有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VZW5 (EDINETへの外部リンク)
JFEホールディングス株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループ(当社および連結子会社)は、世界最高の技術をもって社会に貢献することを企業理念とし、顧客ニーズを先取りした独自新商品の開発、高品質な商品を効率的に生産する技術の開発、カーボンニュートラル達成に寄与する商品および製造技術の開発、ならびにグループ全体としてのシナジーを活かした開発により、常に業界をリードし、新たな分野を開拓していくというグループ共通の開発コンセプトの下、各事業会社が創造性にあふれる研究開発を展開しています。また、各事業会社において、AI・IoT・ビッグデータ等のデータサイエンス技術の活用を推進するための組織を設置し、ロボティクス技術を積極的に活用して、製造設備の生産性や商品・サービスの付加価値向上に向けた研究開発等を積極的に推進しています。
グループ全体の研究開発戦略の策定や横断的に取り組むべき重要課題の選定・推進については、当社社長を議長とする「グループ経営戦略会議」の場で、各事業会社が一体となって取り組んでいます。
今後も、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ高い収益力を確保するとともに、市場・社会からの高い信頼を獲得し、将来の経営基盤を育成・発展させるべく、積極的な研究開発に取り組んでいきます。
当連結会計年度における研究開発費は42,987百万円であり、主要事業内訳は鉄鋼事業38,946百万円、エンジニアリング事業4,041百万円であります。
なお、当連結会計年度における主な事業別の研究の目的、主要課題および研究成果は以下のとおりです。
(1)鉄鋼事業
鉄鋼事業では、社会の持続的な発展と人々の安全で快適な生活のために、「カーボンニュートラル」達成に向けたイノベーションの推進、「デジタル」による製造基盤強化と超革新的プロセス技術の開発、お客様のニーズを先取りした高付加価値品およびカーボンニュートラル社会の実現に繋がる新商品・利用技術の開発を強力に推進しております。以下、当連結会計年度の主な研究成果を挙げます。
JFEスチール㈱は、自動車用薄鋼板を対象とした製造工程の操業データおよび品質データを収集し、品質に対する操業の影響を解析する仕組みとして、多工程一貫品質データ解析システム『J-astquad®』を構築し、運用を開始しました。本システムは、自動車用薄鋼板の安定製造を目的とした、薄鋼板製造における品質管理業務のためのDX基盤技術のひとつです。自動車用薄鋼板をはじめとした、多工程にわたる製造品から構築・運用を始め、今後順次、各種製品群への展開を予定しています。今回構築した『J-astquad®』では、自動車用薄鋼板の製造における製鋼工程、熱延工程、冷延工程、表面処理工程にわたって鋼板の長辺方向に変動する多数のセンサーデータ等の操業データおよび品質データ等を自動的に収集します。それらのデータから、圧延による鋼板の長さの変化や、工程毎の鋼板長辺方向の反転、鋼板先尾端部の切り落とし処理等を考慮して、細分化した鋼板長辺方向位置を、多工程で精緻に合わせた紐づけデータとして生成し、AI技術に基づく詳細な解析を行うことで、品質不良の要因の推定が可能となり、操業改善の迅速化を実現し、品質不良発生率の低減につながっています。
更に、JFEスチール㈱は仮想空間上に構築したデジタルツイン技術の活用により、革新的ラジアントチューブバーナーの短期開発に成功しました。本ラジアントチューブバーナーを東日本製鉄所(千葉地区)冷延工場で長期運用した結果、従来のラジアントチューブと比較して6倍程度の長寿命効果が見込まれるとともに、低NOx化、省エネ化を実現しています。今回の開発では、試験炉の燃焼実験から得られた試験データと物理モデルを元に、仮想空間上に試験炉を忠実に再現したデジタルツインを構築し、ラジアントチューブの炉内支持構造、チューブ形状、バーナー周り、伝熱促進体、熱交換器を独自に開発しました。その結果、従来のラジアントチューブバーナーに対して、長寿命(変形速度1/6)、低NOx(NOx発生量30%低減)、高効率(3%の省エネ化)の革新的ラジアントチューブバーナーの開発に至り、また、従来の約半分の期間での操業運用を実現しました。また、同社は鋼製配管上を吸着走行しながら減肉点検を行う、走行を妨げるケーブル類を不要とした点検ロボットである無線式「Scan-WALKER®」を開発しました。本ロボットは既存の配管点検ロボット有線式「Scan-WALKER®」を改良したものであり、今回製鉄所内の点検作業に試験導入し、遠隔操作による点検範囲拡大と高所作業負荷低減を実現しました。今回、各製鉄所内において、本ロボットを用いて地上からの遠隔操作による検証試験を実施し、局所的な減肉の発見に成功しました。今後は実運用を進め、配管以外の構造物にも展開することで、更なる鋼構造物の健全性確保と作業負荷低減を進めていきます。
