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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TXBR (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ispace 研究開発活動 (2024年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは月着陸、月面探査プロジェクトの達成に向けて、ランダー及びローバーの開発を実施しております。現在の研究開発は、当社のCTO室で実施されており、当連結会計年度における研究開発費の総額は、3,834,408千円となっております。当該研究開発費の内訳には、本社で発生する研究開発費用(主にミッション2、ミッション6ランダーの開発に係るもの)3,167,873千円及び米国子会社で発生する研究開発費用(主にミッション3ランダーの開発に係るもの)500,936千円及び欧州子会社で発生する研究開発費用(主にローバー開発に係るもの)165,599千円が含まれます。
ランダーの様な大規模システムを高い品質を保ちながら確実に効率よく開発するための手法としては、1961年から1972年にかけてNASAが実施したアポロ計画の知見を踏まえ「段階的プロジェクト計画」(Phased Project Planning:PPP)が生み出されました。以来、この手法をベースとして多数の民間企業による人工衛星の開発が行われており、JAXAもまた「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」として同様の手法を提唱しています。本手法の概要は、開発全体を複数のフェーズに区分し、各フェーズで行うべき作業内容を段階的に定義しながら、それぞれのフェーズにおける結果を審査により評価し、次フェーズへの移行可否を判断しながらフェーズを進めていくものであり、これにより可能な限りの不具合・エラー等を事前に検知し、ミッションまでに確かな開発品質へと高めていく手法です。当社のランダー開発もまた、機能面において人工衛星と近似する部分を多く有しているため、基本的には既存の人工衛星開発のプロセスである「段階的プロジェクト計画法におけるシステムエンジニアリング活動」を踏襲して進められています。
当社のミッション1の開発においては、2018年下期に最初のPDR(Preliminary Design Review:仕様値に対する設計結果、設計検証計画の実現性を確認する審査会)の実施を経てフェーズB(基本設計)を完了し、その後2021年9月以降にミッション1のランダー開発に係るCDR(Critical Design Review:製造と試験の詳細設計と検証計画が適正かを、これまでに実施した試作評価、熱構造特性の評価、電気機械設計等の評価を活用して確認する審査会)を経て、フェーズC(詳細設計)を完了いたしました。CDRは、ミッション要求からシステム仕様を経て設計結果に至るまでの一貫した整合性・実現性、開発計画を審査するものであり、一般的に宇宙機の開発において、設計段階が完了しモノ作りとしての製造段階への移行可否を判断する、開発上の中でも重要なマイルストーンとされています。CDRの実施に際しては、JAXA等の宇宙機関、民間企業、教育機関等、開発の各分野における外部専門家をレビュアーとして招聘し審議を頂きました。一連の審査過程においては、社内エンジニアとは離れた中立的な外部専門家の立場から、設計(システム設計全般や帯放電環境等について)、試験(フライトモデルシステム試験計画等について)、運用(軌道設計等について)に関する一連の流れについて審査を頂きました。その結果、当社が実施したミッション1のランダー開発について、開発計画、設計の成果と、CDR後に実施する試験、運用の計画検討を審査頂いた結果、適切に進められていることをご確認頂いております。
CDRの完了後、ランダーはフェーズD(制作・試験)の段階へと開発フェーズを移行し、必要な加工やテストなどが完了したコンポーネントが段階的にランダーシステムへと組み立てられ、当社のミッション1においては、2022年10月までにすべてのランダー製造工程及び最終試験が完了しました。その後、打上地である米国へ輸送の上、ロケットへの搭載作業、燃料充填等の最終準備を完了させ、2022年12月11日に米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地 40射点より打上を実施しております。当社のランダーは打上後、約4か月をかけて低エネルギー遷移軌道と呼ばれる軌道を通って月周回軌道に達し、その後月周回軌道上で約1か月間の航行を経て、日本時間の2023年4月26日に月面着陸に臨みました。この間、当社ランダーは日々細かい問題に対処し解決しつつも、基本的に順調に月までの航行を行い、負荷の高いロケットの打上時や長期間の深宇宙航行を経た後もランダーに損傷が確認されず、過酷な環境に耐え得る構造設計が実証できたと考えられ、また複数回の軌道制御マヌーバを通して、当社のハードウェアは良好なパフォーマンスを実現することができました。ミッション1において、当社は10個のサクセス・マイルストーンを事前に設定しておりましたが(下図参照)、着陸シーケンスの前に計画されている全ての月軌道制御マヌーバを完了し、ランダーが着陸シーケンスを開始する準備が出来ていることを実証しました(Success8迄の完了)。その後、2023年4月26日(日本時間)には着陸シーケンスを実施しましたが、シーケンスの終盤、ランダーとの通信の回復が見込まれないことから、Success9「月面着陸の完了」および Success10「月面着陸後の安定状態の確立」の達成は困難と判断しました。

当社は、ミッション1の実施以降、継続的な高頻度ミッションの実現に向けて、現在、ミッション2、ミッション3及びミッション6に用いるランダーの開発を、日米の両法人を通じて並行して行っております。
ミッション2で使用されるランダーに関しては、ハードウェアは基本的にミッション1で使用したものと同様となりますが、ミッション1を通じて得られた貴重な実証データを活用し、軟着陸に至らなかった原因であるソフトウェア上の問題に対する改善策を反映しております。当社はこのミッション2で使用するランダーを「RESILIENCE」(日本語で「再起」・「復活」・回復」等の意味)ランダーと新たに命名し、現在、茨城県つくば市のJAXA施設(筑波宇宙センター)でAIT(組立・統合・試験)作業が順調に進捗中です。今後、SpaceX社のロケットに搭載の後、本年冬に打上を行うことを予定しています。
なおミッション2では、当社欧州子会社が開発するマイクロローバーを搭載することを予定しており、2023年11月にローバーデザインを発表後、2024年4月にエンジニアリングモデルの認定試験が完了しております。今後は、実際にランダーに搭載する機体となるフライトモデルの開発を進め、今年夏頃に日本へ輸送し、RESILIENCEランダーへ搭載される予定です。

2026年に打上を計画するミッション3では、現在「APEX1.0ランダー」の開発がコロラド州デンバーにある当社米国法人にて進められております。2023年12月には、ランダー設計の成熟度向上を目的に、PDRとCDRの間のマイルストーンとなるIDR(Interim Design Review)と呼ばれる中間設計審査を完了いたしました。APEX1.0ランダーはこれまでのRESILIENCEランダーから設計を変更し、ミッション3では最大300kgのペイロードが輸送可能となるサイズアップを計画しており、ミッション4以降は最大500kgまで搭載するペイロード輸送が可能となるような開発を目指しております。また複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用しているため、政府系、民間、科学分野などの、より幅広い顧客のペイロードに最適な柔軟性の高いデザインを目指しております。現行のスケジュールでは、2024年度中のCDRを予定しております。

ミッション6では、SBIR制度(Small Business Innovation Research)において経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」の予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択されたことを受け、2027年の打上を目指し、100kg以上のペイロードが輸送可能となるシリーズ3ランダーの開発を日本にて本格的に開始をしております。2024年度中のPDR及び2026年度中のCDRの実施を予定しております。
(注) 上記は、現時点での想定であり、今後、変更される可能性があります。

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事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E37584] S100TXBR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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