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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R53H (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東洋エンジニアリング株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


(EPC事業)

当連結会計年度において、当社グループは研究開発費2,678百万円を投入し、技術力強化方針として「新たなビジネス・商品開拓」「各事業分野のビジネス戦略強化」「基幹ビジネスの基盤強化」につき、以下の研究開発活動を当社グループ内および産官学連携により実施いたしました。

《新たなビジネス・商品開拓》
IoT分野では、デジタル基盤を介したプラント運営支援を目指し、DX-PLANT®のソリューション深化と拡販を進めております。そのためにシステム基盤を構築し、工場オーナーにとって導入しやすく、その要求に柔軟に対応できる体制を整えました。2022年度は新たに、海外の1件の肥料工場への導入を行い、計9件の導入実績となりました。また、尿素プラント向け運転監視・最適化システム(PMOS®)や、エチレン分解炉の運転状態予測・最適化支援システム(RL-Tracker®)など、当社の知見を活かした高付加価値ソリューションの運用を行っております。今後は尿素・エチレン等の化学工場に加え、カーボンニュートラル関連施設にも適用のアプローチを拡げるとともに、更に技術支援サービスにおけるDX(Digital Transformation)技術の活用など新しい顧客支援領域を拡張し、顧客のプラント運営の収益改善に貢献してまいります。

環境・省エネ分野では、脱炭素社会に貢献すべく、革新的省エネルギー蒸留システム“SUPERHIDIC®”に加え、プラントを構成するプロセス系・用役系を省エネ・GHG排出削減の観点から数学的に同時最適化するコンサルタントサービス“HERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)”のビジネスを積極的に展開しております。“SUPERHIDIC®”は経済産業省『先進的省エネルギー投資促進支援事業』における先進設備・システムに認定され、国内の製造者により導入頂き易くなりました。“HERO”では国内外の顧客から複数の案件を受注し、優れた投資対効果が期待できるGHG排出削減案を提案しております。2023年度においても両技術を用いた大規模な温室効果ガス削減に繋がる案件が期待されております。
世界的に急速に加速しているGHGのゼロエミッション実現に向け、エネルギー変革も促進される現在、CCUSはCO2排出削減に不可欠な技術となっております。当社は、CO2の分離回収・利用・貯留に関する技術分野において、国内外の協業パートナーと連携を行い、CCUS案件の実現を図っております。当社が推し進めているカーボンニュートラルバリューチェーン事業においては、グリーン燃料に加え、CCS/CO2-EORを組み合わせることにより、CO2オフセットされたブルー燃料の実現を推進しております。2022年度より東証市場再編後のプライム市場上場会社に気候変動によるリスク情報の開示(TCFD提言)が実質的に義務付けられ、今後益々、企業のCO2削減努力が求められていきます。特に、CO2削減に向けた喫緊の対策が必要となる石炭火力、石油精製、金属製錬等の分野の顧客を支援すべく、CCSのみならず、CO2利活用の分野にも取り組んでおります。また、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施いたします。

