有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LNII (EDINETへの外部リンク)
株式会社日立製作所 研究開発活動 (2021年3月期)
(1)研究の目的及び主要課題
当グループ(当社及び連結子会社)は、社会イノベーション事業に対して重点的に研究開発資源を配分して、環境、レジリエンス、安心・安全の3つの事業領域における価値創生に取り組んでおり、事業の継続と将来の成長及びお客さまの社会価値・環境価値・経済価値の向上に努めるとともに、人々のQoLを高めることをめざしています。
事業活動のグローバル競争力強化のため、お客さまと接するフロントとともに価値起点でのイノベーション創生を進めています。また、再編したHitachi ABB Power Grids Ltdや日立Astemo㈱等のリソースを活用しつつ、事業のグローバル化やLumada事業の拡大に貢献するため、価値創生を支える強いプロダクト・サービスや世界No.1の技術の開発等に取り組んでいます。加えて、将来の社会課題解決に向けた布石としての、先端研究にも取り組んでいます。また、2021年2月には、Lumadaをエンジンに推進する社会イノベーション事業において、人間中心のAIを開発・社会実装するために「AI倫理原則」を策定するなど、お客さまの課題解決に資する研究開発のさらなる推進を図っています。
(2)研究開発体制
当グループの研究開発においては、当社及びグループ各社の研究開発部門が相互に緊密な連携をとりながら、研究開発効率の向上に努めています。さらに、国内外の大学やその他の研究機関との連携に加え、2019年4月にコーポレートベンチャリング室を新設するなど、スタートアップ企業との連携強化にも積極的に取り組んでいます。
当社は、社会イノベーション事業によるグローバルな成長の加速に向けて、北米、欧州、中国、アジア及びインドの研究開発拠点・人員の拡充及び現地主導型研究の拡大により、現地のニーズに迅速に対応できる研究開発の推進を図っています。また、2015年には、国内外の研究開発拠点を再編し、お客さまとともに課題を見出し、新たなソリューションを協創する「社会イノベーション協創センタ」、注力分野の技術基盤を応用・融合することにより革新的な製品やサービスを創出し、新たなソリューション開発を支援する「テクノロジーイノベーションセンタ」、オープンイノベーションを活用し、独創的なビジョンに基づく探索型基礎研究で新領域を開拓する「基礎研究センタ」とする体制としています。2019年には、お客さまやパートナーとのオープンな協創を加速するための研究開発拠点として「協創の森」を開設し、2020年4月には、データサイエンティストのトップクラスの人材を集結させてデジタルソリューションによるさらなる価値向上を図るため、「Lumada Data Science Lab.」を協創の森内に開設しました。
協創の森(中央研究所)
(3)研究開発費
当連結会計年度における当グループの研究開発費は、売上収益の3.4%にあたる2,935億円であり、セグメントごとの研究開発費は、次のとおりです。
(4)研究成果
当連結会計年度における研究開発活動の主要な成果は、次のとおりです。
①安全な生体認証を実現するクラウドサービス「生体認証統合基盤サービス」を提供開始(ITセグメント)
指静脈や顔、虹彩などの生体情報を暗号化して登録し、照合することで、安全かつ確実に本人を特定する日立独自の「公開型生体認証基盤(PBI(注))」に、決済連携機能や商業施設での入退場管理機能などを付加したクラウドサービス「生体認証統合基盤サービス」の提供を開始しました。PBIを活用し、生体情報を復元できない形式にしてクラウド上に登録することで、安全な本人認証やキャッシュレス決済を実現します。なお、本サービスは、日刊工業新聞社による第63回(2020年)十大新製品賞 増田賞を受賞しました。
(注) PBI: Public Biometric Infrastructure
②日立独自の計算技術CMOSアニーリングにより、数十人・数百人規模の最適な勤務シフトを作成するソリューションを提供開始(ITセグメント)
数十人・数百人規模の勤務シフトを作成する「勤務シフト最適化ソリューション」の提供を開始しました。本ソリューションの中核技術であるCMOSアニーリングは、「組合せ最適化問題」と呼ばれる極めて複雑で大規模な計算課題を短時間で解くことができる技術です。ニューノーマルの社会では、リモート勤務と出社しての勤務の双方の良さを生かしたフレキシブルな働き方にシフトしていくことが予想されるため、本ソリューションを、デジタルイノベーションを加速する日立のLumadaソリューションの一つとして幅広い業種業態に展開し、ワークライフバランスの向上や多様な働き方への対応を支援していきます。
