有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100J28B (EDINETへの外部リンク)
共英製鋼株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがあります。これらのリスク発生の可能性を的確に認識し、リスクの軽減と発生の回避、リスクが顕在化した際の迅速な対応にグループの総力を挙げて取り組んでまいります。
なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において判断したものであります。
(1) 日本製鉄株式会社との関係について
本書提出日現在、日本製鉄株式会社は当社発行済株式の25.8%(当社議決権比率では26.7%)を保有する当社の筆頭株主であり、当社は同社の持分法適用関連会社であります。しかしながら、当社は自ら経営責任を負い、独立した事業経営を行っており、今後もかかる経営を継続していく方針であります。ただし、同社は当社に対して相応の株式を保有していることから、当社の筆頭株主として議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。
(2) 建設需要の減少について
人口減少が進む成熟した日本経済の下、長期的に見て、国内の公共事業、民間建設需要が大きく伸長することは考えにくく、当社グループの主力製品である異形棒鋼の需要もそれに伴い減少することが考えられます。減少する需要を当社グループで捕捉できない場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、人口増加や経済発展により建設需要の見込める海外への進出に積極的に取り組んでいます。既にベトナム、米国、カナダへ進出していますが、進出先を世界各地に分散させることで、特定の国あるいは地域の需要減退の影響を、他の国あるいは地域の事業によって補完するエリア戦略を展開しています。
(3) 競合激化による販売価格下落並びに出荷量減少について
当社グループの中核事業である国内鉄鋼事業は、競合する電炉メーカーが多数存在し、構造的な供給能力過剰問題を抱えております。よって、今後の鋼材需要動向次第では販売量確保のための競争が高じ、販売価格の下落および出荷量の減少により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、競合メーカーに対抗し得る営業力強化と製造コスト削減、製品品質の向上や付加価値製品の開発に取り組んでいます。
(4) 原材料および副資材の価格上昇並びに調達制約について
当社グループが使用する原材料(鉄スクラップ)は、グローバルな需給環境により価格が変動しますが、価格上昇は製品販売価格への転嫁が難しく、また、副資材(電極、合金鉄等)も、価格上昇や供給不足により必要量の調達ができなくなることで、製造コストの上昇や操業停止を招く可能性があり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、有利かつ安定的な原材料、副資材の調達のため、情報収集に努めながら調達価格・時期等について的確な判断を行うとともに、信頼できる調達先の確保に努めています。
(5) 電力および燃料等のエネルギー価格上昇について
原子力発電所の停止による電力単価の引き上げ、さらには再生可能エネルギーにかかる賦課金など電力費の負担は高水準で推移しています。また世界的にエネルギー(石油、液化天然ガス等)価格が高騰した場合、もしくは為替動向によりエネルギー輸入価格が高騰した場合、当社が製造工程で使用する電力コストや燃料コストの他、輸送コストが増加する可能性があります。これらの結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、電力原単位の低減を中心とした生産性の向上に努め、エネルギーコスト等の削減に取り組んでいます。
(6) 物流を巡る外部環境の変化について
当社グループの製品の出荷および原材料や副資材の入荷にかかる物流を巡る環境が、運送業界の人手不足や規制強化等により大きく変化した場合、輸送コストの上昇や輸送力の確保に支障が生じることで、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、輸送にかかる中継地の設置、往復便の利用、積込や待機時間の短縮、運送業者の子会社化など輸送効率の向上や輸送力の確保に努めています。
(7) 品質に関する問題の発生について
当社グループの製品に関する品質については、産業標準化法に基づくJISや建築基準法、評定等の公的規準並びに取引先との契約等によって規定されています。また、近年各業界において、品質違反、品質偽装等の問題が発生して社会的な耳目を集める状況下、当社グループの製品は、不特定多数の生命・財産に影響を及ぼす建設物や工作物に関連するものが多く、その品質には社会的にも強い関心が寄せられているものと認識しています。そのため、品質に関する問題が発生した場合、公的認証や取引の喪失、レピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、品質管理室においてグループ横断的な品質統括管理を行い、計画的に品質監査を実施するとともに、中央品質管理委員会において、品質監査で把握された品質管理に関する重要課題に改善指示を行うなど、品質管理体制を強化しています。また、各生産拠点においては、検査・試験工程において、手介入によるデータ改竄・誤入力のリスクを低減する目的で自動測定機器や自動伝送システムの導入など、ハード面においても品質管理上の問題発生を抑制するための対応を進めています。
