有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OB6V (EDINETへの外部リンク)
株式会社LIXIL 事業等のリスク (2022年3月期)
当社グループでは、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグループ共通の基準(事業計画への影響度と発生可能性等)で評価を行い、グループ内での事業規模の違いや外部環境の変化等に基づき、経営者の目線からリスク間の相対的な関係を考慮した上で対処すべきリスクの優先順位を決定しております。
また、リスクの洗い出しに際して、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれ以下のように定義しております。
これらに基づき、リスクにおける重要性を判断した上で、当社グループの各事業、管理部門、マネジメントの各レベルが当該リスクに応じた対策を立案、実行し、対策の進捗状況をモニターし、継続的に改善する活動を展開しております。
また、監査委員会は取締役会、執行役会及び各委員会への参加、重要書類の閲覧、会計監査人とのコミュニケーション等を通じて、対処すべき優先順位の高いリスクについて適切な対策が実行されているかモニターしております。なお、上記に加えて、必要に応じて各事業及び子会社に対する往査も実施しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、影響度、発生可能性、重要性の前年からの変化をリスクマップに一覧化し、詳細な情報を記載しております。なお、当社グループでは、各リスクについてグループ共通の基準で評価した結果を一元的に管理するために、戦略リスクとオペレーショナルリスクを同一のリスクマップに表示しております。また、記載しているリスクや対応策が互いに強く連関している場合は参照リスクとして該当番号を記載しておりますが、すべての連関を網羅するものではありません。
各リスクに紐づいている重要課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針及び経営環境」に記載のとおりであります。紐づけにおいては、記載しているリスクもしくはその対応策の内容が、重要課題の記述・方針に関連しているかどうかを複数の部門で協議し、決定しております。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(新型コロナウイルス感染症に関するリスク)
2019年11月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症は、新たな変異株の出現などにより一部地域においてはいまだに感染の拡大が続いているものの、国内及び海外の大半の地域の事業は前連結会計年度の下半期には回復基調がみられ、当連結会計年度における当社グループの事業活動へ与える影響は限定的であったことから、翌連結会計年度以降における当社グループの事業活動への影響も限定的であると想定しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多く、状況変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。現時点においては日常のリスク管理の中で対応していることを踏まえ、個別のリスクとしてではなく関連するリスクに包含して記載しております。(参照リスク(3)、(12))
(リスクマップ及び凡例)
(注)前連結会計年度の評価から変更のあったリスクについて、前連結会計年度の発生可能性を併記しております。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(1) 経済状況、為替相場・金利の変動に関するリスク
当社グループは、グローバルに販売活動を行っており、その売上収益は世界における需要、景気、物価の変動、産業・業界の動向に影響を受けます。特にアルミ、銅、樹脂、半導体など原材料価格やコンテナ不足による物流コストの上昇は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、新設住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動が、また、海外諸国においては、戦争、内乱、紛争、暴動、テロ等が発生した場合も、同様に当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、為替相場の変動は、当社グループの外貨建取引により発生する資産及び負債の円貨換算額や外貨建で取引されている製品の価格や売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入や社債の発行等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの資金調達に係る金利負担が増加し、借入や社債発行による資金調達の難航や支払利息・社債利息が増加する等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(2) 新製品の開発に関するリスク
当社グループは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」のために、常に技術と顧客ニーズを的確に把握し、魅力ある製品開発を行っております。しかしながら、市場や業界のニーズ変化に対応できない、あるいは十分な開発投資を維持できず上市に至らない、上市に至ったとしても新製品の価値が顧客ニーズに十分訴求できない等の場合、将来の成長鈍化と売上収益の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、顧客ニーズをより意識した開発を進める一方、エンドユーザーの価値観は多様性や変化に富むことを鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(3) 原材料等の供給に関するリスク