次世代環境技術分野では、バイオマス燃料製造において、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、三菱重工業株式会社、株式会社JERA、および国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、木質系バイオマス等を原料としたバイオジェット燃料を合成する一貫製造実証プロジェクトに参画しております。JERA新名古屋火力発電所構内に設置した実証プラントで、当社パートナー企業と共同開発した小型FT(Fischer-Tropsch)合成技術(一酸化炭素と水素から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する)を用いて持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)を製造し、世界で初めて商用定期便に供給した実績をもとに、引き続きNEDOの助成を受け、株式会社JERA、三菱重工業株式会社、伊藤忠商事株式会社と共同で、国内における将来のSAF供給の一端を担うべく、商業規模での製造技術確立とサプライチェーン構築検討を進めております。
水素燃料キャリアとしてのアンモニア利用技術開発の一環として、一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会(CFAA)に理事会員として参画しており、CO2フリーアンモニアサプライチェーン実証を目的として、石炭火力発電所等でのアンモニア混焼によるCO2排出低減や海外でのアンモニアバリューチェーンの事業化について検討を継続しております。
2022年度に「正確な燃料アンモニア関連情報の発信や,安全性などの社会受容性の向上等に向けた広報活動の検討・推進」を目的としてCFAA企画運営委員会に新設された広報WGのリーダーとして燃料アンモニアの早期社会実装に向けた活動も推進しております。
アンモニア利用による化石燃料代替技術として、三井化学株式会社、丸善石油化学株式会社、双日マシナリー株式会社と共同で、エチレン分解炉におけるアンモニア燃料実用化研究開発に取り組んでおります。本開発は、燃料アンモニア利用を促進するとともに、エチレン分解炉のカーボンニュートラル化によって石化セクターのCO2排出量の大幅削減を目指すものであり、グリーンイノベーション基金によるNEDO実証事業として採択されました。2022年4月より共同実施者の双日マシナリー株式会社が分解炉に装着されるアンモニア燃焼バーナーの開発を開始し、同時に当社は小型の分解炉(試験炉)の基本設計に着手し、2022年10月からは実施してきた基本設計をもとに試験炉建設の為の詳細設計に取り組んでおります。
もう一つのエチレン分解炉のCO2排出削減技術として開発を進めていた当社独自の分解炉の電化技術(e-FurnaceTM®)については、NEDOの国際実証事業の第一段階調査事業として技術調査および経済性調査を実施し、本事業を完了いたしました。本調査で得られた知見をもとに、分解炉電化技術の確立と社会実装に向けた検討を加速させてまいります。
2020年度からは、早期水素社会を構築することを目的とした水素バリューチェーン推進協議会に参画し、水素利用の社会実装に向けてプロジェクトの提案、需要創出、法令整備等の政策提言などについて検討しております。
また、NEDOの委託を受けて、海外の水素製造技術の調査を行い、2021年度は中間調査報告書を提出いたしました。2022年度は海外水素ベンチャーの水素製造装置を用いた実証試験を実施する予定でしたが、デモプラント建設の遅延に伴い実証試験は2023年度に実施する予定です。
人工光合成水素を活用するプロセス開発においては、生成ガスを効率的に分離する当社の技術開発が順調に進んでおりましたが、共同研究先の光触媒の早期実用化が期待できないことから、当該開発を一旦凍結することといたしました。なお、今後優れた光触媒が開発され、その生成ガスの分離に関して協力を求められる場合は、当社技術を提供できる可能性があるため、関連技術開発の状況調査は継続いたします。
回収CO2の利活用については、CO2とグリーンH2を原料とする新型メタノール合成やメタネーションを中心としたCO2固定化の検討を続けております。例えば、CO2とH2を原料とするメタノール関連では、当社が保有するメタノール製造技術を活用したg-Methanol®を用いて国内外での具体的な案件に取り組んでおります。また、お問い合わせが多い10t/日から数100t/日までのFeasibility Study結果を数パッケージ取り揃え、多くのお客様に対応できる体制を構築しました。
また、東芝エネルギーシステムズ株式会社、株式会社東芝、出光興産株式会社、全日本空輸株式会社、日本CCS調査株式会社と共同でCO2電解技術とFT合成技術を組み合わせてSAFを製造する炭素循環ビジネスモデルの実現に取り組んでおります。本取組みは、環境省の2021年度採択の委託事業として、脱炭素化の促進と地域振興を両立させるべく検討を進めております。当社は実証および商用プラント建設に備えて2022年度はその基本計画を進めており、2023年度も継続する予定です。

資源循環分野では、世界的なプラスチック廃棄物の問題解決と循環型社会の実現に寄与するために,当社は,廃プラスチックリサイクルの技術開発を進めております。特に、熱分解油化によるケミカルリサイクルを中心に検討を進めており,タイのSCGケミカルズが60%出資しているCircular Plas Company Limited(CirPlas)と同社が保有する混合廃プラスチックの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を2022年度に取り交わしました。現在は、CirPlasと共同で実証プラントのスケールアップによる商業化と、外販のためのライセンス供与開始を目指し,技術実証や大型化検討に取り組んでおります。