(8) 環境に関する問題の発生について
当社グループが展開する鉄鋼事業及び環境リサイクル事業は、操業に伴い煤煙や煤塵、残渣が不可避的に発生するという性質上、各種環境法令の規制を受ける他、当社グループの実施する環境保全施策については、生産拠点の所在する近隣住民をはじめ、高い社会的関心が寄せられているものと認識しております。そのため、特に規制等が変更された場合には、設備の導入や人員の確保等、相応の追加投資が必要となる可能性があり、規制等変更に対する対応の巧拙によっては、行政処分等に基づく事業停止やレピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、法令に基づく環境データ測定を定期的に実施するとともに、環境監査においてその実施状況を確認しています。また複数の拠点において環境マネジメントシステムISO14001 を取得し、環境保全のための体制整備を行っております。さらに排ガス集塵機といった環境設備の維持更新、工場で使用する冷却水のクローズドシステムの構築など、環境保全に資するハード面の整備にも取り組んでいます。今後は、鉄鋼生産及び廃棄物リサイクル時に発生する副産物の排出を抑制するための研究開発や技術保有企業との連携に取り組み、ゼロエミッションの実現を目指します。
(9) 需要家ニーズの変化への対応遅延について
需要家は工期短縮や現場作業の省人化を目的とした新工法の開発を進めており、その中でニーズも変化します。当社グループはこれに応えるべく努めておりますが、競合他社が需要家のニーズを満たした新製品を先行して市場投入することで、当社グループの製品出荷量が減少し、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、開発室を中心に需要家のニーズを把握しながら、高強度異形棒鋼やその加工製品、新たな加工製品の開発に取り組んでおります。また、今後は、複数の需要家の技術部門との関係強化を図るなどして、新製品の共同開発も検討していきます。
(10) 海外事業固有のリスクについて
当社は、ベトナム、米国及びカナダに子会社を所有しています。当該子会社の業績は、各国内の経済状況、鋼材市況の影響を受け、それらが悪化した場合、同子会社の業績も悪化する可能性があります。また各国の法令・規制や税制により子会社の事業が制約を受け、想定外の負担等が発生する可能性があります。さらに各国の突発的な政情不安、自然災害、あるいは労働災害等により操業停止等の事態に陥る可能性がありますが、日本とは経済事情、商習慣、文化、労使関係も異なるため、そのような場合には、復旧に予想外に時間がかかることも想定されます。これらの結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、現地経営陣から定期的に現地の経済状況・鋼材市況や業績の報告を求めるとともに、進出先の国あるいは地域の法令・税制やその変更点等について、外部専門家の指導を受けながら対応に努めています。
当該子会社が外国資本との合弁会社である場合、意思決定や事業運営に一定の制約が生じます。この結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、子会社の合弁相手先との意思決定の方法や事業運営の役割分担について、当社グループに不利益のないよう合弁契約等において明確に定め運用するとともに、定期的に合弁相手先との子会社の経営に関する情報交換を行っています。
(11) 環境リサイクル事業固有のリスクについて
環境リサイクル事業の事業活動においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)により定められた許可を要しますが、法規制や社会的要請に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失等により事業が継続できないことで、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、廃掃法を遵守するよう役員・従業員に対する啓蒙・教育の場を設けるとともに、廃棄物処理の実務における廃掃法遵守状況の管理強化に努めています。
顧客である排出事業者からより高度なリサイクル方法が求められる中、新しいリサイクル技術の開発とその設備導入が必要であり、それらにかかる費用の増加、また技術開発・設備導入遅延による顧客の減少などにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、排出事業者の企業活動領域のグローバル化に伴い、特に国内及び欧州の環境規制の情報収集を行い、早期に対応を行うことで顧客確保を図っています。
(12) SDGs達成に向けた取り組みの不足・遅延について
近年、企業経営において株主至上主義からESG(環境・社会・企業統治)にも目を向け、企業を取り巻くあらゆるステークホルダーとの関係性を見直すべきとの考えが普及し、ESG・SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みが強く求められています。当社グループの取り組みが不足・遅延することにより、人材採用環境の悪化や顧客の減少、レピュテーションの低下などにつながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、今後は、ESG推進室を中心にステークホルダーの当社グループに対する期待や要請について情報収集し、社会に対する重要度、当社グループにとっての重要度を分析することで、マテリアリティ(重要課題)を特定するとともに、SDGs達成に向けた具体的な取り組みを推進していきます。
