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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YGP3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社フジクラ 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループでは、情報通信ネットワークの高度化への貢献と、環境問題やエネルギー問題などの社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。

[新事業創生・研究開発部門]
情報通信の分野では、生成AIをはじめとする技術革新により、通信データ量は指数関数的に増加しています。こうした背景のもと、情報通信ネットワークには高速化・大容量化・低遅延化が求められる一方で、データセンタでは消費電力の増加が社会課題となっています。当社は次世代光通信分野において、高密度・大容量伝送・低遅延を実現するため、次世代ファイバ及びその接続技術の実用化に向けた開発を進めています。

次世代エネルギーの分野では、すでに事業化を進めているファイバレーザの高性能化・高出力化をさらに加速するとともに、光を用いたエネルギー伝送などの応用に向けた研究開発を推進しています。ファイバレーザの高性能化・高出力化では、ビーム品質に優れるシングルモードファイバレーザの出力を7kWまで向上させると同時に、レーザ光を出射するデリバリーケーブルの長尺化を実現しました。これにより加工効率の大幅な向上と装置の使用性向上に貢献できると考えています。また、本ファイバレーザは、特にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの難加工材料に適用可能と考えており、周辺機器メーカやユーザ企業と連携を取りながら加工優位性を実証し、市場展開を進めていきます。

当社既存事業とより親和性の高い「次世代光通信」及び「次世代エネルギー」の分野を中心とした研究開発を進め、革新的な情報通信ネットワークの構築や、環境負荷低減などの社会貢献につなげてまいります。

~重点技術領域への取組~
(高温超電導線材)
高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はこの高温超電導線材の開発及び量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米並びに国内でも高温超電導線材を用いたコンパクトなフュージョンエネルギー炉(核融合発電)の開発が計画されています。高温超電導線材はフュージョンエネルギー開発に必要なプラズマを強力な磁場で閉じ込め、制御するための高温超電導マグネットに用いられ、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。これら高温超電導線材の需要増に対応するために約56億円の工場拡張投資を2025年度に決定し、今後、生産能力をさらに約2倍に拡大することを見込んでいます。今後も環境負荷の低減と持続可能なエネルギー供給の実現に向け、さらなるイノベーションを追求し、高温超電導の技術開発、事業化を通じてカーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献してまいります。

(ファイバレーザ)
金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高いファイバレーザへの置き換えが進み、加工用途も拡大しています。固体レーザでは、レーザ光は空間を伝搬させていましたが、ファイバレーザではファイバで導光することによって、レーザ光の扱いが飛躍的に容易かつ安全となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。成長を続けている半導体市場においては、半導体製造装置メーカと共に各工程用途に最適化したパルスファイバレーザの開発を継続し、生成AIの急速な半導体需要拡大に対する生産性向上を支えています。またレーザ核融合の分野において、レーザ核融合エネルギーの社会実装を目指す国内スタートアップ株式会社EX-Fusionや米国スタートアップBlue Laser Fusion Inc.と連携し、将来ファイバレーザのレーザ核融合への適用も視野に入れ、パートナーシップを構築しています。今後も低消費電力かつ長寿命なファイバレーザ製品により、環境負荷低減及び持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(急速充電)
政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域において、急速充電ケーブルコネクタの開発を行っています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に定格出力90kW以上の急速充電器の設置が進んでいます。当社では、2023年に国内初となる定格150kWの液冷方式のケーブルコネクタを上市しました。現在は操作性と高出力を両立させる液冷方式のケーブルコネクタの開発に取り組んでおり、液冷ケーブルの太さを現行比21%減、ケーブル重量を現行比37%減、コネクタ重量は現行比25%減を目標としています。電気自動車の普及に歩調を合わせ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

2028年中期経営計画では、高温超電導線材、ファイバレーザ、次世代光ファイバを重点技術領域として位置づけ、フュージョンエネルギー実現に向けた次世代エネルギー技術と、データセンタや生成AIインフラを支える高度情報通信技術の開発を引き続き積極的に推進してまいります。

セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は168億円であります。

[情報通信事業部門]
クラウドサービスの普及の他、生成AI技術の拡大による通信トラフィックの急増に伴い、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。当社では、既存の通信インフラ設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの超細径・高密度な光ファイバケーブル「SWR®/WTC®」の技術を用いた様々な新製品を開発し上市しています。
2025年度は、データセンタ間、及びメトロネットワークでの旺盛な需要を背景に、世界最高の超多心光ファイバケーブルとなる「13824心WTC®」を新たに開発し販売を開始しました。従来のWTC®では、6912心が最多心でしたが、新製品では外径を40㎜以下に抑えたうえで、従来比2倍の心数を実現したことが高く評価され、日本経済新聞社主催の「2025年日経優秀製品・サービス賞」において「最優秀賞」を受賞しました。また、中長期に向けたSWR®/WTC®技術として、更なる細径光ファイバの適用、及び次世代光ファイバによる超高密度、低遅延化を実現する光ファイバケーブル開発を進めていきます。今後も既存インフラ網を効率的に活用できる細径高密度のSWR®/WTC®技術にて、高品質かつ革新的な技術開発を更に進め、高度情報化社会の実現に貢献していきます。

