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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VHDH (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 リガク・ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2024年12月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループにおけるリスク管理体制に関し、後掲の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」において、取締役会、監査役会、経営会議、指名評価報酬委員会、ESG推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会の構成と活動状況について詳述しております。


1.国内外の市場の動向に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが販売するⅩ線分析機器は、国内外の半導体・電子部品、ライフサイエンス、化学等の幅広い産業分野や大学・研究機関で使用されており、当社グループの製品やサービスの需要はこれらの各産業等の市場動向や対象となる国・地域の経済情勢の影響を受けます。とりわけ、その需要は、研究開発予算及び設備投資計画の内容や、その資金源となる企業の業績、資金調達の状況や各国政府の予算編成、補助金政策等に影響され、これらの動向によっては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
品質検査用の装置の需要は、一般に設備投資額の増減の影響を受けます。当社グループが販売している品質検査用の装置は、一度導入されると工場の稼働率の影響は受けにくいため、変動リスクは限定的であり、過去の傾向を踏まえても設備投資額の増減による業績への影響は大きくないと判断しておりますが、設備投資額の水準が著しく悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、当社グループの主力事業として近年成長している半導体プロセス・コントロール機器の需要は、半導体業界の動向の影響を受けます。半導体デバイスは、急速かつ複雑な技術革新と製品の陳腐化の影響を受け、その需要は、主にマクロ経済と業界動向に基づく需要の変化に大きく影響されます。そのため、当社グループの事業は、半導体メモリ分野に代表される大幅な景気変動の影響を受ける可能性があります。当社グループが販売する半導体プロセス・コントロール機器はメモリ等の特定のアプリケーション向けに集中しないようバランスを考慮しており、また、半導体製造に関する研究開発投資は全体として今後も堅調に推移すると考えておりますが、半導体を利用した最終製品の需要が著しく減少した場合、又は想定どおりに成長しなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、日本や米国等による半導体製造に対する補助金支給等の政策は、製造設備開発の促進を通じて、当社の半導体プロセス・コントロール機器に対する需要の増加をもたらしてきました。しかしながら、このような政府の政策が縮小又は終了した場合、製造設備開発が減少し、その結果、当社の半導体プロセス・コントロール機器への需要が減少する可能性があります。


2.競合(価格/非価格競争)の激化に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが販売している科学分析機器は顧客が求める性能や利便性を備えていることが購買条件です。個別商談においては競合により販売価格を下げるケースもありますが、販売価格を下げたことをもって売上が大きく伸びる製品ではないため、基本的には赤字販売は行わない方針としております。また、当社グループは、常に先端技術を開発し、かつ顧客の利便性に配慮した製品を提供することで、競合他社、新興企業や新興国との競争に対応する方針としております。しかしながら、価格や技術の競争が激化し、当社グループが顧客の要求や業界・市場動向の変化にうまく対応できず競合他社に遅れを取った場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、昨今の物価上昇を受け、販売価格の引き上げによる採算の確保・向上を図っております。業界の多くの会社が同様の施策を採っており、2024年度の受注ベースでの粗利率は、販売価格の引き上げにより、2023年度対比で上昇しております。しかしながら、コストの上昇を転嫁するに足りる販売価格の引き上げが実行できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、X線分析機器の業界では、ある業者の機器が顧客の製品ラインに選定された場合、その保守やアップグレード等の継続的な取引関係が構築される傾向がありますが、その場合、当該顧客が他の業者との取引を切り替えることは費用の観点を含めて困難な場合があります。このような構造から、当社グループが、競合他社の機器を使用している先を潜在顧客として市場シェアを拡大することが困難なおそれがあります。


