有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VIBY (EDINETへの外部リンク)
オンコリスバイオファーマ株式会社 研究開発活動 (2024年12月期)
当社の当事業年度における研究開発費は、1,088,997千円となりました。
なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下のとおりです。
(1) 研究開発体制について
2024年12月31日現在、研究開発部門は20名在籍しており、これは総従業員数の50.0%に当たります。(2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。
①腫瘍溶解ウイルスOBP-301に関する活動
当社は日本国内で厚生労働省よりOBP-301 に関する再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けて「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)」を完了させました。本臨床試験結果は、2024年10月に開催された第62回日本癌治療学会学術集会(福岡)において発表されました。2025年3月には、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」)とOBP-301の承認申請に向けた先駆け総合評価相談を開始しました。今後、市販後臨床試験計画も含めた内容の審査を受けた後に、2025年12月期の承認申請を予定しています。
国内ビジネス面では、2024年2月には富士フイルム富山化学とOBP-301の販売提携契約を締結し、製造元のヘノジェン社から医療機関に至るサプライチェーンを構築するとともに、上市後の販売体制に関する各種協議を進めています。
一方、米国ではOBP-301とペムブロリズマブの共同開発体制を構築するために、当社とコーネル大学、並びにコーネル大学とMSD社の間で、2023年12月にそれぞれ医師主導治験契約を締結しました。その結果、当社とMSD社は胃がんの2次治療患者を対象としたPhase2医師主導治験の研究開発費を折半することになっています。また、米国の権威あるがん研究組織NRGオンコロジーグループにより進められた放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験は、2025年1月に開催されたASCO- GI(米国臨床腫瘍学会 消化器がんシンポジウム)において、評価対象の13例全例で投与箇所の腫瘍の消失が確認されたことが発表されました。
海外でのビジネス展開に関しては、2024年12月には台湾のMedigen社と台湾での販売権に関するライセンス契約を締結しました。Medigen 社により台湾で上市された後には、当社は Medigen 社へ OBP-301 の最終製品を有償で供給し、併せて Medigen 社から販売額に応じたロイヤリティ収入を得ることになります。
現在、OBP-301は、承認申請準備中や組入れが終了した臨床試験も含めて、以下の3つの臨床試験が国内外で進められました。
i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)
ii) 抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
iii) 放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験
i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)
本試験は2019年4月の「先駆け審査制度」の指定に基づき全国17か所の治験実施施設で進められ、2024年9月に治験終了届をPMDAに提出しました。本試験の結果に関しては、治験調整委員会、効果安全性評価委員会、内視鏡中央判定委員会、放射線品質管理委員会、生物統計専門家、並びに医学専門家との協議により、次項に示したように評価されました。これらの結果に基づき、当社は国内でOBP-301の製造販売承認申請を行うためにPMDAと折衝を重ね、これまでの臨床試験のみならず市販後の臨床試験実施計画も含めて承認要件として評価することで、2025年3月に先駆け総合評価相談を開始しました。今後、市販後臨床試験計画を含めた審査を受け、2025年12月期に承認申請を行う計画です。
また、OBP-301のOBP101JP試験の結果は、2024年10月に開催された第62回日本癌治療学会学術集会(福岡)において発表されました。
i-a) 研究開発活動
有効性
主要評価項目である「局所完全奏効率」(L-CR率)は、内視鏡中央判定委員会の評価により41.7%(小数点以下第2位四捨五入。以下同様。)と示されました。この結果は、事前に試験計画書に示された有効性閾値30.2%を上回る結果であることが確認されました。また、副次的評価項目として規定された「局所著効率」(L-RR率。原発巣は完全に消失しなかったものの、著明に縮小が認められた症例)は16.7%を示し、このL-RRを含めた「局所奏効率」([L-CR+L-RR]率)は58.3%を示しました。
