有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YEIE (EDINETへの外部リンク)
ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
当社の研究開発活動は、「新規事業および成長分野に向けた研究開発」を基本方針とし、パインケミカルを基軸とした技術の深化に加え、環境・エネルギー、情報通信、ライフサイエンスなどの領域へ展開することで、新たな価値創造と事業領域の拡大を推進しています。また、再生可能資源由来材料の活用、脱プラスチック、低VOC化、リサイクル促進等に資する取り組みを推進するとともに、半導体材料分野における研究開発力の強化を目的とした新研究棟の建設を進めるなど、研究開発基盤の拡充にも取り組んでいます。さらに、研究開発の高度化と迅速化を目的として、マテリアルズインフォマティクス(MI)を中核に、統計解析や機械学習、生成AIなどのデジタル技術を活用し、研究開発プロセスの効率化と迅速化をはかっています。
分野別の取り組みとして、パインケミカル分野では、再生可能資源である粗トール油の高度利用技術の確立と低炭素化製品の展開を進めるとともに、ISCC認証を活用したサステナブル製品の付加価値向上に取り組んでいます。機能性樹脂分野では、水系製品やPFASフリー製品の開発を推進するとともに、半導体・電子部品分野など高付加価値用途への展開を進めています。製紙用薬品分野では、紙素材の高機能化を通じた脱プラスチック需要への対応を進めるとともに、バリアコート剤や透明化剤などの製品開発により市場展開を拡大しています。電子材料分野では、生成AIの普及やデータセンター需要の拡大を背景とした半導体市場の成長に対応し、半導体・車載用途向け材料の開発および供給体制の強化を進めています。先端技術分野では、「情報通信」「エネルギー」「環境・ヘルスケア」といった新規市場において、電子部品材料、電池材料、バイオ由来機能性素材等の開発を進め、新規事業の創出に注力しています。
さらに、当社グループは日本国内に加え、欧州、北米、南米等に研究開発拠点を有しており、グローバルな連携体制のもと、市場ニーズを迅速に取り込みながら製品開発を進めています。
これらの取り組みにより、既存事業の競争力強化と新規事業創出を両輪で推進するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,868百万円、特許の登録件数は国内3件、海外が5件、国内の出願件数は15件、海外の出願件数は12件でした。
(1)パインケミカル
当分野においては、粗トール油精留事業を基盤とした技術の高度化に取り組むとともに、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤、ロジンおよび脂肪酸誘導体等の研究開発を行っています。また、環境負荷低減およびサプライチェーンの低炭素化に資する製品展開を進めています。
松材から得られるバイオマス資源である粗トール油は、温室効果ガス排出量の削減に貢献できることから、世界的に需要が高まっています。当社グループでは、特性の異なる粗トール油を効率的に活用する技術の構築に取り組むとともに、国際持続可能性カーボン認証「ISCC(International Sustainability and Carbon Certification) PLUS」および「ISCC EU」の取得を通じて製品価値の向上を図り、事業成長につなげていきます。
印刷インキ用樹脂については、市場縮小の影響を踏まえ、高付加価値製品の開発および市場投入により収益性の向上をはかっています。粘接着剤用樹脂では、高温環境下においても粘着力を維持する耐熱性を重視した新規粘着付与樹脂の開発を進めるとともに、水系化技術を活用したエマルション製品の展開を推進しています。また、新規用途として、タイヤ用添加剤およびアスファルト用添加剤については国内外の顧客で評価が進展しており、実用化に向けた開発を継続しています。特にタイヤ用添加剤では、ISCC PLUS認証品に対する顧客の関心が高まっています。
加えて、ロジン由来化合物の機能性評価を通じて、抗肥満作用などの生理活性を有する物質の創出を進めており、医薬品・サプリメント分野への応用を視野に研究開発を推進しています。さらに、農業分野においてはバイオスティミュラント製品の開発および市場展開を開始し、ライフサイエンス領域への事業拡張を推進しています。
これら各分野においては、求められる機能の発現機構を踏まえた製品開発を進めるとともに、サステナブル製品の拡大を通じて、社会に貢献する製品開発を推進しています。