3.海外での事業活動に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)
当社グループは、海外に多くのグループ会社を保有し、また、一部の地域については販売代理店を通じた販売を行っており、製品を米州・欧州・中東・中国その他のアジア等の海外の顧客にも販売しています。日本以外の研究・生産拠点は米国・欧州・イスラエルに分布しており、その他、米国・欧州・中国・台湾・シンガポール・インド・ブラジルに販売とサービスの拠点を有します。これまでは、当該地域における当社グループの事業活動に重大な悪影響を及ぼす事態は生じておりませんが、海外で事業活動を行うにあたっては、地政学的リスク、為替の変動、輸出入管理規制の動向、各国政府の補助金政策動向、許認可等の取得状況、法規制の新設又は変更、税制の変更、販売代理店への依存、サプライチェーン及び販売代理店を含む海外オペレーションのガバナンス及びモニタリングリスク等が内在しております。予期していないこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのガバナンスに関しては、グローバル企業としての強みを最大限に発揮し、各社がそれぞれの利益を最大化する部分最適化の枠組みを超えて、グループ全体としての最大の成果を追求するために『Global One Rigaku』体制を2023年7月から採用しております。『Global One Rigaku』体制を採用するに当たり、各ユニット内及びユニットをまたぐ各種会議体の多層コミュニケーションによりガバナンス体制を浸透させております。また、各社の取締役会を基本的に毎月(一部は四半期ごとに)開催することで、市場動向、業績、内部監査指摘事項の対応状況等をモニタリングしております。各グループ会社の取締役会には当社から取締役(非常勤)を派遣しており、毎月(ないし四半期ごと)の取締役会を通じて業績面、内部管理面から多面的に情報収集・分析によるモニタリングと課題への対応を行っております。また、グループ会社には共通の行動規範(Code of Conduct)とグループ会社管理規程(権限体系)を導入しており、加えて主要子会社とは個別に経営に関する契約を締結し遵守すべき事項や責任を明確にしております。しかしながら、これらの当社グループによる施策が奏功せず、ガバナンス上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。


4.取引先・製品・技術への依存に関するリスク(仕入先への生産依存) (顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは半導体や関連製品の不足による原材料や部品の仕入れ難が一時期見られましたが、当社グループのみの現象ではなく、科学分析機器のみならず幅広い業界で見られた現象でありました。当社グループでは、同様の事態が再発した場合に備えて、極力複数社購買等によるリスク分散を図っております。技術面や仕入れ面で特定の会社に大きく依存している購買先はありません。しかしながら、原材料や部品の仕入れ難が再度発生した場合には、代替先からより高価格の原材料や部品を購入しなければならなくなる可能性があり、また仕入先の予期せぬ変更により、製品設計の変更を実施することになる可能性があるほか、輸送能力の不足が生じた場合にも追加費用や遅延が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

5.法令・規制に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業は、事業自体に関して許認可が必要とされるものではありませんが、主力のX線分析機器においては各国毎に安全基準や取り扱いについての届出や登録が必要です。また、当社グループが事業活動を行っている国・地域により電気規格や環境汚染物質の使用制限等があり、基準を満たしている必要があります。そのほか、各国及び地域における安全保障、外国貿易管理、競争政策、腐敗防止、労働及び税制等に関連する様々な法律及び規制の対象となっています。本書提出日現在では中国向けの輸出規制を含め、法令・規制による事業上の重大な影響はありませんが、予期していない法令・規制の新設や変更等により、当社グループの事業の一部が制限され、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
規格や環境規制に関しては、該当製品について規制を満たしている製品を開発することで対応しております。
また、ロシアによるウクライナ侵攻、中東での紛争、米中対立等の地政学的緊張が高まる中、日本政府による輸出規制が拡大しています。そのため、当社グループでは貿易管理室を設け、日々複数の専任者が該当事例の確認を行っております。また、輸出規制の最新情報やリスク管理の重要性についての社内教育・研修を定期的に実施すると共に、内部監査を通じて輸出手続きの運営や規制の遵守状況を確認・改善しており、必要に応じて経済産業省や外部専門機関の意見を取り入れ、対策の精度を高めています。さらに、これらを踏まえ、年2回開催を基本とする貿易管理委員会にて現状や課題を確認し、対策を協議しております。もっとも、これらの当社グループによる施策が奏功せず、法令・規制上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.外注管理に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループでは、外注先を自社工場の延長線にあるパートナーと位置付けており、品質、コスト及び納期が要求水準を満たしているかのモニタリングが必要であると認識しております。予期していない外注先でのトラブル等により当社の製造プロセス全体が中断又は遅延する等のおそれがあり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、外注先については、品質管理を最優先に連携して対応しており、課題のある外注先には数人で訪問して課題把握と改善指導をする品質パトロールという制度により、外注先の管理を行っております。
また、コンプライアンスやESGの観点から、外注先が取引相手として相応しいかという点の確認を行っております。もっとも、これらの当社グループによる施策が奏功せず、外注先での問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。