当社グループの生産活動においては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。そのため、業界の需要増加や事業展開国におけるインフレ等による原材料価格の高騰、コモディティの価格変動や重要な物的資源(アルミ、銅、ステンレス等)の調達可能性の変動の結果、売上原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、生産・販売活動と密接に関わる物流業務に関して、新型コロナウイルス感染症拡大による供給遅延や石油価格の変動、人件費の高騰などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、昨今の原材料価格の高騰や調達可能性の変動を鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。(参照リスク(4))
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(4) 環境(気候変動、水、資源)に関するリスク
当社グループは、製品開発から調達、生産、販売活動に至る事業活動において地球環境保全に向け様々な活動を行っております。特に近年においては、気候変動が自社のバリューチェーンにもたらす政策・規制や市場変化による移行リスク、異常気象などの物理リスクが顕在化する可能性が高くなっております。さらに、今後世界的な水問題への対応、原材料・部材の価格高騰、石油由来のプラスチックに関する規制強化、サーキュラー・エコノミーの台頭による消費者嗜好の変化等の市場変化に柔軟に対応していかなければ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
パリ協定及びSDGsの目標13に掲げられているとおり、CO2削減のため、製造・販売活動の見直しや気候変動による影響を低減するための取り組みを実施することが以前にも増して企業に求められております。また、世界的な人口増加や経済成長に伴い、SDGsの目標12や目標6に掲げられているとおり、持続可能な資源利用や節水・浄水技術に対する需要が高まっております。
このようなニーズに対応するために、当社グループは、「環境ビジョン2050」を定め、①気候変動対策を通じた緩和と適応(事業プロセスと製品・サービスによる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする)、②水の持続可能性を追求(節水や水の循環利用、浄水技術などを通じて、水の環境価値を創造する)、③資源の循環利用を促進(循環型社会への変革に貢献し、限りある資源を未来につなぐ)の分野に注力いたします。事業プロセスにおいては、工場やオフィスでの徹底した省エネ活動や、再生可能エネルギーの利用、製造プロセスのエネルギー効率化に向けた技術開発を推進してまいります。また、各地域の水関連の問題に対する事業へのリスクを把握し、水使用効率の改善や循環利用、排水管理などの適切な施策を実施することで、事業を行う地域で継続した水の利用を可能にする環境の維持に努めております。さらに、廃棄物の削減や適切な管理を徹底するとともに、サプライヤーと協働し、新規に投入する資源の最小化や、リユース・リサイクルをさらに促進することで、社会とともに資源の循環利用を加速させる仕組みを構築してまいります。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(5) 事業再編に関するリスク
当社グループは、経営の効率化及び競争力強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員配置等の適正化による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、事業再編後の組織において全社的な戦略上の優先順位が劣後し、経営資源が適切に配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、投融資等の意思決定の際に、事業戦略、領域、展開国等に内在するリスクが的確に識別されず、投資実行後に当初想定していた利益やシナジー効果を実現できないことや、経営における優先順位の変更による意思決定の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(6) 他社との連携・企業買収等に関するリスク
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがありますが、買収・投資実行後にグループ全体に内在するリスク及びオポチュニティを適時・的確に識別することができないことに加え、優秀な人材の離職や人材の融合が進まないことにより、当初想定した利益やシナジー効果を実現できない、あるいは買収後に偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する可能性があります。さらに、事業拡大後、当社グループと対象事業の戦略が整合しておらず、全社的な戦略上の優先順位が劣後し、経営資源が適切に配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(7) 人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進に関するリスク