原子力分野では、廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するゲゼルシャフト原子力サービス(GNS)社との協力関係を継続するとともに、英国で廃炉関連実績を有するJacobs社との協力関係を進め、国内の廃炉分野で主にプロジェクト・マネージメント、エンジニアリングサービスに関する共同提案を行うなどの取組みを継続しております。また、廃止措置業務支援として、廃止措置計画、廃棄物管理最適化を含めた全体統合管理システムツール構築を目指し、社内DX技術や社外最新技術情報を入手し、システムの開発を行っております。具体的には、レーザースキャンにより設備を3Dモデル化し視覚的に解体・解体物量集計を行うプラント解体システム開発を進めております。

《各事業のビジネス戦略強化》
尿素プロセス“ACES21®”は、当社が開発した保有プロセスであり、大型化と省エネを図るためのプロセス改良に取り組んでおります。このたび革新的次世代尿素プロセス「ACES21-LP®」を発表しました。ACES21-LP®は、従来のACES21®の特徴を維持しながら、競合プロセスを含め最も低い合成圧力と最も高いCO2転化率を同時に実現する先進的プロセスです。ACES21-LP®は、ACES21®の優れたプロセスコンセプトと最先端の低圧合成技術を組み合わせることで現ACES21®から更なる原料昇圧動力削減・プロセス効率向上によるエネルギー消費減と、合成機器軽量化によるプラントコスト削減を実現し、低コスト尿素製造と地球環境保全に貢献する技術です。本年度はACES21®プロセス案件としてインド向け尿素製造設備(3,850t/日)の性能試験を完了し商業運転を開始いたしました。今後も一層のプロセス改良に取り組むとともに、DX-PLANT®のソリューション深化と展開を図ることによる設備の運転および保全の最適化やカーボンニュートラルに向けた尿素プロセスの開発も推進してまいります。

鉄道分野では、鉄道システムインテグレーター(鉄道SI)を目指して約15年前から本格的な取組みを開始し、当社初の鉄道EPCプロジェクトであるジャカルタMRTが2019年に完工いたしました。本プロジェクトで得た鉄道SI関連技術や経験を活かし、海外鉄道プロジェクトへの取組みを積極的に行なってまいりましたが、当社の目指す鉄道SIに相応しい案件を見出すことが難しく、新規案件への取組みを保留しております。

バイオマス発電分野では、完工済みもしくは現在進行中の複数の50MW/75MW案件の知見・ノウハウを生かし、50MW/75MW案件と同じCFBボイラ(Circulating Fluidized Bed:Andritz社製)とSTG(Steam Turbine Generator:Siemens社製)の組み合わせで112MW案件へのスケールアップへの取組みを開始しております。また、本分野のEPCを行うことで蓄積した技術や知見を活かし、発電事業参画やアフターサービス事業、更には燃料供給事業等への展開も検討し、バイオマスバリューチェーン構築に取り組んでまいります。更に、国内での実績・知見を活かし、当社の海外EPC拠点やローカルパートナーとも連携して、海外でのバイオマス発電案件にも積極的に取り組んでまいります。

海洋資源開発の分野では、近年急速に需要が高まるデジタル機器、再生可能エネルギー設備、ハイブリッド車や電気自動車等の電池材料、磁気材料等に欠かせないレアメタル・レアアース等の鉱物資源を深海から回収する国策技術開発の支援を行ってまいりました。内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のもと、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が率いる日本勢は、大水深6,000mからレアアースを回収するプログラムを進めております。ここでは、当社はこれまで培ってきた資源開発技術やサブシー技術を活用してレアアース泥回収システムの技術開発に携わっております。具体的には、2019年度の概念設計、2020年度の基本設計に引き続き、2021年度には「レアアース泥回収用解泥・揚泥機の製作」業務をJAMSTECから受託し、2022年度に実証試験の実施をサポートいたしました。従来のメタンハイドレート開発への取組みも継続するとともに、統合的な海洋資源開発に向けたビジネス強化を進めております。

