有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CMOW
株式会社エイアンドティー 業績等の概要 (2017年12月期)
(1) 業績
当事業年度における我が国の経済は、緩和的な金融環境や経済対策の影響を背景に、企業収益の拡大、雇用情勢の上向き等、緩やかな回復基調となっております。海外におきましては、地政学的な不確実性が増し、政治や経済の動向による事業環境の変化を懸念する一方で、米国をはじめとする主要先進国、新興国における世界経済は堅調に推移しており、企業活動は拡大傾向にあります。国内の医療業界におきましては、厚生労働省による2018年度診療報酬・介護報酬の同時改定における改定率が正式に決定し、診療報酬本体では0.55%プラスとなりました。医療機関・介護サービスともに、プラス改定となったものの、薬価等の引き下げのほか、医療提供体制の適正化が求められており、依然として医療機関の経営にとって厳しい状況にあります。
このような事業環境のもと、当社は主力商品である臨床検査情報システム「CLINILAN GL-3」(以下、GL-3)拡販のため、更新需要の確実な対応及び新規施設への提案活動を継続してまいりました。検体検査自動化システムにつきましては、「CLINILOG V4」(以下、V4)の国内・海外案件の獲得に取り組んでまいりました。また、米国提携先へ分析前工程モジュール(以下、MPAM)をベースとした分注機のOEM供給を継続しております。さらに、中国市場に向けた事業展開を強化するため、中国業界大手の「上海潤達医療科技股份有限公司(Shanghai Runda Medical Technology Co.,Ltd.)」(以下、Runda Medical)と、販売店契約を締結し、V4のOEMパッケージ販売推進に向けた準備を進めております。電解質OEMビジネスにつきましては、既存OEM先との関係強化及びOEM製品の品質向上に注力することに加え、新規OEM先の開拓を進め、一部OEM先の販売減を補う体制構築に努めております。また、凝固製品を新たな市場(周産期分野)へ展開するため、アトムメディカル株式会社と提携し、販売を開始いたしました。原価低減の取り組みにつきましては、江刺・湘南の両工場を中心に製造原価分析を強化し、製造現場の工程・歩留まり改善等に継続して努めております。また、「人事制度プロジェクト」を通じて、就業規則改定をはじめとする賃金体制及び評価運用の改定、教育・研修制度の充実、地域限定正社員制度の確立に取り組み、全社の生産性向上に向けた働き方改革を進めております。
研究開発につきましては、GL-3(検体検査)のサブシステム(輸血・細菌検査等)が完成いたしました。また、検体検査自動化システムは海外規制対応製品の開発に加え、国内・海外で顧客ニーズの高いV4の追加オプションとなる大型モジュールの開発を行っております。コア技術である電解質センサーは、海外規制(RoHS指令)に対応した製品開発が完了いたしました。設備投資につきましては、江刺工場の新棟が2017年8月に竣工し、検体検査装置及び検体検査自動化システム等の生産を開始しております。2018年4月以降、湘南工場から一部移管となる、臨床検査試薬及び消耗品の生産開始の準備を進めております。人員計画につきましては、2017年4月に新規卒業者17名を採用し、営業、システムエンジニア、生産部門へ効率的な人員配置を行っております。
この結果、当事業年度の業績につきましては、売上高は10,371,974千円(前事業年度比1.3%増)となりました。利益面につきましては、臨床検査情報システム、消耗品は増収となりましたが、臨床検査機器システムの減収と、他社製品の販売が増加したことにより、売上総利益は4,499,759千円(同2.9%減)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、全社的に経費、投資の抑制に努めました。一方、研究開発としてGL-3のサブシステム(輸血・細菌検査等)の投資を、2017年度中に集中的に実施したことにより、業務委託費等が増加となりました。また、検体検査自動化システムにおける、V4の追加オプションとなる大型モジュールの開発投資も行っております。その結果、営業利益は773,411千円(同23.8%減)、経常利益は757,661千円(同24.6%減)となりました。また、当期純利益は、江刺工場の新棟に係る特別減税に伴い、税金費用が減少したことにより、678,292千円(同4.1%増)となりました。
当事業年度の販売実績を製品系列別に表示すると、次のとおりであります。
区分 | 第40期 (2016年12月期) | 第41期 (2017年12月期) (当事業年度) | 前事業年度比 | |||
金額 (千円) | 構成比 (%) | 金額 (千円) | 構成比 (%) | 金額 (千円) | 増減率 (%) | |
臨床検査機器システム | 5,152,755 | 50.3 | 4,812,066 | 46.4 | △340,689 | △6.6 |
検体検査装置 | 744,706 | 7.2 | 581,439 | 5.6 | △163,267 | △21.9 |
臨床検査情報システム | 2,670,370 | 26.1 | 2,749,018 | 26.5 | 78,647 | 2.9 |
検体検査自動化システム | 1,737,678 | 17.0 | 1,481,608 | 14.3 | △256,069 | △14.7 |
臨床検査試薬 | 2,298,187 | 22.5 | 2,270,739 | 21.9 | △27,447 | △1.2 |
消耗品 | 1,862,608 | 18.2 | 2,074,037 | 20.0 | 211,428 | 11.4 |
その他 | 920,668 | 9.0 | 1,215,131 | 11.7 | 294,463 | 32.0 |
合計 | 10,234,219 | 100.0 | 10,371,974 | 100.0 | 137,755 | 1.3 |
臨床検査機器システムにつきましては、検体検査装置は主に一部OEM先の販売環境変化に伴い、減収となりました。臨床検査情報システムは、更新需要への確実な対応と新規案件が前年度に比べ増加したことにより、増収となりました。一方、検体検査自動化システムは、前年同期において国内のV4大型案件の獲得が好調だった反動により、減収となりました。その結果、売上高は4,812,066千円(同6.6%減)となりました。
臨床検査試薬につきましては、一部のOEM販売及び国内の直接販売が減少した結果、売上高は2,270,739千円(同1.2%減)となりました。
消耗品につきましては、主にOEM販売した検体検査装置及び検体検査自動化システムの顧客数が増加したことに加え、センサーの新製品切替を見込んだ需要増により、増収となりました。その結果、売上高は2,074,037千円(同11.4%増)となりました。
その他につきましては、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの大型案件に付随する他社製品の販売が増加し、売上高は1,215,131千円(同32.0%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ6,399千円減少し、当事業年度末には1,157,412千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、277,627千円(前事業年度は927,740千円の取得)となりました。これは主に売上債権が734,170千円、未収消費税等が166,575千円増加した一方、税引前当期純利益を740,304千円計上、仕入債務が436,767千円増加したこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,348,644千円(前事業年度は755,693千円の使用)となりました。これは主に江刺工場の増設等に伴い、資金が減少したことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,064,862千円(前事業年度は85,136千円の使用)となりました。これは主に借入金が1,190,000千円純額で増加したことによるものであります。- 有価証券報告書 抜粋メニュー
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