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ダイバーシティ推進における社内の人材育成の重要性が増したこと及び従業員の価値観は多様性や変化に富むことを鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。
近年、高齢化の進行による高齢世帯の増加及び障がい者人口の増加に対応した製品の必要性が高まっております。また、SDGsの目標5にて掲げられているとおり、企業に対して高齢者や障がい者の雇用だけでなく、ジェンダー格差の是正に対する取り組みも求められております。
このようなニーズに対応するために、多様性から生み出される活力を起業家精神醸成の源と捉え、将来へ向けた成長とイノベーションを達成するために、「LIXILダイバーシティ&インクルージョン宣言」を採択し、グループ内にて実行しております。また、組織の変革と事業戦略の実現に向けてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを加速させることを目的に、2020年9月にD&I委員会を設立いたしました。多様な人材を組織内に定着させるために、組織全体に平等性と包括性を浸透させるための施策を強化するとともに、インクルージョンの文化を醸成し、あらゆるレベルにおいて多様な人材の採用、登用を進めることができるよう、ベンチマークを設定し、進捗をモニターしてまいります。
これらの取り組みにより、現在のみならず将来の事業展開国・地域における当社グループの持続的な成長と存在意義及びブランドイメージの向上を実現することを目指しております。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(8) 設備等の操業度に関するリスク
当社グループの主要な事業では、多様な製品の製造を行っているため、製造拠点となる工場等の生産設備を数多く所有しており、その展開地域も多岐にわたっております。当該生産設備について、需給の変動、労働力の減少や災害の発生等をはじめとする様々な要因で操業度が低下する可能性があります。操業度の低下により、当初想定した収益を獲得できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[戦略リスク 事業特有のリスク ウォーターテクノロジー事業]
(9) 販売チャネルに関するリスク
当社の連結子会社であるASD Holding Corp.は様々な需要に応じて幅広い製品を展開しておりますが、近年特に北米を中心として流通構造の変革が起きております。具体的には、エンドユーザーへの直接的な販売の拡大が起きており、ASD Holding Corp.においても、ECを活用したウェブサイトでの自社製品の販売等を含め、ビジネスの転換を図り、売上の伸長やコスト構造の改革に努めております。しかしながら、このような販路の転換に対して、想定していた顧客数が確保できない等の理由により、その売上成長が鈍化、もしくはコスト構造の改革が計画通りに進まない場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
[戦略リスク 事業特有のリスク ウォーターテクノロジー事業]
(10) ブランドに関するリスク
当社グループの保有する数あるブランドのうち、GROHEブランドは富裕層をターゲットとした洗練されたブランドとして認知されておりますが、競争の激しい環境においてさらなる販路の拡大を目指し、従来の欧州中心のビジネスのみならず、アジアやアフリカ等の新興国への展開を進めております。新興国への販路拡大のためには従来よりも柔軟な価格対応や、地域特有のニーズに応える製品の開発が求められることがあります。しかしながら、これらの施策を実施した結果、様々な文化的背景を持つ地域で意図されたシグネチャーエレメンツに対する認識を維持できなくなる可能性があり、これまで当社の連結子会社であるLIXIL Europe S.à r.l.が維持してきたGROHEブランドの価値が毀損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
また、GROHEブランドを維持する際に、テクノロジー内において一貫性のある戦略に基づいた管理がされない場合、GROHEのブランドやデザインの差別化がなされず、ブランド価値が毀損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
[戦略リスク 事業特有のリスク ハウジングテクノロジー事業]
(11) 競合他社との競争・製品価格に関するリスク
当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しております。特に日本国内の建材・建築資材市場は寡占市場となっており、売上収益は競合他社の価格設定に影響を受けます。当社グループは高品質で魅力的な製品を市場へ投入する能力を保持しておりますが、価格面において競争優位に展開できる確証はありません。これにより、当社グループの製品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[オペレーショナルリスク]
(12) 災害・事故・感染症等に関するリスク
