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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100UUTT (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ABEJA 事業の内容 (2024年8月期)


沿革メニュー関係会社の状況

(1)企業理念
当社は「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行っております。
また、当社は一般社団法人日本ディープラーニング協会の設立を支援し、正会員としてディープラーニングをはじめとしたAI技術の普及に取組むとともに、最先端技術の動向把握や先進的な取組事例の創出に努めております。
2019年3月には約5,200名が参加した自社リアルカンファレンス「ABEJA SIX 2019」を、2020年5月、2022年7月には自社オンラインカンファレンス「デジタルトランスフォーメーション2020」、「ABEJA SIX 2022」を開催しており、マーケットの醸成、AIに関するリテラシーの向上、IT人材の育成を推進しております。

(2)事業概要
当社は、デジタルプラットフォーム事業の単一セグメントとなります。ABEJA Platformを核に事業展開しており、AIの導入支援と周辺サービスの提供を行う「トランスフォーメーション領域」と、その後の人とAIの協調による運用を行う「オペレーション領域」に区分しております。
これらを含めた当社の事業全体像は図1のとおりであります。

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図1:当社の事業全体像


デジタルプラットフォーム事業として展開する当社のビジネスモデルは、EMS(Electronics Manufacturing Service)に近い形態となります。
当社は、これまでの多種多様な業界・業態300社以上のAI導入を支援する上で培ったナレッジ(EMSにおける製造プロセスノウハウ)を活かし、顧客のニーズにあわせ、ABEJA Platformを核にデジタル版EMSとして、コンサルティングからABEJA Platform上でのオペレーションまでを一括支援しております。顧客はこのデジタル版EMSを採用することで、ABEJA Platformの最先端の技術・ノウハウを活用することができます。
当社の事業を製造業に例えた場合のイメージは図2のとおりであります。

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図2:当社の事業を製造業に例えたイメージ図(デジタル版EMS)

トランスフォーメーション領域で設計し、ABEJA Platform上に構築したビジネスプロセスを、オペレーション領域で運用する事業モデルとなります。このため、運用におけるフィードバックがビジネスプロセスの精度向上やオペレーションの高度化に結びつくなど、2領域は密接に連携しております。



① ABEJA Platform
a.ABEJA Platform概要
ABEJA Platformは、ミッションクリティカル業務における堅牢で安定的な基幹システムとアプリケーション群であり、生成AIをはじめとする最先端技術を人とAIの協調により運用するプラットフォームとなります(図3)。
ABEJA Platformは、大きく6つのレイヤーで構成されております。顧客企業は必要なデータをABEJA Platformに蓄積することにより、コンピューティングリソースの管理やセキュリティを担保した環境の中で、データ加工等を行い、当該データとAIを組み合わせることにより、ミッションクリティカル業務におけるアプリケーションを構築し、人とAIの協調によって運用することができます。

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図3:ABEJA Platform

また、ABEJA Platformの強みとして、数多くの導入・運用実績から安定した品質を素早く提供できる点などが挙げられます。
ABEJA Platformにおけるコア技術については、特許(「機械学習又は推論のための計算機システム及び方法(PCT/JP2018/3824)」)を取得しており、競合他社への牽制、優位性の一要素になっているものと考えております。また、2023年5月には、「ABEJA LLM Series」をリリースし、生成AI、特にLLMとその周辺領域の機能・技術の提供を開始しております。

ABEJA Platformの強み
開発速度の向上・早期運用開始・既に実装されたモジュールを即座に提供することが可能
高い品質安定性・過去の案件で実際に使われ、品質安定性について個別の検証を必要としないテスト済みのモジュールを利用可能
最先端の技術をいつでも利用可能・最新のMLライブラリ、最新技術を用いたMLモデルなど、常に最新で最適な技術を利用可能
AutoMLをベースに本番適用・AutoMLをベースに本番適用できる先進的なシステム
運用コスト・負荷の低減・フルマネージドサービスとして提供されているため、MLエンジニア以外の運用人員が不要
堅牢なセキュリティ・医療、金融、自治体でも実績のある高いセキュリティ
・システムダウンが大規模事故につながるような案件での実装経験


b.ABEJA Platform上でのHuman in the Loopの仕組みについて
従来、AIを活用した運用を行うためには、PoC(Proof of Concept:実証実験)を繰り返し行い、AIの精度を継続的に向上させていました。しかし、企業にとってPoC期間は投資期間であり、精度の保証が難しいAIの開発において、継続して投資の意思決定を行うことがボトルネックとなる等、PoCに留まっている企業の割合は63%にものぼります(出所:アクセンチュアニュースリリース「アクセンチュア最新調査―AI活用において、60%以上の企業が概念実証に留まる」2022年6月23日)。
一方で、ABEJA Platform上で、Human in the Loopの仕組みを利用することにより、PoCを行わず、初期からAIを導入・運用することが可能となります(図4)。

