有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ODMQ (EDINETへの外部リンク)
味の素株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
味の素グループは食と健康の課題解決企業となることを目指します。研究開発に関しては、”Agile R&D”への変革に向け、2019年からバイオ・ファイン研究所、食品研究所、情報企画部(現DX推進部)などへ役割・機能毎に再編して推進しています。また2021年4月に連結子会社である味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱と連携した、グループ3社の食品に関わる国内R&D拠点を集約しました。事業に紐づくR&D体制のもと、基礎研究から製品開発、工業化までを一気通貫とし、当社グループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と事業の構造強化に貢献し、持続的な成長を目指しています。特に2030年や2050年の未来に向けた地球環境のためのグリーンイノベーションにおいては、将来の天然資源の減少に対する研究開発を精力的に進めています。また、人の生活のためのフード&ウェルネスイノベーション、ヘルスケアイノベーション、社会システム改善のためのICTイノベーション、テクノロジーの基盤構築なども次世代のコアとして各事業の発展に取り組んでいます。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は24,842百万円です。
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。
(1) 調味料・食品セグメント
味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。
調味料、栄養・加工食品
2021年度の調味料事業商品は、家庭の味を支える風味調味料、スマートな調理をサポートするメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。
洋風合わせ調味料においては、お店で食べるようなメニューを、肉や野菜と炒めるだけで簡単につくれるソース「Bistro Do®」、を開発・発売しました。また、お肉をやわらかく仕上げる技術の入ったソースと圧力スチーム調理パウチで、簡単かつ短時間で肉メニューが楽しめる「スチーミー®」にを、「鍋キューブ® おでん本舗®」では少量の食材と組み合わせるだけで、本格的な美味しいおでんが1人前から簡単に楽しめるを、「Cook Do® きょうの大皿®」ではを開発し、ラインアップを拡充・発売しました。
事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
2021年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、牛乳を入れて混ぜるだけで簡単に作れる「クノール® カップスープ」、、、、野菜の栄養とおいしさが溶け込んだ濃厚スープにチーズを練りこんだサクサク食感の自家製パンが入った容器入りスープ「クノール® スープDELI®」、、を発売しました。さらに、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆や野菜の栄養が摂れて身体に優しく、食べ応えのあるスープが楽しめるストレートタイプスープ「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜を、また、「クノール® スープグランデ®」では、を開発し、ラインアップ拡充を行いました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」を開発し、自社通販及びECチャネルを中心に販売しました。
加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。
ブラジルでは「VONO®」Low sodium、トルコでは「Bizim Mutfak®」Salt reduced (25%) Classic Soup、ペルーでは「Aji-no-men®」Tallarin焼きそばタイプ減塩改訂といった減塩製品を発売しました。また、タイでは「Birdy®」Latte 微糖レシピへの改訂やBarista Espresso、Robustaのレシピ変更による”Healthier Choice Logo”付与、「Yum Yum®」Sood Ded Seafood Pad-char”Healthier Choice Logo”付与を発売しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
コーヒーのありとあらゆる可能性を“挽き出す”コンセプトのもと、生活者に寄り添った製品開発を進めました。インスタントコーヒーでは、コーヒー豆由来の成分により、おいしさはそのままに、日々の健康を支える機能性表示食品として「ブレンディ® 毎日の腸活コーヒー」を発売しました。「ブレンディ®」スティックでは、栄養機能食品として健康価値を付加したシリーズの導入とともに、「ブレンディ® カフェラトリー®」シリーズの泡立ちを強化し、“泡がうれしいご褒美カフェメニュー”としての価値向上に向けた製品改訂をおこないました。レギュラーコーヒーでは、豆の香りを引き出す焙煎技術を活かし、エリアごとの嗜好や特性に寄り添った開発を進め、北海道及び関西エリア向け商品を新たにラインアップしました。
「ブレンディ®」ザリットルや「ブレンディ®」に使われているスティック包材については、昨年より一部紙素材を活用してきましたが、更に紙の割合を高めることに成功し、これによって容器包装リサイクルマークをプラマークから紙マークへ変更でき、さらにプラスチック量を40%減、年間2tの削減を達成しました。
業務用については、「食と健康の課題解決企業」を目指して、減塩の取組みを加速させるべく、「お塩控えめの ほんだし®」、「丸鶏がらスープ」塩分ひかえめ、「味の素KKコンソメ」塩分ひかえめの3品をそれぞれ500gジッパー付き袋にて新発売いたしました。
また、外食や給食での献立メニュー拡大に貢献するべく、メニュー用調味料「Cook Do®」麻婆豆腐用500mLを1品追加いたしました。
工場系ユーザー向けでは、需要家が抱える畜肉や大豆たんぱくの異風味への対応として、「風味クリアアップ調味料(肉・豆用)」を新発売いたしました。
さらに、プラスチック廃棄削減取組の一環として、リサイクル率向上を目的に、業務用ドレッシングに分別可能キャップを導入したことに加え、「ほんだし®」類の包材のプラスチック使用量削減等を行いました。
2020年より海外拠点間に跨がる開発体制を構築し、環境負荷低減の取組みやプロセス改良による生産性の向上、更にはグローバルサプライチェーン適正化を継続しています。今後もグローバルな連携を加速し、味の素グループ一丸となって、うま味事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献していきます。
ベーカリーでは、生活者の健康志向に合わせた商品開発として、「味の素㈱独自開発酵素」と「難消化性デンプン」を配合した、適度な低糖質でありパンらしい食感を維持した冷凍生地を開発し、コンビニエンス市場に導入、また、ファストフード市場においては、棒状クッキー生地にフィリングを包餡したこれまでの市場には無かった商品を開発し好評を得ました。