当社グループは、日本国内及び海外諸国の複数の拠点において生産・販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害、未曽有の大事故や感染症によって、当社グループの生産、物流、販売活動や情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を受ける可能性があります。特に、災害・事故等の発生により、当社グループの国内及び海外工場の生産活動が停止することは、市場への製品供給に深刻な影響を及ぼし、売上収益に悪影響を与える可能性があります。また、感染症の発生や拡大は当社グループ従業員の健康状態悪化による労働力の低下の可能性や、取引先の生産・販売活動の一部停止等、当社グループの事業活動に支障が出る可能性もあります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[オペレーショナルリスク]
(13) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループが行う生産・販売活動及び各種事業活動は、コンピュータシステム及びコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを利用しております。このため、通信ネットワークに生じる障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウェア、もしくは、ソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによりシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは、業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、売上収益の減少あるいは販管費の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、昨今の高度化・頻発化するサイバー攻撃やDXの推進によりエクスポージャーが高まっていることを鑑み、 発生可能性を「中」から「高」へ変更しております。
[オペレーショナルリスク]
(14) 訴訟その他法的手続に関するリスク
当社グループが国内及び海外において事業展開をする上で、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。知的財産に関しては、第三者が当社グループの知的財産を侵害する可能性や、第三者から当社グループに知的財産に関する訴訟等を提起される可能性があります。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合、多額の損害賠償金の発生や、事業に要するライセンスの取消し等につながる可能性があります。特に、海外においては、各国により求められる要件等が異なるため、意図せず当該要件等に違反してしまう可能性があります。上記の結果として、当社グループの信頼性や評判を損なう等、ブランドイメージの毀損により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[オペレーショナルリスク]
(15) 製造物責任や補償請求に関するリスク
当社グループが提供する製品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、売上原価や販管費等が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
[オペレーショナルリスク]
(16) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対してそれらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得は、マネジメントが確認した3か年分の見積りを基礎としております。当該見積りにおいて、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数の減少が予想される中、粗利率の改善や販管費の削減による収益性向上を見込んでおり、これらの施策の達成には不確実性が伴います。また、税務上の繰越欠損金の繰越年数や使用上限割合が変更される等、当社グループにとって不利な税制改正が行われる可能性が否定できません。これらの結果、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、リスクの洗い出しに際して、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類しており、それぞれ以下のように定義しております。
戦略リスク | 事業戦略の策定及び遂行により獲得を企図する成果が予定通り獲得できない程度及びその発生可能性であり、健全な範囲で事業成果を獲得するために敢えて選択して取るリスク |
オペレーショナルリスク | 戦略遂行を支えるオペレーション上の事象による損失額及び事象発生可能性であり、事業遂行上一定以下に抑制すべきリスク |
これらに基づき、リスクにおける重要性を判断した上で、当社グループの各事業、管理部門、マネジメントの各レベルが当該リスクに応じた対策を立案、実行し、対策の進捗状況をモニターし、継続的に改善する活動を展開しております。
また、監査委員会は取締役会、執行役会及び各委員会への参加、重要書類の閲覧、会計監査人とのコミュニケーション等を通じて、対処すべき優先順位の高いリスクについて適切な対策が実行されているかモニターしております。なお、上記に加えて、必要に応じて各事業及び子会社に対する往査も実施しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、影響度、発生可能性、重要性の前年からの変化をリスクマップに一覧化し、詳細な情報を記載しております。なお、当社グループでは、各リスクについてグループ共通の基準で評価した結果を一元的に管理するために、戦略リスクとオペレーショナルリスクを同一のリスクマップに表示しております。また、記載しているリスクや対応策が互いに強く連関している場合は参照リスクとして該当番号を記載しておりますが、すべての連関を網羅するものではありません。
