有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YCS3 (EDINETへの外部リンク)
出光興産株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等156億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比35億円減少の304億円です。
(当社グループの研究開発体制)
当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発費及び研究開発成果は次のとおりです。
(1) 燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、カーボンニュートラル及び循環型社会の実現に向けた技術開発を推進しています。具体的には、バイオエタノールや動植物油脂を原料とする持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の製造技術開発、回収したCO₂を活用した合成燃料(e-fuel)の社会実装に向けた取り組み、そして使用済みプラスチックを原料とする油化ケミカルリサイクル技術の確立を進めています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。
(2) 高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、農薬・機能性飼料事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は140億円です。
①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現や産業の高効率化に貢献する高付加価値商品の開発を推進しています。3つの海外研究開発拠点と連携し、各地域の市場特性や顧客ニーズに応じた環境対応型商品の開発をグローバルに展開するとともに、既存事業の競争力強化と成長分野への展開を進めています。当連結会計年度においては、生産性向上、環境負荷低減、保守効率化に資する商品の開発・商品化を進めるとともに、電動化、冷凍空調、半導体、産業用ロボット等の成長分野に向けた技術開発を推進しました。主な実績は以下のとおりです。
・高機能防錆油(商品名:ダフニースーパーコートRS)は、水置換性及び防錆性に優れ、洗浄工程と防錆工程の統一を可能にすることで、顧客の生産性向上に寄与します。
・蛍光剤入り冷凍機油(商品名:idemitsu HERMETIC OIL DY)を開発しました。UVライト照射により冷媒漏洩箇所を迅速かつ高精度に特定できるため、メンテナンス作業性の向上に加え、スローリークを含む冷媒漏れの早期発見を通じて環境負荷低減に貢献します。
・エンジンオイル分野では、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の目詰まり要因となる灰を発生させないオイルのラインナップを拡充し、idemitsu AshFree 15W-40を展開しました。これにより、燃料消費量の低減に加え、メンテナンス作業及びコストの削減に貢献しています。あわせて、電動車両向けトランスアクスルフルードやバッテリー冷却剤、並びにそれらを兼用するオイルの開発を継続しています。
・グリース分野では、当社独自技術であるナノウレアグリースの低トルク、低ノイズ、低温始動性といった特長を活かし、自動車、産業用ロボット、半導体などの分野において、環境配慮とユーザー価値向上を両立した製品開発を進めています。
・更に、シミュレーションやマテリアルズインフォマティクス(MI)を活用して添加剤の作用機構解明や処方開発の効率化を進めるとともに、分析技術の高度化、トライボロジー現象の機構解明・再現評価を通じて、継続的に競争力ある商品の創出を支える研究開発基盤の強化に取り組んでいます。
②機能舗装材(アスファルト)事業では、環境負荷低減に配慮した舗装材料の研究開発に取り組んでいます。特に、耐水性を強化し舗装の長寿命化を可能にする技術など、独自技術の開発を進めています。開発は国土交通省やNEXCOなどの行政機関や施設管理者と連携しながら実用化に向けた取り組みを進めています。また、アスファルトの特性を活かし、屋根用防水材や建築材料などの工業用製品についても開発しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性を強化した空港舗装向け「ミナフォルティスCX」の技術を応用し、高速道路を対象とした新製品の開発を進めています。
・リサイクル舗装材料の長寿命化を目指し、長期供用で成分変化した再生骨材付着アスファルトを本来の組成に回復させる再生用添加剤の開発を進めています。
・マレーシアで独自の施工性改善技術を有する新製品「グランファルトM1」が高速道路に採用され、空港舗装の採用に向けに改良を進めています。
・京都大学経営管理大学院のインフラ物性産学共同講座に当社社員が特命教授として出向し、更に東京大学とのCN領域における包括連携協働研究に参画するなど、学との共創を通じて道路舗装の長寿命化、安全性の向上を追求したイノベーションを創出し社会実装していくことを目指します。
