有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LLFK (EDINETへの外部リンク)
エア・ウォーター株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当連結会計年度の研究開発活動につきましては、2020年3月に技術戦略センターを設置し、グループに点在する幅広い領域に跨る技術を横串で管理し、擦合せ統合による新たな価値の創出に取り組んでまいりました。事業成長に向けた投資効率の最大化を目指し、「地域と密着し、脱炭素社会の実現に貢献する環境システム事業領域」、「行政と連携し、社会課題を解決するウェルネス事業領域」を2つの柱として研究開発戦略を策定しております。これまでに培ったコア技術を日々進化させると共に、様々な分野へ応用展開すること、オープンイノベーションによる積極的な技術導入を行うことで、事業の継続的な成長と社会に貢献できる成果の結実に取り組んでまいります。
セグメントごとの研究開発活動について、以下に示します。
(産業ガス関連事業)
基幹事業である産業ガス事業においては、ガス製造プロセスの高度化とコスト削減、ガスを利用するアプリケーション開発について、成果を積み上げております。
・世界最高水準の効率で、都市ガスから水素ガスを発生させる次世代型水素ガス発生装置「VHR」を開発、現在までに4機の運用を開始しております。今後も鉄鋼・半導体などの底堅い水素需要に対して拡販を推進し、省エネによる環境貢献を進めてまいります。
・2050年までにCO2排出量実質ゼロ、2030年までに2013年と比べて46%削減するという政府方針に沿い、CO2回収・利活用技術の開発に取り組んでおります。当社がこれまで培ってきたガス分離技術ならびにガスアプリケーションを起点に、産・官・学と連携してCO2回収・利用技術の社会実装に向けた研究開発活動を行っております。
(ケミカル関連事業)
5Gの伸張に伴い、大量データの通信・処理・蓄積に関するニーズが高まり、電子材料にも、より高度な機能が要求されております。研究開発活動もこの動きに連動させ、電子材料領域における技術シナジー発現/差別化商品創出に注力、半導体前工程から後工程までの幅広い領域で、お客様の高機能化ニーズに対応しております。
・HDD、シリコンウエハなどの精密研磨に使用されるパッド材に関しては、樹脂技術・プロセス技術を高めることにより、お客様の研磨精度向上に対する恒常的なご要請にお応えしております。
・高速通信達成に向けた低誘電ポリイミドのニーズも高いことから、改質ポリイミド用の原料開発を強化し、ユーザーにサンプル供給を開始しました。また、お客様からの新たな化合物のご要望も多く、製品ラインアップの拡充を推進しております。
・ビスマレイミド系樹脂は、高耐熱・低線膨張係数の特性を有し、パッケージ基板分野を中心に市場展開を進めております。この基本性能に加え、低誘電特性に優れた材料の開発も進め、顧客へのサンプル提供を開始いたしました。
・回路基板用のレジスト材料は、微細配線化・多層化に対応した高機能化が要望されており、それに応え得るキノン系光増感剤の需要が拡大しております。新製造設備も完工し、万全の供給体制を整えました。
・また、当社独自材料であるナフトキノン類の持つ光機能、レドックス機能等をさらに引き出すべく、大学等との共同研究も継続的に進めており、その一環として、蓄電デバイス向けの材料開発も継続的に推進しております。
(医療関連事業)
医療事業においては、高度化する先端医療に向けた機器製品の開発や、高齢化社会に対応したサービスの開発を推進しております。
・2020年5月に発売した遠隔医療支援システム「NOALON」が、日刊工業新聞社主催の十大新製品賞において日本力賞を受賞しました。新型コロナウイルス感染症が猛威を奮う中において、専門医が患者の容体をリアルタイムに確認できるため、医療従事者の感染リスク低減に寄与しております。高解像度化やAIを用いた自動診断技術等を活用することで、更なる利便性の向上を進めてまいります。
・当社グループ会社のアエラスバイオ㈱では、歯髄幹細胞を不要歯から採取し、培養、保管する歯髄幹細胞バンクを事業化いたしました。保管された歯髄幹細胞は、将来、歯髄再生治療に使用することができます。お客様の利便性向上のため、乳歯や2親等以内の親族から採取した幹細胞による治療の実現に向け、研究開発を進めております。