(13) 企業買収や資本提携等に係るリスクについて
当社グループは、今後の事業拡大に向けて企業買収や資本提携等が重要かつ有効であると認識しておりますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明し損失が発生する可能性も否定できません。また、買収にかかるのれんが発生する場合、その償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんにかかる減損損失等の損失が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、企業買収や資本提携等を検討する場合、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うとともに、コストアプローチ法、インカムアプローチ法などにより、買収価格の妥当性を多角的に検証・精査することで、極力リスクを回避するように努めています。なお、企業買収にかかるのれんの当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は3億円です。
(14) 固定資産の減損リスクについて
当社グループは、生産設備や土地等の有形固定資産を有しておりますが、設備投資による効果が得られないことなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損にかかる会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業の成長に必要な設備投資を行う中で、大規模な設備投資については投資効果・採算性の検証を綿密に行い、極力リスクを回避するように努めています。また、設備の稼働後も、予実管理を継続的に実施しています。
(15) 多様な人材の確保について
当社グループは、事業の運営・成長に必要な人材の確保に努めておりますが、事業運営には、各種の資格や技能・専門知識を有する人材の確保が必要であり、これらの人材育成には相応の期間を要することから、今後、少子化等による労働市場の需給逼迫や人材流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、中長期的には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、従来型の採用を強化しながら、性別・国籍を問わず、専門人材、海外人材、障がい者など多様な人材の確保に向けた採用活動と、より活躍できる環境を整備すべく人事・福利厚生諸制度の改定に取り組むなど、魅力ある企業づくりに努めています。
(16) 情報システム並びにネットワークの障害について
当社グループが展開する事業に関しては、情報技術を広範囲に活用しており、情報システムやネットワーク障害、外部からのサイバー攻撃が発生した場合、業務や操業の停止などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、業務を継続的に運営できる体制の整備のために、システムやネットワーク環境の高度化、情報セキュリティの向上に取り組んでおります。データセンター、セキュリティ監視会社の利用など外部専門機関を活用するとともに、ネットワーク回線の複数化、セキュリティにかかるハード面の増強、社内教育の充実などインフラや社内体制の整備を進めています。また、今後は、スマートファクトリー推進室と各生産拠点の保全部門との緊密な連携の下、FAシステムの改修・構築に取り組んでいきます。
(17) コンプライアンスに反する事象の発生について
当社グループが展開する事業に関しては、製品の品質・取引関係・環境・労務・安全衛生・会計基準・税務等の多岐にわたる法規制や、種々の社会的要請が存在することから、コンプライアンス関連のリスクを完全には回避できない可能性があります。そのため、法規制や社会的要請に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失や、当社グループの社会的信用の低下、訴訟対応等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、行動指針に高い倫理観を持ち、公正・誠実を旨として行動すべきことを謳い、リスク・コンプライアンス委員会における議論や役員・従業員に対する啓蒙・教育の実施等を通じてコンプライアンス体制を構築するとともに、事業拠点毎にコンプライアンス推進計画を策定・実践するなど、自主的・自律的なコンプライアンス活動の推進に努めています。
(18) 自然災害や戦争・テロ行為等の発生について
当社グループは日本、ベトナム、米国、カナダに製造、販売等の拠点を設け事業を展開しています。これらの国あるいは地域において、地震、火災、台風、洪水、戦争、テロ行為等が発生した場合、事業活動が停滞し、また損害を被った設備等の修復のため多額の費用が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これら災害等にかかるリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、耐震対策、在庫の確保、製品や設備予備品等の拠点間融通など、従業員の安全と製品の安定供給のための体制を整備するとともに、損害保険への加入等を通じてリスクの低減に努めています。
(19) 設備の故障や事故等の発生について