光コンポーネント市場においては、生成AI需要の継続的な拡大を背景に、データセンタ構築が世界的に加速する中、小型・細径の多心光コネクタ付きケーブルの需要が拡大しています。当社では、小型多心光コネクタとしてデータセンタで採用が進むMiniature Multi-Row Connector(MMC)用フェルールの増産を実施するとともに、MMC付きトランクケーブルにSWR®/WTC®を採用したデータセンタ向け製品を市場投入しました。今後、需要拡大が見込まれるMMC用フェルール及びMMC付きトランクケーブルのさらなる増産を進めます。併せて、データセンタ工期短縮に寄与する光コンポーネント製品の開発にも取り組みます。

通信用の光ファイバでは、生成AIの普及・拡大に伴うデータセンタ市場を中心とする需要増加に対応するため、光ファイバ・SWR®次世代工場の建設への投資を決定いたしました。革新的製造技術を持つ新規設備を導入することで、生産能力増強並びにコスト競争力の強化を図ってまいります。また、さらなる超細径・高密度な光ファイバケーブルの実現に向け、SWR®/WTC®に最適化された光ファイバを開発していきます。

データセンタ内の短距離伝送では、通信量の増大に伴う装置内消費電力の増加が課題となっており、その抑制策として電気配線を光配線に置き換えるCPO*に注目が集まっています。CPO向けには、当社の偏波面保持機能ファイバの採用が進み、2025年度にはCPO向け出荷が増加しています。今後も拡大する市場要求に応えるため、生産性向上及び低コスト化を実現する製造技術開発に注力していきます。さらに、通信用海底ケーブルの中継器に内蔵される光ファイバカプラについて、複数の部品を高密度に一体化する複合化モジュールの開発も進めてきました。光デバイス製品を通じ、今後もさらなる成長が期待される通信ネットワークの高度化・拡大に貢献していきます。
* CPO(Co-Packaged Optics):光学部品と半導体チップ等を同一パッケージ内で高密度に実装する技術

また当社は、光ファイバケーブルの敷設工事で使用される光ファイバ融着接続機に加え、データセンタ用光機器の製造工場向け融着接続機も販売しています。2025年度には、主に生成AIデータセンタ構築に用いられる新型多心光ファイバ融着接続機を開発し、2026年度から販売を開始する予定です。新型多心光ファイバ融着接続機には、光ファイバをセットした際にV溝に載らなかった光ファイバを自動で整列させる「光ファイバ自動整列機能」を搭載しました。これにより、光ファイバのセットやり直しを削減し、作業効率を向上させます。さらに、融着接続前に左右の光ファイバ端面間隔を均一化する「端面間隔補正機能」により、従来機と比べて接続品質を向上させています。また、GPS機能を搭載し、接続検査結果を接続位置情報とともに記録することで、施工管理の効率化及びトレーサビリティの向上を実現しています。同年に開発した、長距離伝送に適した低損失光ファイバのコアを調心する新型コア調心光ファイバ融着接続機にも、作業時間短縮機能を搭載しています。今後も引き続き、光ファイバ融着接続の作業時間短縮と品質向上に貢献する製品を開発し、光ファイバ敷設の品質向上及び効率化に寄与してまいります。

なお、当セグメントに係る研究開発費は115億円であります。


[エレクトロニクス事業部門]
民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、コネクタ、メンブレン*、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。
* メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板

(FPC事業)
FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでいます。

(コネクタ事業)
コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「高速伝送」「作業性」「防水」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。

(電子部品事業)
メンブレンについては、印刷回路の細線化技術や機能性ペースト技術を基盤に、従来のパソコン用途に加え、医療、ヘルスケアやロボティクスをはじめとする成長市場への展開を拡大しています。その中でも特に、ストレッチャブルメンブレン(伸縮性印刷回路)を応用したディスポーザブル電極や各種感圧センシング用途向け製品など、高付加価値製品の開発に注力しています。
電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送やモバイル機器で求められる高屈曲耐久を実現する極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。耐屈曲・捻回性を有する極細同軸ケーブル及び複合配線技術によるヒューマノイドロボット市場の開拓、極細同軸ケーブルの技術を応用したケーブル型圧電センサを通じて触覚センサ市場の開拓、ケーブルの細径化による内視鏡用途など医療市場の開拓に取り組んでいます。
センサについては、産業分野、医療分野で求められる、高精度な超微圧センサの研究開発に取り組んでいます。
サーマル製品については、生成AIや大規模データ解析に使われるCPU/GPUの高発熱化に対応するため、独自構造を持つ新型コールドプレート、3Dベーパーチャンバの高性能化に取り組んでいます。また、産業機器、電気自動車で使われるパワー半導体の高発熱化にはベーパーチャンバやヒートパイプ製品の大容量化に取り組んでいます。

なお、当セグメントに係る研究開発費は24億円であります。

[自動車事業部門]
自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。
また、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。さらに、車両の電動化ニーズに対応した高電圧電源分配ボックスなどの開発、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発、ワイヤハーネスのBCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は16億円であります。

事業等のリスク株式の総数等


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