有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W1Z7 (EDINETへの外部リンク)
リケンNPR株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
2023年10月に経営統合したリケンNPRグループは、両社の強みを生かしながら研究開発を進めております。ICE製品の開発においては、社会の目指す「カーボンニュートラル」達成に向けて排ガス規制対応技術、燃費低減技術や水素エンジン、バイオフューエル等の代替燃料に対応する主要製品の開発を進めております。新規事業創出活動は、両社の保有技術を活かした新分野(電動ユニット製品、機能性樹脂製品、磁性材製品、医療機器製品等)の開発を行っており、中長期の主力となる製品を生み出すべく活動を推進しております。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,569百万円であり、各セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 自動車関連製品事業
当連結会計年度における自動車関連製品事業に係る研究開発費は3,891百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① 次世代低燃費エンジン用ピストンリング
今後のカーボンニュートラルに向け、エンジンにはより一層の高熱効率化、クリーン化、カーボンニュートラル燃料への対応が求められており、カーボンニュートラルへの対応のため、エンジンの比出力、燃焼圧力は上昇し、摩擦損失の低減、粒子状物質(PM)の低減への取り組みが行われております。これらのエンジン開発動向に対し、ピストンリングでは低摩擦で高耐久性を実現する厚膜DLC皮膜や、過給エンジンのノック環境に対応した高靱性CrN皮膜を市場に投入しており、また新たにカーボンニュートラル燃料に対応したピストンリングの提案も行っております。
一方で、エンジンシステムの高機能化に伴う製品コストのバランス配分や効率的な製品開発への対応として、機能予測ツールの開発とそれを活用したモデルベース設計、ものづくり革新として低コストで高精度なピストンリングの開発にも取り組んでおります。また、産学連携強化も進めており、AICEのエンジン研究活動に直接参加し、日系企業の技術開発強化にも取り組んでおります。
② 次世代ディーゼルエンジン用ピストンリング
商用ディーゼルエンジンにおいても燃費基準に適合したエンジン開発が行われており、これまで以上の低燃費技術が求められております。燃費基準に適合したエンジン開発においては、新たにフリクションを低減させる高耐摩耗・高靱性CrN改良皮膜、厚膜DLC皮膜、及び低摩擦、低張力で高い潤滑油調整機能を持つ新形状のオイルリングの開発が完了し、クリーンな排ガスと低燃費、耐久性を両立させる製品を市場展開しております。また、生産性向上の取組みとして素材形状の最適化に加え、加工精度の向上による生産性の改善を実現しております。
③ バルブシート
ハイブリッド専用機関等の環境に対応した内燃機関の熱効率を向上するために、高い耐摩耗性が要求される希薄燃焼ガソリンエンジン、EURO7対応ディーゼルエンジン、代替燃料(ガス、エタノール)エンジン、カーボンニュートラル燃料対応エンジンに対応可能な高機能製品の開発に取り組んでおります。また、機能面だけでなくコスト低減を意識し、お客様にとって満足して頂ける最適仕様の製品開発にも取り組んでおり、あらゆる地域の顧客ニーズに対応することを目指し、グローバルな技術提案を行っております。
④ 組立式焼結カムシャフト
環境対応内燃機関の熱効率向上に寄与する軸部薄肉化による軽量化や、低燃費・高出力に対応する高面圧対応が可能な材料技術を有しており、お客様へ提案を行っております。また、お客様での加工取り代削減と、加工後の材料不良を削減させるため、素材精度向上と素材内在不良低減の開発も継続して行っております。
⑤ メタモ―ルド(金属粉末射出成形部品)