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図4:導入プロセスの比較

当社の提供するHuman in the Loopとは、ABEJA Platform上にビジネスプロセスの運用ノウハウや知識をデータとして蓄積するとともに、人が判断や意思決定を補うことで効率的にAIを構築していく仕組みとなります。例えばデータ量が少なく、AIが効果的に学習することができない、高い精度を発揮できない初期段階においても、人が補うことでAIの運用サイクルを成立させることができ、人とAIの協調(人とAIの相互補完)により、当初より実運用を可能としています。また、最終的には、AIが全体のプロセスに導入されることで、AIによる改善を行うことが可能となり、オペレーションの高度化を実現することができます。
具体的には次のステップにより、ABEJA Platform上でHuman in the Loopの仕組みを実現しております(図5)。
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図5:ABEJA PlatformにおけるHuman in the Loopの仕組み
図5におけるABEJA Platformの導入と運用について、ステップ2で人が行うビジネスプロセスにABEJA Platformを導入することで、人とAIが協調してオペレーションを実行する環境が創出されます。これにより、運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積できるようになります。当該環境のもと、日々のオペレーションにより、運用ノウハウや知識のデータ蓄積と活用が進み、ビジネスプロセスのAI化が進んでいきます。また、ステップ4では人とAIが協調しながらオペレーションの高度化を実現、ステップ5まで進むとAIが全体を改善するフェーズに入ります。

ステップ状況
ステップ1(取組前)
人が実行
・人が、リアル空間で、ビジネスプロセスを行っている
・運用ノウハウや知識は個々人等に分散
ステップ2
人が実行
・人が行うビジネスプロセスに、ABEJA Platformを導入
・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている
・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積される
ステップ3
人が実行・AIが支援
・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている
・ABEJA Platformに徐々に蓄積される運用ノウハウや知識がデータとして活用され、AIが支援、人の負荷が軽減される
・日々のビジネスプロセスにより、データの蓄積と、ABEJA Platformでの活用が進み、さらにAIの支援内容が高度化する
ステップ4
AIが実行・人が支援
・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている
・人が支援(監督・監査)しており、負荷がさらに軽減される
・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformで活用され、さらに実行内容が高度化する
ステップ5
AIが実行・AIが改善・人が支援
・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている
・AIが様々なビジネスプロセスに導入されており、全体の改善を行うことが可能となる
・人が支援(監督・監査)しており、最終的な改善の意思決定などの重要事項は人とAIが協調して行う

具体的なHuman in the Loopの仕組みを利用した取組事例として、プラント事業者において工場内配管の腐食度の定常的な検査・モニタリングにAIを活用し、人とAIが協調しながらAIが成長する仕組みを構築しております(図6)。

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図6:Human in the Loopの仕組みを利用した具体例
c.適用領域の拡大について
AI、特にディープラーニングは日進月歩の技術進化を辿っており、2012年での画像認識適用から、2023年における自然言語コミュニケーション適用に至るまで、技術の適用領域が拡大されています。それに伴い、当社の提供サービスも適用領域が拡大している状況にあります。

d.取組範囲の拡大について
一顧客において、単一のビジネスプロセスから、複数のビジネスプロセスに取組範囲を広げることにより、重層的に顧客企業のAI導入を推進できます。ABEJA Platformに蓄積済みの連携データを再活用することで、サービス提供の速度を上げていくことが可能となります(図7)。

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図7:重層的なデジタルトランスフォーメーションの推進


② トランスフォーメーション領域とオペレーション領域
a.トランスフォーメーション領域
顧客ニーズに対応したABEJA Platformの導入支援とその周辺サービスを提供しており、仕組みづくり・構築フェーズに位置づけられます。なお、仕組みづくり・構築は段階的に進めていくため、多くの収入はフロー型(都度契約)の契約となりますが、一方で長期間にわたる計画的なプロセスとなるため、継続顧客の割合は高くなっております。
・継続顧客からの売上比率(注) 81.2%(2024年8月期)
(注)継続顧客からの売上比率は、既存顧客(前事業年度に売上が発生した顧客)の当事業年度の売上高/当事業年度の売上高。
導入支援にあたっては、経営レベル、全社レベルのビジョンの策定・共有から、ビジョンを具現化するためのプランニング、ビジネスプロセスにあわせたABEJA Platformの導入を伴走型で支援しております。
また、当社では顧客企業のAI研修等を通じて、企業内のデジタル人材の育成も推進しております。

b.オペレーション領域
ABEJA Platform上で人とAIの協調による運用を行う運用フェーズに位置づけられます。このため、主な収入はストック型の継続収入となります。
現状では、小売業、不動産業、製造業、金融業などが対象となり、複数の業界にわたってABEJA Platform上で人とAIの協調による運用を行っております。
また、オペレーション領域主体の具体例として、ABEJA Platform上に構築したABEJA Insight for Retailを、小売業中心に提供しております。ABEJA Insight for Retailでは、店舗に設置したカメラなどデバイスを通して消費者の動線分析や年代・性別の推定を行い、入店から購買に至る消費者行動をデータとして可視化・数値化することで、店舗の課題を客観的に把握し、運営の改善に繋げることが可能となります。