当分野における研究開発費の金額は304百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用です。
(2)機能性樹脂
当分野では、塗料用樹脂ならびにフィルム等のコーティング剤に使用される機能性樹脂を主要事業領域として位置付け、研究開発および事業展開を行っています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用途を中心とした市場を主な対象とし、環境負荷低減への対応として弱溶剤系樹脂を主力製品として展開しています。加えて、環境規制の強化や市場ニーズの変化を踏まえ、水系塗料用樹脂の開発および製品化を進めています。新たに上市した水系塗料用樹脂は、建築外装用途に加え、鉄部塗装用途にも適用可能な耐久性を有しており、用途拡大をはかっています。
コーティング剤向けの機能性樹脂については、ディスプレイおよび電子部品分野の高付加価値市場を対象に製品開発を行っています。樹脂合成、分散、表面・界面制御の基盤技術を活用し、光学フィルム用途向けコーティング剤を国内外に展開するとともに、樹脂変性技術および相溶化技術の高度化を進め、製品ラインアップの拡充をはかっています。さらに、環境規制強化に対応したPFASフリー材料の開発を進めるとともに、半導体製造工程や電子部品分野における高付加価値用途への展開を加速しています。特に離型フィルムについては、深型金型や大面積成形に対応した特性を有しており、成形工程の安定化に寄与しています。今後は、半導体パッケージ、パワー半導体および生成AI関連分野を中心に、顧客への展開を進めていきます。
当分野における研究開発費の金額は297百万円でありました。
(3)製紙用薬品
当分野においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボールなどの紙の強度を高めるPAM(ポリアクリルアミド)系紙力増強剤をはじめ、水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤・表面サイズ剤など、製紙工程で使用される機能性薬剤の研究開発を行っています。これらの基盤製品については、日本国内に加え、紙生産量世界一位の中国、二位の米国、さらには紙生産量が増加しているASEAN諸国を主要ターゲットとして、製品およびアプリケーション開発を進めています。
リサイクル可能な紙および紙製品は、サステナブル材料としての注目が高まっており、包装材の紙への代替が進展しています。これに伴い、食品包装用途においては高い安全性が求められており、当社では米国FDA、ドイツBfR、中国GB9685といった主要規制に適合した食品包装・衛生用紙向け薬剤を商用化し、販売量の拡大に取り組んでいます。また、パルプ工程向けのピッチコントロール剤に加え、耐水性・耐油性・防湿性を付与するバリアコート剤、紙の密封を可能にするヒートシール剤、視認性や意匠性を向上させる透明化剤の開発を進め、顧客への展開を推進しています。さらに、脱プラスチック社会の進展および環境規制の強化を背景として、紙製包装材料の高機能化ニーズが一層高まっていることから、バイオマス系バリアコート剤や透明化剤の開発を進め、食品包装用途を中心に市場展開を加速しています。
海外市場においては、当社子会社である中国の杭州杭化哈利瑪化工有限公司および米国のPlasmine Technology, Inc.と連携し、現地ニーズに即した製品および技術の開発を推進しています。中国では、食品包装・衛生用紙向けPAM系紙力増強剤の販売が好調に推移しており、関連する助剤の新製品を含めた積極的な拡販を進めています。米国では、FDA認証取得製品を中心に事業を展開するとともに、従来のロジン系サイズ剤に加え、PAM系紙力増強剤の販売拡大をはかっています。
これらの取り組みを通じて、環境負荷の低減に資する製品開発および紙素材の利活用の促進に貢献し、サステナブルな社会の実現に寄与していきます。
当分野における研究開発費の金額は707百万円でありました。
(4)電子材料
当分野では、自動車産業および半導体産業向け用途を中心に、はんだ付け材料、ろう付け材料、ならびに半導体レジスト用樹脂の研究開発に取り組んでいます。
はんだ付け材料分野においては、車載電子機器の高機能化に伴い求められる高精度な電子制御と、温度・湿度・振動など自動車特有の厳しい使用環境下における高い信頼性の両立をはかるため、ソルダペーストの開発を推進するとともに、グローバル市場への展開を進めています。
