有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100XCIN (EDINETへの外部リンク)
株式会社PRISM BioLab 研究開発活動 (2025年9月期)
当社の研究開発活動における当事業年度の研究開発費は、620,939千円となりました。
当社は、PPIを制御する低分子化合物の創薬基盤技術を用いた新薬の研究開発を行っております。当事業年度末時点において、研究開発部に従業員39名が在籍し、創薬のための新規化合物の設計、合成、分析、評価等の業務を社外のコンサルタント、研究機関や受託研究機関等も積極的に活用し、効率的、効果的に運営しております。
当社では基盤技術の根幹となる高度な合成化学を研究、実施するための施設を保有し、汎用的な合成については外部の受託研究機関を用いることで、機密情報を守りつつ固定費を削減しております。
当事業年度における研究開発活動の詳細は下記のとおりであります。
① 自社開発事業
ⅰ) CBP/β-カテニン相互作用阻害剤(E7386、PRI-724)
Wntシグナル伝達経路は、ガン、線維化などを制御するタンパク質のネットワークであり、創薬標的として広く研究されています。Wntシグナルは、細胞が「ガン化」「線維化」する際のみならず、細胞が「分化」して正常に機能する際にも重要な機能を果たすため、Wntシグナルを止めることは副作用にもつながります。従来の技術で開発されてきたWnt阻害剤は、Wntシグナルを上流から全て止めてしまうため、強い毒性を示して開発が中止されてきました。E7386及びPRI-724は、そのような毒性を示すことなく、治療薬として必要な安全性を可能とするコンセプトのもとで創出された化合物です。Wntシグナルは、細胞核内でβ-カテニンがCBPという転写因子タンパク質に結合することでスイッチが入りますが、PepMetics化合物は、このCBPに結合し、CBPとβ-カテニンの結合を阻害します。一方で、PepMetics化合物はCBPと似た別なタンパク質であるP300とは結合しないため、β-カテニンとP300によるWntシグナル経路は機能します。その結果、PepMetics化合物はWntシグナル全体の機能を止めることなく、「ガン化」「線維化」を止めることが可能となります。
(a) E7386
エーザイ株式会社(以下、「エーザイ」という。)と共同創出した経口投与可能なCBP/β-カテニン相互作用阻害剤であるE7386は、ガン細胞の悪性化に関与するCBP/β-カテニンシグナルをターゲットとし、2021年11月にはPOC(Proof of Concept)を達成しています。当事業年度におきましては、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ®」との併用による固形ガンを対象とした後期第Ⅰb相/第Ⅱ相臨床試験につきまして、本年5月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で後期第Ⅰb相パートの中間解析結果が発表され、計画されていた30名の患者の組み入れが完了し、子宮内膜ガンの患者で高い客観的奏効率と有望な予備的抗腫瘍活性を示しました。2025年10月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されたデータ(データカットオフ:2025年6月4日)では、全奏効率(腫瘍の大きさが30%以上縮小)が36.7%であり、11名の患者で確認されました。更には「レンビマ®」投与歴が無い患者における全奏効率は57.1%を示しました。エーザイでは、患者の用量最適化パート(第Ⅱ相)への組み入れを開始しており、「レンビマ®」との併用による子宮内膜ガンに係る適応に関して2031年3月までの承認取得を目指すと発表しています。
また、「レンビマ®」との併用による臨床試験と並行して、Merck & Co., Inc.,Rahway, NJ, USAの抗PD-1抗体「キイトルーダ®」との併用による固形ガンを対象とした後期第Ⅰb相/第Ⅱ相臨床試験が進行中です。(図16)
(b) PRI-724
当社が見出したCBP/β-カテニン相互作用阻害剤であるPRI-724(一般名:ホスセンビビント)は、大原薬品工業株式会社(以下、「大原薬品」という。)にガン以外の分野における権利を導出しました。C型肝炎(HCV)及びB型肝炎(HBV)による肝硬変患者を対象に臨床試験が進められ、肝硬度、肝機能の改善が認められたことから、2022年4月にPOCを達成しています。
2023年4月より、HCV・HBVに加えてMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎、旧名:非アルコール性脂肪肝炎(NASH)) に起因する非代償性肝硬変患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を国内38施設で実施しており、当事業年度におきましてはMASHを対象とするコホートでの患者の登録を完了しました。2027年12月に臨床試験終了を予定しています。
また、血友病合併HIVとHCVの重複感染に起因する肝硬変患者を対象に東京都立駒込病院を中心に実施されている第Ⅱ相臨床試験につきましては、2024年12月に症例の登録が終了し、2025年12月に臨床試験終了を予定しています。(図16)
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※1:開発、販売地域はアライアンス先の開発・販売戦略毎に異なります。上記の情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれています。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しとは大きく異なる可能性があります。導出された製品候補については、パートナーが今後の開発・商業化の第一義的な責任を負います。
※2:開発地域は当該臨床試験の実施国が属する地域を記載しております。 情報は、2025年8月14日時点でのjRCT又はClinicalTrials.govに基づくものであり、変更になる可能性があります。