③機能化学品事業では、機能材料研究所にて高付加価値商品の開発及び新機能を有した各種機能材料製品や粘接着基材の開発に取り組んでいます。また、出光ユニテック(株)商品開発センターにて様々な機能をもつシート・フィルムの包装材料開発を、出光ファインコンポジット(株)複合材料研究所にてポリオレフィンなど様々なプラスチックの機能を強化させた複合材料開発、にも取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック™)では、自動車分野において、電動化に伴い軽量、絶縁特性が要求される電装部品への展開を一層強化、世界各地域での顧客ニーズに細かく対応、改良グレードやCAE技術の提案を通じて関係強化を図り、新規採用活動を実施しています。また新規用途として、ザレックの特徴を活かしたフィルム、シート、繊維への展開も推進、速乾性や軽量性の特徴を活かし、各種スポーツウェアにも採用されました。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン™)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発に注力しました。自動車用で昼間照明灯として使用が拡大しているDRL(Daytime Running Light)向けや液晶ディスプレイ部品向けに、更なる耐久性や導光性等に優れた各種グレードを開発、販売拡大を図りました。また、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる共重合ポリカーボネート樹脂(商品名:TARFLON NEO™)では、各種用途に適したグレード開発を展開、環境負荷が少ないノンハロゲン、PFASフリーの新規難燃グレードを開発、これらの開発グレードは倉庫等の屋内・屋外部品や輸送機器向け電源カバー等に採用されました。
・ポリオレフィンシート(商品名:マルチレイ™)では、大学研究機関の技術指導を受けながら新規表面微細構造設計技術を開発しており、その機能発現メカニズム解明と用途探索を実施しました。装置開発やリサイクル性の検討も進めており、食品包装分野を中心に顧客評価を行うとともに、再生医療・半導体・モビリティ分野など他用途への展開も検討しています。
・ジッパーテープ(商品名:プラロック™)では、主に製造課題の解決に注力しました。生産性向上のため、原料配合組成の再検討を実施し、最適な原料組成を見出しました。また、様々なシミュレーション技術を活用し、技術開発の効率化も推進しています。
・複合材料において、ポリオレフィン系の樹脂コンパウンド(商品名:カルプ™)では、植物由来材料やリサイクル材等の原料化の検討、主力商品である難燃グレードにおける市場ニーズに対応した改良グレードの市場投入及び環境安全性を高める非ハロゲン化グレードの開発を推進しました。また、ポリフェニレンサルファイド系の樹脂コンパウンドにおいては、生成AI普及拡大に伴う情報通信分野での需要増への対応、機械・自動車用途向けに開発した水中・油中において良摺動性を示すグレードや電装部品向けに開発した絶縁熱伝導グレードの顧客採用活動を進めました。更に、高機能性付与に向けてポリフェニレンサルファイド以外の高耐熱エンジニアリングプラスチック樹脂のコンパウンド開発も進めています。
④電子材料事業では、有機EL材料の研究開発を行っています。有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・顧客への提案活動を通じて、出光独自技術である積層発光方式を更に浸透させることができました。また、当該技術の開発と実用化が評価され、「有機EL討論会 第18回 業績賞」を受賞しました。
業績題目:蛍光青色素子における積層発光層技術の開発と実用化
⑤農薬・機能性飼料事業では、主要関係会社のアグロ カネショウ(株)と(株)エス・ディー・エス バイオテックを中心に、商品化に至るまでの一連の研究開発を行っています。
ア.アグロ カネショウ(株)では、高い安全性を有するユニークな新規農薬成分の創生、生産現場のニーズに合致した製品の創出に加え、他社からの製品導入や無形資産の買収に取り組み、ポートフォリオの拡充に努めています。農業生産における社会課題として、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に掲げられる化学農薬や化成肥料の低減がクローズアップされつつある状況下、様々な防除対策を組み合わせて行う総合的病害虫・雑草管理(IPM)に資する製品群を投入すべく、2023年に新設したバイオロジカル・ソリューション室を軸に、微生物や天然物由来の農薬・資材等の研究開発を加速させています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・国内の適用拡大登録を土壌処理剤3件、ダニ剤1件、殺虫剤1件、殺菌剤2件取得しました。海外農薬登録をダニ剤で2件(エチオピア・南アフリカ)新規取得し、海外適用拡大登録をダニ剤については8か国(スペイン・ギリシャ・オランダ・ハンガリー・フランス・イギリス・イタリア・ベルギー)で取得しました。