医薬品分野では、テックプロジェクトサービス株式会社(100%出資子会社)が、医薬品製造企業の多様なニーズに応えるエンジニアリングサービスを提供するとともに、将来を見据えた革新的な技術開発を行っております。低分子医薬品向けの原薬連続生産技術開発では、NEDO 戦略的省エネルギー技術革新プログラムにて開発した「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用 iFactory」の初号機が2023年2月に竣工しました。中分子・バイオ医薬品向けには、シングルユース技術を活用した自動化装置開発を行うことで2022年度までに3件の特許を取得し、精製工程連続化の設備開発や不活化、清澄化および無菌ろ過等の各工程省力化システムを納入いたしました。

《EPC事業の基盤強化》
ICT分野では、当社の基幹ビジネスであるEPC遂行力強化や競争力強化を加速するため、2025年に向けたビジョンとロードマップ、それを実現させるためのICT中期戦略を策定いたしました。本ロードマップに基づき、Engineering, Procurement, Construction, Project Managementのそれぞれの分野において、デジタル技術を活用したデジタルツインを構築することによるマネジメント強化、設計品質の向上、納期遵守、工期短縮を図っております。デジタル技術を活用したデータセントリックなプロジェクト実行手法が海外拠点展開を含め徐々に定着してきており、2021年8月1日付で、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、DX認定業者に選定されました。2022年度には、エンジニアリングデータ統合プラットフォームの構築と実証も完了し、ドキュメント中心の業務からデータ中心の業務変革が加速し、更に、プロジェクト、サプライチェーン、工事の各部門が管理するデータとの統合管理によるEPCプロジェクト全体のDX化の取組みと実プロジェクトへの適用が進んでおります。また、データ利活用に関しても、業務提携先であるHEROZ株式会社と共同開発を進めていた、工事段階で発生し得る地下工事におけるスケジュール遅延リスクを3D CADモデルから検知するシステムを開発し、実案件への適用を開始しました。 引き続き、プロジェクトへのAWP(Advanced Work Packaging)実装を深化させ、プロジェクト遂行における一気通貫のデジタル化を目指し、ビジネス改革や提供価値向上を通じて社会に貢献してまいります。

工事技術分野では、上記のAWPや4D(3次元および時間軸)計画情報を使った施工性検討の実用化の他、AIを活用する事によって、地下構造物の施工性の確認や潜在的危険の検知、設計変更による対応、工事シーケンスの見直し等の工事遅延リスクの洗い出しを図っております。また、現場業務のDX化の一環として、溶接管理システムや品質管理システム他、合計11のツール開発を完成させ、実ジョブでの運用を通じ更なる改善を行っております。例えば、工事進捗を容易に把握する事を主眼においた見える化ツールを開発し、各種工事の進捗に関するKPI(Key Performance Indicator)を使用者の意図に応じ容易に更新・可視化できるようにいたしました。この機能を活用することで、問題点分析および対策立案に要する時間やその他のPC作業時間の短縮等を実現させ、現場業務の生産性の向上に寄与する等、2023年度末から適用される働き方改革に対応すべく各種施策に取り組んでおります。
また建設ICT関連技術の深掘りとして3次元レーザー測量技術を中心とした新技術の調査と運用を検討するとともに、従来の部員教育および現場作業で得られた各種知見の集約と水平展開にも注力しております。

調達分野では、品質管理業務の確実性向上とそれに伴う損失コスト極小化を目的として各種新規技術を検証し、活用しております。例えば、3Dレーザー測定技術に関しては、塔槽類の外部取付品への適用化検証および熱交換器管端溶接部の高精度測定への活用を検証しております。また、複数の国内バイオマス発電案件で発生した熱交換器チューブ欠陥による漏れへの対策として、将来的に音響パルスを使用した迅速且つ正確な欠陥検知手法の確立を目指しております。

当社では1990年代当初から、千葉県習志野市のエンジニアリングセンター敷地内に技術研究所を設け自社商品技術やEPC遂行技術の開発および強化に努めてまいりました。今般、新規事業領域での研究開発活動も勘案し、2023年度内に技術研究所を千葉市緑区に移設しその機能を強化いたします。また、新建屋屋上には太陽光発電設備を設置することで、当社の運営におけるカーボンニュートラル化とサステナビリティ推進も図ってまいります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01661] S100R53H)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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