③耐久性と低消費電力特性を両立した新構造SiCパワーデバイス「TED-MOS®」を製品化(エネルギーセグメント)
次世代材料の炭化ケイ素(SiC)を用い、電力システムや鉄道、EV、データセンタなどの重要な社会インフラを構成する各種機器・設備の高効率化や省エネ化を実現するパワーデバイスの新製品である「TED-MOS®」のサンプル出荷を2021年3月から開始しました。「TED-MOS®」の提供を通して、さまざまな社会インフラの電力消費量・CO2排出量削減を支援し、脱炭素社会の実現に貢献します(㈱日立パワーデバイスとの共同成果)。
④5Gソリューション開発の加速に向け、北米のシリコンバレーサイトと協創の森に5G実証環境を整備(インダストリーセグメント)
5GとLumadaを組み合わせ、社会インフラ分野におけるお客さまのニーズに沿ったソリューションの開発加速に向けて、北米のシリコンバレーサイトと協創の森に5G実証環境を整備しました。また、5Gを活用する際の基盤となる、5Gソリューションの導入と運用を容易にする技術を開発、実証しました。これらの環境・技術を活用し、大容量の映像解析による組み立て作業支援や遠隔作業支援などのインダストリー分野をはじめ、モビリティ・エネルギー分野での協創を展開していきます。
⑤つくばエクスプレス(TX)の新型車両TX-3000系で「2020年度グッドデザイン賞」を受賞(モビリティセグメント)
TXの新型車両TX-3000系が、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。全車両に優先席・フリースペースを配置するとともに、列車内を見通しが良く明るい開放的な客室空間とし、さらにシートには、座面が高く、浅く腰掛ける形状で立ち座りしやすいユニバーサルデザイン(UD)シートを採用するなど、車内の快適性を向上させることで、これまでのTXのイメージを継承しながら、更なる飛躍を感じさせるデザインとしました(首都圏新都市鉄道㈱との共同受賞)。
TX-3000系
⑥正確で高感度な血液検査を実現する画像処理モジュールで「“超”モノづくり部品大賞」の大賞を受賞(ライフセグメント)
正確で高感度な血液検査を実現する画像処理モジュールが、2020年“超”モノづくり部品大賞の大賞を受賞しました。本モジュールは、CMOSカメラ、LED照明及び画像処理マイコンなどから構成され、血液検査装置の採血管から検体の吸引を行う検体分取部に設置することで、血液検査を行う必要がある検体だけを画像自動判定機能により判定するものです。これまで臨床検査技師が目視確認により判定していた作業の一部を、独自の機械学習を用いたAI技術で自動化したことにより、検査業務の効率を向上させたことが高く評価されました(㈱日立ハイテクとの共同開発)。
⑦EV普及を加速する800V小型高出力インバータの開発で「市村地球環境産業賞」を受賞(ライフセグメント)
カーボンニュートラルに向けて普及が急がれるEVにおいて、充電時間の半減と快適な加速を両立する800V小型高出力インバータを開発し、本インバータが、「市村地球環境産業賞」を受賞しました。これは、高い絶縁耐圧性能と冷却性能を両立する絶縁放熱性に優れた直接水冷型の両面冷却パワーモジュールを開発し、インバータの高耐圧化と小型高出力化を両立したことで得られた成果です。これにより、EVのシステム電圧を従来の約400V程度から800Vへと向上させました(日立Astemo㈱との共同受賞)。
⑧脱炭素社会の実現に向けて設備やサービスごとの再生可能エネルギーの使用状況を見える化するシステムを開発(全社(本社他))
建物や設備、さらにはサービスごとに再生可能エネルギーで稼働していることをデジタル技術を用いて見える化するシステムを開発しました。2021年2月1日からは、日立の中央研究所内において本システムを導入し、研究所内の「協創棟」における使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を開始しました。今後、さまざまな業界のパートナー企業と協力することで、本システム及び証明コンセプトを活用したサービスの提供に向けた検討を進め、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