イ.(株)エス・ディー・エス バイオテックでは「食の安全・安心」「増大する食料需要への対応」をキーワードに、合成・微生物培養・生物学的評価・製剤・分析技術といった研究開発力を駆使することで、世界の「食」に貢献する農薬、飼料添加物などの商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・国内の再評価農薬登録を水稲用植物成長調整剤1件取得し、国内の適用拡大登録を殺菌剤4件、緑地管理用除草剤1件取得しました。海外農薬登録を生物農薬殺菌剤で1件(1か国)新規取得しました。また2025年5月に、カシューナッツ殻液が牛のげっぷ中のメタンガスを削減する効果を持つ飼料添加物として指定されました。天然物としては初の飼料添加物登録となります。
(3) 資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO₂排出量の削減や、排ガス中のCO₂を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は5億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・石炭火力のCO₂排出削減に繋がる木質バイオマス(ブラックペレット)の製造・販売の事業化に向け、ブラックペレットをコールセンターで受入・貯蔵し、ともに取組む需要家の石炭ボイラにて混焼試験を実施することにより、安全かつ円滑に取り扱うための技術及び実用的な混焼評価・運転支援システムの開発を推進しています。2025年5月にこれらの機能を組み込んだCN燃料と石炭の混焼を支援するクラウド型Webシステム「idemitsu-R40」を上市しました。これら貯蔵・混焼試験結果を踏まえた自社の知見を基に、ブラックペレットの品質向上や需要家へのコンサルティングに反映させています。
・CO₂を資源として活用するとともにCO₂の排出削減を行うため、コンクリートスラッジなどに含まれるカルシウムと発電所や工場から排出されるCO₂を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を進めています。
(4) 全社共通(コーポレート研究)
中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。
①次世代技術研究所ではカーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向けたバイオマスやCO₂等を出発原料とするクリーンな素材・燃料を提供する技術の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、触媒・電気・光化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や酸化物半導体材料、宇宙用太陽電池等の開発に取り組んでいます。研究開発の推進にあたっては、高度な分析・解析技術や、MIやAIを駆使して大幅な省力化や各事業部も含めた研究開発のスピードアップに取り組むとともに、国家プロジェクトや国公立研究所、アカデミアとのオープンイノベーションを積極的に推進しています。アカデミアとの連携は東京科学大学との「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」、東京大学との「カーボンニュートラル領域における包括連携共同研究」を核に推進しています。更に、アカデミア連携を海外大学へと拡大し世界中から最適な技術獲得を図り研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度に公開された主な実績は以下のとおりです。
・独自開発した宇宙用CIGS太陽電池の開発を推進しています。2025年度は、JAXAの新型宇宙ステーション補給機HTV-X1の軌道上実証「SDX」や、千葉工業大学の超小型衛星「BOTAN」への搭載を通じ、宇宙空間での高い放射線耐性・軽量性・安定発電性能を確認しました。また米国スタートアップとの戦略的協業を開始し、宇宙産業向け次世代電源の開発・供給体制強化をはかっていきます。今後も市場参入と持続可能な宇宙開発への貢献を目指します。
②リチウム電池材料部では、モビリティの進化や資源循環型社会の構築に貢献する全固体電池のキーマテリアルである固体電解質の開発と量産体制の構築を進めています。加えて、固体電解質と正極材を融合した高機能材料「カソライト」や硫黄系正極材の開発に取組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・固体電解質の原料である硫化リチウムの大型製造装置建設を着実に進めました。(2027年6月完工を予定)
・2025年6月に、固体電解質の小型実証設備第2プラントの能力増強を決定しました。本計画は、経済産業省から「蓄電池に係る供給確保計画」として認定されました。
・2026年1月に、固体電解質の大型パイロット装置について最終投資決定を行い、建設を開始したことを発表しました。2027年中の完工を目指しています。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等156億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比35億円減少の304億円です。