ろう付け材料分野においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用ろう付け材料の海外展開に加え、給湯器等への搭載が拡大しているステンレス製熱交換器接合用ろう付け材料の開発に注力しています。特に、熱交換器の小型化と軽量化の実現、ならびに環境保全や省エネルギー化に向け、水系ろう付け材料の開発や、多様化する塗布工法への対応によって市場実績化を推進しています。
半導体レジスト用樹脂については、生成AIの普及やデータセンターの拡大を背景とした先端半導体需要の増加に対応し、高性能パッケージ向け材料の開発および供給体制の強化を推進しています。当社の強みである高分子合成技術と、これまでに培ってきた評価技術を活かし、半導体パッケージ内における高度な配線および電極形成を実現させる製品の創出を進めています。
当分野における研究開発費の金額は484百万円でありました。
(5)先端技術
当分野においては、分散技術、金属ペースト設計技術、バイオ技術を基盤として、情報通信分野では電子部品用材料、エネルギー分野では二次電池材料、環境・ヘルスケア分野ではリコピンをはじめとする高機能カロテノイドなどの開発を進めています。これらの取り組みは中長期的な新規事業の柱として育成をはかっています。
情報通信市場では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)用部材や各種チップ部品用電極材料の開発に注力しており、顧客評価も着実に進展しています。引き続き、市場ニーズの高度化に対応し、顧客製品のさらなる高付加価値化に貢献する製品開発を進めています。エネルギー市場では、リチウムイオン二次電池(LIB)用部材の開発に注力しており、高エネルギー密度・高出力密度に対応する製品の顧客評価が着実に進展しています。また、環境・ヘルスケア市場では、バイオプロセスによる新規ヘルスケア商品の開発に注力しており、高純度リコピンおよび高機能リコピンの開発を進め、化粧品市場向けの各種安全性試験をクリアするとともに、量産化実証を完了し、サンプル提供を開始しました。
2025年度に大きな進展が見られたチップ部品用電極材料などについては、2026年度での本格的な販売を目指しています。さらに環境・ヘルスケア市場では、リコピンに続く希少・高機能カロテノイドについても、量産化実証を進めていきます。
当分野における研究開発費の金額は337百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用です。
(6)ローター
当事業においては、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカル等の研究開発を推進しています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTack™ )が紙ラベル用途において高いグローバルシェアを維持しています。さらに、当社特許技術を活用した次世代型の高濃度水系粘着付与剤は、省エネルギーの観点から多くの顧客より関心を得ており、現在量産段階に移行しています。また、高濃度水系粘接着付与剤の機能化にも取り組んでおり、再生板紙やオレフィン基材に対する高い密着性を有するタイプや、高耐熱性タイプの製品展開も進めています。
自動車部品等に使用されるテープ分野では、高耐久性の要求から溶剤系粘接着剤が主流であるものの、近年は揮発性有機化合物(VOC)削減の観点から水系および紫外線硬化型粘接着剤への移行が進んでいます。当社はこれらのニーズに対応するため、水系粘接着剤向けには高軟化点の水系粘着付与剤、紫外線硬化型粘接着剤向けには超淡色粘着付与剤の開発に注力しています。
印刷インキ用樹脂の分野では、欧米を中心にアルキルフェノール、ホルムアルデヒド、PFASのフリー化が進展しており、当社はこれらに対応した樹脂(商品名:ECOREZ™ シリーズ)の拡充を図りました。また、印刷のデジタル化・小ロット化の進行に伴い、熱乾燥工程を必要とせず瞬時に硬化可能な紫外線硬化型インキの需要が増加しています。これに対応し、新たな食品包装規制(ドイツ、スイス)に適合する樹脂およびワニスの開発を進めています。
アロマケミカル分野では、テレピン油由来の香料原料の開発を推進しています。香料市場においては、石油由来原料から植物由来原料への置換ニーズが高まっており、当社は今後の需要拡大に対応すべく、生産効率向上を目的とした製造技術の開発を進めています。
さらに、ローターでは中長期的視点に基づく研究開発部門を設置し、ロジンや脂肪酸などのバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品の代替となるグリーン製品の開発に取り組んでいます。製品ごとにライフサイクル分析(LCA)を求める顧客が年々増加していることから、第三者機関と連携し、LCAを算出可能なツールを開発するなど、対応体制の整備も進めています。
