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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JAGC (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日新電機株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループは、電力システム改革の進展や環境意識の向上、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。
電力機器分野では、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。
ビーム・真空応用分野では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発に注力しております。
新エネルギー・環境分野では、太陽光発電の導入などに資するパワーエレクトロニクス応用製品の開発、工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連の技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。
全社としては、各分野の将来の事業展開を見据え、電力品質の維持・向上や電力設備の保全高度化に寄与する技術、直流給配電システムや定置用蓄電池システムに関わる研究開発、FPDに関わる半導体薄膜の製造技術、並びに各分野に関わる材料の評価技術の研究開発等を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は売上高の6.0%にあたる7,096百万円で、そのセグメントごとの金額は、電力機器事業900百万円、ビーム・真空応用事業2,768百万円、新エネルギー・環境事業416百万円、ライフサイクルエンジニアリング事業27百万円、全社2,983百万円です。

主な成果は次のとおりです。

(1) 電力機器事業

①一般塵埃検知センサの開発、販売
複合環境センサシリーズのラインアップ機種として、電気設備への塵埃の堆積や付着を「見える化」することで、端子間の絶縁不良による短絡や、機械的動作不良による機能不全を未然に防ぐための、メンテナンスのスマート化・高度化を実現する一般塵埃検知センサを開発し、2020年3月より販売を開始しました。
本製品は、導電性、非導電性の塵埃の種類を問わず、塵埃堆積状況と絶縁抵抗の両方をセンシングすることにより、電気設備の清掃タイミングを適切に判断することができます。今後も、複合環境センサの更なるラインアップ充実と設備異常予知診断技術の開発により、設備メンテナンスの高度化に貢献していきます。

②倒立形変流器(CT)の開発、販売
解析・検証を実施し、更なる絶縁の合理化を図った輸出向け110~230kV倒立形CTを開発し、2020年5月から販売を開始しました。
本CTの開発により、機器のコンパクト化と軽量化を実現したことで輸出向けとしての競争力を高め、今後成長が期待されるASEAN市場を中心に活用いただけるものと期待しております。

(2) ビーム・真空応用事業

自動車エンジン部品用DLC膜「HC-DLC」の開発、販売
PVD(Physical Vapor Deposition)法とCVD(Chemical Vapor Deposition)法を複合した新規なプロセスにより、自動車エンジン部品用途に適した高性能な新しいDLC(Diamond Like Carbon)膜「HC-DLC」を開発し、大型ディーゼルエンジンのピストンピン向けに日新電機タイ株式会社で2019年夏から受託コーティングを開始しました。
耐焼き付き性をCVD法での従来DLC膜対比1.6倍、耐摩耗性は2.4倍以上を実現することによって、従来のDLC膜では不可能であった領域まで過給圧を上げることが可能になり、更なるエンジンの高効率化が期待されています。本技術はエンジン部品だけでなく、焼き付きや摩耗に対し、一層の高耐久性を求められるギアや駆動系部品、燃料系部品にも適しており、自動車以外にも機械部品や金型など幅広く展開していきます。


(3) 新エネルギー・環境事業

①自己託送機能対応EMSの開発と実証
当社のEMS「ENERGYMATE-Factory」に、自己託送に対応する新開発の機能を追加し、2019年11月より当社日新アカデミー研修センターと本社工場の間にて実証を開始しました。
追加した機能は、自己託送する電力量を予測計画し、計画通り自己託送を行う、同時同量監視制御機能です。
開始した実証は、研修センターに設置した太陽光発電設備で発電して余った電気を、自己託送により本社工場に送るもので、本実証を通じて当社は、自家用発電設備保有に資する技術を向上させていきます。
※自己託送:一般電気事業者の保有する送配電ネットワークを利用し、発電設備を保有する電力需要家が発電した電気を他の場所にある工場等に送る、一般電気事業者のサービス。

②VPP(Virtual Power Plant:仮想変電所)対応EMSの開発と実証
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、IoTやAI(人工知能)などのキーテクノロジーを活用したVPPの構築実証が推進されています。
この動きに応じ、EMSとして販売している「ENERGYMATE-Factory」に、ソフトウェアの追加開発を行い、2018年10月から当社前橋製作所においてVPP実証を開始しました。本実証は、関西VPPプロジェクトに参画して、リソースアグリゲータからの指示に従って受電電力制御を行うものです。
本システムは、発電機や蓄電池など複数の分散型電源をまるごとVPPの需要家側エネルギーリソースとして取り扱えるように最適制御できることが特長で、「まるごとVPP」として商標登録申請を行い、2019年12月に登録査定されました。
2019年度はVPPの実運用に向け、各種予測パターン、制御パターンを変化させて動作確認を行う実証を行い、データ蓄積を行いました。