当社グループが展開する鉄鋼事業では、高電圧の電力使用による電気炉操業が製造の中核であり、その心臓部である電炉トランスが故障した場合、操業に大きな支障をきたします。各生産拠点では綿密な設備管理を行っておりますが、不可抗力により不具合もしくは故障が発生する可能性があります。また、電気炉で高温溶融する鉄スクラップの受入れには、収集業者への指導と受入れ検査の徹底による異材混入の排除に努めておりますが、水分を含んだ密閉容器の混入などにより、電気炉操業時に水蒸気爆発が発生し、設備の破壊、操業の停止に至るリスクがあり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、工場設備の定期的な保全並びに老朽化設備の計画的な更新に取り組み、また、爆発リスク低減のために、鉄スクラップ受入れ時のチェック体制を強化しています。
(20) 新型コロナウイルス感染症等のパンデミックの発生について
当社グループは日本、ベトナム、米国、カナダに製造、販売等の拠点を設け事業を展開しています。これらの国あるいは地域において感染症等が発生・拡大した場合、事業活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際に従業員の安全と製品の安定供給を確保するための手順等を定めています。今後は、BCPに基づく定期的な訓練実施を通じて、その実効性を継続的に検証・改善していくとともに、感染症等の発生・拡大時にも臨機応変に業務対応できるよう、平時から、時差出勤や在宅勤務等、柔軟な働き方に関する制度・環境整備を進めます。
(21) 為替相場の変動並びに保有株式価値の下落について
当社グループの海外子会社の現地通貨建て資産負債や国内の事業活動における一部の個別外貨建て取引は、円換算時に為替相場の影響を受けますが、想定を超えた為替相場の変動が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、日本、ベトナム、米国、カナダにて地産地消型の事業を展開し、ビジネス通貨を分散させることで、為替変動リスクを一定程度軽減させています。また、国内の個別外貨建て取引においても、為替予約、通貨スワップ等を付加することで、為替変動リスクをヘッジしております。
当社グループが保有する上場株式の株価下落あるいは投資先企業の業績不振に伴う投資有価証券の価値下落により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、政策保有株式は縮減することを基本方針としており、保有する場合も便益と資本コストを検証する等、厳格に判定しております。なお、当社グループが保有する政策保有目的の上場株式の当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は21億円です。
なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2020年6月29日)現在において判断したものであります。
(1) 日本製鉄株式会社との関係について
本書提出日現在、日本製鉄株式会社は当社発行済株式の25.8%(当社議決権比率では26.7%)を保有する当社の筆頭株主であり、当社は同社の持分法適用関連会社であります。しかしながら、当社は自ら経営責任を負い、独立した事業経営を行っており、今後もかかる経営を継続していく方針であります。ただし、同社は当社に対して相応の株式を保有していることから、当社の筆頭株主として議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。
(2) 建設需要の減少について
人口減少が進む成熟した日本経済の下、長期的に見て、国内の公共事業、民間建設需要が大きく伸長することは考えにくく、当社グループの主力製品である異形棒鋼の需要もそれに伴い減少することが考えられます。減少する需要を当社グループで捕捉できない場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、人口増加や経済発展により建設需要の見込める海外への進出に積極的に取り組んでいます。既にベトナム、米国、カナダへ進出していますが、進出先を世界各地に分散させることで、特定の国あるいは地域の需要減退の影響を、他の国あるいは地域の事業によって補完するエリア戦略を展開しています。
(3) 競合激化による販売価格下落並びに出荷量減少について
当社グループの中核事業である国内鉄鋼事業は、競合する電炉メーカーが多数存在し、構造的な供給能力過剰問題を抱えております。よって、今後の鋼材需要動向次第では販売量確保のための競争が高じ、販売価格の下落および出荷量の減少により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、競合メーカーに対抗し得る営業力強化と製造コスト削減、製品品質の向上や付加価値製品の開発に取り組んでいます。
(4) 原材料および副資材の価格上昇並びに調達制約について
当社グループが使用する原材料(鉄スクラップ)は、グローバルな需給環境により価格が変動しますが、価格上昇は製品販売価格への転嫁が難しく、また、副資材(電極、合金鉄等)も、価格上昇や供給不足により必要量の調達ができなくなることで、製造コストの上昇や操業停止を招く可能性があり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、有利かつ安定的な原材料、副資材の調達のため、情報収集に努めながら調達価格・時期等について的確な判断を行うとともに、信頼できる調達先の確保に努めています。