今後も、市場成長が見込まれる事業領域への新規開発投資を継続し、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携しながら、戦略的な技術開発およびマーケティング活動を推進していきます。
当事業における研究開発費の金額は736百万円でありました。
分野別の取り組みとして、パインケミカル分野では、再生可能資源である粗トール油の高度利用技術の確立と低炭素化製品の展開を進めるとともに、ISCC認証を活用したサステナブル製品の付加価値向上に取り組んでいます。機能性樹脂分野では、水系製品やPFASフリー製品の開発を推進するとともに、半導体・電子部品分野など高付加価値用途への展開を進めています。製紙用薬品分野では、紙素材の高機能化を通じた脱プラスチック需要への対応を進めるとともに、バリアコート剤や透明化剤などの製品開発により市場展開を拡大しています。電子材料分野では、生成AIの普及やデータセンター需要の拡大を背景とした半導体市場の成長に対応し、半導体・車載用途向け材料の開発および供給体制の強化を進めています。先端技術分野では、「情報通信」「エネルギー」「環境・ヘルスケア」といった新規市場において、電子部品材料、電池材料、バイオ由来機能性素材等の開発を進め、新規事業の創出に注力しています。
さらに、当社グループは日本国内に加え、欧州、北米、南米等に研究開発拠点を有しており、グローバルな連携体制のもと、市場ニーズを迅速に取り込みながら製品開発を進めています。
これらの取り組みにより、既存事業の競争力強化と新規事業創出を両輪で推進するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,868百万円、特許の登録件数は国内3件、海外が5件、国内の出願件数は15件、海外の出願件数は12件でした。
(1)パインケミカル
当分野においては、粗トール油精留事業を基盤とした技術の高度化に取り組むとともに、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤、ロジンおよび脂肪酸誘導体等の研究開発を行っています。また、環境負荷低減およびサプライチェーンの低炭素化に資する製品展開を進めています。
松材から得られるバイオマス資源である粗トール油は、温室効果ガス排出量の削減に貢献できることから、世界的に需要が高まっています。当社グループでは、特性の異なる粗トール油を効率的に活用する技術の構築に取り組むとともに、国際持続可能性カーボン認証「ISCC(International Sustainability and Carbon Certification) PLUS」および「ISCC EU」の取得を通じて製品価値の向上を図り、事業成長につなげていきます。
印刷インキ用樹脂については、市場縮小の影響を踏まえ、高付加価値製品の開発および市場投入により収益性の向上をはかっています。粘接着剤用樹脂では、高温環境下においても粘着力を維持する耐熱性を重視した新規粘着付与樹脂の開発を進めるとともに、水系化技術を活用したエマルション製品の展開を推進しています。また、新規用途として、タイヤ用添加剤およびアスファルト用添加剤については国内外の顧客で評価が進展しており、実用化に向けた開発を継続しています。特にタイヤ用添加剤では、ISCC PLUS認証品に対する顧客の関心が高まっています。
加えて、ロジン由来化合物の機能性評価を通じて、抗肥満作用などの生理活性を有する物質の創出を進めており、医薬品・サプリメント分野への応用を視野に研究開発を推進しています。さらに、農業分野においてはバイオスティミュラント製品の開発および市場展開を開始し、ライフサイエンス領域への事業拡張を推進しています。
これら各分野においては、求められる機能の発現機構を踏まえた製品開発を進めるとともに、サステナブル製品の拡大を通じて、社会に貢献する製品開発を推進しています。
当分野における研究開発費の金額は304百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用です。
(2)機能性樹脂
当分野では、塗料用樹脂ならびにフィルム等のコーティング剤に使用される機能性樹脂を主要事業領域として位置付け、研究開発および事業展開を行っています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用途を中心とした市場を主な対象とし、環境負荷低減への対応として弱溶剤系樹脂を主力製品として展開しています。加えて、環境規制の強化や市場ニーズの変化を踏まえ、水系塗料用樹脂の開発および製品化を進めています。新たに上市した水系塗料用樹脂は、建築外装用途に加え、鉄部塗装用途にも適用可能な耐久性を有しており、用途拡大をはかっています。
