有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LIQN (EDINETへの外部リンク)
アステラス製薬株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社は、当連結会計年度を最終年度とする「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+プログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めてきました。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
(1) 製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求
主要製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジや過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガに加え、「経営計画2018」の期間中に発売された急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタや尿路上皮がん治療剤PADCEV、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。
・XTANDI/イクスタンジについては、更なるマーケットアクセスの強化と泌尿器科医への一層の浸透に取り組むとともに、発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータを活用し、より早期ステージの前立腺がんへの浸透を図りました。
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガについては、継続的な疾患啓発活動による市場拡大を目指すとともに、作用機序及び製品特性である有効性と忍容性のバランスを浸透させることにより、第一選択薬としてのポジショニングの確立を図りました。
・ゾスパタについては、2018年12月に日本と米国で、2019年11月に欧州で発売するなど、順調に発売国が拡大しました。また、急性骨髄性白血病治療の新たな選択肢として、血液内科専門医/がん専門医への浸透に取り組むとともに、製品認知度向上やFLT3遺伝子変異検査実施率の向上に取り組むなど、マーケットリーダーとしてのポジショニングの確立を図りました。
・PADCEVについては、2019年12月に米国で発売され、尿路上皮がんに対する新たな治療選択肢として、早期の市場浸透を図るとともに、承認を取得した適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングの確立を図りました。
・エベレンゾについては、 2019年11月に日本で発売し、新たな作用メカニズムの普及を通じた差別化により市場浸透を図るとともに、ファーストインクラスの低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬としてマーケットシェアの拡大に取り組みました。
これらの製品を含む、中長期にわたる持続的な成長を支える重点後期開発品に優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。中国におけるゾスパタの承認取得、日本におけるエベレンゾの追加適応承認取得や、米国におけるPADCEVの適応拡大を目的とした承認申請等、多くの進展がありました。
各重点後期開発品の開発の主な進捗状況は以下のとおりです。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)
2020年5月 日本において、遠隔転移を有する前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。
2020年6月 欧州において、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験で得られた全生存期間のデータを添付文書に追加することに関し、承認申請を行いました。
2020年10月 米国において、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験で得られた全生存期間のデータを添付文書に追加することに関し、承認を取得しました。
2020年11月 中国において、非転移性去勢抵抗性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。
2021年3月 欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がんへの追加適応に関する販売承認勧告が採択されました。
・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)
2020年12月 未治療のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相LACEWING試験において、主要評価項目(全生存期間の延長)が達成されず、当該試験への患者登録を中止しました。
2021年1月 中国において、成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病に関し、条件付き承認を取得しました。
2021年3月 再発又は難治性のFLT3遺伝子陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相COMMODORE試験の中間解析において、主要評価項目(全生存期間)を達成したことを公表しました。
・尿路上皮がん治療剤 PADCEV(一般名:エンホルツマブ ベドチン)
2020年9月 白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅲ相EV-301試験に関し、化学療法と比較して主要評価項目である全生存期間が統計学的に有意な延長を示したことを発表しました。
2020年10月 抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、白金製剤による化学療法未治療かつシスプラチン不適応の局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした第Ⅱ相EV-201試験コホート2に関し、良好な結果が得られたことを発表しました。
2021年2月 米国において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象として、第Ⅲ相EV-301試験の結果に基づき、生物学的製剤一部変更承認を申請しました。