(5) 電力および燃料等のエネルギー価格上昇について
原子力発電所の停止による電力単価の引き上げ、さらには再生可能エネルギーにかかる賦課金など電力費の負担は高水準で推移しています。また世界的にエネルギー(石油、液化天然ガス等)価格が高騰した場合、もしくは為替動向によりエネルギー輸入価格が高騰した場合、当社が製造工程で使用する電力コストや燃料コストの他、輸送コストが増加する可能性があります。これらの結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、電力原単位の低減を中心とした生産性の向上に努め、エネルギーコスト等の削減に取り組んでいます。
(6) 物流を巡る外部環境の変化について
当社グループの製品の出荷および原材料や副資材の入荷にかかる物流を巡る環境が、運送業界の人手不足や規制強化等により大きく変化した場合、輸送コストの上昇や輸送力の確保に支障が生じることで、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、輸送にかかる中継地の設置、往復便の利用、積込や待機時間の短縮、運送業者の子会社化など輸送効率の向上や輸送力の確保に努めています。
(7) 品質に関する問題の発生について
当社グループの製品に関する品質については、産業標準化法に基づくJISや建築基準法、評定等の公的規準並びに取引先との契約等によって規定されています。また、近年各業界において、品質違反、品質偽装等の問題が発生して社会的な耳目を集める状況下、当社グループの製品は、不特定多数の生命・財産に影響を及ぼす建設物や工作物に関連するものが多く、その品質には社会的にも強い関心が寄せられているものと認識しています。そのため、品質に関する問題が発生した場合、公的認証や取引の喪失、レピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、品質管理室においてグループ横断的な品質統括管理を行い、計画的に品質監査を実施するとともに、中央品質管理委員会において、品質監査で把握された品質管理に関する重要課題に改善指示を行うなど、品質管理体制を強化しています。また、各生産拠点においては、検査・試験工程において、手介入によるデータ改竄・誤入力のリスクを低減する目的で自動測定機器や自動伝送システムの導入など、ハード面においても品質管理上の問題発生を抑制するための対応を進めています。
(8) 環境に関する問題の発生について
当社グループが展開する鉄鋼事業及び環境リサイクル事業は、操業に伴い煤煙や煤塵、残渣が不可避的に発生するという性質上、各種環境法令の規制を受ける他、当社グループの実施する環境保全施策については、生産拠点の所在する近隣住民をはじめ、高い社会的関心が寄せられているものと認識しております。そのため、特に規制等が変更された場合には、設備の導入や人員の確保等、相応の追加投資が必要となる可能性があり、規制等変更に対する対応の巧拙によっては、行政処分等に基づく事業停止やレピュテーションの低下等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、法令に基づく環境データ測定を定期的に実施するとともに、環境監査においてその実施状況を確認しています。また複数の拠点において環境マネジメントシステムISO14001 を取得し、環境保全のための体制整備を行っております。さらに排ガス集塵機といった環境設備の維持更新、工場で使用する冷却水のクローズドシステムの構築など、環境保全に資するハード面の整備にも取り組んでいます。今後は、鉄鋼生産及び廃棄物リサイクル時に発生する副産物の排出を抑制するための研究開発や技術保有企業との連携に取り組み、ゼロエミッションの実現を目指します。
(9) 需要家ニーズの変化への対応遅延について
需要家は工期短縮や現場作業の省人化を目的とした新工法の開発を進めており、その中でニーズも変化します。当社グループはこれに応えるべく努めておりますが、競合他社が需要家のニーズを満たした新製品を先行して市場投入することで、当社グループの製品出荷量が減少し、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、開発室を中心に需要家のニーズを把握しながら、高強度異形棒鋼やその加工製品、新たな加工製品の開発に取り組んでおります。また、今後は、複数の需要家の技術部門との関係強化を図るなどして、新製品の共同開発も検討していきます。
(10) 海外事業固有のリスクについて
当社は、ベトナム、米国及びカナダに子会社を所有しています。当該子会社の業績は、各国内の経済状況、鋼材市況の影響を受け、それらが悪化した場合、同子会社の業績も悪化する可能性があります。また各国の法令・規制や税制により子会社の事業が制約を受け、想定外の負担等が発生する可能性があります。さらに各国の突発的な政情不安、自然災害、あるいは労働災害等により操業停止等の事態に陥る可能性がありますが、日本とは経済事情、商習慣、文化、労使関係も異なるため、そのような場合には、復旧に予想外に時間がかかることも想定されます。これらの結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、現地経営陣から定期的に現地の経済状況・鋼材市況や業績の報告を求めるとともに、進出先の国あるいは地域の法令・税制やその変更点等について、外部専門家の指導を受けながら対応に努めています。