コーティング剤向けの機能性樹脂については、ディスプレイおよび電子部品分野の高付加価値市場を対象に製品開発を行っています。樹脂合成、分散、表面・界面制御の基盤技術を活用し、光学フィルム用途向けコーティング剤を国内外に展開するとともに、樹脂変性技術および相溶化技術の高度化を進め、製品ラインアップの拡充をはかっています。さらに、環境規制強化に対応したPFASフリー材料の開発を進めるとともに、半導体製造工程や電子部品分野における高付加価値用途への展開を加速しています。特に離型フィルムについては、深型金型や大面積成形に対応した特性を有しており、成形工程の安定化に寄与しています。今後は、半導体パッケージ、パワー半導体および生成AI関連分野を中心に、顧客への展開を進めていきます。
当分野における研究開発費の金額は297百万円でありました。
(3)製紙用薬品
当分野においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボールなどの紙の強度を高めるPAM(ポリアクリルアミド)系紙力増強剤をはじめ、水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤・表面サイズ剤など、製紙工程で使用される機能性薬剤の研究開発を行っています。これらの基盤製品については、日本国内に加え、紙生産量世界一位の中国、二位の米国、さらには紙生産量が増加しているASEAN諸国を主要ターゲットとして、製品およびアプリケーション開発を進めています。
リサイクル可能な紙および紙製品は、サステナブル材料としての注目が高まっており、包装材の紙への代替が進展しています。これに伴い、食品包装用途においては高い安全性が求められており、当社では米国FDA、ドイツBfR、中国GB9685といった主要規制に適合した食品包装・衛生用紙向け薬剤を商用化し、販売量の拡大に取り組んでいます。また、パルプ工程向けのピッチコントロール剤に加え、耐水性・耐油性・防湿性を付与するバリアコート剤、紙の密封を可能にするヒートシール剤、視認性や意匠性を向上させる透明化剤の開発を進め、顧客への展開を推進しています。さらに、脱プラスチック社会の進展および環境規制の強化を背景として、紙製包装材料の高機能化ニーズが一層高まっていることから、バイオマス系バリアコート剤や透明化剤の開発を進め、食品包装用途を中心に市場展開を加速しています。
海外市場においては、当社子会社である中国の杭州杭化哈利瑪化工有限公司および米国のPlasmine Technology, Inc.と連携し、現地ニーズに即した製品および技術の開発を推進しています。中国では、食品包装・衛生用紙向けPAM系紙力増強剤の販売が好調に推移しており、関連する助剤の新製品を含めた積極的な拡販を進めています。米国では、FDA認証取得製品を中心に事業を展開するとともに、従来のロジン系サイズ剤に加え、PAM系紙力増強剤の販売拡大をはかっています。
これらの取り組みを通じて、環境負荷の低減に資する製品開発および紙素材の利活用の促進に貢献し、サステナブルな社会の実現に寄与していきます。
当分野における研究開発費の金額は707百万円でありました。
(4)電子材料
当分野では、自動車産業および半導体産業向け用途を中心に、はんだ付け材料、ろう付け材料、ならびに半導体レジスト用樹脂の研究開発に取り組んでいます。
はんだ付け材料分野においては、車載電子機器の高機能化に伴い求められる高精度な電子制御と、温度・湿度・振動など自動車特有の厳しい使用環境下における高い信頼性の両立をはかるため、ソルダペーストの開発を推進するとともに、グローバル市場への展開を進めています。
ろう付け材料分野においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用ろう付け材料の海外展開に加え、給湯器等への搭載が拡大しているステンレス製熱交換器接合用ろう付け材料の開発に注力しています。特に、熱交換器の小型化と軽量化の実現、ならびに環境保全や省エネルギー化に向け、水系ろう付け材料の開発や、多様化する塗布工法への対応によって市場実績化を推進しています。
半導体レジスト用樹脂については、生成AIの普及やデータセンターの拡大を背景とした先端半導体需要の増加に対応し、高性能パッケージ向け材料の開発および供給体制の強化を推進しています。当社の強みである高分子合成技術と、これまでに培ってきた評価技術を活かし、半導体パッケージ内における高度な配線および電極形成を実現させる製品の創出を進めています。
