有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VHDH (EDINETへの外部リンク)
リガク・ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2024年12月期)
当社グループの研究開発は、当社グループの強みであり、製品競争力の源泉であるX線源、光学素子、検出器、解析ソフトウェア等のX線要素技術の優位性を、それらの強化投資によりさらに強固なものとし、かかるX線要素技術の優位性を原動力とした、他社が真似ることのできない革新的な製品・サービスを生み出すことにより、科学技術イノベーションに対する顧客や社会のニーズに応えていくことを、その方針としております。
また、X線分析機器の将来を見据えて、これまでにない革新的な製品・サービスを生み出すための技術基盤となるX線による先端解析技術の研究やX線の新応用分野の開拓、その他X線技術を深掘りした先進的な研究に取り組んでおります。
さらに、当社グループの研究開発活動が結実した独自技術に関する知的財産権の保護、管理及び活用により当該独自技術の知的財産権の確実な保全を図る一方、先進的な研究に取り組む国内外の大学・研究機関や独創的な技術力を有する企業との提携、あるいはそれらのM&Aを通じて、当社グループの技術力を強化するオープン・イノベーションを積極的に推進しております。
当社グループは、グローバル・ワン・リガクの技術開発力をグローバルで活用する一方、外部研究機関等との協働も進め、研究開発費比率(注)を引き上げることを経営の目標としております。2024年12月期における当社グループが支出した研究開発費の総額は6,838百万円で、研究開発費比率は7.5%となりました。
(注) 研究開発費比率=研究開発費/売上高
当社グループの研究開発体制は、X線による先端解析技術の研究やX線要素技術の開発・製品化を担うグローバルR&Dユニット傘下のRCX線研究所、RCライフサイエンス研究所、RIT及びRITE、そしてグローバルな製品戦略に基づく製品の開発・競争力強化を担うグローバルプロダクトユニット傘下のRCプロダクト本部XRD、ライフサイエンス、XRF、X線イメージング、XRDアプリケーションソフトウェア開発部、XRD製品設計部、XRF開発設計部及び熱分析、RC薄膜デバイス事業部設計部、要素部品事業部、ART、RAD、並びにNSIの各組織で構成されております。
当社グループにおける主な研究開発活動は以下のとおりです。
研究開発体制 | 研究開発活動 | |
国内 | Ⅹ線研究所 先端解析技術研究部 | 長期的な視点から、将来の技術基盤となるX線による先端解析技術の研究やX線の新応用分野の開拓、その他X線技術を深掘りした革新的かつ先端的な研究に取り組んでおります。 |
X線研究所 要素技術研究部 | 製品の実用化に直結するX線源や検出器等のX線要素技術の開発・製品化を行っております。各製品の競争力強化に寄与するためのX線要素技術の高性能化を推進しております。 | |
ライフサイエンス研究所 | ライフサイエンス事業の拡大に繋がる要素技術の研究開発ロードマップの策定や優位化技術の開発に取り組み、ライフサイエンス事業の基盤の構築を推進しております。 | |
グローバルプロダクトユニット(RC各製品所管・設計部門) | 所管製品の競争力強化や新分野への進出を図るため、新製品の開発や既存製品の機能向上・新機能追加等に関わる開発を推進しております。 | |
国内・海外子会社 | 自社事業の強化を目指した開発や当社グループのX線の製品に搭載される要素部品の開発を行っております。 |
当連結会計年度の研究開発活動の主要課題・成果は以下のとおりです。
(1) 研究開発の主要課題
研究分野 | 主要課題 |
粉末・薄膜解析 | X線回折・散乱を用いた構造解析の主要分野であり、電子部品、電池材料、医薬品、セメント、化学製品等の幅広い産業分野において必要とされる高度な材料構造解析技術を開発し、複雑化する材料開発に役立てることができる評価方法を提供しております。 近年はLab to Fabを体現するSemi規格製品や自動化機能を有する製品の開発にも力を入れております。 |
ライフサイエンス | 従来からの強みであるX線を用いた単結晶構造解析の製品の機能強化に向けた開発に加えて、電子線を用いた回折装置を開発することで微小サイズの結晶を解析する技術を提供しております。 X線では不可能とされていた、溶液中のタンパク質を結晶化することなく観察できる装置を開発し、複数の大学や研究者と提携して具体的なアプリケーションの提供に向けて取り組んでおります。 |
蛍光X線分析 | 材料の元素組成や微量元素を簡便かつ迅速に測定する方法として、蛍光X線分析は幅広く活用されており、多くの分析機器メーカーが開発や製品化に参入しております。そのため、精度や感度を他社が容易に到達できないレベルに高めることが、当社グループの蛍光X線分析分野における課題と考えております。かかる課題への対応として、分光素子や光学系あるいは検出器の継続的な性能向上を図るとともに、これまでにない機能を備えた製品の開発を推進しております。 |
X線透過(イメージング)分析 | 高電圧化と高分解能化を進めることが、当社グループのX線透過(イメージング)分野における課題と考え、これらに対応するための技術の開発を推進しております。高電圧化は、当社グループの従来製品では困難な電子材料等の重元素材料の透過及びCT撮影を実現するため、高電圧X線源とそれに対応した検出器の開発を行っております。高分解能化は、材料内部のより微細な構造や欠陥を感度良く検出するための高感度検出器やX線レンズの開発を行っております。 |