c.具体例
具体的な取組事例は以下のとおりとなります。

顧客業種取組内容想定する効果
小売販売データに基づく販売在庫の自動発注最適化システムの構築・運用食品サプライチェーンの最適化
プラント画像データに基づきプラントインフラの定期的検査・モニタリングを行うシステムの構築・運用保守人員の削減
製造業トラブル等のデータに基づき対処方法を選定するシステムの構築・運用トラブル対応コストの削減
電力稼働データに基づく電力需要予測システムの構築・運用電力量の効率的コントロール
医療画像データに基づく疾患検出システムの構築・運用予防医療と関連疾患の早期発見
介護介護データに基づく被介護者の自立支援システムの構築・運用介護従事者の効率性向上、サービス品質向上
金融アンダーライティング(引受業務)の高度化を行うための支援引受工数削減、リスクマネジメントの高度化、収益向上
情報購入データに基づくコンテンツレコメンドシステムの構築・運用利用者の利便性の向上、購入率の向上
不動産ハイブリッドワーク(オフィス出社とリモートワーク)下における情報・コミュニケーション格差が発生しないためのオフィス環境の構築・運用入居者ターゲットの拡充
中間流通効率化のためにDX化すべきオペレーションを予測するシステムの構築・運用中間工数の削減

d.ABEJA Platformと2領域の連携
当社では、トランスフォーメーション領域とオペレーション領域で得た知見を基盤であるABEJA Platformに還元するとともに、2つの領域間でも相互に連携をとる、シナジー効果の高い事業モデルとなっております。2領域で獲得した知見をABEJA Platformに蓄積することで、継続的な効率化や安定性の向上、ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスなどの改善を行っております(図8)。

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図8:ABEJA Platformと2領域の連携

[事業系統図]

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用語集
用語内容
デジタルトランスフォーメーション(DX)データとデジタル技術を活用することで製品・サービス・ビジネスモデルの変革を行い、新たな競争優位性を作り出すこと。
人工知能
(Artificial Intelligence/AI)
人工知能。学習・推論・認識・判断などの人の知能的な作業・活動を行う人工的な仕組み。
機械学習
(Machine Learning/ML)
コンピュータが、大量のデータから反復的に学習することでルールやパターンを見つけ出し、それをもとに分類や予測を行うアルゴリズムやモデルの総称。
深層学習
(Deep Learning/DL)
機械学習の一種。人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層にしたアルゴリズムの総称。
従来は人が行っていたデータから潜在的な特徴を抽出する作業をコンピュータが行うことが特徴。
生成AI
(Generative AI/GAI)
学習データをもとに、テキストや画像など新たなデータを生成するAI(人工知能)のこと。
大規模言語モデル
(Large Language Model/LLM)
巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された大規模言語モデルのこと。
Human in the Loop
(HITL)
段階的に運用ノウハウや知識データを蓄積し、人とAIが協調してオペレーションする環境を創出する仕組み。
EMS
(Electronics Manufacturing Service)
電子機器をはじめとした他社の製品の製造を請け負うサービスのこと。
EMSは、規模の経済を働かせ製造コストを抑えるといったモデルで拡大、近年では請け負う製品領域が多様化しており、また、サービス領域も製造のみならず設計、保守運用に拡がりを見せている。
PoC
(Proof of Concept/実証実験)
構想、企画したシステムが意図した結果を生み出すかを確認するために、AIの精度などの不確実性が高い部分に絞り実験的に検証すること。
AutoML
(Automated Machine Learning)
データ収集、データの加工、モデルの生成などの機械学習のプロセスを自動化する技術や手法、概念のこと。
BaaS
(Backend as a Service)
アプリケーションのバックエンド機能を提供するクラウドサービス。
ABEJAでは、属性推定や需要予測等のAIを、一定程度の精度が担保された状態で予め準備し、顧客が簡単に利用できるように提供。
RAG
(Retrieval Augmented Generation)
LLMにプロンプトを入力すると、そのプロンプトをもとに外部データから関連する部分を取り出し、それを元に回答を生成する方法のこと。
Agentプロンプトで入力した内容をもとにLLMが必要なアクションを考え、コンピュータ上でそのアクションを実行する機能のこと。
Fine-tuning既に学習済みのモデルに、特定の用途を見据えて再学習を行うこと。
事前学習
(Pre-Training)
モデルに基本的な言語能力や語彙、知識を習得させるために自己教師あり学習を行う手法のこと。
事後学習
(Post-Training)
Pre-Trainingしたモデルを、ユーザが使いやすい応答をするように追加で学習を行うこと。
ガードレールLLMの入力と出力を監視するアルゴリズムのこと。
アノテーションAIが学習する教師データ(正解データ、ラベル)を作成するため、画像やテキストなどのデータに関連する情報を注釈として付与する作業のこと。
ユーザーインターフェース(UI)ユーザーがサービスを利用する際に触れる操作画面や操作方法などの、ユーザーとサービスの接点を指す。
ユーザーエクスペリエンス(UX)製品やサービスを通して、ユーザーが感じる使いやすさや印象といったユーザー体験のこと。

沿革関係会社の状況


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