当該子会社が外国資本との合弁会社である場合、意思決定や事業運営に一定の制約が生じます。この結果、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、子会社の合弁相手先との意思決定の方法や事業運営の役割分担について、当社グループに不利益のないよう合弁契約等において明確に定め運用するとともに、定期的に合弁相手先との子会社の経営に関する情報交換を行っています。
(11) 環境リサイクル事業固有のリスクについて
環境リサイクル事業の事業活動においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)により定められた許可を要しますが、法規制や社会的要請に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失等により事業が継続できないことで、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、廃掃法を遵守するよう役員・従業員に対する啓蒙・教育の場を設けるとともに、廃棄物処理の実務における廃掃法遵守状況の管理強化に努めています。
顧客である排出事業者からより高度なリサイクル方法が求められる中、新しいリサイクル技術の開発とその設備導入が必要であり、それらにかかる費用の増加、また技術開発・設備導入遅延による顧客の減少などにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、排出事業者の企業活動領域のグローバル化に伴い、特に国内及び欧州の環境規制の情報収集を行い、早期に対応を行うことで顧客確保を図っています。
(12) SDGs達成に向けた取り組みの不足・遅延について
近年、企業経営において株主至上主義からESG(環境・社会・企業統治)にも目を向け、企業を取り巻くあらゆるステークホルダーとの関係性を見直すべきとの考えが普及し、ESG・SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みが強く求められています。当社グループの取り組みが不足・遅延することにより、人材採用環境の悪化や顧客の減少、レピュテーションの低下などにつながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、今後は、ESG推進室を中心にステークホルダーの当社グループに対する期待や要請について情報収集し、社会に対する重要度、当社グループにとっての重要度を分析することで、マテリアリティ(重要課題)を特定するとともに、SDGs達成に向けた具体的な取り組みを推進していきます。
(13) 企業買収や資本提携等に係るリスクについて
当社グループは、今後の事業拡大に向けて企業買収や資本提携等が重要かつ有効であると認識しておりますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明し損失が発生する可能性も否定できません。また、買収にかかるのれんが発生する場合、その償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんにかかる減損損失等の損失が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、企業買収や資本提携等を検討する場合、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うとともに、コストアプローチ法、インカムアプローチ法などにより、買収価格の妥当性を多角的に検証・精査することで、極力リスクを回避するように努めています。なお、企業買収にかかるのれんの当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は3億円です。
(14) 固定資産の減損リスクについて
当社グループは、生産設備や土地等の有形固定資産を有しておりますが、設備投資による効果が得られないことなどにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、「固定資産の減損にかかる会計基準」の適用による減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業の成長に必要な設備投資を行う中で、大規模な設備投資については投資効果・採算性の検証を綿密に行い、極力リスクを回避するように努めています。また、設備の稼働後も、予実管理を継続的に実施しています。
(15) 多様な人材の確保について
当社グループは、事業の運営・成長に必要な人材の確保に努めておりますが、事業運営には、各種の資格や技能・専門知識を有する人材の確保が必要であり、これらの人材育成には相応の期間を要することから、今後、少子化等による労働市場の需給逼迫や人材流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、中長期的には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、従来型の採用を強化しながら、性別・国籍を問わず、専門人材、海外人材、障がい者など多様な人材の確保に向けた採用活動と、より活躍できる環境を整備すべく人事・福利厚生諸制度の改定に取り組むなど、魅力ある企業づくりに努めています。
(16) 情報システム並びにネットワークの障害について