各リスクに紐づいている重要課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針及び経営環境」に記載のとおりであります。紐づけにおいては、記載しているリスクもしくはその対応策の内容が、重要課題の記述・方針に関連しているかどうかを複数の部門で協議し、決定しております。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(新型コロナウイルス感染症に関するリスク)
2019年11月に発生が確認された新型コロナウイルス感染症は、新たな変異株の出現などにより一部地域においてはいまだに感染の拡大が続いているものの、国内及び海外の大半の地域の事業は前連結会計年度の下半期には回復基調がみられ、当連結会計年度における当社グループの事業活動へ与える影響は限定的であったことから、翌連結会計年度以降における当社グループの事業活動への影響も限定的であると想定しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多く、状況変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。現時点においては日常のリスク管理の中で対応していることを踏まえ、個別のリスクとしてではなく関連するリスクに包含して記載しております。(参照リスク(3)、(12))
(リスクマップ及び凡例)
事業等のリスク | 2022年3月期の以下に関するリスク | 発生 可能性 (注) | 影響度 | 重要性の 前年からの変化 | |||
戦略リスク | 事業横断的な リスク | (1) | 経済状況、為替相場・金利の変動 | 高 | 高 | 同水準 | |
(2) | 新製品の開発 | 低→中 | 中 | 増加 | |||
(3) | 原材料等の供給 | 低→中 | 中 | 増加 | |||
(4) | 環境(気候変動、水、資源) | 中 | 中 | 同水準 | |||
(5) | 事業再編 | 低 | 中 | 同水準 | |||
(6) | 他社との連携・企業買収等 | 低 | 低 | 同水準 | |||
(7) | 人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進 | 低→中 | 中 | 増加 | |||
(8) | 設備等の操業度 | 低 | 低 | 同水準 | |||
事業特有のリスク | ウォーターテクノロジー事業 | (9) | 販売チャネル | 中 | 中 | 同水準 | |
(10) | ブランド | 低 | 高 | 同水準 | |||
ハウジングテクノロジー事業 | (11) | 競合他社との競争・製品価格 | 中 | 中 | 同水準 | ||
オペレーショナル リスク | (12) | 災害・事故・感染症等 | 中 | 高 | 同水準 | ||
(13) | 情報セキュリティ | 中→高 | 中 | 増加 | |||
(14) | 訴訟その他法的手続 | 低 | 中 | 同水準 | |||
(15) | 製造物責任や補償請求 | 低 | 中 | 同水準 | |||
(16) | 繰延税金資産の回収可能性 | 低 | 中 | 同水準 |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(1) 経済状況、為替相場・金利の変動に関するリスク
当社グループは、グローバルに販売活動を行っており、その売上収益は世界における需要、景気、物価の変動、産業・業界の動向に影響を受けます。特にアルミ、銅、樹脂、半導体など原材料価格やコンテナ不足による物流コストの上昇は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、新設住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動が、また、海外諸国においては、戦争、内乱、紛争、暴動、テロ等が発生した場合も、同様に当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、為替相場の変動は、当社グループの外貨建取引により発生する資産及び負債の円貨換算額や外貨建で取引されている製品の価格や売上収益等にも重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入や社債の発行等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの資金調達に係る金利負担が増加し、借入や社債発行による資金調達の難航や支払利息・社債利息が増加する等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
