シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VINI (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 住友ゴム工業株式会社 研究開発活動 (2024年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、27,707百万円であります。
セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。

(1)タイヤ事業
当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国・中国のテクニカルセンターと連携して「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「低燃費性」「原材料」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。
また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗や経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」、水や温度などの外部環境にシンクロしてゴムの性質がスイッチする独自の技術である「アクティブトレッド」が挙げられます。さらにサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、当社独自の循環型ビジネス構想「TOWANOWA」の中で、使用済みタイヤをリサイクル原材料として活用することにも取り組んでいます。

ソリューションサービスの分野において、国内では、当社は2024年7月からロジスティード株式会社とトラックの稼働率向上に向けた実証実験を始めました。ロジスティードが保有する車両に、当社が開発したタイヤ空気圧や温度をモニタリングして異常を知らせる「タイヤ空気圧・温度管理サービス」を導入します。タイヤ空気圧・温度管理を通して、タイヤトラブルを未然に防ぐことで、走行時の安全性向上、点検業務の効率化、さらには燃費及びタイヤ寿命の向上レベルを検証します。これにより、当社が目指すタイヤを含む車両全体の故障予知ソリューションサービスの展開を加速させます。実証実験を通じて、ドライバー不足が懸念される物流の2024年問題の解決にも貢献していきます。
一方海外では、自動車の車輪速解析技術をベースとする当社独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」の技術開発を着実に進めています。AIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業であるViaduct Inc.(以下「Viaduct(バイアダクト)社」)に2024年1月に出資、戦略的パートナーの関係にある中、現在約5社と技術PoCを開始しており、2025年4月よりサービスを開始すべく準備を行っています。Viaduct社の車両故障予知ソリューションサービスと、当社独自の「センシングコア」を組み合わせることで、タイヤに加え、エンジンやブレーキなどを含めた車両状況をリアルタイムで把握することを目指します。車両全体のモニタリングが可能になることで、走行時の安全性向上に繋がるとともに、車両の稼働率向上やメンテナンスコストの削減が期待できます。将来的には、トラック配送などの車両管理にメンテナンス・保険・リースなどを組み合わせたトータルフリートマネジメントサービスの実現を目指します。

材料開発の分野において、2024年10月に発売の「SYNCHRO WEATHER」に搭載された「アクティブトレッド」では、ゴムの中に路面状態の変化に反応する「水スイッチ」及び「温度スイッチ」を組み込むことでポリマーの動きをコントロールすることに成功しました。これら2つのスイッチを組み合わせることで、ドライ、ウエット、雪上、氷上といったあらゆる路面で高い性能を発揮する、これまでにないゴムを創り出しました。さらにアクティブトレッド技術の「水スイッチ」は3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu」の活用を通じて、「温度スイッチ」は北海道大学との共同研究を通じて、さらなる技術開発を進めます。2027年には、進化したアクティブトレッド技術を欧米へ展開します。さらには、「水」や「温度」に続く、第3・ 第4のスイッチの開発にも着手していきます。
また、タイヤの耐摩耗性能向上に向けて、当社は、東北大学、理化学研究所、高輝度光科学研究センターと共同で、大型放射光施設「SPring-8」※1を活用し、1ナノ秒を含む幅広い時間領域で原子・分子・ナノ構造の運動を測定する事ができる新しい放射光技術を開発しました。今回開発した新しい放射光技術は、0.1ナノ秒から100ナノ秒の運動を測定することが可能であるため、従来の測定技術とあわせることで、幅広い時間領域において原子・分子運動を測定することが可能となりました。本研究を通して、高強度かつ耐摩耗性に優れたタイヤ開発を進めてまいります。

その他にもシミュレーション技術において、当社は、「タイヤ空力シミュレーション」及び「パターンノイズシミュレーション」の開発を行いました。「タイヤ空力シミュレーション」は、タイヤ周りの空気抵抗を予測するシミュレーション技術です。EVでは、エネルギーロスの約34~37%はタイヤが関係します。このシミュレーション技術を活用することで、タイヤ周りの空気抵抗のより少ないタイヤ開発につなげてまいります。「パターンノイズシミュレーション」は、路面でのタイヤ騒音をより精度よく、短時間で予測することができるシミュレーションです。当社が新開発したこのシミュレーション手法により、静粛性能の高いタイヤ開発に活用してまいります。
当事業に係る研究開発費は22,507百万円であります。
※1 世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設(兵庫県佐用郡佐用町)