CASE領域の中、加速していく自動車の電動化に伴い、操舵系や駆動系関連の部品及び産業機械向け部品について多数の引き合いを受けております。複雑形状をした部品の引き合いは継続して増えており、拡販活動に取り組んでおります。また、新規参入に向けて材料ラインナップの拡充を図っており、外科用インプラントの標準規格ASTM-F2885に準拠したTi-6Al-4V合金材料の開発に成功し、インプラント関連製品への展開を図っております。
⑥ 新規焼結製品
当社が保有しているバインダージェット方式の3D金属積層造形法は、複雑形状の製品に適用が可能であることに加え、金型不要であり、かつメタモールドと同等の材料特性が得られる特徴を生かし、メタモールドで量産を
検討しているお客様の試作リードタイム短縮や試作金型費用削減に活用することでメタモールドの量産獲得に向けた展開を図っております。
また、整形インプラント等の医療関連製品においては、複雑形状且つ生産数量が少ないことから3D金属積層造形法が有用であり、新規参入に向けて材料ラインナップの拡充を図っております。
(2)配管・建設機材事業
当連結会計年度における配管・建設機材事業の製品に係る研究開発費は205百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① ガス配管用継手
ガス配管用継手は、特に安全性と品質保証能力の向上が求められており、各都市ガス会社との共同研究を中心に開発を行っております。近年は、安全性・品質と同様に環境に配慮した製品設計や、配管施工者の人手不足に対応した省力化に注力した製品開発要請が強まっており、都市ガス、LPG向けにこれらに対応した高品質な製品の開発に取り組んでおります。
② 建築設備配管用継手
建築設備配管用継手もガス配管用継手同様に、安全性・品質はもとより、環境に配慮した製品設計や省力化に注力した製品開発要請が強まっております。同時に、消火・給水・給湯用の配管においては、近年、鋼管からステンレス管や樹脂管への材質代替が進んでおり、これらに対応するため、鋼管用継手に加え、ステンレス管用継手、樹脂管用継手の製品開発に注力しております。
③ 高強度ダクタイル製品
高強度ダクタイル製品は、独自の化学成分管理と製造ノウハウにより、FCD800・FCD900相当の高強度鋳鉄製品の大量安定生産が可能となっております。また、これら鋳造技術に加え素材のみならず、加工から表面処理まで一貫した生産対応で、鉄筋用継手や各種歯車等の開発に取り組んでおり、多様な顧客要望に対応しております。
(3) その他の製品
当連結会計年度におけるその他の製品に係る研究開発費は471百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① 新製品・新事業関連
1)モータ・減速機製品
小型産業用ロボット向けの小型軽量化、高精度化に貢献する波動減速機の開発を行っております。特徴としては、剛性と角度伝達精度に優れた新機構(3ローブ波動減速機)の適用や軽量化を実現する樹脂材料の採用(軽負荷用途向け)があります。展示会等に出展し、お客様の声をお聞きしながら、お客様の製造工程のロボットに組み込まれる部品(製品)としての引き合いなど多数受けており、お客様でご評価いただいております。
また、電動化要求の強まり、少子高齢化による労働力不足などの社会現象に鑑みて、小型搬送装置やパーソナルモビリティ、屋外用小型移動体(ロボット)への適用を目指したモータ及び減速機の開発を行っております。
高い設計能力によりお客様のニーズを満たすラジアルギャップモータ、独自の圧粉コアを利用したアキシャルギャップモータといった薄型モータと、オリジナルの3K遊星・波動減速機等の薄型減速機を組み合わせた超薄型ギヤードモータを基軸とした設計開発に取り組んでおります。3K遊星減速機と薄型モータを組み合わせた超薄型アクチュエータについては、小型移動体駆動用としてお客様に評価して頂き、好評を得ております。また、銀河電機工業㈱様と当社が共同開発した圧粉コアを使用したアキシャルギャップモータユニット(減速機、ブレーキ含む)が㈱DONKEY様発売の農業支援ロボットCP200(2024年9月1日販売開始)に採用されました。