※3:開発プロセスイメージにおける臨床試験期間は、2025年8月14日時点でのjRCT又はClinicalTrials.govに基づくものであり、変更になる可能性があります。また、臨床試験期間は、当該臨床試験の開始日(予定日)・終了日(予定日)を参照しております。開始日について、症例登録開始日(予定日)、被験者登録組入日の開示がある場合は当該時期を開始日として参照しております。 (図16)
ⅱ) FEP
従来進めてきたeIF4E/eIF4G阻害剤である4EBP1模倣化合物のプログラムは、「リード最適化」ステージにて創薬研究が実施されております。eIF4EとeIF4GはCAP依存性翻訳複合体の主要構成因子であり、mRNAの情報からタンパク質を生成(翻訳)する役割がありますが、このCAP依存的な翻訳機構が特定のガン種においては破綻して過剰に働くことにより、ガン細胞の増殖が進行しています。このような細胞内での翻訳が過剰にならないよう、本来は4E-BP1というタンパク質がeIF4Eに結合することで制御されていますが、ガン細胞では上流のPI3K/Akt/mTOR経路が活性化され、4E-BP1の機能が無効化されています。本プログラムにおいては、PepMetics技術を用いて4E-BP1の模倣化合物を作り、過度な翻訳を制御することを試みています。治療標的となるガン種としては、たとえばTNBC(トリプルネガティブ乳ガン)では約42%、膀胱ガンでは約43%の患者において本経路が活性化されており、4E-BP1の模倣化合物はこれらガンに対する分子標的薬として期待されております。アメリカ・日本・ヨーロッパ主要国でのこれら活性化されている対象患者数は、TNBCで約13万人、膀胱ガンで約40万人と見積もることができ、更にはこれらガン腫に対する分子標的薬が無いことから、マーケット的に大きなインパクトがあると考えられています。
当事業年度におきましては、化合物の最適化合成並びに薬効評価を継続して実施しました。社内目標として早期の最適化リード化合物並びに臨床候補化合物の創出を掲げるとともに、鍵となる化合物が得られた段階で対外活動を行い、導出契約の締結を目標としております。
ⅲ) その他自社開発事業
当事業年度におきましては、これまで実施していた1つの「ヒット化合物探索」ステージのプログラムについて、計画していた進捗に至らなかったことから中止しました。一方で、当事業年度に新たに1本のプログラムを開始し、「ヒット化合物探索」を進めています。自社開発プログラムでは標的探索を定常的に行っており、ヒット化合物探索からプログラム数を管理しています。
FEPを含め、進捗段階毎の実施中のプログラム数の経過は下記のとおりです。
| 2024年度末 | 増加数 | 次相への 進展 | 中止数 | 2025年度末 | |
| ヒット化合物探索 | 1 | 2 | - | △1 | 2 |
| リード化合物探索 | 1 | - | - | - | 1 |
| リード最適化 | 1 | - | - | - | 1 |
(2) 共同開発事業
当社は、PepMeticsの創薬基盤を活用して製薬会社が選定した創薬標的に対してヒット化合物を見出して創薬を進める事業を行っております。当事業年度末段階で国内外6社と共同研究契約を締結しており、各企業との間で研究開発活動を実施し、それぞれ順調に進捗しております。一方で、Lillyとの共同研究契約につきましては、両社で共同研究に注力し一定の成果が得られていたものの、Lillyの戦略的な判断により本年9月に契約を終了しました。
共同研究を実施している進捗段階毎のプログラム数の経過は下記のとおりです。
| 2024年度末 | 増加数 | 次相への 進展 | 中止数 | 2025年度末 | |
| 標的探索 | 3 | 2 | △1 | - | 4 |
| ヒット化合物探索 | 3 | 1 | - | △3 | 1 |
| リード化合物探索 | 1 | - | - | - | 1 |
| リード最適化 | - | - | - | - | - |
(3)創薬基盤開発
当社は、本年4月にElixとの業務提携契約を締結しました。当社のPepMetics技術はAIとの相性が良い性質を持っていることから、創薬にAIを活用することにより、研究開発の時間短縮と開発成功確率の向上を目指してコラボレーションを進めています。また、当社の従来からの強みである有機合成化学に加えて、生物及び生物物理の機能を拡充しました。具体的には、生物評価系設備として自社内でPepMeticsライブラリー化合物の評価を高速で行うHTSを本格稼働させるとともに、PPI標的タンパク質の高次構造の予測やリガンドとの結合シミュレーションを行う計算化学、タンパク質-PepMetics化合物複合体のX線結晶構造解析による結合様式の解明を行う生物物理学の手法を確立し、これら新技術を適用することにより、創薬探索規模の拡大と高度化を進めました。さらに、創薬研究に精通した優秀な人材を積極的に採用したことにより、当事業年度末時点において研究開発部の従業員数は39名に増加しました。
これらの拡大投資によって、当事業年度におきましては、自社開発及び共同開発を含めて7つのプログラムを並行して進めました。共同開発事業におけるライブラリー化合物の提供のみならず、PepMetics化合物のデザイン及び最適化合成、PPI活性評価、腫瘍細胞の試験管内(in vitro)及び動物(in vivo, Xenograft等)薬効評価までの一連の創薬プロセスを自社で行う体制を構築し、創薬開発のスピード化による自社開発事業の拡充と、多様化する相手先企業のニーズに応える創薬提案を行える組織を編成しました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E39751] S100XCIN)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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