当グループ(当社及び連結子会社)は、社会イノベーション事業に対して重点的に研究開発資源を配分して、環境、レジリエンス、安心・安全の3つの事業領域における価値創生に取り組んでおり、事業の継続と将来の成長及びお客さまの社会価値・環境価値・経済価値の向上に努めるとともに、人々のQoLを高めることをめざしています。
事業活動のグローバル競争力強化のため、お客さまと接するフロントとともに価値起点でのイノベーション創生を進めています。また、再編したHitachi ABB Power Grids Ltdや日立Astemo㈱等のリソースを活用しつつ、事業のグローバル化やLumada事業の拡大に貢献するため、価値創生を支える強いプロダクト・サービスや世界No.1の技術の開発等に取り組んでいます。加えて、将来の社会課題解決に向けた布石としての、先端研究にも取り組んでいます。また、2021年2月には、Lumadaをエンジンに推進する社会イノベーション事業において、人間中心のAIを開発・社会実装するために「AI倫理原則」を策定するなど、お客さまの課題解決に資する研究開発のさらなる推進を図っています。
(2)研究開発体制
当グループの研究開発においては、当社及びグループ各社の研究開発部門が相互に緊密な連携をとりながら、研究開発効率の向上に努めています。さらに、国内外の大学やその他の研究機関との連携に加え、2019年4月にコーポレートベンチャリング室を新設するなど、スタートアップ企業との連携強化にも積極的に取り組んでいます。
当社は、社会イノベーション事業によるグローバルな成長の加速に向けて、北米、欧州、中国、アジア及びインドの研究開発拠点・人員の拡充及び現地主導型研究の拡大により、現地のニーズに迅速に対応できる研究開発の推進を図っています。また、2015年には、国内外の研究開発拠点を再編し、お客さまとともに課題を見出し、新たなソリューションを協創する「社会イノベーション協創センタ」、注力分野の技術基盤を応用・融合することにより革新的な製品やサービスを創出し、新たなソリューション開発を支援する「テクノロジーイノベーションセンタ」、オープンイノベーションを活用し、独創的なビジョンに基づく探索型基礎研究で新領域を開拓する「基礎研究センタ」とする体制としています。2019年には、お客さまやパートナーとのオープンな協創を加速するための研究開発拠点として「協創の森」を開設し、2020年4月には、データサイエンティストのトップクラスの人材を集結させてデジタルソリューションによるさらなる価値向上を図るため、「Lumada Data Science Lab.」を協創の森内に開設しました。
(3)研究開発費
当連結会計年度における当グループの研究開発費は、売上収益の3.4%にあたる2,935億円であり、セグメントごとの研究開発費は、次のとおりです。
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(4)研究成果
当連結会計年度における研究開発活動の主要な成果は、次のとおりです。
①安全な生体認証を実現するクラウドサービス「生体認証統合基盤サービス」を提供開始(ITセグメント)
指静脈や顔、虹彩などの生体情報を暗号化して登録し、照合することで、安全かつ確実に本人を特定する日立独自の「公開型生体認証基盤(PBI(注))」に、決済連携機能や商業施設での入退場管理機能などを付加したクラウドサービス「生体認証統合基盤サービス」の提供を開始しました。PBIを活用し、生体情報を復元できない形式にしてクラウド上に登録することで、安全な本人認証やキャッシュレス決済を実現します。なお、本サービスは、日刊工業新聞社による第63回(2020年)十大新製品賞 増田賞を受賞しました。
(注) PBI: Public Biometric Infrastructure
②日立独自の計算技術CMOSアニーリングにより、数十人・数百人規模の最適な勤務シフトを作成するソリューションを提供開始(ITセグメント)
数十人・数百人規模の勤務シフトを作成する「勤務シフト最適化ソリューション」の提供を開始しました。本ソリューションの中核技術であるCMOSアニーリングは、「組合せ最適化問題」と呼ばれる極めて複雑で大規模な計算課題を短時間で解くことができる技術です。ニューノーマルの社会では、リモート勤務と出社しての勤務の双方の良さを生かしたフレキシブルな働き方にシフトしていくことが予想されるため、本ソリューションを、デジタルイノベーションを加速する日立のLumadaソリューションの一つとして幅広い業種業態に展開し、ワークライフバランスの向上や多様な働き方への対応を支援していきます。
③耐久性と低消費電力特性を両立した新構造SiCパワーデバイス「TED-MOS®」を製品化(エネルギーセグメント)