引き続き、差別化されたギヤードモータの製品化を目指した設計・開発を推進いたします。
2)樹脂関連製品
モビリティ用部品の分野で軽量化、静音化などに貢献する製品を開発しております。リケンのシールリング製品で培ったスーパーエンプラの射出成形技術を元に高強度樹脂ギアの開発を行っており、高強度樹脂材料の開発とオリジナルギア設計技術、それらの組み合わせにより高強度樹脂ギア製品を提案・提供し、超小型モビリティのドライブユニット向けでPEEK材を用いたギアを量産化いたしました。そうした実績から、PEEKに限らず射出成形ギアの開発を行い、ギア拡販に取り組みを進めております。
また、電動化の流れの中で、金属から樹脂への置き換えによる軽量化検討が様々検討されており、電磁波対策を付与した樹脂成形品が求められております。当社ではEMC機能を付加したEV向けケース製品の開発を行っており、また併せて金属と樹脂を接合する技術を用いて、それぞれの特性・性能・機能を持ち合わせた製品の提案も行っております。(※異種材料接合技術のパイオニア企業である大成プラス㈱との資本業務提携による共同開発)
当社ではケース製品のように大きな型締め力(200ton超)を必要とする射出成形技術は新たな領域であり、射出成型機の導入を含めて技術導入を進めております。
3)EMC関連製品
自動車関連ではCASEの領域拡大が見込まれ、通信関係でも基地局、通信機器や測定機器などで電磁波ノイズ対策が求められております。車載電装機器、ADASなどの次世代通信技術に貢献する電磁波対策部材を開発・提供しております。
通信技術の高速大容量化や電子機器の小型・薄型化に対応できる高周波ノイズ抑制シート(GHz、MHz)、車載用レーダーや5G通信機器の電波干渉対策・検知感度を向上させた電波吸収シートを開発しております。
ノイズ抑制シートでは車載機器用や医療測定機器などで、電波吸収シートでは一般測定機器用で市場実績をあげております。
また、EVやHEV向けのワイヤハーネスからのノイズに対して高い抑制効果を確立させたノイズ抑制コア製品も開発しております。このコア製品は、軽量・省スペース化を狙った連結型や施工済みのワイヤハーネスに後付け可能な分割型など形状・設計のご要望にもお応えできる製品となっております。ご要求の性能に応じて、価格も考慮した材料設定もできるようにしております。
4)医療関連製品
生体適合性に優れたチタンタンタル合金(NiFreeT®)を使用した長期体内留置部材を医療機器メーカーと協業して製品化開発を進捗させております。NiFreeT®はチタン合金でありながら優れたX線視認性を持つことから、プラチナ合金の代替部材としての開発も行っております。NiFreeT®は骨に近い剛性であること、弾性率を変化させることができることから、整形インプラントへの適用を狙い、継続的に大学と連携をしております。
また、表面処理ではこれまでピストンリングで培ってきたPVD、DLCを医療機器に適用すべく生体適合性の評価も行っております。今後、生体毒性から規制が懸念されるコバルト合金や、PFASの代替技術の候補になりえる可能性があることから、医療機器メーカーと共同で開発を行うとともに、大学との連携も開始しております。さらに、大学病院のドクターにアドバイスを頂きながらニーズをリアルタイムでキャッチし、QOL(Quality of Life)を向上させる医療機器の開発も進めております。
歯科インプラントの開発・改良では、顧客要望から特殊領域へのインプラント埋入手術用術具の開発を完了させ販売を開始しましたところ、国内外の歯科医師から高い評価を得ております。今後もデジタル化が進む歯科業界のニーズに応えた製品展開や顧客要望を基にした商品開発・改良・取扱商品拡充により顧客満足度の向上を図ってまいります。
② 熱エンジニアリング応用製品