更には、野菜ペーストを直接生地に練りこんだクロワッサン冷凍生地を開発し、ドラッグストア業態への販路拡大を果たしました。今後も独自技術の開発を通じて、新たな価値の創造と新規顧客獲得・拡大に向けて積極的に取り組んでいきます。
新型コロナに由来する健康意識の高まりと、砂糖の過剰摂取による健康課題が引き続き多くの国で注目される中、高甘味度甘味料市場はグローバルで伸張を継続しています。
当社は、加工用事業において、20年度にアメリカで上市したステビア甘味料の顧客提案を継続すると共に、当社のおいしさ設計技術を組み合わせた付加価値型製品の早期発売に向けた準備も進めています。
日本国内のコンシューマー事業においては、伸張する液体品種の新製品として「パルスイート® 液体タイプ」を21年秋に発売。また22年春には「パルスイート® スリムアップシュガー®」スティック20本入りの外袋をプラスチックから紙に変更。今後も健康と環境への更なる貢献を推進します。
調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,385百万円です。
(2) 冷凍食品セグメント
味の素冷凍食品㈱研究・開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、各国の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。
リテール製品では、外食店品質を実現した、「ザ★®」シリーズ第四弾の「ザ★® ハンバーグ」、鹿児島産黒豚を使用し、もっちり厚皮でプレミアムな「黒豚大餃子」、ビールと相性抜群な「黒胡椒にんにく餃子」等を開発・発売しました。健康価値の分野では減塩タイプの「エビピラフ」を拡充し、また3大アレルゲン「小麦・卵・乳」不使用の「米粉でつくったギョーザ」は、焼き目がより綺麗につくように開発・リニューアルしました。また、「地鶏釜めし」は日本の冷凍食品業界では初となる、一部紙を使用した袋パッケージを開発・リニューアルしました。
フードサービス製品では、専用調理器具を使用して電子レンジ調理をするだけで、パリっとした焼き目に仕上がる「レンジで焼き目パリっと餃子」、電子レンジ調理でロスなく提供可能で、お店だけなくテイクアウトやデリバリーでも使用できる「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」等を開発・発売しました。
北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。
北米では需要の旺盛な餃子、米飯、高付加価値メキシカンの増産を行い、供給体制を整えた上で二桁成長を実現しました。また、付加価値の高い電子レンジ対応餃子を開発・発売し、麺カテゴリーでも減塩に取組みました。欧州では、テイクアウト向けの焼き済み餃子が浸透し、店内飲食需要も回復しました。また、リテール向けのアジアンラインアップを拡大しました。さらにアジアでは、タイで羽根つき餃子を開発・発売しました。
今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつ美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。
冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,234百万円です。
(3) ヘルスケア等セグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。
バイオの分野では、先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸・培地・香粧品素材等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の研究により7種必須アミノ酸「Amino LP7」が認知機能の一部をサポートすることや、6種アミノ酸ミックスが関節の違和感や腱の状態を改善することなどの知見を得て、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。
さらに、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、電子材料、動物栄養などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。
医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。
再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売し、順調に拡大しています。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。
製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。
低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。次世代ADC創出・製造技術(「AJICAP」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、製薬企業と新規ADCの創出・開発・製造を支援する事業「AJICAP®」を推進しています。
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。
-機能性栄養食品-
スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。こうした活動を通じて、トップアスリートの栄養課題を解決するために開発した「アミノバイタル®」2品種(非売品)をはじめとして、「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® PRO」等のアミノ酸ベース顆粒製品を東京2020オリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、多くの選手のコンディショニングを支援しました。また、提供品の一つである「アミノバイタル® 東京2020日本代表選手団SPECIAL CONNECT(コネクト)」(非売品)については、「アミノバイタル® CONNECT(コネクト)」として、2021年10月8日より限定販売を開始しました。
さらに、スポーツに取り組む多くの人々に向けて、「アミノバイタル®」に配合するアミノ酸の有用性に関する科学情報を届けるために、『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』を2020年10月に開設し、本オウンドメディアを通じて、分かり易い科学情報の継続的な提供を実践してきています。今後も社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
スポーツ実施層の悩み解決によるユーザー拡大に向け、2022年3月に①高度運動実施層の運動時の水分補給に「アミノバイタル® BCAAチャージ」ウォーター、②コロナ禍で急増する軽運動層の需要開拓に向け「アミノバイタル®」レギュラーゼリー全面改訂、③女性向けのプロテイン製品「アミノバイタル® アミノプロテイン」<for Woman> の発売を行いました。