7.原材料の価格高騰や供給停止に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
レアメタルを含む当社製品の製造に使用する主要な原材料は、限られた購買先からしか調達できません。当社は購買先と強固な関係を築いておりますが、購買先が当社の要求水準を満たさない場合には、原材料の供給不足が生じる可能性があります。原材料の供給不足により、高い価格の市場品の購入を余儀なくされ、また他社の製品に切り替えるために設計変更費用が発生するおそれがあります。当社グループは、厳しい供給不足の事態が発生した場合には、採算性の良い事業・製品について優先的に部品を確保し、会社全体への影響を極力抑えるよう対応する方針としておりますが、想定を超える原材料の長引く供給不足や急激な価格高騰が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.コスト(設備)に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)
当社グループにおいては、製品を生産するに当たり、専用ライン等の大型の設備投資は通常必要となりませんが、重要部品を生産するための加工機や半導体事業向けの部品・製品等を生産するために、クリーン・ルームへの投資が必要です。クリーン・ルームについては、極力設備を有する先への外注・組立て委託により能力拡大を図っておりますが、要素部品として自社生産が望ましい検出器等は、自社でクリーン・ルームを整備しております。また、近年の売上の成長に伴い生産能力の拡大が必要になっております。生産能力拡大の必要性に対しては、生産効率・物流効率も勘案して山梨工場の増設工事を実施中ですが、単に自社工場の拡大を行うだけでなく、自動化や外注化の促進により、全体としての生産性を高める方針です。また、山梨工場増設の先には、事業継続計画(BCP)やグローバルな物流効率の観点を踏まえて、海外での生産能力の拡大を検討する予定です。また、加工機については、外注化が困難なもの、当社グループの技術やノウハウが集約されており自社生産が望ましいものに限定し、加工機への投資を抑えていく方針です。
かかる設備投資について、想定外の設備投資費用が嵩んだ場合や、生産能力の拡大が大幅に遅れた場合等には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.品質に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
当社グループの製品は高度な分析・検査装置であり、仕様どおりに機能することが購買要因となるため、当社グループでは品質の確保を最重要課題の一つと位置付けております。また、X線の漏洩防止や取扱いにおける注意喚起といった安全性の確保は極めて重要となります。そのため、品質保証部と生産本部を中心にKPIを設定して品質の向上・改善に取り組んでおります。具体的には、客先での初期不良(納入時の不良、1年間の保証期間内の不良)、自社での不良(生産工程での不良、外注先での不良)に分けて不良の要因を分析して改善に結び付ける施策を行っております。また、不良の発生、改善の進捗、KPIに対する実績等の状況を、週次で品質保証部が経営者層や関係者に報告しております。
しかしながら、このような取組みにもかかわらず品質不良や製品安全への懸念等が発生する場合には、当社グループの信頼性やブランド力の低下に繋がり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品に欠陥や安全性に関する懸念が発生した場合、顧客からの信頼を毀損する可能性があるほか、当社又は当社顧客に対して損害賠償請求がなされ、多額の訴訟費用の負担や顧客への補償を求められる可能性もあります。


