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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L1LQ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 オンコリスバイオファーマ株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業844,805千円、検査事業57,688千円、両セグメント共通84,747千円、合計987,242千円となりました。
なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。

(1) 研究開発体制について

2020年12月31日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の36.1%に当たります。

(2) 研究開発並びにビジネス活動について

当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

① 医薬品事業
1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
当社は、2019年4月に中外製薬とテロメライシンに関する日本・台湾の独占的ライセンス契約並びに日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界におけるオプション契約を締結しました。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500億円以上であり、既に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受領しています。
2020年6月には、テロメライシンの食道がんへの開発に対してオーファンドラッグ(希少疾患治療薬)の指定を米国食品医薬品局から受けました。本指定により、テロメライシンの開発におけるFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇処置を受けられます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。2019年4月に指定を受けた先駆け審査制度と合わせて、テロメライシンを食道がんの治療薬として開発していく方針です。

2021年2月12日現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、ライセンス先の中外製薬によって、i)放射線併用による食道がんPhase2臨床試験、ii)化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験、iii)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験、iv)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験が国内で進められています。
また、当社は、v)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、vi)化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験、vii)放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験を米国で実施し、viii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験を国内で進めており、計8つの臨床試験が同時に進行しています。

中外製薬によるテロメライシンの開発状況
上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって2020年3月に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による根治的な切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。なお、中外製薬の開示資料によると、2021年2月4日現在、テロメライシンを2023年以降に申請する予定です。

上記ii)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって、 局所進行性の食道がん患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、現在患者様の募集が開始されています。本試験は、安全性、忍容性を評価し、副次的に有効性を評価することを目的としています

上記iii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験」は、中外製薬によって投与が進行中の安全性、忍容性及び副次的に有効性の評価を目的とした臨床試験です。また、本試験は、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験であり、2021年1月に第1例目の投与が開始されています。なお、肝細胞がん患者様へテロメライシンを単独投与した際の安全性は、当社が韓国・台湾で実施したPhase1臨床試験において検討済みです。

上記iv)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験」は、中外製薬によって新たに計画されており、頭頸部がんの患者様に対して、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、化学放射線療法が併用される臨床試験です。

当社によるテロメライシンの開発状況
上記v)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学において、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。ステージ4の患者様を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。既に中間検討会が2020年12月末に米国において実施され、今後組入れ対象を食道がんに拡大することを検討しています。

上記vi)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により遅延しておりますが、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーが中心となり投与開始に向けた準備が完了しました。また、前述の通り、テロメライシンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます

上記vii)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に投与開始の準備を進めています。頭頸部がんは、QOLを著しく低下させることがある難治性の腫瘍であり、局所における有効な治療法は、外科的手術以外に放射線治療が主な治療法です。本治験では、これまでに得られているテロメライシンと放射線療法の併用による局所作用としての相乗効果に加え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。

上記viii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床試験の結果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性が示されました。現在進行しているPhase1b臨床試験では、目標症例数13例に対して10例の組入れが完了しています。2020年末に行う予定であった中間データの取り纏めは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により遅延しており、2021年上半期を目標に実施する見通しです。

テロメライシンは食道がんを対象に、日本国内では先駆け審査制度の対象品目に指定され、さらに米国においても食道がんを対象にオーファンドラッグの指定を受けています。2020年6月に、中国・香港・マカオでの研究・開発・製造・販売権に関するライセンス契約の解消をハンルイ社と合意しましたが、当社は、全世界の食道がん患者様の大半を占める中国地域を含むテロメライシンの新規ライセンス契約締結に向けた活動を積極的に進めています。

2)次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の研究グループがOBP-702の非臨床試験を進め、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告しています。今後、当社はOBP-702のGMP製造及び前臨床試験を進め、2022年上半期に治験申請を行い、臨床試験の開始を目指します。