持続可能なサプライチェーン実現に向けて、トラックドライバーの人材不足にも対応するため、ゼリー全製品の外箱サイズを変更いたしました。この取り組みにより、パレットあたりの積載率が向上しただけでなく、従来のパレット1段から2段積みに変更することでトラック輸送効率が大幅に向上し、従来比で物流負荷が約40%削減できる見込みです。
-健康基盤食品-
2021年度は機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を5月に新発売しました。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円あり、今後の高齢化の進展によりさらに拡大していくことが見込まれております。
また、主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう3本入の店頭用品種をドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売しました。今後、全国に向けて販売エリアを拡大いたします。
今後も当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
-アミノインデックス®-
「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)や認知機能低下等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2021年4月に、生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」を上市し、AIRS®結果の登録や、ウォークラリーや簡単食事ログなど、日々の健康管理に役立つ機能やソリューションを提供しています。また、弘前大学COIに参画し、「岩木健康増進プロジェクト」のデータを活用して、血液中のアミノ酸濃度と栄養状態との関連について解析を進めています。今後もアカデミアと協働でAIRS®のエビデンスを強化するとともに、社内外のサービスや商品と連携し、新たなソリューション提案の実現を目指します。
-パーソナルケア素材-
アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。2021年度は、味の素グループのバイオ・ファイン技術を活用し、メークアップ化粧品用に開発したアミノ酸系湿潤剤の新製品を上市しました。また、環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度上期に上市します。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。
-飼料用アミノ酸-
乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。
ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、8,400百万円です。
(4) その他
その他セグメントに係わる研究開発費は、331百万円です。
(5) 全社
当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。
全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
食品・栄養領域では、味の素グループ、日本食品のR&D拠点集約の考えのもと、4月に味の素㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱の3社の研究拠点を川崎に集約しました。これによりグループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と食品事業の構造強化を図ります。
栄養関連においては、当社の取り組みについて東京栄養サミットへの参加を通じての発信や政府関連の賞の受賞等がありました。
日本政府が主催した東京栄養サミット2021を契機に、栄養改善の具体的な目標である「栄養コミットメント」を発表し、2021年10月26日にコミットメント登録サイト(Global Nutrition Report)に登録しました。当社は「食と健康の課題解決企業」を目指し、2020-2025中期経営計画において2030年のアウトカムとして掲げている「10億人の健康寿命延伸」に向けての道筋として、この「栄養コミットメント」を策定しました。具体的目標を、サミットを通じて国内外に発表することで、社会に向けてその実現を固くお約束しております。また、東京栄養サミット2021の公式サイドイベントとして、2021年11月30日にオンラインフォーラム「学校給食と子ども達の未来~官民連携で実現する、サステナブルで健康的な食習慣づくり」をRoyal DSM社と共同開催しました。
厚生労働省(スマート・ライフ・プロジェクト)・スポーツ庁主催の第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においては厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。スマート・ライフ・プロジェクトとは、厚生労働省が行っている、国民の健康づくりをサポートするプロジェクトです。「健康寿命をのばそう!アワード」は、スマート・ライフ・プロジェクトに参加している団体の中から、生活習慣病予防分野、介護予防・高齢者生活支援分野、母子保健分野において、特に優秀な取り組み事例を表彰するイベントで、当社の取り組みである、「ラブベジ®」プロジェクトが第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においての表彰でした。
栄養価値を科学的に評価する手法として、世界初となる日本の食文化・健康課題をふまえたメニュー用栄養プロファイリングシステムANPS-M(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Menu)を開発し、第80回日本公衆衛生学会総会において、詳細を発表しました。栄養改善のための関心が世界的に高まる中、グローバル食品企業では、製品に含まれる栄養成分の量を科学的な根拠に基づいて評価し、その食品の栄養面での品質をわかりやすく表現する手法としてNutrient Profiling System(栄養プロファイリングシステム、以下NPS)の開発・導入が進んでおり、味の素グループにおいても、2020年にANPS-P(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Product)の運用を開始しています。これによって当社グループ製品の栄養価値を共通の基準で評価し、栄養面の課題を把握することが可能になり、製品の改訂や栄養価値の高い製品開発に活用することができます(2021年11月末時点での評価対象は7カ国9法人の製品約500品種)。
アミノ酸の利用についても新製品につながる研究開発を推進し、様々な場面に社外発表等を行いました。
最新のスポーツ栄養科学研究を通じて、当社独自の配合によるアミノ酸素材である「関節・腱コンディショニング向け6種アミノ酸ミックス」が、関節の違和感や運動機能及び腱の状態を改善することを明らかにしました。本研究の成果は、「第76回日本体力医学会大会」及び「第68回米国スポーツ医学会」において発表しました。当社は2003年よりオリンピック日本代表選手及びその候補選手を対象とした、国際競技力向上及びメダル獲得数増のための「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動を行ってきました。その活動の一環として、日本代表選手団専用に独自配合のアミノ酸素材開発に取り組む中で、関節・腱の状態改善をもたらす6種アミノ酸ミックスを見出し、関節に違和感を自覚している方を対象とした研究及び腱に違和感のある方を対象とした研究をそれぞれ実施し、6種アミノ酸ミックスの及ぼす影響を検証しました。