次世代材料の炭化ケイ素(SiC)を用い、電力システムや鉄道、EV、データセンタなどの重要な社会インフラを構成する各種機器・設備の高効率化や省エネ化を実現するパワーデバイスの新製品である「TED-MOS®」のサンプル出荷を2021年3月から開始しました。「TED-MOS®」の提供を通して、さまざまな社会インフラの電力消費量・CO2排出量削減を支援し、脱炭素社会の実現に貢献します(㈱日立パワーデバイスとの共同成果)。
④5Gソリューション開発の加速に向け、北米のシリコンバレーサイトと協創の森に5G実証環境を整備(インダストリーセグメント)
5GとLumadaを組み合わせ、社会インフラ分野におけるお客さまのニーズに沿ったソリューションの開発加速に向けて、北米のシリコンバレーサイトと協創の森に5G実証環境を整備しました。また、5Gを活用する際の基盤となる、5Gソリューションの導入と運用を容易にする技術を開発、実証しました。これらの環境・技術を活用し、大容量の映像解析による組み立て作業支援や遠隔作業支援などのインダストリー分野をはじめ、モビリティ・エネルギー分野での協創を展開していきます。
⑤つくばエクスプレス(TX)の新型車両TX-3000系で「2020年度グッドデザイン賞」を受賞(モビリティセグメント)
TXの新型車両TX-3000系が、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。全車両に優先席・フリースペースを配置するとともに、列車内を見通しが良く明るい開放的な客室空間とし、さらにシートには、座面が高く、浅く腰掛ける形状で立ち座りしやすいユニバーサルデザイン(UD)シートを採用するなど、車内の快適性を向上させることで、これまでのTXのイメージを継承しながら、更なる飛躍を感じさせるデザインとしました(首都圏新都市鉄道㈱との共同受賞)。
TX-3000系
ユニバーサルシート | フリースペース | 車内 |
⑥正確で高感度な血液検査を実現する画像処理モジュールで「“超”モノづくり部品大賞」の大賞を受賞(ライフセグメント)
正確で高感度な血液検査を実現する画像処理モジュールが、2020年“超”モノづくり部品大賞の大賞を受賞しました。本モジュールは、CMOSカメラ、LED照明及び画像処理マイコンなどから構成され、血液検査装置の採血管から検体の吸引を行う検体分取部に設置することで、血液検査を行う必要がある検体だけを画像自動判定機能により判定するものです。これまで臨床検査技師が目視確認により判定していた作業の一部を、独自の機械学習を用いたAI技術で自動化したことにより、検査業務の効率を向上させたことが高く評価されました(㈱日立ハイテクとの共同開発)。
血液検査装置 正確で高感度な血液検査を実現する画像処理モジュール |
⑦EV普及を加速する800V小型高出力インバータの開発で「市村地球環境産業賞」を受賞(ライフセグメント)
カーボンニュートラルに向けて普及が急がれるEVにおいて、充電時間の半減と快適な加速を両立する800V小型高出力インバータを開発し、本インバータが、「市村地球環境産業賞」を受賞しました。これは、高い絶縁耐圧性能と冷却性能を両立する絶縁放熱性に優れた直接水冷型の両面冷却パワーモジュールを開発し、インバータの高耐圧化と小型高出力化を両立したことで得られた成果です。これにより、EVのシステム電圧を従来の約400V程度から800Vへと向上させました(日立Astemo㈱との共同受賞)。
800V小型高出力インバータ | 直接水冷型両面冷却パワーモジュール |
⑧脱炭素社会の実現に向けて設備やサービスごとの再生可能エネルギーの使用状況を見える化するシステムを開発(全社(本社他))
建物や設備、さらにはサービスごとに再生可能エネルギーで稼働していることをデジタル技術を用いて見える化するシステムを開発しました。2021年2月1日からは、日立の中央研究所内において本システムを導入し、研究所内の「協創棟」における使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を開始しました。今後、さまざまな業界のパートナー企業と協力することで、本システム及び証明コンセプトを活用したサービスの提供に向けた検討を進め、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01737] S100LNII)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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