10.研究開発に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが属する市場や業界においては、新しい技術や、それを採用した製品を継続的に市場に投入することが長期的な成長要因となるため、新しい技術の開発は当社グループにとっての生命線となっております。予期していない市場動向の変化や当社グループの技術を代替しうる技術革新が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新卒や中途で優秀な学生・研究者等の人材を採用する他、国内外の研究機関・大学・企業と提携した研究開発を多数手掛けております。また、当社グループは、技術を有する企業について積極的にM&Aを実施しており、海外のグループ会社の半数以上はM&Aによりグループ会社化したものです。このように、当社グループは、今後も幅広いオープン・イノベーションの文化を維持して世の中に貢献する技術や製品を生み出していく方針ですが、技術の発展に追いつけず、又は顧客のニーズを満たす新製品の開発に成功できない場合には、市場シェアや収益が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.知的財産権に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業は技術が競争力の源泉であり、積極的に特許・意匠・商標の登録を行っております。しかしながら、知的財産権に対する十分な保護が得られない法域もあり、当社グループの知的財産が他社により不正利用されるおそれもあります。他社との間に知的財産紛争が生じた場合、解決までに相当な時間と費用を要し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではより多くの新しい特許性を有する技術を開発すべく、知的財産部が中心となって出願や権利化活動を行っております。知的財産部では、競合分野での他社特許の動向を監視しており、他社特許侵害をしていないかの確認を行うと共に、必要に応じて他社特許への異議申し立てや特許回避技術の開発を促しております。
本書提出日現在において、第三者特許を利用して当社グループの主要な技術・製品・事業が行われている事実、又は当社グループが第三者の知的財産を侵害しているとの主張を受けている事実はありませんが、当社が第三者の知的財産権を侵害していると第三者が判断した場合、当該第三者から差止命令又は損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



12.国際情勢に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)
当社グループは世界的に事業展開を行っているため、当社グループの事業は国際情勢や地政学的リスク、例えばサプライチェーン分断による調達・物流・販売規制等の影響を受けます。予期していない地政学的リスクが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特にロシアによるウクライナ侵攻、中東での紛争、米中対立等の地政学的緊張が高まっており、これに伴い日本を含む各国で輸出規制が拡大しています。また、米国商務省産業安全保障局による規制の強化により特定の顧客への米国原産品の販売制限や半導体製品及び関連技術の輸出に対するライセンス要件が追加され、これらの規制は米国域外にも及んでいます。これらの各国における輸出規制の拡大は、半導体等の関連する産業とそのサプライチェーンに重大な混乱を引き起こすことに伴う影響等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのほか、国際的な貿易摩擦により、関税や貿易障壁、その他の保護主義的措置が強化され、当社グループの製造コストの上昇、当社グループの製品の競争力の低下、国境を越えた当社グループの製品の移動の支障や遅延が生じる可能性もあります。

13.為替変動に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは世界的に製品販売を行っているため、当社グループの業績は為替変動の影響を受けます。当連結会計年度末では円・米ドルのレートが1円円高に動くことの営業利益への影響は1億円強/年程度の減少と見込んでおりますが、売上高や売上地域の割合の変動により影響を受ける金額は変動いたします。
当社グループでは、為替による調達コストや販売価格の変動は期ズレ現象と判断しているため、調達・販売に当たって為替予約は行わない方針としております。また、当社グループでは、売上高における海外比率に対して日本国内での生産・輸出の割合が多いため、円高は減益要因になりますが、引き続き生産性の効率化と販売価格の適正化を中心に対応し、円高が長期に継続する場合は海外生産能力の拡大や海外からの部品調達の促進等で対応し、マクロベースでの為替ポジションが中立的になるような対策を検討してまいります。
もっとも、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、円高が急激に進んだり長期に及んだりする場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.自然災害等に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
当社グループの主力工場は日本国内の東京都昭島市、東京都武蔵村山市、山梨県北杜市、大阪府高槻市に所在しております。その他海外(米国テキサス州・同マサチューセッツ州・同ミシガン州・ポーランド・チェコ・オランダ・イスラエル)にも製造拠点を有しております。予期していない自然災害等により、当社グループの施設、特に生産工場が稼働できなくなる場合、製品の出荷が停止又は遅延し、施設の修理や交換のために多額の損失及び費用が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内及び海外の施設について災害リスク分析を行っており、今後も災害リスクのより正確な把握と保険によるカバーの適正化を進めていく予定ですが、災害リスクは完全にコントロールできるものではなく、保険によるカバーが十分になされない可能性もあります。


