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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YDW9 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社栗本鐵工所 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、2,008百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業447百万円、機械システム事業245百万円、産業建設資材事業197百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用1,118百万円が含まれております。

~主要研究開発活動~
(社会インフラ関連)
① 管路更新・耐震化促進に資する製品開発ならびに製造プロセスにおける環境負荷低減技術開発
地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、上水道管路における耐震性を有する管路比率は現状44.6%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、上水道管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に25.3%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、これまでは呼び径75~450mmで展開していた耐震管GX形ダクタイル鉄管のラインナップとして、新たに呼び径500㎜および600mmを拡充して拡販に努めております。また、中大口径管路の更新事業においては当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、水道事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めております。
さらに、カーボンニュートラルやゼロエミッション実現など環境負荷低減に資する取り組みとして、ダクタイル鉄管製造プロセスの中でも特にCO2排出量の多い溶解プロセスでは、燃料として使用している石炭コークスの代替としてバイオマス原料からなるバイオコークスを導入すると共に、地域のゼロエミッションにも貢献すべく廃棄物を有効活用した新たな循環型のバイオ燃料開発にも取り組んでいます。また、水道管路の更新工事にて発生する使用済み撤去管については、ダクタイル鉄管製造時の鉄源材料として有効にリサイクルすることで、資源循環に貢献する技術開発を進めております。今後も、当社のみならず社会の環境負荷低減やサーキュラーエコノミー実現に貢献する技術開発に注力してまいります。

② 橋梁補修分野の商材拡充ならびにFRP(M)材の再利用に関する研究
当社は連続FW成形技術や連続引抜成形技術をコア技術として、水輸送管および電力ケーブル保護管など、インフラ市場向けにFRP製品の製造ならびに販売を行ってきました。橋梁補修分野において上記連続引抜成形技術を活用したFRP製検査路は、既存の鋼製検査路と比べ軽量であるため施工性に優れ、沿岸部の潮風や道路の凍結防止剤等による塩害の影響を受けにくいことから、採用実績も増加傾向にあります。また、差別化戦略として、緩み止め性能を有するワンサイドで施工可能なFRPボルトを開発並びに市場投入し、更なる施工性の向上を実現することで、顧客から高評価をいただいております。今後も当該分野で新商材の開発を進めると共に、橋梁補修技術の発展に努めてまいります。さらに、SDGsを考慮した取り組みとして、連続引抜成形法の適用製品の拡大を進めております。当成形法は、他の成形法と比較して電気使用量が少なく、成形時に発生する端材が減少できるなど、現代社会の要求に合致した特長を有しています。加えて、リサイクルを考慮し、熱可塑性樹脂を使用した製品開発にも取り組んでおり、時代や顧客のニーズにマッチした商材開発ならびに技術革新を積極的に進めています。また、インフラで使用されてきたFRP(M)材は販売から50年が経過し、今後、更新事業の発注拡大に伴って廃材が増加すると予想されています。生産活動で排出される端材や副資材を含め、FRP(M)材の再利用に関する研究開発を加速し、新たに設備導入を進めることでプラスチック資源の有効利用に努めてまいります。

(産業設備関連)
① 二次電池向けプロセス設備の開発
自動車メーカが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。また、近年ではエネルギー負荷の低い、次世代型電極製造プロセスにも採用いただいています。

② サーボプレスの応用技術開発
当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、また、熱間鍛造プレスにおいても鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪によりお客様の改題解決に向けた営業活動を強めていく予定であります。

③ 再生骨材製造システムの開発
国内の骨材需要は1990年代中頃をピークに漸減している一方で、高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の老朽化により、大都市部を中心にコンクリート構造物の解体量は増加しております。これらの状況を踏まえて廃コンクリートからコンクリートの原材料となる再生骨材を製造するニーズが高まってきており、特に従来の高品質(Hクラス*1)ではなく中品位(Mクラス*2)を大量に生産できるリサイクルシステムが望まれております。
この様な中で当社は2024年8月より共同8社と「省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発」*3に着手しました。当社は再生粗骨材・再生細骨材の製造装置メーカとして本開発事業に参画し、偏心ロータ型磨砕機をコア技術とした再生骨材製造システムの開発に取り組んでおります。
2024年度より当社・住吉工場に磨砕機・分級機の試験設備を導入し、各種要素試験を行いながら再生粗骨材・再生細骨材の品質評価、製造システムの生産技術検証を進めており、2028年度の実証プラントによるフィールドテスト実施に向けて開発活動を進めております。
これらの研究活動を通じて再生骨材製造システムの・商用化・事業化を進め、コンクリートに関わる環境負荷低減を目指していきます。

*1 JIS A 5021 コンクリート用骨材再生骨材H
*2 JIS A 5022附属書A コンクリート用再生骨材M
*3 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の重点課題推進スキームで実施