(2)スポーツ事業
スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。
これらの取り組みにより、ゴルフクラブでは「スリクソンZX MkⅡ(マークツ―)シリーズ」の後継モデルとなる「スリクソン ZXi(ゼットエックスアイ)シリーズ」を開発し、2024年11月に発売しました。フェースのセンター部分の肉厚を薄くし、トウとヒールに厚い部分を設ける新開発のフェース構造「i-FLEX(アイフレックス)」を搭載することで、インパクト時におけるヘッドの過剰な振動を防ぎ、最大限のエネルギーを効率よくボールに伝えることが可能となりました。フェースとボディを効果的にたわませる独自技術「REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)」との相乗効果で、スイートエリアが拡大し、ボールスピードもアップしました。
ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STAR(ゼットスター)シリーズ」3機種を開発し、商品化しました。新開発の「高スピン バイオ ウレタンカバー」により、アプローチスピン性能を向上させるとともに、独自のディンプル構造で風に強く伸びのある弾道を実現しました。また、カバーには環境に配慮したトウモロコシ由来のバイオポリオールを配合し、製造時CO2排出量を削減しています。3機種展開で、「スリクソン Z-STAR XV(エックスブイ)」ではドライバーでの飛距離を、「スリクソンZ-STAR」ではソフトなフィーリングとアプローチスピンを、「スリクソンZ-STAR ◆(ダイヤモンド)」は、ロング・ミドルアイアンでのスピン性能を重視するゴルファー向けに、それぞれの特性に合わせた技術を搭載しています。
テニスラケットでは、スピン系テニスラケット「SX(エスエックス)」シリーズの新モデルを開発し、商品化しました。弾道を補正する新たなグロメットの採用で、ストリングの可動域が拡大し、パワー性能、スピン性能、弾道補正性能が向上しました。また、フレームの一部厚みを変えることで、フレームの慣性モーメントが向上し、打球時のブレが軽減しました。なお、同シリーズの開発については、2023年10月に開設した「テニス科学センター」での解析・評価なども活用しております。
当事業に係る研究開発費は3,536百万円であります。

(3)産業品他事業
ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振ダンパー、医療用ゴム製品、ヘルスケア用品等、安全・安心・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。
制振事業では、2024年12月に京都大学防災研究所にて能登半島地震時の振動データを用いたMIRAIE Σ(ミライエ シグマ)、MAMORY(マモリ―)の実大振動台実験を行い、その模様が様々なメディアで紹介されるなど事業の認知度も高まっております。今後も、より大きな巨大地震に対しても全壊・半壊被害0を維持できるよう、地震波の分析と制振技術の研究を進め、持続可能なインフラと安全性の高い社会の実現に一層貢献してまいります。制振事業のみならず、カーボンニュートラル、プラスチック削減等、社会課題の解決を目指し、より安全・安心・快適な毎日の暮らしに貢献する商品の研究開発を行っていきます。
また、新たな取り組みとして、当社は「リチウム硫黄電池正極活物質」の開発や「がん細胞吸着キット」の開発を行っております。電池の「+極」に存在し、電気の蓄積、放出を担う重要な物質であるリチウム硫黄電池正極活物質の開発では、「NanoTerasu」を活用して東北大学と共同で確立した世界最高の空間分解能(解像度)の材料可視化技術「テンダーX線タイコグラフィ」を用いて、リチウム硫黄電池正極活物質の詳細な観察を行いました。今後、高性能化へと繋げ、蓄電池をはじめEV、ドローン、無人飛行機、空飛ぶクルマ、人工衛星などエネルギーやモビリティなどの幅広い分野における、製品性能、持続可能性の向上と環境負荷低減への貢献を目指します。「がん細胞吸着キット」の開発については、独自の特殊ポリマーでがん細胞のみを吸着する性質を利用する、という画期的な取り組みです。
当事業に係る研究開発費は1,664百万円であります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01110] S100VINI)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。