エア・ウォーター株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)

研究開発投資効率の最大化を目指し、顧客に密着した開発を実施するカンパニー市場開発部と、中長期の戦略的開発を担う総合開発研究所を中核に、全国に展開するグループ事業会社とも連携し、顧客ニーズへ対応していくとともに、次世代技術の先取・確立に向けた積極的な開発活動を推進しております。

セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。

(産業ガス関連事業)
・ ガス分離技術では、国内シェアの拡大と海外展開に向けて、空気分離装置のトータルコストパフォーマンスを追求し、低コスト化を推進いたしました。今後もさらなる技術革新に取組み、空気分離装置の最適化を目指します。

・ 炭酸ガス製造技術では、断熱性を追及した独自のコンパクトな液化炭酸ガス製造プロセスを開発し、省エネ化を達成いたしました。高効率な炭酸ガス回収により、未利用資源の有効活用に貢献いたします。

・ 2012年度に上市した、長寿命、小型・軽量、低騒音、無漏洩、省メンテナンス性を備えた独自の竪型遠心式低温液化ガスポンプの競争力をさらに強化するために、大容量、高揚程、小型化等のシリーズ化を推進いたしております。また、LNG用防爆ポンプも開発し、低温液化ガスポンプ領域でのデファクトスタンダード化を目指します。

・ 低温技術では、パルスチューブ冷凍機において、50K付近の高温超伝導温度領域にて、世界最高の冷凍効率(14%カルノー)を達成いたしました。今後の超伝導技術の根幹を支える技術であり、様々な分野での活用が期待されます。

(ケミカル関連事業)
・ ファインケミカルでは、医薬品、電子材料を中心に、顧客ニーズに応じた新製品の開発を推進いたしております。

・ 中国自社工場への技術支援により、高品質でかつ国際競争力のあるファインケミカル商品の事業展開を推進いたしております。

・ 封止材用素材、半導体パッケージ用基板材料においては、進化する半導体に対応可能な高機能材料の開発に積極的に取組んでおります。

(医療関連事業)
・ ガスによる画期的な療法の実現に向けて、医療機関のご協力も頂きながら、新しい医薬品及びその投与装置の研究開発を推進いたしております。動物実験などで効果が確認されている症例もあり、承認取得に向けた取組みを進めております。

(エネルギー関連事業)
・ 地中熱利用技術では、年間を通して空調に使用した際の評価が完了し、有効性が確認できました。今後、市場展開を強化し、省エネルギー社会の構築に貢献いたします。

・ 緊急時の電源ニーズに応える移動電源車においては、さらなる高度な安定電源ニーズへの対応を進めております。

(その他の事業)
・ SiC基板関連技術では、安曇野工場において世界初の8インチSiC基板の量産を始めとして、2～8インチの各サイズのSiC基板を製造いたしており、これらの根幹を支える基盤技術の開発を進めております。また、SiC基板上にGaN薄膜を製膜する技術やさらにその上にHEMT構造を製膜する技術の開発も推進し、最先端の顧客ニーズに対応した高機能製品開発を進めております。

・ NV金属表面処理技術では、これまでの金属表面窒化処理用熱処理炉を全面改良し、処理スピードアップ・省電力・ガス消費量削減を達成いたしました。今後の熱処理コスト削減に貢献いたします。

なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は28億6千4百万円であり、産業ガス関連事業が12億4千9百万円、ケミカル関連事業が2億6千5百万円、医療関連事業が3億7千6百万円、エネルギー関連事業が2千1百万円、農業・食品関連事業が9千7百万円、その他の事業が8億5千4百万円であります。