JFEスチール㈱は、石油メジャー等が参画する「海洋石油・天然ガスに係る日本財団とDeepStarの連携技術開発助成プログラム」の水素関連技術開発Phase Iにおいて、同社製品の電縫鋼管(マイティーシーム®)を用いた、高圧水素輸送用ラインパイプ材の特性評価に関する研究開発を実施してまいりました。この度、約1年間のPhase Iにおける研究成果が認められ、引き続きPhase IIに採択されました。Phase IIでは、海底パイプラインを想定した厚肉高強度UOE鋼管へ研究対象を拡大し、引き続きDeepStarメンバーである石油メジャーのExxonMobil社、Chevron社(米国)、TotalEnergies社(フランス)と連携し、高圧水素輸送用の鋼管材料等の評価基準および方法を確立し、高圧水素輸送海底パイプラインの実用化を目指します。
また、JFEスチール㈱が開発した『壁折リストライク工法』が、国内大手自動車メーカーの国内向け車両の骨格部品であるロッカーインナーの製造において、1180MPa級高張力鋼板のプレス成形時のスプリングバック抑制成形工法として採用されました。一般的に、プレス成形時に材料に残る応力を低減する、もしくはプレス部品にスプリングバックの要因応力を相殺させる応力を付与することでスプリングバックは小さくなります。今回採用された『壁折リストライク工法』は、多工程あるプレス工程の前工程形状を最適化し、スプリングバックの要因応力を相殺させる応力を付与することを特徴とする技術です。今回の工法が採用された対象として、ドアの車両下部に配置される骨格部品であるロッカーインナーは、㈱協豊製作所(以下、「協豊製作所」)が量産を実施しており、同社と協豊製作所の共同開発により『壁折リストライク工法』の量産金型への適用を実現しました。
更に、JFEスチール㈱はコーティングレスで高温水蒸気中での耐酸化性と導電性を両立する、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のインターコネクタ用フェライト系ステンレス鋼『JFE―FC1』を開発し、サンプルの提供を開始いたしました。『JFE―FC1』は、セラミックスコーティングに要するコストと作業工程を削減することができるステンレス鋼です。このたび開発した『JFE―FC1』は、長期間の使用後にもバリア機能を持ち続け、かつ発電効率を低下させないよう導電性も維持できる特殊な構造を持った酸化皮膜が生成する、新たな材料設計に基づいて開発されたステンレス鋼です。『JFE―FC1』を適用することで、セラミックスコーティングに要するコストと工程を削減することができ、カーボンニュートラル実現に向けたSOFCの普及促進に大きく貢献します。
JFEスチール㈱が開発してまいりました商品、技術は社外からも高く評価されております。例えば、「海岸近傍でも無塗装使用可能な高耐候性鋼の発明」により、2024年度全国発明表彰発明賞を受賞しました。同社の全国発明表彰受賞は発足以来14回目となります。また、同社の開発した高濃度硫化水素含有天然ガス輸送鋼管用鋼材が、第71回(2024年度)大河内記念技術賞を受賞しました。
更に、JFEスチール㈱が開発した「連続鋳造における凝固完了位置測定装置」が、第59回機械振興賞 経済産業大臣賞を受賞しました。また、「長寿命・低NOx・高効率ラジアントチューブバーナー」が2023年度日本伝熱学会・技術賞を受賞しました。同社の日本伝熱学会・技術賞の受賞は初となります。
(2)エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、「Waste to Resource」、「カーボンニュートラル」、「複合ユーティリティサービス」、「基幹インフラ」の4事業分野にそれらを支える技術基盤である「DX」を加えた5つを重点分野と位置付け研究開発を推進しています。当連結会計年度は、特に「カーボンニュートラル」を最注力分野として重点的な投資を実施しました。具体的には、廃棄物中の炭素を化学原料として最大限有効利用する「ガス化改質と微生物を用いたエタノール製造による廃棄物ケミカルリサイクル技術の開発」に現在取り組んでおります。本開発は、NEDOグリーンイノベーション基金事業「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」に採択され、2024年11月より実証試験設備の建設を開始しました。本開発ではJFEエンジニアリング㈱のオンリーワン技術である廃棄物から安定的に精製合成ガスを製造する技術をベースに、廃棄物をプラスチック原料やSAF(Sustainable Aviation Fuel)の他、水素源としても有効利用する一連の資源循環プロセスの確立を目指しております。更に、膜分離と物理吸着双方のメリットを活かしたハイブリッド型低消費エネルギーCO2分離回収技術や、水素混焼ガスエンジンコージェネレーションシステム等、カーボンニュートラルの実現に向けて様々な研究開発に取り組んでいます。
また、JFEエンジニアリング㈱が開発した商品・技術は社外からも高く評価されており、廃棄物焼却施設の発電効率向上とボイラ長寿命化を目的とした「水噴射と圧力波を組み合わせた高効率ボイラクリーニング装置」は、(一社)日本産業機械工業会主催の第50回優秀環境装置表彰において、経済産業大臣賞を受賞しました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01264] S100VZW5)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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