当社の熱エンジニアリング事業は、独自電熱材材料PYROMAX®、PYROMAX SUPER®とそれを活用した省エネ電気炉PYRORIK®の製造販売を手掛けており、60年を超える歴史において、半導体装置産業など特に高温領域でのヒータを必要とされるお客様のニーズに応える製品を提供してまいりました。2024年2月に株式会社シンワバネスが当社グループに加わることで、半導体製造装置向けヒーターユニットについては、高温から低温まで幅広い温度域の開発対応が可能となりました。これにより従来の半導体製造装置から最先端装置までの多様化する温度管理ニーズに対し、より柔軟かつ広範囲にソリューションを提供できる体制が整いました。今後も中長期的に大きな成長が見込まれる半導体ニーズに対応して、持続的に伸長することが予想される半導体製造装置の進化発展を見据え、優れた熱伝導性・緻密な温度管理・均等な温度分布など、熱解析技術(CAE)を駆使した高性能な製品の開発に取り組んでまいります。
また、昨今のカーボンニュートラルの潮流をうけて、各種の産業分野では熱エネルギーを化石燃料燃焼加熱からヒータによる電気加熱への転換が加速度的に進んでおり、需要はさらに大きく拡大するものと期待されます。さらなる環境性能を追求した製品・製造技術の研究開発に取り組み、事業の拡大を目指してまいります。
③ 水素・新エネ関連製品
当社は、カーボンニュートラルを実現する新世代燃料である水素、合成燃料、バイオ燃料などを使用する次世代エンジンに関連した新製品・新事業の創出を目指しております。
開発設備は、水素エンジンを実機評価できる専用のベンチ室を4室保有すると共に、大型水素供給設備のトレーラー庫を備え、大型トラックや建設機械向けの大型エンジンの評価にも対応し、自社開発への活用だけでなく、顧客向けのエンジニアリングサービスの提供も行ってまいります。
開発事例として、ディーゼルエンジンを水素エンジンにコンバージョンし、水素タンクを搭載した小型トラックを開発しております。2025年4月現在、このトラックは車検を取得済みで公道を走行可能となっております。関連会社における製品輸送での利用を見据え、各種走行テストを計画しております。
地域の水素利活用やFCVを初めとした水素車両の普及に向け、新潟県柏崎市に水素ステーションの建設を進めており、柏崎市が掲げるゼロカーボンシティ推進戦略の一翼として、再生可能エネルギーの地産地消と地域の活性化に貢献することが期待されております。
引き続き、評価設備拡充や水素車両による実証試験も進め、次世代を担う事業を模索してまいります。また、地域のカーボンニュートラルに貢献できる研究開発にも取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,569百万円であり、各セグメントの研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 自動車関連製品事業
当連結会計年度における自動車関連製品事業に係る研究開発費は3,891百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① 次世代低燃費エンジン用ピストンリング
今後のカーボンニュートラルに向け、エンジンにはより一層の高熱効率化、クリーン化、カーボンニュートラル燃料への対応が求められており、カーボンニュートラルへの対応のため、エンジンの比出力、燃焼圧力は上昇し、摩擦損失の低減、粒子状物質(PM)の低減への取り組みが行われております。これらのエンジン開発動向に対し、ピストンリングでは低摩擦で高耐久性を実現する厚膜DLC皮膜や、過給エンジンのノック環境に対応した高靱性CrN皮膜を市場に投入しており、また新たにカーボンニュートラル燃料に対応したピストンリングの提案も行っております。
一方で、エンジンシステムの高機能化に伴う製品コストのバランス配分や効率的な製品開発への対応として、機能予測ツールの開発とそれを活用したモデルベース設計、ものづくり革新として低コストで高精度なピストンリングの開発にも取り組んでおります。また、産学連携強化も進めており、AICEのエンジン研究活動に直接参加し、日系企業の技術開発強化にも取り組んでおります。
② 次世代ディーゼルエンジン用ピストンリング