15.環境保全に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループは、有害物質(薬品や有毒ガス)、廃棄物、商品リサイクル、土壌・地下水の汚染、RoHS2規制(EUの電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に係る規制)等に関する種々の環境関連法令及び規制等の適用を受けております。
環境規制への未対応や環境問題の発生に伴い、想定を超える対策費用の支出、事業遂行への影響、環境規制への適応が極めて困難となった場合には、当社グループへの社会的信頼が損なわれることにより顧客の喪失等が発生するおそれがあるほか、環境規制に違反した場合には損害賠償責任、刑事罰、生産・操業停止等のおそれもあり、これらにより当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではESGの観点から環境規制に対応すべく取り組んでおりますが、有害物質の利用は比較的少量で潜在的なリスクは比較的少ないと考えております。武蔵村山市、昭島市と高槻市の工場は築年数40年~60年以上であり、建材の一部にアスベストが使用されている可能性があり、工場を建て替える際には信頼できる工事業者を起用して飛散が生じないよう万全を期す予定ですが、それができなかった場合には、多額の追加費用が発生し、又は規制当局から処分を受ける可能性があります。

16.パンデミックに関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)
新型コロナウイルスの蔓延等パンデミックにより人の動きに制約が生じることは、人流停滞を補うためのIT/DX促進という社会的な潮流により半導体や電子部品・材料の研究や製造を促進する面があり、当社グループの受注・売上にとってプラスの要因になりえますが、他方で、受注活動、外注先の生産活動、販売・購買における物流等への影響や、社員が出社できないことによる業務停滞といったリスクも生じさせます。新型コロナウイルスを始めとする感染症の流行等により、世界レベルでの経済活動の停滞が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、当社グループでは様々な業務をウェブベースで進めることで人の動きに制約が生じた場合でも業務が進むようなプロセスや商慣行を構築しております。
また、製造や物流といった業務は実際に人がいないと進まない面はありますが、当社グループの製造拠点は比較的「密」になることを回避しやすい職場環境であると判断しており、加えて自動化の推進や環境整備で対応する方針です。しかしながら、社員の安全を確保するために施設の閉鎖や操業停止が必要になる可能性は否定できず、このような閉鎖や操業停止に関連して発生する費用や生産性の悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



17.コンプライアンス・内部統制に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
法令違反による事業への制約や制裁、社員の不正による経済的損失、ハラスメント等による社風の乱れやモラールの低下等のコンプライアンス問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、グループ共通の行動規範を導入してコンプライアンス遵守を促しております。
また、コンプライアンス委員会を設置し、発生した問題の対応に加えて、定期的にコンプライアンス教育を行うことで法令、社内規程、社会規範等の遵守の定着を図っております。
加えて、会社を経由しない弁護士への内部通報制度を整備しており、海外のグループ会社においても当該内部通報制度を利用できる仕組みになっております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、コンプライアンス問題が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは財務報告に係る内部統制を構築していますが、内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全に防止又は発見することができない可能性があります。また、当社グループが適正な財務報告に係る内部統制を維持できなかった場合、適時適切な財務報告の実施ができず、当社の財務報告に対する投資家の信頼性が低下し、当社の株式価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

18.情報セキュリティに関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
当社グループでは、事業活動全般に亘り情報システムを利用しており、情報セキュリティの確保は重要な課題です。また、当社グループはその事業活動において、顧客情報や個人に関する機密情報又は個人情報を保有しています。情報セキュリティ対策としては、情報セキュリティ全般の体制についてリスクコンサルティング会社による分析・評価を2021年に実施し、指摘された課題に対応すべく情報システム部が改善に向けた対策を実施しております。加えて2023年8月より全社プロジェクトとして情報セキュリティ委員会を発足させ、情報システム部が管轄していない領域についてもセキュリティ対策を強化すべく対応しております。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃や、予期していない不正利用等が発生した場合、対応のために多額の費用負担が発生するだけでなく、当社グループの社会的信用に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、全社的な情報セキュリティのレベルを向上すべく、コンサルティング会社を起用して体制構築するプロジェクトを構築しており、将来的にはISO27001取得を目指す計画です。
社内メールへの侵入に関してはシステム上の対策とともに役職員に対して年数回Phish Mailのテストを実施し、定期的に啓蒙と注意喚起を促しております。
外部からの侵入が判明した会員サイトに関しては、一度サイトを閉鎖した上で、セキュリティ対策を施した新サイトに移行済みです。
また、海外のグループ会社は、当社で制定した情報セキュリティ規程の内容をベースに自社の実態や規制状況を踏まえて、社内ルールの整備を行っております。しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



