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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W57W (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

研究開発では、“新規事業、成長分野に向けた研究開発”をキーワードとし、“パインケミカルを軸に、成長分野への資源配分を継続し、新製品開発による新市場参入を目指す”ことを目標に活動しております。またデジタル技術を活用したものづくりでは、経済産業省が定める制度に基づき、「DX認定事業者」に選定されました。DXの推進により、引き続き研究開発の合理化とスピードアップを図っていきます。
各分野の取り組みとして、パインケミカル分野では当社製品の出発原料である粗トール油に関わる国際持続可能性カーボン認証を取得するとともに機能性や環境調和性の高いゴム用添加剤、機能性樹脂分野では乳化・分散技術を利用した水系樹脂やPFAS(有機フッ素)フリーとなる離型剤の研究開発により、新たな事業領域への挑戦を進めております。また製紙用薬品分野では海外の紙製食品包装材料規制に対応する製品の拡充を継続しており、紙素材に撥水や撥油およびヒートシール性を付与できるバリアコート剤は日本や海外顧客での採用が始まりました。これらの分野では、化学素材の機能向上やバイオリニューアブル化への流れを意識した製品開発を進めていきます。電子材料分野では、引き続き、生成AIや3Dパッケージなどで成長が期待される半導体産業や自動車産業向けの材料開発に取り組んでおります。さらに先端技術分野として着手した、「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品開発では、銀ナノ抗菌液や情報通信市場向けの金属ペーストといった進展している複数のテーマについて現中期計画期間中の製品化を目指しております。
当社グループは、日本以外にも、ベルギー、オランダ、英国、米国、アルゼンチンに研究開発拠点を有しており、これら拠点間の連携を密に取り合うことで、グローバル市場の多様なニーズを迅速かつ的確に捉え、顧客の課題解決につながる研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度の研究開発費は、2,782百万円、特許の登録件数は国内6件、海外が15件、国内の出願件数は12件、海外の出願件数は13件でした。

(1)パインケミカル
当分野においては、当社の強みである粗トール油精留事業に関連した技術開発に加え、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤、ロジンや脂肪酸誘導体等の研究開発を行っております。
松材から得られるバイオマス資源である粗トール油は、温室効果ガスの排出量削減に貢献できるため、世界的にニーズが高まっております。当社グループでは、特性の異なる世界中の粗トール油を余りなく活用できる技術の構築や、粗トール油から得られたロジンや脂肪酸を使った製品における国際持続可能性カーボン認証「ISCC(International Sustainability and Carbon Certification) PLUS」ならびに「ISCC EU」の取得を通じ、これらを使用した製品の価値向上に取り組み、さらなる事業成長へ繋げていきます。
印刷インキ用樹脂は平版インキ市場が縮小していますが、販売数量の確保と収益性の改善のため、印刷適性に優れた新製品の開発と市場への投入を進めていきます。粘接着剤用樹脂は、高温使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を重視した新規の粘着付与材樹脂を開発しており、当社が保有する水系化技術を駆使することで同樹脂のエマルション製品も開発が進んでおります。また新たな分野への取り組みでは、国内や海外の顧客にてタイヤ用添加剤やアスファルト用添加剤の評価が進展、いずれも初期段階の評価で目的とした機能を確認いただき、次のフェーズへと進んでおります。いずれも各分野で要求される機能について、その発現機構を踏まえながら新しい添加剤の開発を進めていきます。
当分野における研究開発費の金額は275百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。

(2)機能性樹脂
当分野においては、塗料用樹脂およびフィルム等のコーティング剤に使用される機能性樹脂の研究開発を行っております。
塗料用樹脂は、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用樹脂の開発にも取り組み、いずれも新たな製品を上市しました。新たな水系塗料用樹脂は、高光沢で高い密着性と耐水性を併せ持ち、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持っております。市場でも高い評価を得ることができており、今後はさらなる拡販に取り組んでいきます。
コーティング剤に使用される機能性樹脂は、ディスプレイや電子部品等の伸長市場や高付加価値市場向けに製品開発を進めております。当社の基盤技術である樹脂合成、分散、表面・界面制御技術を応用した光学フィルム向けのコーティング剤や、樹脂変性技術および相溶化技術を深化させた離型剤の開発により、市場のニーズに応えていきます。離型剤ではPFASフリーの製品を開発するとともに、製造工程が複雑化する半導体のモールド工程向けの革新的な離型フィルムも開発しました。開発した離型フィルムは、深い金型や大面積の成型でも破れにくく、安定した成型プロセスの実現が期待できます。現在、半導体パッケージ、パワー半導体、生成AIなど、様々な用途で市場への提案を行っております。
当分野における研究開発費の金額は273百万円でありました。