(当社グループの研究開発体制)
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当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発費及び研究開発成果は次のとおりです。
(1) 燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、カーボンニュートラル及び循環型社会の実現に向けた技術開発を推進しています。具体的には、バイオエタノールや動植物油脂を原料とする持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の製造技術開発、回収したCO₂を活用した合成燃料(e-fuel)の社会実装に向けた取り組み、そして使用済みプラスチックを原料とする油化ケミカルリサイクル技術の確立を進めています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。
(2) 高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、農薬・機能性飼料事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は140億円です。
①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現や産業の高効率化に貢献する高付加価値商品の開発を推進しています。3つの海外研究開発拠点と連携し、各地域の市場特性や顧客ニーズに応じた環境対応型商品の開発をグローバルに展開するとともに、既存事業の競争力強化と成長分野への展開を進めています。当連結会計年度においては、生産性向上、環境負荷低減、保守効率化に資する商品の開発・商品化を進めるとともに、電動化、冷凍空調、半導体、産業用ロボット等の成長分野に向けた技術開発を推進しました。主な実績は以下のとおりです。
・高機能防錆油(商品名:ダフニースーパーコートRS)は、水置換性及び防錆性に優れ、洗浄工程と防錆工程の統一を可能にすることで、顧客の生産性向上に寄与します。
・蛍光剤入り冷凍機油(商品名:idemitsu HERMETIC OIL DY)を開発しました。UVライト照射により冷媒漏洩箇所を迅速かつ高精度に特定できるため、メンテナンス作業性の向上に加え、スローリークを含む冷媒漏れの早期発見を通じて環境負荷低減に貢献します。
・エンジンオイル分野では、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の目詰まり要因となる灰を発生させないオイルのラインナップを拡充し、idemitsu AshFree 15W-40を展開しました。これにより、燃料消費量の低減に加え、メンテナンス作業及びコストの削減に貢献しています。あわせて、電動車両向けトランスアクスルフルードやバッテリー冷却剤、並びにそれらを兼用するオイルの開発を継続しています。
・グリース分野では、当社独自技術であるナノウレアグリースの低トルク、低ノイズ、低温始動性といった特長を活かし、自動車、産業用ロボット、半導体などの分野において、環境配慮とユーザー価値向上を両立した製品開発を進めています。
・更に、シミュレーションやマテリアルズインフォマティクス(MI)を活用して添加剤の作用機構解明や処方開発の効率化を進めるとともに、分析技術の高度化、トライボロジー現象の機構解明・再現評価を通じて、継続的に競争力ある商品の創出を支える研究開発基盤の強化に取り組んでいます。
②機能舗装材(アスファルト)事業では、環境負荷低減に配慮した舗装材料の研究開発に取り組んでいます。特に、耐水性を強化し舗装の長寿命化を可能にする技術など、独自技術の開発を進めています。開発は国土交通省やNEXCOなどの行政機関や施設管理者と連携しながら実用化に向けた取り組みを進めています。また、アスファルトの特性を活かし、屋根用防水材や建築材料などの工業用製品についても開発しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性を強化した空港舗装向け「ミナフォルティスCX」の技術を応用し、高速道路を対象とした新製品の開発を進めています。
・リサイクル舗装材料の長寿命化を目指し、長期供用で成分変化した再生骨材付着アスファルトを本来の組成に回復させる再生用添加剤の開発を進めています。
・マレーシアで独自の施工性改善技術を有する新製品「グランファルトM1」が高速道路に採用され、空港舗装の採用に向けに改良を進めています。
・京都大学経営管理大学院のインフラ物性産学共同講座に当社社員が特命教授として出向し、更に東京大学とのCN領域における包括連携協働研究に参画するなど、学との共創を通じて道路舗装の長寿命化、安全性の向上を追求したイノベーションを創出し社会実装していくことを目指します。