機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を2021年5月25日より新発売。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。日本では、超高齢社会を迎え、加齢に伴う認知機能の低下が大きな社会問題となっています。認知機能を維持・向上させることは生活の質の維持・向上に役立つとともに、医療や介護といった社会全体の負荷軽減の観点からも重要です。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円で、今後さらなる高齢化の進展により、市場規模がさらに拡大することが見込まれます。また、「脳活セブンアミノ®」をご購入いただいたお客様に、社内外の企業と協業して作成した製品と情報・サービスを含めた“脳活プログラム”を提供しています。
認知機能に関しての活動としては、国立長寿医療研究センターとの共同研究の成果に日本人の食事摂取基準、各種論文等の情報を応用し、認知機能の維持に役立つ情報を提供するスマートフォン用アプリ「100年健脳手帳®」を開発、公開しました。「100年健脳手帳®」は、ユーザーの食事、運動、睡眠データを分析し、その内容に応じてカスタマイズされた、認知機能を維持するために役立つ生活習慣のアドバイスやレシピ提案を行うアプリです。脳内の変化は認知機能の低下が臨床的に認められる数十年前から始まっていることが報告されているため、コアターゲットを45歳~64歳としています。当社は本アプリ「100年健脳手帳®」を通じて、手帳のように日々の生活に寄り添いながら、食事、運動、睡眠の生活習慣の改善につながるアドバイスを行い、ユーザーの認知機能維持を長期にわたってサポートしたいと考えています。
当社の「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」については、2021年6月に太陽生命保険㈱から発売された「ガン・重大疾病予防保険」等の保険加入者が利用できる疾病予防サービスに採用されました。この発売を機に、当社は保険加入者へのAIRS®に関する情報提供の機会増大を生かした新規顧客層開拓による事業拡大、及び太陽生命社との共同研究を加速させ、AIRS®の精度や付加価値向上を図ります。太陽生命社の「ガン・重大疾病予防保険」は、一定条件下で加入後定期的に重大疾病予防をはじめとしたさまざまな用途に活用できる「予防給付金」を受け取ることができる商品です。今回、同商品を通じて保険者のがん・重大疾病予防のための行動を後押ししていきます。
2020年12月に「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動を開始し、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。
2022年1月には、CVCの案件として食と健康に関する事業領域でデジタルサービス事業を展開するスタートアップ企業、㈱おいしい健康に出資しました。同社が持つ食と健康のデジタル領域での知見と、当社グループの食やヘルスケア領域での資産の相互活用を通じて、食と健康・栄養を軸としてパーソナライズされた「食体験ジャーニー」の生活者への提供を進めていきます。さらに培養肉の開発・製造を手掛けるフードテック企業のSuperMeat the Essence of Meat Ltd.(CEO:Ido Savir、本社:イスラエル テルアビブ市、以下スーパーミート社)との業務提携に向けて、同社に出資しました。これにより、スーパーミート社が持つ培養肉の開発技術や知見と、当社独自のバイオ医療や発酵に関するR&D技術、呈味や食感などのおいしさ設計技術を組み合わせ、生産者から消費者までの持続可能なフードシステムの構築を目指します。
また、テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic㈱と協業に関する契約を締結しました。外食産業において、人手不足、生産性改善は慢性的な経営課題であり、また食材余りによる廃棄ロスは環境負荷の観点から社会課題として顕在化しています。当社はこのような社会課題解決を共に目指すために、調理ロボット事業、業務自動化AIロボット事業を展開するTechMagic社と協業を開始します。TechMagic社が持つ、AIと自動調理を用いた効率的な調理インフラのテクノロジーと、当社の「おいしさ設計技術」を活用したソリューション、幅広いメニューに対応する調味料の提供を組み合わせることで、大量調理では難しい多様化する生活者のニーズに応えると同時に、食材を無駄なく効率的に活用することが可能になります。
サステナビリティの観点では、国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2021年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は昨年に続き2年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を「気候変動Aリスト」として毎年選定しています。2021年度は約12,000社の評価が行われ、200社(うち日本企業55社)がAリストに選定されました。
また、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループは2050年度までにGHG排出量を正味ゼロとするカーボンニュートラルを新たな目標として設定します。
関連して、環境省が主催する第3回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において金賞を受賞しました。環境省では、ESG金融又は環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的取り組み等を表彰し、広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大につなげることを目的として、環境大臣が表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年度から実施しています。その一部門である環境サステナブル企業部門は、「環境関連の重要な機会とリスク」を「企業価値」向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している環境サステナブル企業の具体的な実例を投資家、企業に示すために表彰するものです。当社は2019年度(第1回)、2020年度(第2回)ともに環境サステナブル企業部門において銅賞を受賞しており、この度初めて環境大臣賞である金賞を受賞しました。