③画像解析処理による自動水流監視システムの開発
貯水施設の運用に関連するトンネルや河川の水流変化を自動で監視する手段として、ITV監視カメラの映像を取込み、複数の画像解析アルゴリズムを最適な組み合わせで処理する仕組みにより、様々な水流の変化(流入や越流、放流等)を精度よく検知し、自動的に通知することを可能にする自動水流監視システムを開発しました。本システムを基盤に様々な水分野市場への展開を狙っていきます。

④新国際無線通信規格Wi-SUN FAN認証無線機の開発、販売
世界で初めてWi-SUN アライアンスが行ったWi-SUN FAN (Field Area Network)認証試験に合格し、認証を取得したソフトウェアを搭載したWi-SUN FAN搭載製品の発売を2020年2月に開始しました。
搭載したソフトウェアは、京都大学大学院情報学研究科の原田 博司教授の研究グループ及びローム株式会社と共同開発したIoT向け新国際無線通信規格Wi-SUN FAN搭載無線機器が、世界で初めてWi-SUNアライアンスの認証試験に合格したことにより、認証を取得しております。
本製品は、Wi-SUN FANの基礎開発成果を元に製品化したもので、大規模災害時の安心・安全の独立電源装置「たすかんねん」による「拠点間長距離無線伝送実験」を大阪大学吹田キャンパス内で実施し、災害時にも地域が“助かる”ものとしてご活用いただけることを目標に、更なる実験・検証を行っております。
今後も、本開発を行った3者はWi-SUNアライアンスが主催する相互接続性仕様検証イベントに参加し、Wi-SUN FAN規格の技術適合性・相互接続性認証試験に貢献すると共に、本無線機を社会実装するため、更なる開発を京都における産学連携プロジェクトとして推進していきます。


⑤屋外型IoTゲートウェイの開発、販売
組込みソフトウェア開発で培った機器制御技術とネットワーク技術の多数の技術実績と経験に基づき、屋外設置に最適なLTE搭載IoTゲートウェイの発売を2019年12月に開始しました。
本製品は、沖縄県宮古島での再エネサービスプロバイダ(RESP)事業に関わる制御システム及びエッジコンピューティングの進化や新たな電力制御技術の成熟を通じてRESP事業の普及拡大に貢献するものです。
今後、沖縄本島、久米島等への展開を推進していくと共に、マイクログリッド市場を見据えた事業展開の一環として宮古島市来間島での実証事業を行い、拡販をすすめていきます。
また、エネルギー事業をはじめ、河川氾濫の防災監視、工場や農業向け機器制御など、様々な環境でご活用いただける製品とするため、今後も各種実証に参加し、更なる開発を進めていきます。
※再エネサービスプロバイダ(RESP)事業:事業者が、所有する太陽光発電や蓄電池、ヒートポンプ給湯機等を顧客敷地内に設置し、電気や熱等と共に、設備の運転管理・保守メンテナンスなどの設備運用を一括で提供し、顧客から料金を得る。

⑥高齢者向け地域支援サービス ICT端末システムの開発及び実証
高齢者が病院の診察券などで使い慣れたカード型のインターフェースと、光と声でメッセージを伝える機能を持ち、誰もが簡単に使えることをコンセプトに、固定電話ほどの大きさのICT端末を開発し、システム実証を行いました。
「地域福祉分野におけるICT利活用調査研究」をテーマとして黒部市社会福祉協議会(富山県)と2019年10月から3ヶ月間の実証実験を行い、黒部市在住の75歳以上の高齢者40世帯に、本ICT端末を設置し、高齢者の見守りと困りごと解決の効果を計測しました。
実証実験終了後のアンケートにおいて、高齢者を支援する皆さんの94%から、日々の支援活動の手間や負荷軽減に役立つとの回答をいただきました。
これから迎える超高齢化社会においては、スマートフォンが使えない高齢者をICT技術で支援する仕組みの構築が望まれており、2020年度は3地域に実証地域の拡大を計画しております。

(4) 全社

①各種電池活用技術の開発
定置用蓄電池システムでは用途に応じた最適な蓄電池の選定が重要なため、各種電池活用技術として蓄電池の特性や寿命を把握する技術を開発しました。
定置用蓄電池に適用されるリチウムイオン電池は、長期運用により性能低下し劣化するため、劣化状態を適時かつ容易に診断する技術が求められており、電池をシステムから切り離して診断するという一般的な方法ではなく、電池を現場でリアルタイムに診断可能な劣化診断技術の開発にも取り組んでおります。今後、劣化診断精度の更なる向上を図り、当社の定置用蓄電池システム及びSPSS(Smart Power Supply Systems)への適用を目指していきます。
また、拡大が見込まれる再生可能エネルギーの有効利用や災害時の電力供給を実現する、お客様の用途に応じたソリューションを提案するため、定置用蓄電池システムビジネスに資する各種電池活用技術の開発に取り組んでいきます。