3)新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2001及びその関連化合物に関する活動
当社は、2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌範センター長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。その結果、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する化合物群を特定しました。さらに、特定された化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬レムデシビル(ギリアド社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認されました。
当社は、鹿児島大学との共同研究で合成された化合物群の中からOBP-2001を特定し、毒性試験を行った結果、一般状態、体重、血液・血液生化学的検査などに著変は認められませんでした。
既に欧米では複数のワクチンが承認・実用化されるなど、世界各国では早期開発が活発に行われていますが、ワクチンによる予防だけではパンデミックを抑えることは容易ではないと考えています。当社は、PCR検査陽性の無症状の患者様から軽症までの初期段階の患者様を対象に、SARS-CoV-2の増殖を特異的に抑制し、且つ経口投与が可能な治療薬の開発を目指します。また、既にOBP-2001の活性を大きく上回る化合物が見出されており、最も可能性が高い化合物を2021年上半期に絞り込み、スピードを重視した開発を推進してゆきたいと考えています。

4)核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動
OBP-601(Censavudine)は、2006年にYale大学から導入し、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.がHIV感染症治療薬としてPhase2臨床試験の完了まで開発を進めました。その後、HIV治療薬のマーケットが飽和状態となり、新規ライセンスの可能性が低い状況の中、感染症領域以外でのOBP-601の新規ライセンス契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進しました。
その結果、神経疾患の研究を行う米国ブラウン大学の研究成果よって、OBP-601がレトロトランスポゾンの逆転写と複製を抑制する可能性が示唆され、2020年6月にTransposon社との間で総額3億ドル超の新規ライセンス契約を締結しました。また、Transposon社は、2020年11月に第1回マイルストーンを達成しています。
OBP-601は、脳内移行性が優れていることに加え、既に長期投与の臨床データが得られているため、Transposon社が開発を進める際に安全性確認を目的とした臨床試験など、非臨床試験の大幅な短縮又は軽減が期待されます。
当社は、Transposon社によるOBP-601の開発進捗を継続的に確認していくと共に、早期臨床入りが開始されることを期待しています。

5)HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応が試みられています。


医薬品事業における主なパイプラインの状況は、以下の通りです。
開発コード適応疾患併用療法開発地域開発ステージ
テロメライシン
OBP-301
食道がん放射線日本Phase2
(中外製薬)
食道がん放射線・化学療法日本Phase1
(中外製薬)
米国Phase1
肝細胞がん抗PD-L1抗体アテゾリズマブ
分子標的薬
日本Phase1
(中外製薬)
(テロメライシン単剤)韓国・台湾Phase1
(完了)
頭頸部がん抗PD-L1抗体アテゾリズマブ
放射線・化学療法
日本Phase1
(中外製薬)
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ
放射線
米国Phase2
胃がん・
胃食道接合部がん
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ米国Phase2
食道がん
(固形がん)
抗PD-1抗体ペムブロリズマブ日本Phase1
OBP-702固形がん抗PD-(L)1抗体を想定日本前臨床
OBP-2001新型コロナウイルス
感染症
全世界前臨床
OBP-601
(Censavudine)
神経変性疾患未定米国臨床試験準備中
HIV感染症欧米他Phase2b
(終了)
OBP-801各種固形がん抗PD-(L)1抗体を想定米国Phase1


② 検査事業
がん検査薬テロメスキャンは、血液中の循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)の検出の自動化に向け、CTC自動解析用ソフトウェアの開発委託契約をCYBO社と締結しました。CYBO社のAI技術を用いたテロメスキャン専用のソフトウェアを開発することによって、CTC有無の判定の自動化、検査処理スピードの向上、さらに判定結果の標準化を期待しています。既に、CTC自動解析用ソフトウェアのプロトタイプの一次型が完成しました。今後、さらなる改良を加えたソフトウェアの開発を目指します。
また、研究開発においては、順天堂大学とCTCの肺がん領域でテロメスキャンを用いた医師主導臨床研究が進行しており、北米エリアのライセンス先である米国リキッド社では、肺がんや婦人科がん領域などへの応用を目的に米国の大学や研究機関との共同研究を進めております。今後、AIによるCTC自動解析用ソフトウェアのバリデーションをリキッド社で実施してゆきます。
当社は引き続き、順天堂大学などをはじめとする国内外のアカデミアと研究開発を推進していく方針です。さらに、テロメスキャンを用いたCTC有無の判定だけでなく、検出したCTCの悪性度の判定等が可能な改良型のソフトウェアを開発し、がん患者様の治療の選択につなげられる検査系へと成長させてゆきたいと考えています。

事業等のリスク株式の総数等


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