19.人材確保に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)
当社グループは、成長に向けた様々な活動や新しい技術の開発・獲得を支えるため、また既存の技能やノウハウの承継等の必要性から、人材の確保が事業継続上の大きな課題となっております。有能な人材の確保ができない場合や、人材流出が生じた場合又は人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、毎年の新卒採用の他、必要な事業・部門で積極的に中途採用を実施しており、海外のグループ会社の多くも業容の拡大に応じて人材増強を図っております。
短期では習得できない技術・技能に関しては早期に承継ができるよう後継者育成を行い、また、新入社員から中堅層や経営幹部に至るまで階層別に研修・教育のプログラムを用意し、役職員の成長を積極的に支援しております。しかしながら、このような当社グループの教育努力やプログラムが十分でない可能性があり、そのような不足を補強するために、追加的な費用や時間等を必要とする可能性があります。

20.ビジネスと人権に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループの事業は世界的に展開しており、ビジネス遂行の過程で人権問題が顕在化するリスクがあります。当社グループ内のみならず、取引先を含めた当社グループ事業に関わる領域全体で人権を侵害する行為が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは共通の行動規範を制定しており、人権を含む差別や権利侵害を禁止し、また当社ホームページにおいて「リガク・グループ人権方針」を掲載して開示しております。
加えて、原材料や部品の購入に関して人権侵害に関与しているサプライヤーからの購入を回避すべく、直接の購入先には人権侵害の無いサプライヤーからの調達であることの証明を求める等の施策を推進しております。しかしながら、これらの取組みが不十分で人権問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

21.ステークホルダーの信頼及び企業価値に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
事業運営に際してステークホルダーからの信頼は重要であり、何らかの理由でステークホルダーからの信頼を失った場合には、企業価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではMission/Vision/Values(MVV)を制定し、理念・社是の他、顧客・仲間(社員)・社会・株主といったステークホルダーとの関係を詳細に定めており、それを実効的に推進するために、定期的にMVVに基づいた振り返りや対話の機会の設定、各組織や個人の目標へのMVVの反映等、定着に向けた施策を実行しております。これに加え、MVVを具体的行動として体系化、言語化した「リガク・コンピテンシー」を展開することで、社員の行動変容をいっそう促進する予定です。しかしながら、これらの価値観を実現し、ステークホルダーとの良好な関係を維持することができない場合には、当社グループの社会的信用が低下し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

22.労務に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
労務に関するリスクは基本的人権に関わるため、短期的な影響に留まらず長期的な会社の風土の問題に繋がり、良質な人材が長期に定着する事の阻害要因になると考えられます。
当社では36協定の遵守により過大な残業が発生することを防止するとともに、分単位での勤務時間管理によりサービス残業を回避しております。
加えて、労働者の健康や安全に関しては、産業医制度、安全衛生委員会によるモニタリングと改善等を行うことで、働く環境の整備と質の向上に努めております。
しかしながら、労務管理が不十分な事態が生じた場合には、当社グループの社会的な信用低下を招き必要な人材の確保に支障をきたす等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。


23.財務資本に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:3年以内、影響度:高)
2024年12月31日現在、当社グループの借入金総額は55,388百万円であり、当社グループの資本合計81,769百万円の67.7%に相当します。借入金の大部分は、当社グループがThe Carlyle Group(関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「カーライル」といいます。)からの出資を受入れたことに関連するLBOローン契約によるものです。当該LBOローン契約には、連結ベースの経常利益が二期連続で赤字となる状態を生じさせない、及び連結ベースの純資産を前期実績の75%以上に維持しなければならないという2つの財務制限条項が含まれており、当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等成長資金の確保に制約が生じることで当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、2024年12月31日現在、当社グループの有利子負債は全て変動金利付であり、金利変動のリスクも存在します。
なお、当社グループは2022年9月末にLBOローンの借換えを実施しました。借換え後も上記の財務制限条項は残るものの、その他条件は一般のコーポレート・ローンと同水準に改善しております。また、当社グループは、成長に伴う増産実現のため山梨工場の増設工事を開始しており、必要資金を従来よりも有利な条件で新規借入しております。2024年12月31日現在、新規借入が借入金総額に占める割合は限定的であり、当社グループの財務資本に関するリスクに及ぼす影響は限られると判断しております。