発生可能性 | 高 | 影響度 | 高 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 日本での販売活動においては、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数減少の予想を踏まえ、新築市場におけるシェアの拡大の取り組みのみならず、中高級品市場への拡販、リフォーム戦略の強化を進めております。また、海外での生産・販売活動においては、外部の第三者機関等を通じて政治情勢、政策変更等をモニターすることにより、政情不安等の地政学リスク顕在化の兆候の早期把握や、代替調達先の確保による製品・原材料を含めた適切な在庫水準の維持により、安定的な供給体制の構築に努めております。(参照リスク(3)) さらに、日本の財務部門において、運転資金及び投融資による資金需要を把握し、投資審査委員会等で案件を審査する体制を構築しております。また、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各拠点において為替相場の動向を月次でモニターするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替相場の変動影響を低減しております。当該「リージョナル・トレジャリー・センター」に各地域における資金管理業務等を集約することにより、資金調達の効率化及び安定化を進めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :サプライチェーンマネジメント、リスクマネジメント |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(2) 新製品の開発に関するリスク
当社グループは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」のために、常に技術と顧客ニーズを的確に把握し、魅力ある製品開発を行っております。しかしながら、市場や業界のニーズ変化に対応できない、あるいは十分な開発投資を維持できず上市に至らない、上市に至ったとしても新製品の価値が顧客ニーズに十分訴求できない等の場合、将来の成長鈍化と売上収益の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、顧客ニーズをより意識した開発を進める一方、エンドユーザーの価値観は多様性や変化に富むことを鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 増加 |
対応策 | 革新的なスタートアップ企業との提携やグローバル情報ネットワークの活用を通じて、消費者ニーズの変化に迅速に対応する体制を構築しております。自宅にいながら来館時と同様のサービスが受けられる「LIXILオンラインショールーム」や欧州における「GROHE X」など、当社グループ独自のデジタル技術を組み合わせ、エンドユーザーとビジネスパートナーをつなぎ、新たな価値を提供するエコシステムを確立しております。開発にはデザインの総合力を重視し、デザインとテクノロジーを融合させることで新たな価値を生み出す製品開発を加速させております。また、顧客志向を強化するインクルージョン文化の醸成として、日本では「LIXILユニバーサルデザインコンセプト」を取り入れ、誰もが使いやすい製品の開発、提供に努めております。加えて、世界的な人口増加に伴い、水や資源の責任ある利用が企業や個人に求められていることを踏まえ、製品の原材料として可能な限りリサイクル素材を使用し、製品使用時における水やエネルギーの効率性を高め、長寿命化とリサイクル性を考慮した設計を行うなど、製品やサービスの設計においても責任ある水や資源の使い方を推進し、消費者のニーズに訴求しております。 開発プロセスにはステージゲートの設定・運用、上市後は新製品業績の管理により、市場トレンドと開発戦略が適合しているか確認しております。 その他の取り組みとして、クラウドファンディングを活用し、市場に対して新しい価値を提供する製品を試験的に販売することで、消費者のニーズや嗜好のトレンドの収集を行っております。 また、コストや納期よりも品質を最優先する風土の醸成に努めております。具体的には、「お客様から選ばれるLIXIL Qualityを実現しよう!」という品質テーマを掲げ、すべての組織が「お客様の満足」という同じ方向を向き、相互にカバーしながら結果につながるよう努めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:グローバルな衛生課題の解決、気候変動の緩和と適応、水の持続可能性の追求、 資源の循環利用の促進、製品ライフサイクルを通じた環境への影響、多様性の尊重 高 :製品の安全性、顧客満足、ステークホルダーエンゲージメント 中 :情報セキュリティ |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(3) 原材料等の供給に関するリスク
当社グループの生産活動においては、資材、部品、その他のサービス等の供給品を適宜に調達しております。そのため、業界の需要増加や事業展開国におけるインフレ等による原材料価格の高騰、コモディティの価格変動や重要な物的資源(アルミ、銅、ステンレス等)の調達可能性の変動の結果、売上原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、資材、部品、その他のサービス等の供給品は、欠陥や欠品により当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、生産・販売活動と密接に関わる物流業務に関して、新型コロナウイルス感染症拡大による供給遅延や石油価格の変動、人件費の高騰などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、昨今の原材料価格の高騰や調達可能性の変動を鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。(参照リスク(4))
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 増加 |