②AIを活用した放流水質予測技術の開発
AIを活用して下水処理場の放流水質の変化を予測する技術を開発しました。下水処理場内の監視制御装置に保存されている過去の計測データを基に、AIで2時間後のCOD(化学的酸素要求量)、TN(全窒素含有量)、及びTP(全りん含有量)を予測します。
下水処理場の放流水質は自動測定装置により監視を行っていますが、流入する汚水や処理工程の状況等により水質が悪化する場合があり、現在は熟練の維持管理者が有している経験・ノウハウで水質が管理基準を超えないように予測して制御しています。本技術により、水質が悪化する前に予兆を察知することで、経験の浅い維持管理者でも水質の悪化を未然に防ぐことが可能となります。
本技術は、過去の時系列データを用いて学習・予測することに優れた深層学習の一手法であるLSTM(長・短期記憶)を採用して開発しました。今後は開発した技術を下水処理場向けエネルギー管理システム「ENERGYMATE-Water」の拡張機能として製品化を行い、下水処理場における維持管理の効率化に貢献していきます。


③コンデンサ用生分解性電気絶縁油の開発
当社は、これまで難しかった生分解性が高く、生態系への影響が小さい、新たなコンデンサ用電気絶縁油「LI-B1油」を化成品メーカーと共同開発しました。
従来電力機器で用いられている電気絶縁油は、長期信頼性の観点から、長期安定性に優れ、分解されにくく、高い絶縁性能を有する石油由来の芳香族炭化水素を主成分とする絶縁油を使用してきましたが、今回開発した「LI-B1油」は従来の絶縁性能を有しつつ、生分解性に優れ、生態系への影響が小さいエコマーク認定を取得した電気絶縁油です。(認定番号:16 110 001)
既に、当社では植物由来の生分解性電気絶縁油であるパームヤシ脂肪酸エステルを適用した変圧器を開発・製品化しておりますが、今回開発したLI-B1油を適用したコンデンサ、計器用変成器を加えることで、当社が製造販売する全ての油入機器は、環境配慮型製品としてラインナップが可能となりました。

④研修センターにおける直流配電システムの実証開始
本社に隣接する研修施設である日新アカデミー研修センターにおいて、2019年7月より直流配電システムの実証を順次開始しました。
直流配電システムでは、太陽光発電や蓄電池技術の進歩と普及、LED照明などの直流で動作する機器の増加を背景に、これらの機器を直接直流ネットワークでつなぐことで、電力変換による損失低減・省エネの実現を目指しています。
また、蓄電池の活用により交流系統側の瞬低・停電時には自立運転による運転継続が可能になるといった直流配電のメリットを生かした電力安定供給(BCP:事業継続計画)への貢献が可能となります。
日新アカデミー研修センターでは、PV、リチウムイオン電池、直流入力型EV急速充電器と自社開発の半導体直流遮断器(DCCB)、直流変圧器(DC-DCコンバータ)を組み合わせ、実証運転を通して様々な直流のメリットを明らかにし、「次世代の直流配電システム」の構築・提案を進めてまいります。

⑤直流配電システムの安全性を向上する直流遮断器を開発
当社では、再エネや蓄電池、電気自動車(EV)やネットワーク機器のように直流で動作する機器の増加を想定し、既存の交流配電システムに対し、変換ロスを低減できる直流配電システムの実証を進めています。
直流の配電においては回路を開放したり、事故の電流を遮断するときに直流の特性としてアーク放電が発生するため、この問題に対し安全性を確保するための開閉器が必要となります。
当社は、半導体スイッチによる高速遮断を可能とした直流遮断器を開発し、実証試験を進めています。

⑥ウィンドファームつがる向け電力品質対策に系統解析技術で貢献
「ウィンドファームつがる」は、株式会社グリーンパワーインベストメント(本社:東京都港区、代表取締役社長:坂木 満)のグループ会社であるグリーンパワーつがる合同会社が、青森県つがる市に建設した、2020年4月現在日本最大となる陸上風力発電所(総出力:121,600kW)です。
約2年半の工事期間を経て、2020年4月1日より商業運転を開始いたしました。
当社は、住友電気工業株式会社と共に,鹿島建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:押味 至一)より受注した、受変電設備など電気設備の設計・製造・据付を担当いたしました。
当案件は、長距離の交流ケーブル送電であり,電圧上昇を抑制する分路リアクトルや高調波共振拡大を防止する高調波フィルタなど、電力品質対策が重要です。
直流送電プロジェクトなどで蓄積した系統解析技術を活用して,最適な設備仕様の決定に貢献致しました。
拡大する風力発電系統の電力品質対策として、系統解析技術を武器に最適なソリューション提案を行い、再生可能エネルギーの主力電源化に貢献します。

事業等のリスク株式の総数等


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