③機能化学品事業では、機能材料研究所にて高付加価値商品の開発及び新機能を有した各種機能材料製品や粘接着基材の開発に取り組んでいます。また、出光ユニテック(株)商品開発センターにて様々な機能をもつシート・フィルムの包装材料開発を、出光ファインコンポジット(株)複合材料研究所にてポリオレフィンなど様々なプラスチックの機能を強化させた複合材料開発、にも取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック™)では、自動車分野において、電動化に伴い軽量、絶縁特性が要求される電装部品への展開を一層強化、世界各地域での顧客ニーズに細かく対応、改良グレードやCAE技術の提案を通じて関係強化を図り、新規採用活動を実施しています。また新規用途として、ザレックの特徴を活かしたフィルム、シート、繊維への展開も推進、速乾性や軽量性の特徴を活かし、各種スポーツウェアにも採用されました。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン™)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発に注力しました。自動車用で昼間照明灯として使用が拡大しているDRL(Daytime Running Light)向けや液晶ディスプレイ部品向けに、更なる耐久性や導光性等に優れた各種グレードを開発、販売拡大を図りました。また、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる共重合ポリカーボネート樹脂(商品名:TARFLON NEO™)では、各種用途に適したグレード開発を展開、環境負荷が少ないノンハロゲン、PFASフリーの新規難燃グレードを開発、これらの開発グレードは倉庫等の屋内・屋外部品や輸送機器向け電源カバー等に採用されました。
・ポリオレフィンシート(商品名:マルチレイ™)では、大学研究機関の技術指導を受けながら新規表面微細構造設計技術を開発しており、その機能発現メカニズム解明と用途探索を実施しました。装置開発やリサイクル性の検討も進めており、食品包装分野を中心に顧客評価を行うとともに、再生医療・半導体・モビリティ分野など他用途への展開も検討しています。
・ジッパーテープ(商品名:プラロック™)では、主に製造課題の解決に注力しました。生産性向上のため、原料配合組成の再検討を実施し、最適な原料組成を見出しました。また、様々なシミュレーション技術を活用し、技術開発の効率化も推進しています。
・複合材料において、ポリオレフィン系の樹脂コンパウンド(商品名:カルプ™)では、植物由来材料やリサイクル材等の原料化の検討、主力商品である難燃グレードにおける市場ニーズに対応した改良グレードの市場投入及び環境安全性を高める非ハロゲン化グレードの開発を推進しました。また、ポリフェニレンサルファイド系の樹脂コンパウンドにおいては、生成AI普及拡大に伴う情報通信分野での需要増への対応、機械・自動車用途向けに開発した水中・油中において良摺動性を示すグレードや電装部品向けに開発した絶縁熱伝導グレードの顧客採用活動を進めました。更に、高機能性付与に向けてポリフェニレンサルファイド以外の高耐熱エンジニアリングプラスチック樹脂のコンパウンド開発も進めています。
④電子材料事業では、有機EL材料の研究開発を行っています。有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・顧客への提案活動を通じて、出光独自技術である積層発光方式を更に浸透させることができました。また、当該技術の開発と実用化が評価され、「有機EL討論会 第18回 業績賞」を受賞しました。
業績題目:蛍光青色素子における積層発光層技術の開発と実用化
⑤農薬・機能性飼料事業では、主要関係会社のアグロ カネショウ(株)と(株)エス・ディー・エス バイオテックを中心に、商品化に至るまでの一連の研究開発を行っています。
ア.アグロ カネショウ(株)では、高い安全性を有するユニークな新規農薬成分の創生、生産現場のニーズに合致した製品の創出に加え、他社からの製品導入や無形資産の買収に取り組み、ポートフォリオの拡充に努めています。農業生産における社会課題として、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に掲げられる化学農薬や化成肥料の低減がクローズアップされつつある状況下、様々な防除対策を組み合わせて行う総合的病害虫・雑草管理(IPM)に資する製品群を投入すべく、2023年に新設したバイオロジカル・ソリューション室を軸に、微生物や天然物由来の農薬・資材等の研究開発を加速させています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・国内の適用拡大登録を土壌処理剤3件、ダニ剤1件、殺虫剤1件、殺菌剤2件取得しました。海外農薬登録をダニ剤で2件(エチオピア・南アフリカ)新規取得し、海外適用拡大登録をダニ剤については8か国(スペイン・ギリシャ・オランダ・ハンガリー・フランス・イギリス・イタリア・ベルギー)で取得しました。