サステナブルファイナンス領域では㈱みずほ銀行(頭取:藤原 弘治、以下みずほ銀行)との間で、2022年1月31日に「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約を締結する運びとなりました。本契約はシンジケーション方式となり、みずほ銀行がアレンジャーとなって、複数の金融機関による協調融資団(シンジケート団)を組成し、当社への融資を実施するもので、シンジケーション方式によるポジティブ・インパクトファイナンスは食品業界初となります。ポジティブ・インパクトファイナンスはサステナビリティファイナンスの1つで、ポジティブ・インパクト金融原則に基づく評価フレームワークを活用して企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるものです。
全社に係わる研究開発費は、8,491百万円です。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は24,842百万円です。
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。
(1) 調味料・食品セグメント
味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。
調味料、栄養・加工食品
2021年度の調味料事業商品は、家庭の味を支える風味調味料、スマートな調理をサポートするメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。
洋風合わせ調味料においては、お店で食べるようなメニューを、肉や野菜と炒めるだけで簡単につくれるソース「Bistro Do®」、を開発・発売しました。また、お肉をやわらかく仕上げる技術の入ったソースと圧力スチーム調理パウチで、簡単かつ短時間で肉メニューが楽しめる「スチーミー®」にを、「鍋キューブ® おでん本舗®」では少量の食材と組み合わせるだけで、本格的な美味しいおでんが1人前から簡単に楽しめるを、「Cook Do® きょうの大皿®」ではを開発し、ラインアップを拡充・発売しました。
事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
2021年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、牛乳を入れて混ぜるだけで簡単に作れる「クノール® カップスープ」、、、、野菜の栄養とおいしさが溶け込んだ濃厚スープにチーズを練りこんだサクサク食感の自家製パンが入った容器入りスープ「クノール® スープDELI®」、、を発売しました。さらに、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆や野菜の栄養が摂れて身体に優しく、食べ応えのあるスープが楽しめるストレートタイプスープ「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜を、また、「クノール® スープグランデ®」では、を開発し、ラインアップ拡充を行いました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」を開発し、自社通販及びECチャネルを中心に販売しました。
加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。
ブラジルでは「VONO®」Low sodium、トルコでは「Bizim Mutfak®」Salt reduced (25%) Classic Soup、ペルーでは「Aji-no-men®」Tallarin焼きそばタイプ減塩改訂といった減塩製品を発売しました。また、タイでは「Birdy®」Latte 微糖レシピへの改訂やBarista Espresso、Robustaのレシピ変更による”Healthier Choice Logo”付与、「Yum Yum®」Sood Ded Seafood Pad-char”Healthier Choice Logo”付与を発売しました。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。
コーヒーのありとあらゆる可能性を“挽き出す”コンセプトのもと、生活者に寄り添った製品開発を進めました。インスタントコーヒーでは、コーヒー豆由来の成分により、おいしさはそのままに、日々の健康を支える機能性表示食品として「ブレンディ® 毎日の腸活コーヒー」を発売しました。「ブレンディ®」スティックでは、栄養機能食品として健康価値を付加したシリーズの導入とともに、「ブレンディ® カフェラトリー®」シリーズの泡立ちを強化し、“泡がうれしいご褒美カフェメニュー”としての価値向上に向けた製品改訂をおこないました。レギュラーコーヒーでは、豆の香りを引き出す焙煎技術を活かし、エリアごとの嗜好や特性に寄り添った開発を進め、北海道及び関西エリア向け商品を新たにラインアップしました。
「ブレンディ®」ザリットルや「ブレンディ®」に使われているスティック包材については、昨年より一部紙素材を活用してきましたが、更に紙の割合を高めることに成功し、これによって容器包装リサイクルマークをプラマークから紙マークへ変更でき、さらにプラスチック量を40%減、年間2tの削減を達成しました。
業務用については、「食と健康の課題解決企業」を目指して、減塩の取組みを加速させるべく、「お塩控えめの ほんだし®」、「丸鶏がらスープ」塩分ひかえめ、「味の素KKコンソメ」塩分ひかえめの3品をそれぞれ500gジッパー付き袋にて新発売いたしました。
また、外食や給食での献立メニュー拡大に貢献するべく、メニュー用調味料「Cook Do®」麻婆豆腐用500mLを1品追加いたしました。
工場系ユーザー向けでは、需要家が抱える畜肉や大豆たんぱくの異風味への対応として、「風味クリアアップ調味料(肉・豆用)」を新発売いたしました。
さらに、プラスチック廃棄削減取組の一環として、リサイクル率向上を目的に、業務用ドレッシングに分別可能キャップを導入したことに加え、「ほんだし®」類の包材のプラスチック使用量削減等を行いました。
2020年より海外拠点間に跨がる開発体制を構築し、環境負荷低減の取組みやプロセス改良による生産性の向上、更にはグローバルサプライチェーン適正化を継続しています。今後もグローバルな連携を加速し、味の素グループ一丸となって、うま味事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献していきます。
ベーカリーでは、生活者の健康志向に合わせた商品開発として、「味の素㈱独自開発酵素」と「難消化性デンプン」を配合した、適度な低糖質でありパンらしい食感を維持した冷凍生地を開発し、コンビニエンス市場に導入、また、ファストフード市場においては、棒状クッキー生地にフィリングを包餡したこれまでの市場には無かった商品を開発し好評を得ました。
更には、野菜ペーストを直接生地に練りこんだクロワッサン冷凍生地を開発し、ドラッグストア業態への販路拡大を果たしました。今後も独自技術の開発を通じて、新たな価値の創造と新規顧客獲得・拡大に向けて積極的に取り組んでいきます。
新型コロナに由来する健康意識の高まりと、砂糖の過剰摂取による健康課題が引き続き多くの国で注目される中、高甘味度甘味料市場はグローバルで伸張を継続しています。
当社は、加工用事業において、20年度にアメリカで上市したステビア甘味料の顧客提案を継続すると共に、当社のおいしさ設計技術を組み合わせた付加価値型製品の早期発売に向けた準備も進めています。
日本国内のコンシューマー事業においては、伸張する液体品種の新製品として「パルスイート® 液体タイプ」を21年秋に発売。また22年春には「パルスイート® スリムアップシュガー®」スティック20本入りの外袋をプラスチックから紙に変更。今後も健康と環境への更なる貢献を推進します。