薄膜デバイス | 半導体デバイスは、コンピューターやスマートフォンだけでなく、自動車や家電等生活のあらゆる分野に浸透しております。さらに、スマートグリッド等エネルギーの効率的活用にも重要な役割を果たしており、今日では人類のより良い生活にとって欠かすことのできないものとなっております。半導体デバイスは、引き続きその使用量の増大が見込まれているとともに、技術開発や製造プロセス管理が求める技術要求は高度化の一途を辿っており、これまでの光や電子線では応えることが困難となる微細化・積層化・新材料の採用等に対して、透過性、非破壊、微小部計測等のX線の特長を活かした計測技術を継続的に進化させることで対応し、半導体産業の発展に寄与してまいります。 |
熱分析 | 当社グループの熱分析分野では、最先端の感度性能等を持つ製品の開発を引き続き推進するとともに、品質管理での利用や海外顧客のニーズに即した製品のラインアップの充実に向けて取り組んでおります。 |
(2) 研究開発の主要成果
主要製品・ サービス | 実用化 | 概要 |
小型試料水平型X線回折装置 MiniFlex XpC | 2022年3月よりセメント会社向けに納入開始 | セメント会社の品質管理現場に最適な小型のX線回折装置を開発いたしました。卓上型X線回折装置MiniFlexで用いられているX線電源とほぼ同じ大きさで、800Wの高出力を可能にしております。検出器にD/teX Ultra 250を搭載し、測定データの高強度化を実現することで、測定時間の短縮化を可能にするとともに、試料ローディング機構を備えることで、作業効率を向上させております。 |
サブミクロン結晶用電子回折統合プラットフォームXtaLAB Synergy-ED | 2021年12月より出荷開始 | 当社グループの高速・高感度検出器HyPix-ED、測定から構造解析までを包括的に支援するソフトウェアCrysAlisPro ED、日本電子㈱の電子線発生・制御技術を有機的に統合いたしました。 電子線回折の技術を用いてナノメートルサイズの微小結晶の構造解析を可能にしたシステムで、測定から3次元分子構造の決定まで、シームレスなワークフローを提供しております。 ナノサイズの結晶が測定可能である電子回折の強みを活かし、数百ナノメートルあるいはそれ以下の微結晶でも構造を決定することが可能となりました。 |
検出器 XSPA-400ER | 2023年3月より出荷開始 | 高いエネルギー分解能により試料由来の蛍光X線をカットし、バックグラウンド成分を低減することで、従来機よりも高感度な測定を実現させております。 0、1、2次元に対応しているため、一般的なX線回折パターンの取得からデバイリングの形状測定まで、対応することができます。また、全てのピクセル形状が同一であるため、IC境界補正が不要となり、一様な画像の取得も可能となっております。 |
半導体加工形状測定 XTRAIA CD-3200T | 2021年より 出荷開始 | 3D NANDメモリ等の深穴解析用の透過型X線小角散乱測定装置を、自社のX線源、光学素子、検出器を用いて開発しております。また、複雑な構造を解析するために、測定された多数の回折スポットの強度変動を全て詳細に最適化することができるソフトウェアも開発し、いち早く製品化に成功いたしました。この装置は、すでに納入が開始されており、従来の光や電子線では測定できなかった領域の測定を可能にすることで、補完技術としての普及が期待されます。 |
小角散乱解析 SAXS3DM | 2022年4月に 製品開発完了 | 散乱データの可視化プロジェクトの第1弾として、小角散乱データから、ナノメートルレベルの複雑な二次構造を3次元モデルとして可視化する方法を開発し、製品化に成功しております。構成された3次元構造からは、内部の空孔径等を解析することが可能で、充填剤や溶媒中に分散した粒子の構造解析や物性のシミュレーションに有効な手法となっております。 |
X線トポグラフ XRTmicron Hybrid | 2023年3月より 出荷開始 | XRTmicronは開発から約10年が経っておりますが、SiCによるパワーデバイスの本格活用が始まっており、年間10台程度と高額機ながら堅調な販売実績を上げております。他方で、ユーザーから短時間測定へのニーズが高まっており、これに対応するため、当社グループのピクセル型検出器を活用した高速測定と高分解能測定の切換えが可能な装置(XRTmicron Hybrid)を開発しております。これにより、分解能において劣るものの、10倍以上の高速化を実現し、6インチウェーハを2~3分の短時間で測定することを可能とし、研究開発用途のみならず生産現場での利用も視野に入れております。 |
波長分散型蛍光X線装置 Supermini200 | 2024年7月1日より出荷開始 | 液体試料や粉末試料をそのまま測定する際は、特に軽元素を測定する場合にヘリウムガスを使用する必要がありましたが、隔壁ユニットを開発して大気雰囲気と真空雰囲気の双方の環境を提供することで、ヘリウムガスを使用せずに測定が可能となりました。測定感度は若干落ちますが、大半の顧客において実用面での影響を最小限にとどめております。 ヘリウムガスを使用するための設備やスペースの節約、ガス使用の手間の削減のみならず、近年不足が懸念され価格が高騰しているヘリウムガス代への支出が不要となり、顧客の利便性が大きく高まると考えております。加えて、環境省からの要請である「ヘリウム使用の削減やヘリウムを使用しない測定方法への変更」に応え、環境面でも貢献しております。 |
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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