2021年2月 米国において、抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、シスプラチン不適応の局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象として、第Ⅱ相EV-201試験コホート2の結果に基づき、生物学的製剤一部変更承認を申請しました。
2021年3月 日本において、治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんの治療薬として、製造販売承認を申請しました。
2021年3月 欧州において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴がある、局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者を対象とした承認申請が、迅速審査の指定を受けました。
・腎性貧血治療剤エベレンゾ(一般名:ロキサデュスタット)
2020年4月 欧州において、成人の慢性腎臓病に伴う貧血に関する承認申請を行いました。
2020年11月 日本において、透析導入前(保存期)の慢性腎臓病に伴う貧血の追加適応に関する承認を取得しました。
・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名)
2021年2月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状患者を対象とした2つの国際共同第Ⅲ相試験(SKYLIGHT 1及びSKYLIGHT 2)において、プラセボ投与群と比較して、統計学的に有意な血管運動神経症状の頻度及び重症度の改善を示し、全ての主要評価項目を達成したことを公表しました。
・抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名)
胃腺がん及び食道胃接合部腺がんを対象とした第Ⅲ相試験並びに膵臓腺がんを対象とした第Ⅱ相試験が進行中です。
その他、以下の承認取得及び承認申請がありました。
2020年5月 過活動膀胱治療剤ベシケア(一般名:コハク酸ソリフェナシン)に関し、2歳以上の小児における神経因性膀胱を追加適応症として、米国において承認を取得しました。
2020年12月 免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス)に関し、肺移植における拒絶反応の抑制を追加適応症として、米国において承認申請を行いました。
2021年3月 過活動膀胱治療剤ミラベトリック(一般名:ミラベグロン)に関し、新剤型である懸濁液用顆粒(経口徐放性製剤)と既存の錠剤(徐放性製剤)について、3歳以上の小児における神経因性排尿筋過活動の追加適応症に関し、米国において承認を取得しました。
また、当連結会計年度において、以下の販売移管等がありました。
2020年10月 精神神経用剤/消化性潰瘍用剤ドグマチール(一般名:スルピリド)に関し、日本において、日医工株式会社への製造販売承認の承継及び販売移管をしました。
2020年12月 非ステロイド性消炎・鎮痛剤セレコックス(一般名:セレコキシブ)に関し、日本において、ヴィアトリス製薬株式会社と共同で行っていた販促活動を終了しました。また、2021年7月31日をもってセレコックスに係る製造販売承認を当社から同社に承継し、販売を移管する予定です。
2021年3月 機能性ディスペプシア治療剤アコファイド(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物)に関し、日本においてゼリア新薬工業株式会社と行っていた共同販促活動を終了し、当社が行っていた流通・販売を同社に移管しました。
Operational Excellenceの更なる追求の取り組みでは、多面的な視点から全ての活動を見直し、ビジネス基盤の強化を図りました。当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
2020年11月 当社の完全子会社であるアステラス ファーマ テック株式会社及びアステラスグリーンサプライ株式会社を当社が吸収合併することを決定しました(合併期日:2022年4月1日(予定))。
2020年11月 クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(一般名:フィダキソマイシン)に関し、欧州、中東、アフリカ及び独立国家共同体の一部地域において、製造販売承認をTillotts Pharma社(スイス)に承継する資産譲渡契約を締結し、対象国・地域における承継を進めています。
2021年1月 国内4カ所目の物流拠点となる九州物流センターを、福岡県北九州市に稼働させました。
2021年1月 当社の生産子会社であるアステラス ファーマ テック株式会社の焼津技術センター内に、無菌製剤の製造ラインを新設することを決定し、着工しました。
2021年1月 当社子会社のアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.が販売していた進行性前立腺がん治療剤エリガード(一般名:リュープロレリン酢酸塩)について、欧州や中東、独立国家共同体、アジア等におけるライセンスをTolmar International社(アイルランド)に返還しました。また、同社から新たにライセンスを受けてエリガードを販売するRecordati Industria Chimica e Farmaceutica社(イタリア)との間で、製造販売承認の承継及び販売移管に関する契約を締結し、対象国・地域における承継及び移管を進めています。
(2) Focus Areaアプローチによる価値創造
当社は、Focus Areaアプローチによる価値創造の取り組みとして、3つの構成要素「①病態関連性が高いバイオロジー」「②汎用性のあるモダリティ/テクノロジー」「③これらバイオロジー、モダリティ/テクノロジーの2つの要素により解決が期待されるアンメットメディカルニーズの高い疾患」の組合せの集合をFocus Areaとして定義し、このFocus Areaに独自の専門性とプラットフォームを構築することで、革新的製品の継続的な創出を目指しています。複数の新薬候補が生み出され、リード化合物が臨床段階まで進んだ時に、Primary Focusという、最優先に経営資源を投下する領域として認定しています。