商用ディーゼルエンジンにおいても燃費基準に適合したエンジン開発が行われており、これまで以上の低燃費技術が求められております。燃費基準に適合したエンジン開発においては、新たにフリクションを低減させる高耐摩耗・高靱性CrN改良皮膜、厚膜DLC皮膜、及び低摩擦、低張力で高い潤滑油調整機能を持つ新形状のオイルリングの開発が完了し、クリーンな排ガスと低燃費、耐久性を両立させる製品を市場展開しております。また、生産性向上の取組みとして素材形状の最適化に加え、加工精度の向上による生産性の改善を実現しております。
③ バルブシート
ハイブリッド専用機関等の環境に対応した内燃機関の熱効率を向上するために、高い耐摩耗性が要求される希薄燃焼ガソリンエンジン、EURO7対応ディーゼルエンジン、代替燃料(ガス、エタノール)エンジン、カーボンニュートラル燃料対応エンジンに対応可能な高機能製品の開発に取り組んでおります。また、機能面だけでなくコスト低減を意識し、お客様にとって満足して頂ける最適仕様の製品開発にも取り組んでおり、あらゆる地域の顧客ニーズに対応することを目指し、グローバルな技術提案を行っております。
④ 組立式焼結カムシャフト
環境対応内燃機関の熱効率向上に寄与する軸部薄肉化による軽量化や、低燃費・高出力に対応する高面圧対応が可能な材料技術を有しており、お客様へ提案を行っております。また、お客様での加工取り代削減と、加工後の材料不良を削減させるため、素材精度向上と素材内在不良低減の開発も継続して行っております。
⑤ メタモ―ルド(金属粉末射出成形部品)
CASE領域の中、加速していく自動車の電動化に伴い、操舵系や駆動系関連の部品及び産業機械向け部品について多数の引き合いを受けております。複雑形状をした部品の引き合いは継続して増えており、拡販活動に取り組んでおります。また、新規参入に向けて材料ラインナップの拡充を図っており、外科用インプラントの標準規格ASTM-F2885に準拠したTi-6Al-4V合金材料の開発に成功し、インプラント関連製品への展開を図っております。
⑥ 新規焼結製品
当社が保有しているバインダージェット方式の3D金属積層造形法は、複雑形状の製品に適用が可能であることに加え、金型不要であり、かつメタモールドと同等の材料特性が得られる特徴を生かし、メタモールドで量産を
検討しているお客様の試作リードタイム短縮や試作金型費用削減に活用することでメタモールドの量産獲得に向けた展開を図っております。
また、整形インプラント等の医療関連製品においては、複雑形状且つ生産数量が少ないことから3D金属積層造形法が有用であり、新規参入に向けて材料ラインナップの拡充を図っております。
(2)配管・建設機材事業
当連結会計年度における配管・建設機材事業の製品に係る研究開発費は205百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① ガス配管用継手
ガス配管用継手は、特に安全性と品質保証能力の向上が求められており、各都市ガス会社との共同研究を中心に開発を行っております。近年は、安全性・品質と同様に環境に配慮した製品設計や、配管施工者の人手不足に対応した省力化に注力した製品開発要請が強まっており、都市ガス、LPG向けにこれらに対応した高品質な製品の開発に取り組んでおります。
② 建築設備配管用継手
建築設備配管用継手もガス配管用継手同様に、安全性・品質はもとより、環境に配慮した製品設計や省力化に注力した製品開発要請が強まっております。同時に、消火・給水・給湯用の配管においては、近年、鋼管からステンレス管や樹脂管への材質代替が進んでおり、これらに対応するため、鋼管用継手に加え、ステンレス管用継手、樹脂管用継手の製品開発に注力しております。
③ 高強度ダクタイル製品
高強度ダクタイル製品は、独自の化学成分管理と製造ノウハウにより、FCD800・FCD900相当の高強度鋳鉄製品の大量安定生産が可能となっております。また、これら鋳造技術に加え素材のみならず、加工から表面処理まで一貫した生産対応で、鉄筋用継手や各種歯車等の開発に取り組んでおり、多様な顧客要望に対応しております。
(3) その他の製品
