に基づき、NXグループ各社において事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を整備するなど、NXグループ全体でレジリエンスの向上に取り組んでおります。しかしながら、NXグループは、鉄道、自動車、船舶、航空機など、多岐にわたる輸送手段を有しており、自然災害により輸送障害が発生した際、代替手段による輸送を実施したとしても、顧客企業の生産や販売活動への影響を低減しきれない場合、また、自然災害によるNXグループ施設への被害が発生した場合、NXグループの経営成績及び財政状態への悪影響を回避できない可能性があります。
⑤感染症について
NXグループは、グローバルで事業を運営しており、各国においてサービスを提供しております。一方で、新型コロナウイルス感染症収束後の人の往来が活発化している中、今後も、感染症の急速かつ世界的な拡大や新たな感染症の発現などのリスクには継続して注意が必要と認識しております。NXグループは、感染症対策に取組み、BCPを整備しておりますが、NXグループの事業活動が行われる国において大規模な感染症が発生した場合、お客様の事業活動の停止や、輸送インフラの停止などが想定され、また、従業員や協力会社に大量の病欠者が出た場合には、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営戦略の推進・事業拡大に関わるリスク
①M&A及び事業投資について
NXグループは、グローバルロジスティクス企業としての成長に向けた経営資源の最適化を図るため、NXグループ内における経営管理を徹底し、選択と集中を進めると共に、事業領域の拡大、もしくは必要な機能の取得及び拡充に向けて、M&Aをその選択肢の一つとしております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約内容等について綿密な事前審査を行い、リスクを把握したうえで決定しておりますが、デューデリジェンスでは確認しえなかった買収先のリスクが残る可能性があります。また、例えば新型コロナウイルス感染症拡大などのように、買収後に予想しえなかった事業環境の変化がおこる可能性もあります。これらの要因等により当初想定した事業展開が進まず、事業計画どおりの成果が得られない場合には、対象企業の業績悪化やのれんの減損損失等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②人財の確保・育成について
高度な物流ソリューションを提供し、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくためには優秀な人財の確保が重要となります。
そのため、多様な人財が活躍し、社員の成長を支援する仕組みや社員が能力を存分に発揮できる環境の整備が重要であるとの認識に立ち、各種研修制度の拡充、社員の挑戦を促す人事施策を推進しております。同時に、高い専門性や事業経験を有するプロフェッショナル人財の確保についても、グローバルレベルで取組みを進めております。
しかし、優秀な人財の確保が世界各国、各業界において共通の課題となっていることから、必要となる人財を確保することが困難となった場合には、NXグループの企業価値が十分に高められず、事業運営や経営計画の遂行に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、実運送を主体としている日本国内のNXグループ会社においては、2024年問題や今後加速する労働力人口の減少に対応すべく、労働環境・諸制度の改革や、省力化、省人化を実現する最先端技術の導入、データの利活用など物流の高度化を推進しております。
ところが、こうした取組みの効果が発揮できず、事業の継続に必要となる人財を確保することが困難となった場合は、事業の継続に支障をきたし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③財務について
NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修及びM&A等に係る投資であり、これらの資金需要に対し、一部を金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
金利の変動リスクに晒されている借入金については、原則、金利スワップ取引等のヘッジ手段を利用してリスクを低減することとしておりますが、大幅な金利の変動等があった場合、また、格付け機関によるNXグループの信用格付けの引き下げ等の事態が生じた場合、資金調達コストが増加し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、NXグループは、日本国内、海外各国に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては、投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが、今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営に関わるリスク
①安全品質について
NXグループは、「安全はすべてに優先する」という安全理念のもと、安全最優先で事業活動を行っております。しかしながら、万が一重大な貨物事故、交通事故、労働災害などが発生した場合には、顧客からの信頼の失墜や社会的信用の低下に加え、営業停止や事業免許取消などの行政処分により一部の事業活動が継続困難になり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスクについて
ロシア・ウクライナ情勢や中東紛争、台湾情勢の緊張の更なる高まり、グローバル規模の貿易戦争など、今日の複雑で不安定なグローバル環境におけるリスクに対し、NXグループでは、NXグループ内での情報収集、外部専門家活用などを通じ、その予防・回避に努めております。しかしながら、NXグループは、世界各地で事業展開しており、各国の政治・経済・社会・法規制の変化や暴動、テロ及び戦争の発生による経済活動の制約、国際輸送への制約などにより、NXグループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③情報システム及び情報セキュリティについて
昨今の情報通信技術の急速な発展により、情報システムの戦略的な活用は事業運営に不可欠であるとともに、システムの可用性や情報の適切な取扱いは、NXグループにおいても経営の重要課題であり、また、企業として果たすべき社会的責任でもあります。NXグループにおいては、ITシステム部門の統合によるIT戦略の立案と実施をグループ一体で推進するとともに、ITガバナンスやシステムリスクに関するNXグループ共通の各種規程類を整備し、IT部門の円滑な運営と適切なITシステム環境の構築及びeラーニング等を利用した従業員へのセキュリティ教育や外部からの攻撃や非常事態を想定した態勢構築に努めております。
しかしながら、システムや通信における想定外の障害や、近年の大規模化・多頻度化・巧妙化を続けるサイバー攻撃などによる機密情報の破壊・窃盗などは、NXグループの事業活動に深刻な影響を及ぼすだけでなく、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E36706] S100VI6W)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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