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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LLT7 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 出光興産株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等60億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比10億円増加の205億円です。

(当社グループの研究開発体制)

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当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。

(1) 燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は19億円です。
①燃料油事業では、重質油処理装置の全体最適処理技術の開発及び石油製品の高付加価値化を目的としたペトロリオミクス関連技術の開発、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・事業所の高効率化を行っています。

②重油接触分解装置を活用した廃プラスチックケミカルリサイクルの技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。

(2) 高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は124億円です。
①潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・自動車用潤滑油においては、省燃費性を更に高めたILSAC GF‐6エンジン油と、EV車両用潤滑油を開発し、商品ラインアップを拡充しました。
・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油や冷凍機油、産業ロボット用グリース、更に、作業環境改善効果の高い水溶性切削油やプレス油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。

②機能舗装材(アスファルト)事業では、国内外において、省資源・省エネルギーや環境に配慮した道路舗装材料、建築防水材料に代表されるインフラ資材分野での研究開発を行っています。特に道路舗装材料においては、道路管理者との連携強化や共同研究などを行い、舗装リサイクル材や橋梁舗装材の高性能化・長寿命化、次世代高耐久舗装技術の開発をとおして、安心して利用できる道路舗装の実現に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・高速道路等の幹線道路向け機能舗装材においては、路面の平坦性向上と長寿命化に効果のある商品ラインアップを拡充しました。
・舗装リサイクル向け機能舗装材においては、NEXCO総研殿とリサイクル舗装の性能向上に資する研究成果報告を共同で行いました。
・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、信頼性能向上と作業環境改善効果の高い材料の開発を推進しました。

③機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・一般の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性、遅延結晶性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュTM)は、従来から展開してきたホットメルト接着剤原料、不織布・フィルム等のポリプロピレン改質剤での展開を進め拡販に繋げました。低臭気、低揮発成分、モノマテリアル化への市場要求にこたえ、更なる展開を推進していきます。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた新しいグレードを開発し、液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ています。特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売が好調で、ここ数年高い伸び率で拡大を続けています。2015年12月に千葉工場のポリカーボネート製造装置を停止し、2016年度より共重合技術を活用した特殊グレードを含む全ての生産を、台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約し、市場での競争力をさらに向上させました。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。

④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、バイオプラスチックを用いたシート・フィルム、ジッパー等の環境対応商品の開発を継続し、ラインアップを増やしました。
・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けの高防湿シート(商品名:マルチレイシートTM)の開発、ロングライフ食品包材向けに透明シート(商品名:ピュアサーモTM)のバリア化の開発や、レトルト対応ジッパーテープ(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。
・加飾分野では、自動車分野向けに塗装代替のグレード開発を推進しました。

⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・有機EL材料分野では特に蛍光青色発光材料の開発に注力しており、高青色純度ドーパント開発の加速に繋がる新しい分子設計戦略を見出し、本成果を2020年の国際学会にて発表しました。

⑥アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下の通りです。
・農業分野では、国内で天敵昆虫を利用した生物防除剤1剤の販売を開始しました。
・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本国内での新規農薬の登録件数は5剤、また、15剤の拡大登録を取得しました。
・畜産分野では、米国で畜産資材1剤の販売を開始しました。

(3) 資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、CO2を化学原料として利用する技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は2億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。
・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでのプレマーケティングプラントの運転開始、自社コールセンターでの受入・貯蔵、石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。
・郵船商事株式会社が保有するボイラ制御技術に出光が保有する石炭高効率燃焼技術を融合させて機能向上を図ったボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を通じ、需要家の石炭ボイラから排出されるCO2の削減に貢献しています。本事業は日本郵船グループと共同で実施しています。
・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。
・低品位炭の利用促進を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でインドネシア褐炭を用いた炭素材料の研究開発を実施しました。

(4) 全社共通(コーポレート研究)
コーポレート研究としては、社会や技術のトレンドを掴み、適社性を加味したうえで、新規事業創出に向けた機能性素材・デバイスの開発やGHG削減・資源循環に資する研究を実施するとともに、事業部研究所を含め全社で推進している研究開発の加速を図るべく高度な分析・解析技術・計算科学によるサポートを実施しています。
・来るべき電動化社会、高度情報化社会に資する素材として新規スーパーエンプラ・導電性高分子・新規無機材料及びデバイスの開発等に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルな社会の実現を目指し、バイオマスや二酸化炭素を原料とする素材、燃料の開発も精力的に進めています。
・これらを進めるにあたっては、自社単独での開発にこだわることなくオープンイノベーションを積極的に活用し、その一環として2020年4月に国立大学法人東京工業大学すずかけ台キャンパス内に「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」を開設しました。
・リチウム電池材料室では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。市場拡大が見込まれる電動車両に必要な安全で高性能な全固体電池の実現に向け、固体電解質の開発・材料提供を通じて貢献していきます。固体電解質の商業生産に向けた小型量産設備を千葉事業所内に建設中です(完工・稼働開始は2021年度上期)。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01084] S100LLT7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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