④ ダム堆砂浚渫(しゅんせつ)システムの開発
国内のダムでは湖底に堆積する土砂(=堆(たい)砂(しゃ))が年々増加する事によってダム貯水容量が減少し、治水機能及び利水機能の低下が懸念されております。これらの社会課題に対して当社では水中サンドポンプで湖底より堆砂を固液スラリー状にて吸い上げる『浚渫(しゅんせつ)技術』と、採取したスラリー水を固液分離し堆砂を陸上に揚砂する『土砂分離技術』を組み合わせた『ダム堆砂浚渫(しゅんせつ)システムの開発』を進めております。また2025年度には国土交通省近畿地方整備局が実施する『2025年度 現場ニーズと技術シーズのマッチング事業』において本システムをご採択頂き、天ケ瀬ダム(京都府宇治市)での小型実証試験(配管口径150A)を実施致しました。実証試験では従来工法であるグラブ浚渫と比較して施工性・安全性が向上する事や、各計器類をリアルタイムで表示する事で浚渫(しゅんせつ)作業が効率的に行える事を実証しております。
今後は商用サイズである標準システム(配管口径300A)の基本設計・実証試験を実施し2030年度商用化を目指して開発活動を展開して参ります。


(コンポジットプロジェクト関連)
先進的な繊維強化プラスチック(FRP)の量産成形システムおよび成形品の開発
繊維強化プラスチック(FRP)は軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替としてインフラ、モビリティなど様々な分野への適用の検討が進んでおります。FRP材料を構造部材に適用する社会ニーズに応えるためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。
当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤として、独自のFRP量産テクノロジーの開発を進めてまいりました。2019年にお客様との共創の場として開設したクリモトコンポジットセンターには、LFTDシステム*4、ハイサイクルRTMシステム*5および構造材料向け引抜成形システムを完備し、大型試作から自動化対応、初期生産フェーズまで対応できる体制を構築しております。
近年では、国土強靱化施策を見据え、従来鉄やアルミ製に依存していたインフラ構造部材に対してFRP構造部材の適用に向けた新たな引抜成形技術を開発いたしました。成形時の属人化要素を低減し、安定した品質管理を実現するDXの開発にも取り組んでおります。また低コストで部品を製造できるLFTDシステムについては、サーキュラリティを念頭にしたリサイクル繊維や樹脂、成形端材などを活用したSDGs市場向けシステムの開発に取り組んでおります。
当社が保有する設備事業の基盤と成形事業の基盤のシナジー化による新しい価値の提案活動を進めながら、成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。

*4 LFTDシステム:原材料である炭素・ガラス繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形するFRTP成形システム。
*5 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素・ガラス繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。

(クリモト創造技術研究所関連)
① 磁気粘性流体(MRF)の開発
磁気粘性流体とは、オイルの中に鉄微粒子を分散させた機能性流体です。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を用いた高性能デバイスの創製と感触技術分野での用途開発に取り組んでおります。従来はエンターテインメント分野における採用実績がありましたが、今後、市場成長が期待されるハプティクス市場*6や高齢化社会への対応として健康器具分野における優位性確立を目指し、競争力アップのためコストダウンと品質向上に取り組みます。

*6 ハプティクス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野のことであり、ここではSoftMRFⓇを使って主に力覚を人工的に与えられる装置をハプティクスデバイスと称しています。

② 鉛フリー銅合金の開発
鉛については従来、鋳造性、切削性、耐圧性や摺動性等を向上する目的で、銅合金に添加され続けてきました。しかし、RoHS指令を始めとする環境規制により、工業製品への鉛の使用が制限されてきています。
当社は持続可能な社会の実現に資するため、摺動材用鉛フリー銅合金「BrobeaⓇ」及び水道材用鉛フリー銅合金「クリカシリーズ」を開発し、従来の鉛含有銅合金と同等以上の性能を持つ製品を提供し、拡販に努めております。
鉛フリー銅合金のさらなる改良に努めるとともに、製品のラインナップを拡充し、様々な用途に対応することで国内外の市場での拡販を進めます。

③ マグネシウム合金の開発
実用金属中で最も軽量かつ金属としての強さも兼ね備えた素材である一方、汎用のマグネシウム合金は激しい燃焼を起こす危険性があり、かつ耐食性及び耐クリープ性に劣るという問題があります。
軽量化による燃費やエネルギー効率の向上により温室効果ガス排出量の削減に貢献するべく、難燃耐熱マグネシウム合金「KEHMAⓇ-HR」を開発いたしました。高温環境でも優れた性能を発揮する特長を活かし、輸送機器の軽量化目的での採用を目指しております。一方、分解性合金「KEHMAⓇ-SL」は、食塩水などの水溶液に浸漬すると自己腐食により速やかに分解する特性を持ち、省工程化等の新たなソリューションの開発に貢献します。
マグネシウム合金のさらなる改良と普及に努め、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献いたします。

④ 微細気泡技術(ハイドロスピア)の開発
地球温暖化や気候変動の影響が深刻化する中、水質改善や水使用効率の向上、ケミカル系材料から自然由来材料の使用へのシフト等、持続的な環境保全が求められる中、当社においては長年蓄積した流体制御技術やキャビテーション*7に関する研究を基盤とし、省エネルギーでキャビテーションを発生する生成器を発明し、環境配慮型の各種原液生成装置、各種原液及び洗浄装置等を開発いたしました。関係企業や外部組織、学術機関の協力を得て早期の開発ならびに販売開始を目指します。

*7 キャビテーション:液体内に微細気泡が発生する現象

事業等のリスク株式の総数等


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