当分野における研究開発費の金額は484百万円でありました。
(5)先端技術
当分野においては、分散技術、金属ペースト設計技術、バイオ技術を基盤として、情報通信分野では電子部品用材料、エネルギー分野では二次電池材料、環境・ヘルスケア分野ではリコピンをはじめとする高機能カロテノイドなどの開発を進めています。これらの取り組みは中長期的な新規事業の柱として育成をはかっています。
情報通信市場では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)用部材や各種チップ部品用電極材料の開発に注力しており、顧客評価も着実に進展しています。引き続き、市場ニーズの高度化に対応し、顧客製品のさらなる高付加価値化に貢献する製品開発を進めています。エネルギー市場では、リチウムイオン二次電池(LIB)用部材の開発に注力しており、高エネルギー密度・高出力密度に対応する製品の顧客評価が着実に進展しています。また、環境・ヘルスケア市場では、バイオプロセスによる新規ヘルスケア商品の開発に注力しており、高純度リコピンおよび高機能リコピンの開発を進め、化粧品市場向けの各種安全性試験をクリアするとともに、量産化実証を完了し、サンプル提供を開始しました。
2025年度に大きな進展が見られたチップ部品用電極材料などについては、2026年度での本格的な販売を目指しています。さらに環境・ヘルスケア市場では、リコピンに続く希少・高機能カロテノイドについても、量産化実証を進めていきます。
当分野における研究開発費の金額は337百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用です。
(6)ローター
当事業においては、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカル等の研究開発を推進しています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTack™ )が紙ラベル用途において高いグローバルシェアを維持しています。さらに、当社特許技術を活用した次世代型の高濃度水系粘着付与剤は、省エネルギーの観点から多くの顧客より関心を得ており、現在量産段階に移行しています。また、高濃度水系粘接着付与剤の機能化にも取り組んでおり、再生板紙やオレフィン基材に対する高い密着性を有するタイプや、高耐熱性タイプの製品展開も進めています。
自動車部品等に使用されるテープ分野では、高耐久性の要求から溶剤系粘接着剤が主流であるものの、近年は揮発性有機化合物(VOC)削減の観点から水系および紫外線硬化型粘接着剤への移行が進んでいます。当社はこれらのニーズに対応するため、水系粘接着剤向けには高軟化点の水系粘着付与剤、紫外線硬化型粘接着剤向けには超淡色粘着付与剤の開発に注力しています。
印刷インキ用樹脂の分野では、欧米を中心にアルキルフェノール、ホルムアルデヒド、PFASのフリー化が進展しており、当社はこれらに対応した樹脂(商品名:ECOREZ™ シリーズ)の拡充を図りました。また、印刷のデジタル化・小ロット化の進行に伴い、熱乾燥工程を必要とせず瞬時に硬化可能な紫外線硬化型インキの需要が増加しています。これに対応し、新たな食品包装規制(ドイツ、スイス)に適合する樹脂およびワニスの開発を進めています。
アロマケミカル分野では、テレピン油由来の香料原料の開発を推進しています。香料市場においては、石油由来原料から植物由来原料への置換ニーズが高まっており、当社は今後の需要拡大に対応すべく、生産効率向上を目的とした製造技術の開発を進めています。
さらに、ローターでは中長期的視点に基づく研究開発部門を設置し、ロジンや脂肪酸などのバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品の代替となるグリーン製品の開発に取り組んでいます。製品ごとにライフサイクル分析(LCA)を求める顧客が年々増加していることから、第三者機関と連携し、LCAを算出可能なツールを開発するなど、対応体制の整備も進めています。
今後も、市場成長が見込まれる事業領域への新規開発投資を継続し、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携しながら、戦略的な技術開発およびマーケティング活動を推進していきます。
当事業における研究開発費の金額は736百万円でありました。
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