さらに、本試験でのデータカットオフ時点での1年生存率は71.4%となり、「食道学会全国登録データ」による放射線単独治療での1年生存率57.4%を上回る成績でした。
本試験における最長追跡期間である18ヶ月時点の局所奏効率は63.9%となり、そのうち局所完全奏功率は50.0%となりました。また、18ヶ月時点での全生存率は53%でしたが、がんに関連した生存率は70%であり、局所奏功例におけるがん関連生存率は90%となりました。また、食道がん患者のQoL(Quality of Life)評価指標である嚥下障害は、有症状患者の71%に改善が認められました。これらの結果から、OBP-301による食道がん局所への効果が患者の生存率を高めた可能性が示唆されました。
安全性
OBP-301と関連性のある主な副作用は、発熱が51.4%、リンパ球数減少又はリンパ球減少症が48.6%に認められましたが、これらは軽度ないしは中等度、又は一過性の変化でした。
i-b) ビジネス活動
OBP-301の安定供給のために重要なサプライチェーンは、「製造~輸入~出荷」と「富士フイルム富山化学による医療機関への販売」の前工程と後工程に分かれます。また、OBP-301の販売には、製造販売承認以外に当社が再生医療等製品製造販売業者の許可を得る必要があり、再生医療等製品製造販売業者の業許可取得の準備を進めています。
製造~輸入~出荷
国内承認取得後にOBP-301を円滑に供給するために、ヘノジェン社で商用製品用の原薬製造を2024年11月に開始し、十分な収量を得ました。今後、原薬の品質試験を行った上で、2025年12月期に凝集体を発生させない新処方による製品を各バイアルへ充填して製品化を完了させます。包装・保管及び輸送の物流業務を委託している三井倉庫ホールディングス株式会社は、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準である GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice)に適合した体制を整備しました。ヘノジェン社を出荷した製品は、輸入後に三井倉庫で保管されます。また、輸入後にOBP-301の出荷試験を委託するユーロフィン分析科学研究所(京都市)では、OBP-301の出荷判定のための試験実施体制の構築に向けた準備が進められています。製造販売業者となる当社が実施する出荷判定をクリアしたOBP-301は、販売提携先の富士フイルム富山化学へ出荷されます。
富士フイルム富山化学による医療機関への販売
当社は、出荷可能と判定したOBP-301を国内で効率的に医療現場へ届けるために、富士フイルム富山化学と2024年2月に販売提携契約を締結しました。OBP-301は出荷判定後に当社から富士フイルム富山化学へ出荷され、富士フイルム富山化学が指定した医薬品卸会社を通じて医療現場に提供されます。2024年9月には、富士フイルム富山化学と安全性情報に関する契約を締結しています。今後も、上市後のOBP-301の円滑な供給のために、サプライチェーンの整備など各種協議を行っています。
再生医療等製品製造販売業
当社は、日本国内へのOBP-301の出荷に責任を負う製造販売業者に位置付けられます。従って、当社は東京都から「GQP(Good Quality Practice:品質管理の基準)」及び「GVP(Good Vigilance Practice: 製造販売後安全管理の基準)」への適合性などの要件に関する審査を受け、再生医療等製品製造販売業の許可を得る必要があります。
当社は、2024年1月に総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者の製販三役の任命を完了し、「信頼性保証本部」を立ち上げました。今後、GQP及びGVPに適合した体制をさらに強化していきます。2024年11月には、東京都へ再生医療等製品製造販売業者の業許可申請を行いました。
ii) 抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
上記ii)の「抗PD-1抗体併用2次治療胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学が当社の事前合意を得た上で、MSD社へ新たな治験の実施や治験費用の負担を提案し、2023年12月に当社とコーネル大学の契約、コーネル大学とMSD社の契約が締結され、共同開発体制が構築されました。