24.税制に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは世界的に事業を展開しており、国境をまたぐ取引やグループ会社間取引も多く存在するため、移転価格税制の対象となる場合があります。
事業を展開する国毎に税制や税率が異なることから、税務効率の悪化、取引形態によっては付加価値税の還付が受けられない等により、予期せぬ税負担が発生する可能性もあります。
グループ会社間取引は税理士法人等の専門家に相談しながら適正な取引形態や取引価格を設定して行っております。
また、配当や付加価値税還付についても税務効率が阻害されないよう専門家のアドバイスを得ながら進めております。しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、各国の税制の変更や、移転価格税制及び上記還付に関する論点を含む税務当局との見解の相違等によっては、追加的な税負担等が発生するおそれがあり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

25.固定資産の減損損失に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、事業の性質上、不動産や機械設備等の固定資産を多く保有しているため、特定の事業の業績悪化に伴い、不動産や機械設備あるいは投資に関わるのれんの減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業に対する投資をする前に採算性や回収可能性を十分に検討して実行することとしており、また事業の採算が悪化した場合は、直ちに立て直しの措置をとると共に、会計監査人とも協議の上で適正な時期に適正な金額の減損損失を計上する方針としております。
なお、現在において業績が計画どおりに推移していない等の事業は既に減損損失計上済みであり、将来における減損損失発生のリスクの影響は少ないと見込んでおりますが、将来、当社の固定資産の相当額が減損損失の対象となった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。


26.のれんについてのリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)
当社グループは株式会社リガク及びその子会社群を買収した際、並びにその後の新規買収時に多額ののれんが計上されており、その総額は2024年12月末時点において51,710百万円となっており、当社グループの資産合計の29.12%を占めております。のれんに関しては、毎期減損テストを実施しており、のれんの対象となっている事業の将来予測キャッシュ・フローの現在価値が買収時の評価を下回る場合には減損損失が計上されます。2024年度において減損損失は計上されておらず、今後も業績の向上に努めて参りますが、当社グループの見通しが悪化した場合には、減損損失又は追加的な償却費を認識する必要が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

27.中国製品免除認証届出対応に関する費用の財務影響リスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)
中国においては輻射安全許可証制度があり、放射線装置の製造・販売・使用について許可証の取得を行う必要があります。また許可制度の例外として製品の免除認証届出制度が存在します。当社グループの製品について免除届出が認証されたモデルとして販売を行った事案において、中国規制当局から免除認証を得られなかった場合、顧客や代理店が中国規制当局から罰金や制裁金を課される可能性があるほか、中国での販売活動が制限され、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、一部の製品について代理店名義で免除認証を取得したものの、装置のモデルチェンジをしたモデルが、その免除認証の対象外と認定されて輻射安全許可証を取得していない顧客による利用が継続できない可能性が高いことが判明したため、当該対応に関連する費用として、2024年12月期において218百万円の引当金を計上しております。当該事案については既納製品の認証を満たす装置への置換えによる顧客の装置利用継続の確保等の対策に万全を期することで収束を図るべく対応中であり、また、従来は代理店名義で取得していた免除認証を中国現地法人名義で取得することで、免除認証に関する以下のリスクを軽減することを図っております。
・認証について問題が発生した場合に対応が遅れるリスク
・代理店が認証の権利(主権)を主張するリスク
・代理店が事業を停止した場合の認証の取扱いが不透明となるリスク


28.訴訟等についてのリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)
当社グループは、事業活動において、各種契約違反、労働問題(労働組合紛争を含む。)、製造物責任、知的財産権侵害、機密情報漏洩等の請求に関連して、顧客、取引先、競合他社、従業員、規制当局等の当事者から訴訟その他の法的手続を提起されるリスクに晒されております。本書提出日現在において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、今後、当社グループが契約違反や特許権侵害等を理由とする訴訟を第三者から提起された場合や、当社グループに対して多額の損害賠償の支払いを命ずる判断がなされた場合、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特許権については特許委員会において第三者の特許権を侵害しないよう個別案件別にチェックをする体制をとっており、また、上記リスクに備え、製造物責任保険や損害賠償責任保険を付保しておりますが、これらによっても上記リスクに十分に対応できる保証はなく、その場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