イ.(株)エス・ディー・エス バイオテックでは「食の安全・安心」「増大する食料需要への対応」をキーワードに、合成・微生物培養・生物学的評価・製剤・分析技術といった研究開発力を駆使することで、世界の「食」に貢献する農薬、飼料添加物などの商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・国内の再評価農薬登録を水稲用植物成長調整剤1件取得し、国内の適用拡大登録を殺菌剤4件、緑地管理用除草剤1件取得しました。海外農薬登録を生物農薬殺菌剤で1件(1か国)新規取得しました。また2025年5月に、カシューナッツ殻液が牛のげっぷ中のメタンガスを削減する効果を持つ飼料添加物として指定されました。天然物としては初の飼料添加物登録となります。
(3) 資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO₂排出量の削減や、排ガス中のCO₂を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は5億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・石炭火力のCO₂排出削減に繋がる木質バイオマス(ブラックペレット)の製造・販売の事業化に向け、ブラックペレットをコールセンターで受入・貯蔵し、ともに取組む需要家の石炭ボイラにて混焼試験を実施することにより、安全かつ円滑に取り扱うための技術及び実用的な混焼評価・運転支援システムの開発を推進しています。2025年5月にこれらの機能を組み込んだCN燃料と石炭の混焼を支援するクラウド型Webシステム「idemitsu-R40」を上市しました。これら貯蔵・混焼試験結果を踏まえた自社の知見を基に、ブラックペレットの品質向上や需要家へのコンサルティングに反映させています。
・CO₂を資源として活用するとともにCO₂の排出削減を行うため、コンクリートスラッジなどに含まれるカルシウムと発電所や工場から排出されるCO₂を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を進めています。
(4) 全社共通(コーポレート研究)
中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。
①次世代技術研究所ではカーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向けたバイオマスやCO₂等を出発原料とするクリーンな素材・燃料を提供する技術の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、触媒・電気・光化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や酸化物半導体材料、宇宙用太陽電池等の開発に取り組んでいます。研究開発の推進にあたっては、高度な分析・解析技術や、MIやAIを駆使して大幅な省力化や各事業部も含めた研究開発のスピードアップに取り組むとともに、国家プロジェクトや国公立研究所、アカデミアとのオープンイノベーションを積極的に推進しています。アカデミアとの連携は東京科学大学との「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」、東京大学との「カーボンニュートラル領域における包括連携共同研究」を核に推進しています。更に、アカデミア連携を海外大学へと拡大し世界中から最適な技術獲得を図り研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度に公開された主な実績は以下のとおりです。
・独自開発した宇宙用CIGS太陽電池の開発を推進しています。2025年度は、JAXAの新型宇宙ステーション補給機HTV-X1の軌道上実証「SDX」や、千葉工業大学の超小型衛星「BOTAN」への搭載を通じ、宇宙空間での高い放射線耐性・軽量性・安定発電性能を確認しました。また米国スタートアップとの戦略的協業を開始し、宇宙産業向け次世代電源の開発・供給体制強化をはかっていきます。今後も市場参入と持続可能な宇宙開発への貢献を目指します。
②リチウム電池材料部では、モビリティの進化や資源循環型社会の構築に貢献する全固体電池のキーマテリアルである固体電解質の開発と量産体制の構築を進めています。加えて、固体電解質と正極材を融合した高機能材料「カソライト」や硫黄系正極材の開発に取組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・固体電解質の原料である硫化リチウムの大型製造装置建設を着実に進めました。(2027年6月完工を予定)
・2025年6月に、固体電解質の小型実証設備第2プラントの能力増強を決定しました。本計画は、経済産業省から「蓄電池に係る供給確保計画」として認定されました。
・2026年1月に、固体電解質の大型パイロット装置について最終投資決定を行い、建設を開始したことを発表しました。2027年中の完工を目指しています。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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