2021年3月現在、Primary Focusとして「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリアバイオロジー」「遺伝子治療」「がん免疫」の4つを認定するとともに、新たに「がん原遺伝子変異」「免疫ホメオスタシス」の2つをPrimary Focus候補として認定しています。
「遺伝子治療」においてはオーデンテス セラピューティクス Inc.が、「がん免疫」においてはザイフォス バイオサイエンシズ Inc.が、それぞれ中核拠点としてPrimary Focusのさらなる前進に向けて取り組んできました。さらに、2021年4月には、オーデンテス部門の再編を行い、遺伝子治療の領域に特化した研究・製造部門、開発部門、コマーシャル部門(Astellas Gene Therapiesと総称する)を設置しました。
また、各Primary Focusの進捗に加え、もともと独立していたPrimary Focus同士が有機的につながり始めています。各Primary Focusで研究していたモダリティ/テクノロジーが、他のPrimary Focusでも活用されることで、様々なバイオロジーや疾患への展開が進んでいます。
当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。
・遺伝子治療
2020年12月 米国食品医薬品局の指示により差し止めとなっていたX連鎖性ミオチュブラーミオパチー患者を対象とする遺伝子治療AT132(一般名:resamirigene bilparvovec)の第Ⅰ/Ⅱ相試験(ASPIRO試験)に関し、米国食品医薬品局から差し止め解除の通知を受領しました。
2021年3月 2021年4月1日付でオーデンテス部門を再編し、遺伝子治療の中核拠点の役割を担うAstellas Gene Therapiesを設置することを公表しました。
・再生と視力の維持・回復
2020年9月 ピッツバーグ大学(米国)との間で、後眼部疾患の一つである萎縮型加齢黄斑変性の治療に対する開発候補品創出を目的として、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療に関する共同研究を開始したことを公表しました。
・がん免疫
2020年12月 KaliVir Immunotherapeutics社(米国)と、静脈内投与が可能な腫瘍溶解性ウイルス「VET2-L2」及び2番目となる後続の開発候補品の共同研究開発及び商業化に関する、全世界における独占的ライセンス契約を締結しました。
・ミトコンドリアバイオロジー
2020年4月 ミトコンドリア関連疾患を含むアンメットメディカルニーズの高い、加齢に伴う疾患に対する創薬研究に注力するバイオベンチャー企業であるNanna Therapeutics社(英国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。
2020年10月 選択的PPARδ調節剤ASP0367/MA-0211に関し、原発性ミトコンドリアミオパチー治療薬としての開発について、米国においてファストトラック指定を受けました。
・その他
2020年4月 ハーバード大学(米国)と、相互に関心のある革新的治療薬及び技術に関する研究開発に向けた戦略的研究提携体制を構築すべく提携したことを公表しました。
2020年7月 オピオイド使用障害の治療における追加維持療法を適応として開発中のGABAB受容体陽性アロステリック修飾物質ASP8062の2つの第Ⅰ相試験に関し、米国国立薬物乱用研究所から、これらの試験に対する助成金を獲得しました。
2020年9月 国立大学法人東京大学内の、東京大学ライフサイエンス連携研究教育拠点及び東京大学センター・オブ・イノベーションのそれぞれと、革新的な新薬や医療ソリューションの創出を目指して連携協力して行う取り組みに関する協定を締結しました。
2020年10月 これまでPrimary Focusに認定してきた「ASIM(抗原特異的免疫調節)バイオロジー」について、プロジェクトを創出する役割を完了したと判断し、次世代免疫調節技術の研究に移行することを公表しました。
2021年3月 学校法人同志社 同志社大学及び公立大学法人和歌山県立医科大学のそれぞれと、AI及び統計学を活用した、医薬品開発の意思決定最適化及び患者さん個別の治療効果推定に関する共同研究について、共同研究契約を締結しました。
(3) Rx+プログラムへの挑戦
当社は、中長期にわたる持続的な成長を実現していくため、Rx+プログラムに挑戦しています。当社がこれまで医療用医薬品(Rx)事業で培ってきた強みをベースに、最先端の医療技術や異分野の先端技術を融合させることで、Patient Journey全体において患者さんに貢献し、かつ単独で利益を生み出せる事業をRx+事業と定義しています。Rx+事業創出の戦略的方向性を示すRx+ Storyに基づき、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、事業創出活動に鋭意取り組んでいます。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
・慢性疾患の重症化予防
2020年4月 株式会社バンダイナムコエンターテインメントと、ゲーム性を取り入れた科学的根拠のある運動プログラムの提供を通じて、運動の継続を支援するスマートフォン等向けアプリの共同開発、試験販売等に関する契約を締結したことを公表しました。
2020年9月 神奈川県横浜市、公立大学法人横浜市立大学との産官学連携により開発した、科学的根拠に基づいた2型糖尿病患者に対する運動療法のための運動プログラムについて、神奈川県内のフィットネスクラブを通じて、地域限定でサービスを開始しました。
・身体・運動機能の補完・代替
2020年10月 バイオエレクトロニクス技術に特化し、画期的な極小体内埋め込み型医療機器に関する技術を有するIota Biosciences社(米国)を買収し、同社を当社の完全子会社としました。
・手術・診断精度向上による患者アウトカム最大化
2020年10月 腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤ASP5354の開発について、米国食品医薬品局からファストトラック指定を受けました。
2021年1月 Actinium Pharmaceuticals社(米国)と、診断と治療を組み合わせるセラノスティクス開発への取り組みの一環として、分子標的型放射線治療に関する共同研究を開始したことを公表しました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は2,245億円(前連結会計年度比0.1%増)、売上収益研究開発費比率は18.0%となりました。
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