・国内消防機関に納入する空気呼吸器の面体(マスク)広視野化による機能性向上に取り組んでおります。また、水損被害を防止し、安全で早期放水が可能な新型の真空スプリンクラーシステムを開発しております。
(エネルギー関連事業)
2030年までに2013年と比べてCO2を46%削減するという政府方針の実現に向けて、CO2排出量の少ないLNG関連技術について、産・官・学との連携を通じて、技術の蓄積、洗練、高度化を推進しております。
・小型LNG供給設備である「Vサテライト」をさらに小型化した「マイクロサテライト」を開発しております。「Vサテライト」と合わせて、お客様のニーズに合わせたLNG供給体制を整え、LNGへの燃料転換を通じてCO2排出量の削減に貢献してまいります。
・家畜糞尿などに由来するバイオガスを活用した新たなバイオエネルギーサプライチェーンの構築に取り組んでおります。自治体と連携し、環境負荷の少ない地産地消エネルギー社会の実現に貢献してまいります。
(農業・食品関連事業)
農作物の保存技術や食品・飲料の品質向上、機能性向上に向けた開発を推進しております。
・農業・食品のイノベーションを創出する技術開発を目的として、2018年6月より室蘭工業大学と「包括的連携研究協力等に関する協定」を締結し、食品の機能性や農作物の栽培技術に関する研究に継続して取り組んでおります。
・ロボットやドローンを活用したスマート農業による農業生産性の向上及び品質向上を目的として、2020年12月に東京大学と社会連携研究部門を設置いたしました。国内外の農業生産性を高め、高品質な農産物及び食品の安定的、持続的な供給に貢献してまいります。
(海水関連事業)
「海が由来」をキーワードに海水から製塩を行う塩事業を柱として、多角化により様々な技術開発・事業展開を行っております。
・環境事業
海水中のホウ素除去技術から生まれた希土類吸着剤「READシリーズ」では凝集剤(READ-CX)まで展開してまいりました。READ-CXは従来法と比較して薬剤使用量・汚泥発生量が少ないコストメリットが大きい商品であります。国内だけではなく、環境規制強化が進んでいる東南アジア地域へ拡販するため、現行品に改良を加え、海外展開を進めております。
・都市インフラ事業
下水道処理場に設置される水処理プラント設備の開発・設計から施工・監理まで行っており、メンテナンスフリーで省エネ・省コストを実現した新型の集砂装置を開発しました。また、下水管更生において耐久性向上に加え施工時間の短縮を図った管更生材料を開発するなど、顧客の要求に応え、性能向上及び環境に配慮した製品開発を行っております。
・マグネシア事業
低温の工場排熱の蓄熱・利用を可能とする水酸化マグネシウム系化学蓄熱材(CHARGEMAG®)を開発しました。また、今後さらなる高集積化や小型化が進む電子機器の放熱に対応する熱伝導性フィラー(COOLMAG®)を開発するなど、地球環境に貢献する商品や最新技術・製品に利用可能な材料の開発に取り組んでおります。今後、実用化に向けてさらなる開発に取り組んでまいります。
(その他の事業)
・SiC事業
電源用パワートランジスタや5Gの普及に向けて需要が高まる高周波トランジスタ向けの素材事業の開拓に取り組みつつあります。当社では、低コスト且つ高性能なGaNトランジスタを製造できるGaN積層構造の量産化に世界で初めて成功しました。これをもとに、半導体の下地基板から本構造の成長までを一貫して行う「GaN on SiC on Si基板」のパイロット生産を準備しております。
・エアゾール事業
人体用品から家庭用品、塗料、工業・自動車用品まで多種多様なお客様のニーズに対応した研究開発を推進しております。また、化粧品受託業界にも本格参入し、高品質・高付加価値な化粧品の開発にも取り組んでおります。
なお、当連結会計年度の研究開発費用の総額は3,978百万円であり、産業ガス関連事業が529百万円、ケミカル関連事業が971百万円、医療関連事業が534百万円、エネルギー関連事業が300百万円、農業・食品関連事業が355百万円、物流関連事業が65百万円、海水関連事業が353百万円、その他の事業が869百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00792] S100LLFK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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