当連結会計年度におけるその他の製品に係る研究開発費は471百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
① 新製品・新事業関連
1)モータ・減速機製品
小型産業用ロボット向けの小型軽量化、高精度化に貢献する波動減速機の開発を行っております。特徴としては、剛性と角度伝達精度に優れた新機構(3ローブ波動減速機)の適用や軽量化を実現する樹脂材料の採用(軽負荷用途向け)があります。展示会等に出展し、お客様の声をお聞きしながら、お客様の製造工程のロボットに組み込まれる部品(製品)としての引き合いなど多数受けており、お客様でご評価いただいております。
また、電動化要求の強まり、少子高齢化による労働力不足などの社会現象に鑑みて、小型搬送装置やパーソナルモビリティ、屋外用小型移動体(ロボット)への適用を目指したモータ及び減速機の開発を行っております。
高い設計能力によりお客様のニーズを満たすラジアルギャップモータ、独自の圧粉コアを利用したアキシャルギャップモータといった薄型モータと、オリジナルの3K遊星・波動減速機等の薄型減速機を組み合わせた超薄型ギヤードモータを基軸とした設計開発に取り組んでおります。3K遊星減速機と薄型モータを組み合わせた超薄型アクチュエータについては、小型移動体駆動用としてお客様に評価して頂き、好評を得ております。また、銀河電機工業㈱様と当社が共同開発した圧粉コアを使用したアキシャルギャップモータユニット(減速機、ブレーキ含む)が㈱DONKEY様発売の農業支援ロボットCP200(2024年9月1日販売開始)に採用されました。
引き続き、差別化されたギヤードモータの製品化を目指した設計・開発を推進いたします。
2)樹脂関連製品
モビリティ用部品の分野で軽量化、静音化などに貢献する製品を開発しております。リケンのシールリング製品で培ったスーパーエンプラの射出成形技術を元に高強度樹脂ギアの開発を行っており、高強度樹脂材料の開発とオリジナルギア設計技術、それらの組み合わせにより高強度樹脂ギア製品を提案・提供し、超小型モビリティのドライブユニット向けでPEEK材を用いたギアを量産化いたしました。そうした実績から、PEEKに限らず射出成形ギアの開発を行い、ギア拡販に取り組みを進めております。
また、電動化の流れの中で、金属から樹脂への置き換えによる軽量化検討が様々検討されており、電磁波対策を付与した樹脂成形品が求められております。当社ではEMC機能を付加したEV向けケース製品の開発を行っており、また併せて金属と樹脂を接合する技術を用いて、それぞれの特性・性能・機能を持ち合わせた製品の提案も行っております。(※異種材料接合技術のパイオニア企業である大成プラス㈱との資本業務提携による共同開発)
当社ではケース製品のように大きな型締め力(200ton超)を必要とする射出成形技術は新たな領域であり、射出成型機の導入を含めて技術導入を進めております。
3)EMC関連製品
自動車関連ではCASEの領域拡大が見込まれ、通信関係でも基地局、通信機器や測定機器などで電磁波ノイズ対策が求められております。車載電装機器、ADASなどの次世代通信技術に貢献する電磁波対策部材を開発・提供しております。
通信技術の高速大容量化や電子機器の小型・薄型化に対応できる高周波ノイズ抑制シート(GHz、MHz)、車載用レーダーや5G通信機器の電波干渉対策・検知感度を向上させた電波吸収シートを開発しております。
ノイズ抑制シートでは車載機器用や医療測定機器などで、電波吸収シートでは一般測定機器用で市場実績をあげております。
また、EVやHEV向けのワイヤハーネスからのノイズに対して高い抑制効果を確立させたノイズ抑制コア製品も開発しております。このコア製品は、軽量・省スペース化を狙った連結型や施工済みのワイヤハーネスに後付け可能な分割型など形状・設計のご要望にもお応えできる製品となっております。ご要求の性能に応じて、価格も考慮した材料設定もできるようにしております。
4)医療関連製品
