有価証券報告書の歩き方 (2) ~ 投資信託会社が大株主になっている企業を調べる (WASHハウスを例に)
テレビ東京の番組・カンブリア宮殿で、ひふみ投信が取り上げられていました。番組をご覧になられた方であれば、ひふみ投信で儲かっているおばちゃん投資家たちの姿が映し出されて、いいなあと思った人も多いはず。さて、ひふみ投信では、どんな銘柄に投資しているのでしょうか?
どんブログの投稿: 有価証券報告書の歩き方 (2) ~ 投資信託会社が大株主になっている企業を調べる 【導入】
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ひふみ投信を運用しているレオス・キャピタルワークスは、藤野 英人さんが会社の代表をつとめています。藤野さんは、地方のあまり知られていない企業に実際に足を運び、経営者に会って投資を決めているといいます。番組内でひふみ投信の投資先としていくつか企業が紹介されていました。その1つが、WASHハウス。藤野さんがWASHハウスを訪れるシーンで、本社に会社の看板がない会社ということで驚いていたのが印象的でした。理由は、「WASHハウス」と看板を出していると、洗濯物を持ってお客さんが来てしまうからだそうです。
さて、話は横道にそれましたが、先日、上場後初めてWASHハウスの有価証券報告書が提出されました。売上も順調に伸びており、なかなか業績も好調のようです。
このテレビ番組の中で、レオス・キャピタルワークスはWASHハウスの株を9%以上保有し、第3位の大株主となっていると紹介されていました。しかし、実際にはWASHハウスの有価証券報告書の大株主の状況(上位10株主)を見ても、レオス・キャピタルワークスの名前が出てきません。ですので、どんぶり会計β版の大株主検索で検索をかけても、レオス・キャピタルワークスは出てきません。有価証券報告書で9%を超える3位として挙がっているのは、日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社です(*)。
ひふみ投信のファンドの仕組みを見ると、その理由がわかります。レオス・キャピタルワークスは、日本トラスティ・サービス信託銀行にファンドの管理を委託しているため、大株主名がWASHハウスの有価証券報告書では確認できないのです。
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では、レオス・キャピタルワークスが大株主になっている企業を調べるには、どうすればいいのでしょうか。
金融庁のEDINETでは大量保有報告書を見ることで、株式を大量に保有をしている法人や個人を知ることができます。関東財務局のホームページによれば、「大量保有報告書は、株券等を5%を超えて保有したときは、大量保有者となった日から5営業日以内に提出」が義務付けられています。また、「株券等保有割合が1%以上増減した場合に、変更報告書の提出」が必要になります。このルールにより、誰であれ一定割合以上の大株主になっている法人・個人を知ることができます。
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ここで、EDINETの書類検索で、提出会社に「レオス・キャピタルワークス」を入力、書類の「大量保有報告書」にチェックを入れて、期間を全期間にして、検索をかけてみましょう。
WASHハウスが出てきましたね。
見たいPDFを選択することで、大量保有報告書あるいは変更報告書を閲覧できます。このような手順で、レオス・キャピタルワークスが、WASHハウスの株式をいつ、どれだけ取得、処分したかを知ることができます(**)。
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また、ファンドにも有価証券報告書があります。EDINETの書類検索で、「ひふみ投信」の有価証券報告書を検索してみましょう。
ひふみ投信の有価証券報告書の附属明細表から、どの会社の株式に投資しているかを知ることができます。
ただし、有価証券報告書は、約3か月前の情報となるため、適宜情報を知りたいのであれば、大量保有報告書や変更報告書を並行して利用するとよいでしょう。
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