(3)製紙用薬品
当分野においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボールなどの紙の強度を高めるPAM(ポリアクリルアミド)系紙力増強剤、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤など、製紙工程で使用される機能性薬剤を軸とする研究開発を行っております。
基盤製品であるPAM系紙力増強剤やロジン系サイズ剤については、国内の紙の需要減少を踏まえ、紙生産量の約50%を占める中国と米国、生産量が増加している東南アジア市場で適用できる製品やアプリケーションの開発を進めております。特に紙製品の世界的な輸出入、脱プラスチックの潮流から需要が高まりつつある食品包装用紙向け薬剤として、米国食品医薬品局(FDA)、ドイツ・BfR、中国・GB9685といった、世界的に主要な三法規制に対応可能な安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充に注力しております。また事業拡大に向け、紙の原料となるパルプの生産工程に用いるピッチコントロール剤や、紙製素材に耐水、耐油、防湿性などを与えるバリアコート剤を開発し、顧客展開を進めております。バリアコート剤に関しては、近年人体や環境への悪影響が取りざたされているPFASを使用しない耐水・耐油剤へのニーズが高まっており、開発依頼や採用が増えております。また、バイオマスベースのバリアコート剤も開発しており、顧客展開とともに、さらなる機能向上を検討しております。
海外市場に関しては、当社子会社である中国の杭州杭化哈利瑪化工有限公司や米国のPlasmine Technology,Inc.と連携して、現地市場に合致した製品や技術の開発を進めております。紙生産量世界一位の中国では、一昨年に開発したPAM系紙力増強剤用の定着助剤の販売が順調に伸長しており、新たに開発した食品包装用紙や衛生紙専用のPAM系紙力増強剤も販売を開始しました。米国では、FDA認証取得製品を軸とした事業展開を進めることで、従来のロジン系サイズ剤に加え、PAM系紙力増強剤の販売も順調に増加しております。環境負荷が少なく、紙製素材の利活用に大きく貢献できる製品の開発と市場への提供によって、サステナブルな社会の構築に貢献していきます。
当分野における研究開発費の金額は845百万円でありました。

(4)電子材料
当分野においては、自動車産業、半導体産業用途を中心に、はんだ付け材料、半導体用機能性樹脂、ろう付け材料の研究開発を行っております。
はんだ付け材料は、精緻な電子制御が要求される車載用電子機器の高機能化と大きなストレスでも接合部が壊れない高信頼性、これらの両立を実現するソルダペーストの開発とグローバル市場への展開を推進しております。
半導体用機能性樹脂では、当社の得意とする高分子合成技術や有機合成技術を活用し、微細・微小な配線や電極形成に対応できる製品の開発を推進しております。生成AIなどの成長分野における採用が進んでおり、半導体デバイスの高性能化に大きく貢献することができると期待しております。
熱交換器用ろう付け材料は、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開推進と、給湯器等への搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しております。とくに、熱交換器の小型化や軽量化の実現、環境保全や省エネルギー化に向けて、ろう付け材の水系化や多様化する塗布工法に対応できる製品の開発に取り組んでおります。
当分野における研究開発費の金額は447百万円でありました。

(5)先端技術
当分野においては、今後の成長が期待される「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品の開発に取り組んでおります。これまで当社が培ってきた金属ナノ粒子の設計技術、分散剤の設計技術、分散技術、バイオテクノロジーをコアコンピタンスとして、それぞれの市場の発展に貢献できる製品や技術の開発を進めております。
情報通信市場では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)用部材や各種チップ部品用電極材料の開発に注力し、進化・発展する市場において、さらなる付加価値の向上に貢献できる製品開発に取り組んでおります。エネルギー市場では、リチウムイオン二次電池(LiB)用部材の開発に注力しており、市場で要求される高エネルギー密度・高出力密度に対応できる製品開発に取り組んでおります。また環境・ヘルスケア市場においては、抗菌材料およびバイオプロセスによる新規ヘルスケア商品の開発に注力しており、環境に配慮した付加価値の高い商品開発に向けた検討を進めております。
2024年度、進展がみられた銀ナノ抗菌液や情報通信市場向けの金属ペーストなどについては、2025年度での本格的な販売を目指しております。
当分野における研究開発費の金額は248百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。

(6)ローター
当事業においては、サステナビリティをキーワードとして粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカルなどの研究開発を行っております。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)は、高いグローバルシェアを維持しております。そして、次世代型の水系粘接着付与剤として当社特許技術を活用し開発した高濃度水系粘着付与剤は、省エネルギーの観点から多くのお客様から関心を寄せていただいており、量産段階に入っております。自動車部品等に用いられるテープ分野においては、高耐久性が求められるため、溶剤系粘接着剤が主流ですが、近年は、揮発性有機化合物(VOC)の削減の観点から、水系や紫外線硬化型粘接着剤への移行が進んでおります。当社は、そのニーズに対応するために水系粘接着剤用には、高軟化点の水系粘接着付与剤、紫外線硬化型粘接着剤用には、超淡色粘接着付与剤の開発に注力しております。
印刷インキ用樹脂の分野では、印刷のデジタル化、小ロット化に伴い、熱乾燥工程が不要で瞬時に硬化できる紫外線硬化型インキが伸長しております。当社開発品(商品名:ReactolTMUVシリーズ)は、紫外線硬化型インキに優れた顔料分散性、耐乳化性を付与できることから大手印刷インキメーカーで採用となり、欧州、米国、アジアへのグローバル展開が進んでおります。特に欧州諸国(ドイツ、スイス、フランス)においては、食品包装関連の規制が毎年厳しくなっており、新規制に対応可能な樹脂を開発することが非常に重要になっております。また、食品用の紙容器に耐水性、耐油性を付与できる当社の水系バイオマスバリアコート剤は、多くの製紙会社およびコンバーター各社様よりサンプル依頼をいただき、ご使用を検討いただいております。
アロマケミカルの分野では、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めております。香料市場においても、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっており、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めております。
さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っております。例えば、苗木保護用に従来はプラスチックシートが使用されておりましたが、これを生分解性の天然材料に置き換えることで、苗木が成長して役割を終えた後は生分解させることのできる新製品を英国のお客様が開発されました。その新製品の原料として当社のバイオポリオール(商品名:Pine-PolTM)が採用されております。今後も、市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めてまいります。
当事業における研究開発費の金額は690百万円でありました。

事業等のリスク株式の総数等


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