生体適合性に優れたチタンタンタル合金(NiFreeT®)を使用した長期体内留置部材を医療機器メーカーと協業して製品化開発を進捗させております。NiFreeT®はチタン合金でありながら優れたX線視認性を持つことから、プラチナ合金の代替部材としての開発も行っております。NiFreeT®は骨に近い剛性であること、弾性率を変化させることができることから、整形インプラントへの適用を狙い、継続的に大学と連携をしております。
また、表面処理ではこれまでピストンリングで培ってきたPVD、DLCを医療機器に適用すべく生体適合性の評価も行っております。今後、生体毒性から規制が懸念されるコバルト合金や、PFASの代替技術の候補になりえる可能性があることから、医療機器メーカーと共同で開発を行うとともに、大学との連携も開始しております。さらに、大学病院のドクターにアドバイスを頂きながらニーズをリアルタイムでキャッチし、QOL(Quality of Life)を向上させる医療機器の開発も進めております。
歯科インプラントの開発・改良では、顧客要望から特殊領域へのインプラント埋入手術用術具の開発を完了させ販売を開始しましたところ、国内外の歯科医師から高い評価を得ております。今後もデジタル化が進む歯科業界のニーズに応えた製品展開や顧客要望を基にした商品開発・改良・取扱商品拡充により顧客満足度の向上を図ってまいります。
② 熱エンジニアリング応用製品
当社の熱エンジニアリング事業は、独自電熱材材料PYROMAX®、PYROMAX SUPER®とそれを活用した省エネ電気炉PYRORIK®の製造販売を手掛けており、60年を超える歴史において、半導体装置産業など特に高温領域でのヒータを必要とされるお客様のニーズに応える製品を提供してまいりました。2024年2月に株式会社シンワバネスが当社グループに加わることで、半導体製造装置向けヒーターユニットについては、高温から低温まで幅広い温度域の開発対応が可能となりました。これにより従来の半導体製造装置から最先端装置までの多様化する温度管理ニーズに対し、より柔軟かつ広範囲にソリューションを提供できる体制が整いました。今後も中長期的に大きな成長が見込まれる半導体ニーズに対応して、持続的に伸長することが予想される半導体製造装置の進化発展を見据え、優れた熱伝導性・緻密な温度管理・均等な温度分布など、熱解析技術(CAE)を駆使した高性能な製品の開発に取り組んでまいります。
また、昨今のカーボンニュートラルの潮流をうけて、各種の産業分野では熱エネルギーを化石燃料燃焼加熱からヒータによる電気加熱への転換が加速度的に進んでおり、需要はさらに大きく拡大するものと期待されます。さらなる環境性能を追求した製品・製造技術の研究開発に取り組み、事業の拡大を目指してまいります。
③ 水素・新エネ関連製品
当社は、カーボンニュートラルを実現する新世代燃料である水素、合成燃料、バイオ燃料などを使用する次世代エンジンに関連した新製品・新事業の創出を目指しております。
開発設備は、水素エンジンを実機評価できる専用のベンチ室を4室保有すると共に、大型水素供給設備のトレーラー庫を備え、大型トラックや建設機械向けの大型エンジンの評価にも対応し、自社開発への活用だけでなく、顧客向けのエンジニアリングサービスの提供も行ってまいります。
開発事例として、ディーゼルエンジンを水素エンジンにコンバージョンし、水素タンクを搭載した小型トラックを開発しております。2025年4月現在、このトラックは車検を取得済みで公道を走行可能となっております。関連会社における製品輸送での利用を見据え、各種走行テストを計画しております。
地域の水素利活用やFCVを初めとした水素車両の普及に向け、新潟県柏崎市に水素ステーションの建設を進めており、柏崎市が掲げるゼロカーボンシティ推進戦略の一翼として、再生可能エネルギーの地産地消と地域の活性化に貢献することが期待されております。
引き続き、評価設備拡充や水素車両による実証試験も進め、次世代を担う事業を模索してまいります。また、地域のカーボンニュートラルに貢献できる研究開発にも取り組んでまいります。
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