本治験は、抗PD-1/PD-L1抗体を含む1次治療に抵抗性のある胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、2次治療としてOBP-301と抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用します。現在、当社とMSD社で費用を折半して投与が進んでいます。MSD社のペムブロリズマブは2023年に全世界で250億ドル以上売り上げるなど、抗PD-1/PD-L1抗体は大手製薬会社の経営に大きな影響を与えています。抗PD-1/PD-L1抗体を販売する大手製薬会社にとって、このOBP-301を併用した胃がんの2次治療が確立された場合には、抗PD-1/PD-L1抗体の処方機会が拡大する可能性があります。当社は本治験の結果が、OBP-301の海外でのライセンス活動に貢献するものと期待しています。
iii) 放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験
上記iii)の「放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の権威あるがん研究組織NRGオンコロジーグループにより、OBP-301と放射線化学療法を併用した際の安全性と有効性の検討を目的として2021年12月から開始され、15例の患者を登録しました。2025年1月に開催されたASCO- GI(米国臨床腫瘍学会 消化器がんシンポジウム)で、有効性の評価対象となる13例全例で、投与箇所での腫瘍の消失が内視鏡所見や病理生検などで確認されたことが発表されました。OBP-301は米国において食道がんのオーファンドラッグ指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されています。そのため、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができ、さらに、米国においてOBP-301承認後の先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られることになっています。
②LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動
2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)へライセンスし、抗HIV薬としてBMS社によりPhase2b臨床試験が実施され、OBP-601の既存薬との非劣性が示されました。また、BMS社によって、OBP-601の長期毒性試験、がん原性試験や多くの臨床データが得られましたが、BMS社が戦略変更によりHIV領域から撤退したため、ライセンス契約は終了しました。その後、ブラウン大学(米国)の研究成果から、HIVの核酸系逆転写酵素阻害剤(以下「NRTI」)がレトロトランスポゾンの異所性発現を抑制することが示唆されました。その後の研究により、同作用を持つOBP-601が他のNRTIと比べて脳内移行性が高く、またLINE-1という逆転写酵素を強力に阻害してレトロトランスポゾンの産生を強力に抑制するという特長が確認されました。
このメカニズムに着目してOBP-601を神経難病治療薬へ応用しようと計画していたTransposon社との間で、当社は2020年6月に全世界を対象とした総額3億ドル超のライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。
Transposon社は、「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」とC9 ORFという酵素の異常発現を伴った「筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象としたプラセボを用いた二重盲検法による2つのPhase2臨床試験を完了しました。また、アイカルディ・ゴーティエ症候群(AGS: Aicardi-Goutieres Syndrome)を対象にした欧州での単群のPhase2臨床試験の組入れが進んでいます。さらに、Transposon社は、アルツハイマー病を対象とした新たな臨床試験を開始する準備を進めています。
これらのOBP-601に関する臨床試験は、ライセンス契約に基づき全額Transposon社の費用負担で進められています。また、同ライセンス契約に基づき、Transposon社はビジネス活動を行い、第三者である製薬会社などにOBP-601のライセンスを再許諾(サブライセンス)することが可能です。Transposon社が第三者とOBP-601のサブライセンス契約などのビジネス成果を達成した場合は、Transposon社がサブライセンス先から得た収入の一定割合を、当社がTransposon社から受領します。
なお、Transposon社はOBP-601の開発を目的に設立された企業であり、当社は、Transposon社が戦略変更を理由にOBP-601の開発を中断するリスクは低いと考えています。また、当社はTransposon社のビジネス成果に期待しています。
i) PSP Phase2臨床試験