調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,385百万円です。
(2) 冷凍食品セグメント
味の素冷凍食品㈱研究・開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、各国の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。
リテール製品では、外食店品質を実現した、「ザ★®」シリーズ第四弾の「ザ★® ハンバーグ」、鹿児島産黒豚を使用し、もっちり厚皮でプレミアムな「黒豚大餃子」、ビールと相性抜群な「黒胡椒にんにく餃子」等を開発・発売しました。健康価値の分野では減塩タイプの「エビピラフ」を拡充し、また3大アレルゲン「小麦・卵・乳」不使用の「米粉でつくったギョーザ」は、焼き目がより綺麗につくように開発・リニューアルしました。また、「地鶏釜めし」は日本の冷凍食品業界では初となる、一部紙を使用した袋パッケージを開発・リニューアルしました。
フードサービス製品では、専用調理器具を使用して電子レンジ調理をするだけで、パリっとした焼き目に仕上がる「レンジで焼き目パリっと餃子」、電子レンジ調理でロスなく提供可能で、お店だけなくテイクアウトやデリバリーでも使用できる「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」等を開発・発売しました。
北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。
北米では需要の旺盛な餃子、米飯、高付加価値メキシカンの増産を行い、供給体制を整えた上で二桁成長を実現しました。また、付加価値の高い電子レンジ対応餃子を開発・発売し、麺カテゴリーでも減塩に取組みました。欧州では、テイクアウト向けの焼き済み餃子が浸透し、店内飲食需要も回復しました。また、リテール向けのアジアンラインアップを拡大しました。さらにアジアでは、タイで羽根つき餃子を開発・発売しました。
今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつ美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。
冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,234百万円です。
(3) ヘルスケア等セグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。
バイオの分野では、先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸・培地・香粧品素材等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の研究により7種必須アミノ酸「Amino LP7」が認知機能の一部をサポートすることや、6種アミノ酸ミックスが関節の違和感や腱の状態を改善することなどの知見を得て、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。
さらに、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、電子材料、動物栄養などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。
医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。
再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売し、順調に拡大しています。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。
製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。
低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。次世代ADC創出・製造技術(「AJICAP」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、製薬企業と新規ADCの創出・開発・製造を支援する事業「AJICAP®」を推進しています。
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。
-機能性栄養食品-
スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。こうした活動を通じて、トップアスリートの栄養課題を解決するために開発した「アミノバイタル®」2品種(非売品)をはじめとして、「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® PRO」等のアミノ酸ベース顆粒製品を東京2020オリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、多くの選手のコンディショニングを支援しました。また、提供品の一つである「アミノバイタル® 東京2020日本代表選手団SPECIAL CONNECT(コネクト)」(非売品)については、「アミノバイタル® CONNECT(コネクト)」として、2021年10月8日より限定販売を開始しました。
さらに、スポーツに取り組む多くの人々に向けて、「アミノバイタル®」に配合するアミノ酸の有用性に関する科学情報を届けるために、『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』を2020年10月に開設し、本オウンドメディアを通じて、分かり易い科学情報の継続的な提供を実践してきています。今後も社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
スポーツ実施層の悩み解決によるユーザー拡大に向け、2022年3月に①高度運動実施層の運動時の水分補給に「アミノバイタル® BCAAチャージ」ウォーター、②コロナ禍で急増する軽運動層の需要開拓に向け「アミノバイタル®」レギュラーゼリー全面改訂、③女性向けのプロテイン製品「アミノバイタル® アミノプロテイン」<for Woman> の発売を行いました。
持続可能なサプライチェーン実現に向けて、トラックドライバーの人材不足にも対応するため、ゼリー全製品の外箱サイズを変更いたしました。この取り組みにより、パレットあたりの積載率が向上しただけでなく、従来のパレット1段から2段積みに変更することでトラック輸送効率が大幅に向上し、従来比で物流負荷が約40%削減できる見込みです。
-健康基盤食品-
2021年度は機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を5月に新発売しました。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円あり、今後の高齢化の進展によりさらに拡大していくことが見込まれております。
また、主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう3本入の店頭用品種をドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売しました。今後、全国に向けて販売エリアを拡大いたします。