29.サステナビリティに関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)
社会的公器としての企業活動が一層意識されてきており、ステークホルダーからの信用や理解が十分に得られなかった場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、気候変動対策に関連する新たな法令や規制の導入がなされた場合には、対応費用の増加により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではESG推進委員会が中心になってサステナビリティ活動を行うことで、社会的信用を維持すると共に、当社グループの分析装置を利用して顧客のサステナビリティ活動に貢献することを通じて当社グループの事業にもプラスになるという好循環を生んでおります。
当社ホームページにおいて、サステナビリティ全般や、サステナビリティに関するマテリアリティについて開示しております。しかしながら、ステークホルダーからのサステナビリティに関する企業への期待や要求は急速に変化しており、将来において当社グループがそれらの期待や要求に適切に対応できない場合、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

30.配当政策に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)
当社は、中長期の経営視点から成長投資の推進と財務健全性の確保とのバランスを考慮しつつ、各期の業績に応じて当期連結利益の30%を目途に株主への配当を実施していくことを、資本政策の基本的な方針としております。
当社は健全な業績成長を続けており、かかる成長から創出される利益とキャッシュ・フロー、さらに利益剰余金を原資として、成長投資や借入金返済等とのバランスを考慮した株主への配当支払いを実施することについて、その支障が生じる可能性は低いと考えておりますが、配当の実施が必ず保証されているわけではありません。

31.買収や提携・共同開発に伴う業績や財政状態の変化に関するリスク(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)
当社グループは、M&Aや他社(大学や研究機関を含む。)との連携・共同開発により、X線に関する要素技術や要素部品の開発・製造能力を取り込むことで、既存製品の改善や新しい製品の開発に繋げてきましたが、今後も新たな技術を取り入れるべくM&Aや他社との提携・共同開発を実行する方針です。
引き続きM&Aや他社との提携・共同開発を行うことでオープン・イノベーションを促進していく方針ですが、事前の調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&A等の実行後に発生又は判明する場合や、M&A等の実施等の後の事業展開が計画どおりに進まない可能性があり、当初期待した成果が実現しない場合には新技術や新製品の開発が遅れ、さらには減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

32.新株予約権の行使による株式の希薄化に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループは、当社の取締役、監査役及び執行役員、並びに当社の子会社の取締役及び執行役員に対して、企業価値増大への意欲を高めるためのインセンティブとして、ストック・オプション制度を導入し、これらの者に新株予約権を付与しております。付与した新株予約権が行使された場合には発行済株式が希薄化し、当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、2024年12月末時点での新株予約権の付与数は37,126個、新株予約権による希薄化性潜在的普通株式数は5,470,154株であり、2024年12月末時点での当社の発行済株式総数225,268,600株を基準として全ての新株予約権が行使された場合でも希薄化率は2.4%にとどまり、希薄化の影響度は低いものと考えております。



33.資本関係についてのリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:高)
2024年12月末日現在において、当社の発行済株式数(自己株式を除く。)の42.23%をカーライルがGeneral Partnerとして支配・運用するAtom Investment, L.P.により保有されています。かかる大株主が今後においても相当数の当社株式の保有を継続した場合、大株主と少数株主との間で潜在的な利益相反関係が生じる可能性があります。そうした大株主と少数株主との間で生じうる利益相反関係に対して、当社では、社外取締役4名及び社外監査役3名を独立役員として指定し、経営の透明性を確保するとともに、取締役会の諮問機関として任意設置している指名評価報酬委員会の構成員のうち過半数を独立社外取締役とすることで少数株主の利益の確保に向けた体制を強化しております。また、大株主が保有株式を売却する際には株価への影響、すなわち、株式売買の需給関係に伴う株価形成への影響あるいは特定の株主への売却に伴う事業運営上の影響が生じる可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E39892] S100VHDH)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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