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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QI26 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 オンコリスバイオファーマ株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社の当事業年度における研究開発費は、947,491千円となりました。
なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下のとおりです。

(1) 研究開発体制について

2022年12月31日現在、研究開発部門は20名在籍しており、これは総従業員数の52.6%に当たります。

(2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

①がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301,国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動
テロメライシンは現在、日本国内で再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けて、「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」の症例組み入れが完了され、2024年に国内承認申請を行う計画です。また、製造面では、商用製造スケールでのウイルス製造開発が進められ、PMDAとの承認申請に向けた話し合いが行われています。一方、ビジネス面では、当社独自での製造販売体制を構築するための準備が開始されるとともに、販売提携先となる内資及び外資の複数の候補企業と、アライアンスに向けたデューデリジェンスや条件交渉を開始しています。また、免疫チェックポイント阻害剤を販売する海外大手製薬会社と米国でのテロメライシンの共同開発を目的とした協議が進められています。

現在、テロメライシンは、組入れが終了した臨床試験も含めて、以下の3つの臨床試験が国内外で進められています。

i) 放射線併用食道がんPhase2臨床試験
ii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
iii)放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験

上記i)の「放射線併用食道がんPhase2臨床試験」は、2019年4月の先駆け審査制度の指定に基づき進めています。2020年3月に第1例目の投与が日本国内で開始され、2022年12月に本治験の目標症例に到達したことを確認しました。本治験の主要評価項目である食道がんの局所奏効率に関する結果は、2023年下期に取得できる見通しです。なお、現時点までに本治験を中断するような重篤な安全性の問題は出ておりません。

上記ii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に2019年5月に第1例目の投与が開始されました。本治験では、最も重症度が高いステージ4の患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した場合の有効性及び安全性の評価を行います。これまでに組入れた16例のうち、3例で長期生存が確認されました。この結果は本試験の有効性を示すボーダーラインを超える結果でした。そのため、コーネル大学は2022年末で本治験の症例組入れを終了させ、臨床データを取りまとめます。今後は胃がんのセカンドライン治療に対する医師主導治験を新たに実施するために、免疫チェックポイント阻害剤を販売する製薬企業との共同開発を目的とした協議を進め、2023年に同契約を締結する予定です。
なお、当社は既に取得した食道がんに関する米国でのオーファンドラッグ指定に加えて、新たに胃がんでの米国オーファンドラッグ指定取得に向けた活動を進めています。

上記iii)の「放射線化学療法併用食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーグループが中心となり、2021年12月に第1例目への投与を開始しました。本試験はテロメライシンと放射線化学療法を併用した際の安全性の検討を主目的に現在6施設で実施されており、現在までに4例への組み入れが完了しています。これまでに問題となるような副作用は報告されていません。テロメライシンは米国において食道がんのオーファンドラッグ指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。そのため、臨床試験実施においてFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。

上記以外にも「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用各種固形がんPhase1医師主導治験」は治験を終了しています。国立がん研究センター東病院は、合計22例の臨床成績を2023年4月にアメリカで開催されるAACR(米国がん学会)で発表する予定です。

②核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動
2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)へライセンスし、抗HIV薬としてPhase2b臨床試験を完了しました。その結果、OBP-601の既存薬との同等性が示されました。同時期にはBMS社により、OBP-601の多くの臨床安全性データやがん原性試験などの長期毒性試験の結果も得られましたが、BMS社のHIV領域撤退という戦略変更を理由にライセンス契約は終了しました。
その後、ブラウン大学(米国)の研究によってOBP-601の脳内移行性が他の逆転写酵素阻害剤と比較して高く、神経難病の原因となっているレトロトランスポゾンの発現をOBP-601が抑制したという現象に注目したTransposon社との間で、当社は2020年6月に難治性神経疾患領域を主な対象とした総額3億ドル超の新規ライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しました。
現在、Transposon社によって「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」と「筋萎縮性側索硬化症(C9-ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象とした二重盲検法による2つのPhase2a臨床試験が、欧米にて多施設で進められています。PSPを対象とした臨床試験は2021年11月に1例目への投与が開始され、2022年末までに目標症例数の組入れが完了しました。また、C9-ALSとFTDを対象とした臨床試験も2022年1月に投与が開始されました。現在までにこれらの臨床試験で試験を中止するような安全性上の問題は報告されていません。
PSPのPhase2a臨床試験の中間解析の結果が2023年に、ALS及びFTDに関するPhase2a臨床試験の中間解析の結果が2024年に、それぞれTransposon社から当社へ報告される予定です。Transposon社によるこれらのOBP-601に関する臨床試験は、全額同社の費用負担で進んでいます。
なお、Transposon社はOBP-601の開発を目的に設立された企業であり、当社は、Transposon社が戦略変更を理由にOBP-601の開発を中断するリスクは低いと考えています。