今後も当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。
-アミノインデックス®-
「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)や認知機能低下等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2021年4月に、生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」を上市し、AIRS®結果の登録や、ウォークラリーや簡単食事ログなど、日々の健康管理に役立つ機能やソリューションを提供しています。また、弘前大学COIに参画し、「岩木健康増進プロジェクト」のデータを活用して、血液中のアミノ酸濃度と栄養状態との関連について解析を進めています。今後もアカデミアと協働でAIRS®のエビデンスを強化するとともに、社内外のサービスや商品と連携し、新たなソリューション提案の実現を目指します。
-パーソナルケア素材-
アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。2021年度は、味の素グループのバイオ・ファイン技術を活用し、メークアップ化粧品用に開発したアミノ酸系湿潤剤の新製品を上市しました。また、環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度上期に上市します。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。
-飼料用アミノ酸-
乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。
ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、8,400百万円です。
(4) その他
その他セグメントに係わる研究開発費は、331百万円です。
(5) 全社
当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。
全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
食品・栄養領域では、味の素グループ、日本食品のR&D拠点集約の考えのもと、4月に味の素㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱の3社の研究拠点を川崎に集約しました。これによりグループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と食品事業の構造強化を図ります。
栄養関連においては、当社の取り組みについて東京栄養サミットへの参加を通じての発信や政府関連の賞の受賞等がありました。
日本政府が主催した東京栄養サミット2021を契機に、栄養改善の具体的な目標である「栄養コミットメント」を発表し、2021年10月26日にコミットメント登録サイト(Global Nutrition Report)に登録しました。当社は「食と健康の課題解決企業」を目指し、2020-2025中期経営計画において2030年のアウトカムとして掲げている「10億人の健康寿命延伸」に向けての道筋として、この「栄養コミットメント」を策定しました。具体的目標を、サミットを通じて国内外に発表することで、社会に向けてその実現を固くお約束しております。また、東京栄養サミット2021の公式サイドイベントとして、2021年11月30日にオンラインフォーラム「学校給食と子ども達の未来~官民連携で実現する、サステナブルで健康的な食習慣づくり」をRoyal DSM社と共同開催しました。
厚生労働省(スマート・ライフ・プロジェクト)・スポーツ庁主催の第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においては厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。スマート・ライフ・プロジェクトとは、厚生労働省が行っている、国民の健康づくりをサポートするプロジェクトです。「健康寿命をのばそう!アワード」は、スマート・ライフ・プロジェクトに参加している団体の中から、生活習慣病予防分野、介護予防・高齢者生活支援分野、母子保健分野において、特に優秀な取り組み事例を表彰するイベントで、当社の取り組みである、「ラブベジ®」プロジェクトが第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においての表彰でした。
栄養価値を科学的に評価する手法として、世界初となる日本の食文化・健康課題をふまえたメニュー用栄養プロファイリングシステムANPS-M(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Menu)を開発し、第80回日本公衆衛生学会総会において、詳細を発表しました。栄養改善のための関心が世界的に高まる中、グローバル食品企業では、製品に含まれる栄養成分の量を科学的な根拠に基づいて評価し、その食品の栄養面での品質をわかりやすく表現する手法としてNutrient Profiling System(栄養プロファイリングシステム、以下NPS)の開発・導入が進んでおり、味の素グループにおいても、2020年にANPS-P(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Product)の運用を開始しています。これによって当社グループ製品の栄養価値を共通の基準で評価し、栄養面の課題を把握することが可能になり、製品の改訂や栄養価値の高い製品開発に活用することができます(2021年11月末時点での評価対象は7カ国9法人の製品約500品種)。
アミノ酸の利用についても新製品につながる研究開発を推進し、様々な場面に社外発表等を行いました。
最新のスポーツ栄養科学研究を通じて、当社独自の配合によるアミノ酸素材である「関節・腱コンディショニング向け6種アミノ酸ミックス」が、関節の違和感や運動機能及び腱の状態を改善することを明らかにしました。本研究の成果は、「第76回日本体力医学会大会」及び「第68回米国スポーツ医学会」において発表しました。当社は2003年よりオリンピック日本代表選手及びその候補選手を対象とした、国際競技力向上及びメダル獲得数増のための「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動を行ってきました。その活動の一環として、日本代表選手団専用に独自配合のアミノ酸素材開発に取り組む中で、関節・腱の状態改善をもたらす6種アミノ酸ミックスを見出し、関節に違和感を自覚している方を対象とした研究及び腱に違和感のある方を対象とした研究をそれぞれ実施し、6種アミノ酸ミックスの及ぼす影響を検証しました。
機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を2021年5月25日より新発売。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。日本では、超高齢社会を迎え、加齢に伴う認知機能の低下が大きな社会問題となっています。認知機能を維持・向上させることは生活の質の維持・向上に役立つとともに、医療や介護といった社会全体の負荷軽減の観点からも重要です。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円で、今後さらなる高齢化の進展により、市場規模がさらに拡大することが見込まれます。また、「脳活セブンアミノ®」をご購入いただいたお客様に、社内外の企業と協業して作成した製品と情報・サービスを含めた“脳活プログラム”を提供しています。