PSPを対象とした臨床試験は2021年11月に1例目への投与が開始され、2022年8月に目標症例数の組入れが完了しました。Transposon社が、2024年3月に第18回 国際アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2024)で発表した主な内容は下記のとおりです。
① PSP患者42例がこの試験に組み込まれました。
② 二重盲検試験として実施され、1日100㎎投与群、200㎎投与群、400㎎投与群及びプラセボ投与群の4群比較を行いました。6ヶ月間の二重盲検下での投与の後、全症例がOBP-601の400㎎投与に切り替えられてさらに6ヶ月間フォローアップされました。
③ OBP-601はPSP患者に対して忍容性を示し、重篤な副作用として意識消失(1例、100㎎群)が報告されました。
④ 脳神経の破壊状況を現わす脳脊髄液中のニューロフィラメント軽鎖(以下、「NfL」)は400㎎投与群において持続的な低下を示しましたが、プラセボ群では24週にかけて上昇し、フォローアップ期間開始時に400㎎投与に切り替えた後に低下を示しました。
⑤ 脳脊髄液中の炎症性バイオマーカーであるIL-6も同様の変化を示しました。
⑥ 日常動作スケール(PSPRS)ではOBP-601は症状の悪化を遅らせることが示唆されました。
⑦ 以上により、OBP-601は脳内のLINE-1を抑制することによって、炎症による脳神経破壊を抑制して、PSPの病態進展を抑制することが示唆されました。
現在Transposon社は、第三者へのライセンスなどのビジネス活動と並行してPSPのPhase3臨床試験の開始に向けたEnd of Phase2 meetingを実施するなど、米国食品医薬品局(FDA)とPSPを対象にしたPhase3臨床試験の準備を具体的に進めています。なお、FDAは、2024年5月にOBP-601を迅速承認審査制度であるファストトラックに指定しています。
ii) C9-ALS/FTD Phase2臨床試験
C9ALS/FTDを対象とした臨床試験も2022年1月に投与が開始されました。2023年3月に目標症例数の組入れが完了し、長期フォローアップも終了しました。現在までに、本臨床試験で試験を中止するような安全性上の問題は報告されていません。Transposon社は、2024年10月のNEALS(Northeast Amyotrophic Lateral Sclerosis Consortium)Meeting 2024 年次総会や2024年12月のAnnual ALS Research SymposiumなどでALSに対するOBP-601の開発状況を発表しています。なお、本治験のALSに関する48週までの主な最終解析結果は下記のとおりです。
① OBP-601投与群では、NfL(神経フィラメント軽鎖)、NfH(同重鎖)、IL-6(インターロイキン-6)を含む神経変性及び神経炎症の主要バイオマーカーを低下させました。
② ALS機能評価スケール(ALSFRS-R)を用いた評価では、病勢進行の抑制効果が示唆されました。
③ OBP-601投与群は、C9-ALS患者の死亡率と相関する呼吸機能の客観的な指標である肺活量の低下率を投与開始後24週時点でプラセボ投与群と比較して約50%減少させました。
④ C9-ALS/FTD及びPSP(進行性核上性麻痺)におけるPhase2臨床試験を総合的に解析したメタアナリシスにおいて、OBP-601投与群で有意なNfL値の低下を示しました。
また、Transposon社は、2025年1月にFDAとALSに関するEnd of Phase2 meetingを実施しました。Transposon社は、OBP-601をALSを対象としたPhase2/3臨床試験に進める計画です。
iii) AGS Phase2臨床試験
Transposon社は、AGSという、小頭症や高度な精神発達遅滞等を呈する遺伝性疾患を対象に、2023年7月にPhase2臨床試験の投与を欧州で開始しました。現在までに、本試験の中止を要するような安全性上の問題は報告されていません。
③次世代腫瘍溶解ウイルスOBP-702に関する活動
OBP-702は、強力な生体内がん抑制遺伝子p53をベクター内に搭載する新規腫瘍溶解ウイルスで、「がん遺伝子治療」と、OBP-301の持つ「腫瘍溶解作用」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つ第二世代のウイルス療法です。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業を活用して、岡山大学消化器腫瘍外科学・藤原俊義教授の研究グループにより非臨床試験が進められました。特に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、PD-L1抗体を併用することでより強い抗腫瘍効果が確認されています。また、がん治療で問題となっているがん組織の間質系細胞(CAF : Cancer Associated Fibroblast)に対しても殺傷効果を示すことが示されており、今後、間質系細胞によって治療が困難と考えられているすい臓がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として開発していくことが期待されます。なお、OBP-301の承認申請へ経営リソースを集中させるために、OBP-702の開発は助成金の範囲内で継続していく予定です。
④ウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
当社は、OBP-2011がヌクレオカプシド形成を阻害する新規メカニズムを有する化合物であることを実験結果から推定していますが、現段階ではその詳細なメカニズムは解明されていません。OBP-2011はすでに承認されているコロナ治療薬の主なメカニズムであるポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害とは異なるメカニズムであることが推察されており、コロナウイルスの様々な変異株に対して効果が左右されないというデータが得られています。しかし、新型コロナ治療薬の承認ハードルが上昇していること、並びに新型コロナ治療薬の複数上市による緊急性の低下などの外部環境の変化や、OBP-301の承認申請へ経営リソースを集中させるために、開発方針を見直す必要性が生じました。今後は、鹿児島大学と詳細なメカニズム解明を行った上でコロナウイルス以外のRNAウイルスに対する新規適応を検討し、新たなパンデミックに対応できる体制を維持していく考えです。
⑤がん検査薬OBP-401に関する活動
検査自動化プラットフォームの確立を目的に、OBP-401によって蛍光発光させた血液中で生きているがん細胞の画像学習を進め、AIによる自動判定を目指しています。しかし、画像学習に必要な多くの画像を取得することに、当初計画と比較して時間を要したため開発進捗は遅延しています。なお、OBP-301の承認申請へ経営リソースを集中させるため、優先順位を引き下げています。
⑥HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるOBP-801は、各種固形がんを対象とした米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、推定有効量までの投与量の増量が不可能となったため、がん領域の開発を中断しました。
一方、新規適応領域である眼科領域では、京都府立医科大学眼科学教室の実験において、緑内障手術を行った際に形成される濾過胞の線維化抑制作用が認められ、2023年4月の日本眼科学会やARVO(視覚と眼科学研究協会学会)で研究結果が発表されました。また、「緑内障治療後の濾過胞線維化抑制」や「加齢黄斑変性症」に関するOBP-801の用途発明が、2024年7月に日本国内で特許査定を受けました。なお、OBP-301の承認申請へ経営リソースを集中させるため、優先順位を引き下げています。
主なパイプラインの開発状況は、以下のとおりです。
開発品 | 適応疾患 | 併用療法 | 開発地域 | 開発ステージ |
OBP-301 (suratadenoturev) | 食道がん | 放射線療法 | 日本 | Phase2終了 (先駆け総合 評価相談) |
放射線化学療法 | 米国 | Phase1 | ||
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ | 日本 | Phase1 (終了) | ||
胃がん・ 胃食道接合部がん | 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (3次治療) | 米国 | Phase2 (終了) | |
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (2次治療) | 米国 | Phase2 | ||
肝細胞がん | 単独療法 | 韓国・台湾 | Phase1 (終了) | |
OBP-601 (censavudine) | 進行性核上性麻痺(PSP) | 単独療法 (二重盲検) | 米国 | Phase2 (Phase3準備中) |
筋萎縮性側索硬化症(C9-ALS) /前頭側頭型認知症(FTD) | 単独療法 (二重盲検) | 米国・欧州 | Phase2 (Phase2/3準備中) | |
アイカルディ・ゴーティエ 症候群(AGS) | 単独療法 | 欧州 | Phase2 | |
アルツハイマー病 | 未定 | 米国 | Phase2準備中 | |
OBP-702 | 固形がん | 抗PD-(L)1抗体を想定 | 日本 | 前臨床 |
OBP-2011 | ウイルス感染症 | 未定 | 日本 | 前臨床 |
OBP-401 | 固形がん | - | 日本 | 臨床研究 |
OBP-801 | 緑内障手術後の 濾過胞線維化抑制 | - | 日本 | 前臨床 |
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