③新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
当社は、OBP-2011がヌクレオカプシド形成阻害剤であることを実験結果から推定していますが、現段階ではその詳細なメカニズムは解明されていません。OBP-2011はすでに承認されているコロナ治療薬の主なメカニズムであるポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害とは異なる新規メカニズムであることが推察されており、コロナウイルスの様々な変異株の発現に効果が左右されないというデータが得られています。しかし、新型コロナ治療薬の承認ハードルが上昇していること、並びに新型コロナ治療薬の複数上市による緊急性の低下などの外部環境の変化により、開発方針を見直す必要性が生じました。今後、当社は鹿児島大学や国立感染症研究所と共同研究体制を敷いて詳細なメカニズム解明を行った上で、製薬会社との共同開発体制を探ってゆく考えです。

④次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53をベクター内に搭載する「がん遺伝子治療」と、テロメライシンの持つ「腫瘍溶解作用」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つ第二世代のウイルス療法薬です。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学消化器腫瘍外科学・藤原俊義教授の研究グループにより非臨床試験が進められています。特に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、OBP-702にPD-L1抗体を併用することで、それぞれの単独投与よりも強い抗腫瘍効果が確認されています。今後、すい臓がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として開発してゆくことが期待されます。なお、OBP-702の開発はAMED助成金の範囲内で開発を継続します。

⑤がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動
テロメスキャンは、がん患者の血液中を循環している生きたがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を2021年6月に開設いたしました。また、2022年3月に株式会社CYBOと共同開発契約を締結し、AI技術を用いて自動検出ソフトウェアの開発を進め、検査処理の時間短縮だけでなく、CTC検出の感度及び特異度の向上を目指し、このプラットフォームの国内実用化を目指しています。

⑥HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であるOBP-801は、各種固形がんを対象とした米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、推定有効量までの投与量の増量が不可能となったため、がん領域での開発を中断しました。
一方、新規適応領域である眼科領域においては、京都府立医科大学眼科学教室により緑内障手術による濾過胞形成術後の線維化抑制作用が明らかとなり、2023年4月の日本眼科学会で研究結果を発表することを計画しています。今後は点眼剤での開発が期待されています。

主なパイプラインの開発状況は、以下のとおりです。
開発品適応疾患併用療法開発地域開発ステージ
テロメライシン
(OBP-301)
(suratadenoturev)
食道がん放射線療法日本Phase2
(組入れ終了)
放射線化学療法米国Phase1
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ日本Phase1
(組入れ終了)
胃がん・
胃食道接合部がん
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ米国Phase2
(組入れ終了)
肝細胞がん抗PD-L1抗体アテゾリズマブ
及び分子標的薬
日本Phase1
(終了)
単独療法韓国・台湾Phase1
(終了)
OBP-601
(censavudine)
進行性核上性麻痺(PSP)単独療法米国Phase2a
(組入れ終了)
筋萎縮性側索硬化症(C9-ALS)
/前頭側頭型認知症(FTD)
単独療法米国Phase2a
OBP-2011新型コロナウイルス
感染症
未定日本前臨床
OBP-702固形がん抗PD-(L)1抗体を想定米国/日本前臨床
テロメスキャン
(OBP-401)
固形がん-日本臨床研究
OBP-801緑内障手術後の濾過胞線維化抑制単独療法日本前臨床


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E30058] S100QI26)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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