認知機能に関しての活動としては、国立長寿医療研究センターとの共同研究の成果に日本人の食事摂取基準、各種論文等の情報を応用し、認知機能の維持に役立つ情報を提供するスマートフォン用アプリ「100年健脳手帳®」を開発、公開しました。「100年健脳手帳®」は、ユーザーの食事、運動、睡眠データを分析し、その内容に応じてカスタマイズされた、認知機能を維持するために役立つ生活習慣のアドバイスやレシピ提案を行うアプリです。脳内の変化は認知機能の低下が臨床的に認められる数十年前から始まっていることが報告されているため、コアターゲットを45歳~64歳としています。当社は本アプリ「100年健脳手帳®」を通じて、手帳のように日々の生活に寄り添いながら、食事、運動、睡眠の生活習慣の改善につながるアドバイスを行い、ユーザーの認知機能維持を長期にわたってサポートしたいと考えています。
当社の「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」については、2021年6月に太陽生命保険㈱から発売された「ガン・重大疾病予防保険」等の保険加入者が利用できる疾病予防サービスに採用されました。この発売を機に、当社は保険加入者へのAIRS®に関する情報提供の機会増大を生かした新規顧客層開拓による事業拡大、及び太陽生命社との共同研究を加速させ、AIRS®の精度や付加価値向上を図ります。太陽生命社の「ガン・重大疾病予防保険」は、一定条件下で加入後定期的に重大疾病予防をはじめとしたさまざまな用途に活用できる「予防給付金」を受け取ることができる商品です。今回、同商品を通じて保険者のがん・重大疾病予防のための行動を後押ししていきます。
2020年12月に「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動を開始し、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。
2022年1月には、CVCの案件として食と健康に関する事業領域でデジタルサービス事業を展開するスタートアップ企業、㈱おいしい健康に出資しました。同社が持つ食と健康のデジタル領域での知見と、当社グループの食やヘルスケア領域での資産の相互活用を通じて、食と健康・栄養を軸としてパーソナライズされた「食体験ジャーニー」の生活者への提供を進めていきます。さらに培養肉の開発・製造を手掛けるフードテック企業のSuperMeat the Essence of Meat Ltd.(CEO:Ido Savir、本社:イスラエル テルアビブ市、以下スーパーミート社)との業務提携に向けて、同社に出資しました。これにより、スーパーミート社が持つ培養肉の開発技術や知見と、当社独自のバイオ医療や発酵に関するR&D技術、呈味や食感などのおいしさ設計技術を組み合わせ、生産者から消費者までの持続可能なフードシステムの構築を目指します。
また、テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic㈱と協業に関する契約を締結しました。外食産業において、人手不足、生産性改善は慢性的な経営課題であり、また食材余りによる廃棄ロスは環境負荷の観点から社会課題として顕在化しています。当社はこのような社会課題解決を共に目指すために、調理ロボット事業、業務自動化AIロボット事業を展開するTechMagic社と協業を開始します。TechMagic社が持つ、AIと自動調理を用いた効率的な調理インフラのテクノロジーと、当社の「おいしさ設計技術」を活用したソリューション、幅広いメニューに対応する調味料の提供を組み合わせることで、大量調理では難しい多様化する生活者のニーズに応えると同時に、食材を無駄なく効率的に活用することが可能になります。
サステナビリティの観点では、国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2021年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は昨年に続き2年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を「気候変動Aリスト」として毎年選定しています。2021年度は約12,000社の評価が行われ、200社(うち日本企業55社)がAリストに選定されました。
また、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループは2050年度までにGHG排出量を正味ゼロとするカーボンニュートラルを新たな目標として設定します。
関連して、環境省が主催する第3回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において金賞を受賞しました。環境省では、ESG金融又は環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的取り組み等を表彰し、広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大につなげることを目的として、環境大臣が表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年度から実施しています。その一部門である環境サステナブル企業部門は、「環境関連の重要な機会とリスク」を「企業価値」向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している環境サステナブル企業の具体的な実例を投資家、企業に示すために表彰するものです。当社は2019年度(第1回)、2020年度(第2回)ともに環境サステナブル企業部門において銅賞を受賞しており、この度初めて環境大臣賞である金賞を受賞しました。
サステナブルファイナンス領域では㈱みずほ銀行(頭取:藤原 弘治、以下みずほ銀行)との間で、2022年1月31日に「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約を締結する運びとなりました。本契約はシンジケーション方式となり、みずほ銀行がアレンジャーとなって、複数の金融機関による協調融資団(シンジケート団)を組成し、当社への融資を実施するもので、シンジケーション方式によるポジティブ・インパクトファイナンスは食品業界初となります。ポジティブ・インパクトファイナンスはサステナビリティファイナンスの1つで、ポジティブ・インパクト金融原則に基づく評価フレームワークを活用して企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるものです。
全社に係わる研究開発費は、8,491百万円です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00436] S100ODMQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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