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2017年6月20日 公開

タカタ、民事再生法申請へ [著者ID: 10] 

本日(2017年6月16日)付、日本経済新聞の記事によると、「未請求のリコール費用を含めると実質的には(負債は)1兆円を超える」という。

気になったので、ビジュアル財務諸表を眺めてみた。

貸借対照表(日本基準・連結)
EDINET閲覧(提出)サイトをもとにシーフル株式会社が作成したものです

貸借対照表(日本基準・連結)
EDINET閲覧(提出)サイトをもとにシーフル株式会社が作成したものです

損益計算書(日本基準・連結)
EDINET閲覧(提出)サイトをもとにシーフル株式会社が作成したものです

2016年3月期までの財務諸表だけを見ると、売上も営業利益も上昇をしており、問題ないように見える。

そこで、2017年3月期の決算短信の数字を見ると、売上6,625億円(前年比▲7.7%)、営業利益389億円(前年比▲7.5%)、当期純利益は、▲796億円(前年▲131億円)である。

これらは、前年と比較すると明らかに良くない数字である。しかし、良くないとはいえ、1兆円もの負債は、財務諸表からは読み取れない。


本日(2017年6月16日)付、日本経済新聞の記事によると、「未請求のリコール費用を含めると実質的には(負債は)1兆円を超える」という。

実質的に」の意味は、どういうことだろうか。


これを解釈すると、問題のエアバッグのリコール費用を自動車会社が一時的に負担しているが、タカタに対して未請求であり、この費用が総額1兆3千億円ある。まだタカタの債務の額が確定していないため、その多くが財務諸表に反映できていない、ということのようだ。


ビジュアル財務諸表で見ると2016年3月期時点で、すでに、現預金比率が悪化しているのが読み取れる(*)が、2016年度(2017年3月期)の決算資料を見ると、自己資本比率の悪化だけでなく、流動比率の悪化で100%を切る(流動負債が流動資産を上回る)状態になり、いよいよ経営が厳しくなっていることがわかる。


そして、自動車会社からの多額の債務だけでなく、今後の損害賠償請求の発生、エアバッグの世界シェアが20%を占める現状を考えれば、タカタの民事再生法申請はやむを得ないのだろう。


(*) 最初に挙げたビジュアル財務諸表から現預金等と買掛債務の大小を比較することで読み取れる。ただし、どんぶり会計β版のビジュアル財務諸表の現預金等は換金性の高い有価証券も含む手元流動性であるため、厳密な現預金比率(現預金÷流動負債)とは異なる



【参考記事リンク】

タカタ 決算説明資料 (2017年3月期) (タカタのホームページより取得)

タカタ 決算短信 (2017年3月期) (タカタのホームページより取得)

タカタが民事再生法申請へ 負債1兆円超、製造業最大 6月にも (日本経済新聞 2017年6月16日)

リコール問題の代償大きく タカタ、日本車の信頼傷つく (日本経済新聞 2017年6月16日)

タカタ、早ければ来週にも民事再生法申請へ=関係筋 (ロイター 2017年6月16日)

タカタ担当者を書類送検へ エアバッグ破裂、日産担当者も (日本経済新聞 2017年6月15日)

タカタ「殺人」エアバッグ、あなたの車も搭載の可能性大…数百万台がそこら中を走行 (Business Journal 2016年6月30日)

タカタ製エアバッグのリコール届出(国産車:届出番号順)について (国土交通省)