当社グループが展開する事業に関しては、情報技術を広範囲に活用しており、情報システムやネットワーク障害、外部からのサイバー攻撃が発生した場合、業務や操業の停止などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、業務を継続的に運営できる体制の整備のために、システムやネットワーク環境の高度化、情報セキュリティの向上に取り組んでおります。データセンター、セキュリティ監視会社の利用など外部専門機関を活用するとともに、ネットワーク回線の複数化、セキュリティにかかるハード面の増強、社内教育の充実などインフラや社内体制の整備を進めています。また、今後は、スマートファクトリー推進室と各生産拠点の保全部門との緊密な連携の下、FAシステムの改修・構築に取り組んでいきます。
(17) コンプライアンスに反する事象の発生について
当社グループが展開する事業に関しては、製品の品質・取引関係・環境・労務・安全衛生・会計基準・税務等の多岐にわたる法規制や、種々の社会的要請が存在することから、コンプライアンス関連のリスクを完全には回避できない可能性があります。そのため、法規制や社会的要請に反する事象が発生した場合、許認可その他の事業資格の喪失や、当社グループの社会的信用の低下、訴訟対応等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、行動指針に高い倫理観を持ち、公正・誠実を旨として行動すべきことを謳い、リスク・コンプライアンス委員会における議論や役員・従業員に対する啓蒙・教育の実施等を通じてコンプライアンス体制を構築するとともに、事業拠点毎にコンプライアンス推進計画を策定・実践するなど、自主的・自律的なコンプライアンス活動の推進に努めています。
(18) 自然災害や戦争・テロ行為等の発生について
当社グループは日本、ベトナム、米国、カナダに製造、販売等の拠点を設け事業を展開しています。これらの国あるいは地域において、地震、火災、台風、洪水、戦争、テロ行為等が発生した場合、事業活動が停滞し、また損害を被った設備等の修復のため多額の費用が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これら災害等にかかるリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、耐震対策、在庫の確保、製品や設備予備品等の拠点間融通など、従業員の安全と製品の安定供給のための体制を整備するとともに、損害保険への加入等を通じてリスクの低減に努めています。
(19) 設備の故障や事故等の発生について
当社グループが展開する鉄鋼事業では、高電圧の電力使用による電気炉操業が製造の中核であり、その心臓部である電炉トランスが故障した場合、操業に大きな支障をきたします。各生産拠点では綿密な設備管理を行っておりますが、不可抗力により不具合もしくは故障が発生する可能性があります。また、電気炉で高温溶融する鉄スクラップの受入れには、収集業者への指導と受入れ検査の徹底による異材混入の排除に努めておりますが、水分を含んだ密閉容器の混入などにより、電気炉操業時に水蒸気爆発が発生し、設備の破壊、操業の停止に至るリスクがあり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、工場設備の定期的な保全並びに老朽化設備の計画的な更新に取り組み、また、爆発リスク低減のために、鉄スクラップ受入れ時のチェック体制を強化しています。
(20) 新型コロナウイルス感染症等のパンデミックの発生について
当社グループは日本、ベトナム、米国、カナダに製造、販売等の拠点を設け事業を展開しています。これらの国あるいは地域において感染症等が発生・拡大した場合、事業活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際に従業員の安全と製品の安定供給を確保するための手順等を定めています。今後は、BCPに基づく定期的な訓練実施を通じて、その実効性を継続的に検証・改善していくとともに、感染症等の発生・拡大時にも臨機応変に業務対応できるよう、平時から、時差出勤や在宅勤務等、柔軟な働き方に関する制度・環境整備を進めます。
(21) 為替相場の変動並びに保有株式価値の下落について
当社グループの海外子会社の現地通貨建て資産負債や国内の事業活動における一部の個別外貨建て取引は、円換算時に為替相場の影響を受けますが、想定を超えた為替相場の変動が生じた場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、日本、ベトナム、米国、カナダにて地産地消型の事業を展開し、ビジネス通貨を分散させることで、為替変動リスクを一定程度軽減させています。また、国内の個別外貨建て取引においても、為替予約、通貨スワップ等を付加することで、為替変動リスクをヘッジしております。
当社グループが保有する上場株式の株価下落あるいは投資先企業の業績不振に伴う投資有価証券の価値下落により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、政策保有株式は縮減することを基本方針としており、保有する場合も便益と資本コストを検証する等、厳格に判定しております。なお、当社グループが保有する政策保有目的の上場株式の当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は21億円です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01266] S100J28B)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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