対応策 | 原材料価格高騰部分の販売価格への転嫁、価格変動のヘッジを目的としたデリバティブの活用、複数購買の実施、有事における対応力の強いサプライヤーへの集約、取引先の信用情報調査や人権を含んだ責任ある調達アンケートの実施、取引先との定期的なコミュニケーションの実施、2次サプライヤーも考慮したカントリーリスク対応の推進、定期的な品質テスト、安全在庫量の確保等により、BCPの観点を踏まえた安定的な供給体制の構築に努めております。また、製品の原材料として可能な限りリサイクル素材を使用し、長寿命化とリサイクル性を考慮した設計や製品のCradle to Cradleの認証取得を推進するなど、循環型社会への移行を目指しております。さらに、物流効率の改善に取り組むことで物流費の安定化を図っております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:資源の循環利用の促進、製品ライフサイクルを通じた環境への影響 高 :製品の安全性、人権、サプライチェーンマネジメント、リスクマネジメント |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(4) 環境(気候変動、水、資源)に関するリスク
当社グループは、製品開発から調達、生産、販売活動に至る事業活動において地球環境保全に向け様々な活動を行っております。特に近年においては、気候変動が自社のバリューチェーンにもたらす政策・規制や市場変化による移行リスク、異常気象などの物理リスクが顕在化する可能性が高くなっております。さらに、今後世界的な水問題への対応、原材料・部材の価格高騰、石油由来のプラスチックに関する規制強化、サーキュラー・エコノミーの台頭による消費者嗜好の変化等の市場変化に柔軟に対応していかなければ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 当社グループでは、執行役会から任命を受けた担当役員が委員長を務める環境戦略委員会を設置し、環境ガバナンスに関わる規程や方針の制定、気候変動を含む環境重要課題に対する施策の審議と決定、当社グループ全体の目標管理とモニタリングなど、環境戦略の構築と実行を実施しております。 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえ、気候変動問題が当社グループに及ぼすリスクと機会を特定・評価し、執行役会・取締役会へ報告・承認を経て、環境戦略に反映させる取り組みを進めております。移行リスクに対しては、生産活動におけるエネルギー使用効率化や積極的な再生可能エネルギー活用に加えて、今後はサプライチェーン全体での環境負荷削減の取り組みを強化してまいります。さらに、インターナルカーボンプライシングのより実効的な運用に向けた検証や、2050年に向けた長期的な脱炭素技術の開発や導入を促進していくための製造技術や製品材料の研究を進めております。また、物理リスクに対しては、BCP計画によるリスク最小化、生産バックアップ体制整備、固定資産への保険、渇水対策のための取水管理などを進めております。 気候関連を含めた移行リスク及び機会への対応においては、環境目標・実行計画に落とし込み、環境パフォーマンス向上やリスク管理に関わる施策を推進・展開し、その進捗の監視と振り返りを行う管理プロセスの構築を進めております。また、ISO14001もしくは環境マネジメントシステムによる環境関連法令の洗い出しや遵守の点検ルールを定め、運用状況について定期的に内部監査を実施しており、内部監査で指摘があった事項については、フォローアップを行い、改善の実施を確認することで、環境マネジメントシステムの効果的な運用につなげております。 環境ビジョン2050「CO2ゼロと循環型の暮らしを」を掲げ、2050年までのCO2排出ネットゼロ及び水の恩恵と限りある資源を次世代につなぐことを目指した活動を推進しております。その中間目標である2030年までのCO2削減目標(Science Based Targets)については、従来の2℃水準から1.5℃水準へ上方修正し、認定を更新する計画です。さらに、住宅・建築物で使用されるエネルギーや水の削減に貢献するための機会管理の指標として、環境配慮型製品の販売構成比の向上を進めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:気候変動の緩和と適応、水の持続可能性の追求、 資源の循環利用の促進、製品ライフサイクルを通じた環境への影響、環境マネジメント 高 :サプライチェーンマネジメント、コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント |
パリ協定及びSDGsの目標13に掲げられているとおり、CO2削減のため、製造・販売活動の見直しや気候変動による影響を低減するための取り組みを実施することが以前にも増して企業に求められております。また、世界的な人口増加や経済成長に伴い、SDGsの目標12や目標6に掲げられているとおり、持続可能な資源利用や節水・浄水技術に対する需要が高まっております。
このようなニーズに対応するために、当社グループは、「環境ビジョン2050」を定め、①気候変動対策を通じた緩和と適応(事業プロセスと製品・サービスによる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする)、②水の持続可能性を追求(節水や水の循環利用、浄水技術などを通じて、水の環境価値を創造する)、③資源の循環利用を促進(循環型社会への変革に貢献し、限りある資源を未来につなぐ)の分野に注力いたします。事業プロセスにおいては、工場やオフィスでの徹底した省エネ活動や、再生可能エネルギーの利用、製造プロセスのエネルギー効率化に向けた技術開発を推進してまいります。また、各地域の水関連の問題に対する事業へのリスクを把握し、水使用効率の改善や循環利用、排水管理などの適切な施策を実施することで、事業を行う地域で継続した水の利用を可能にする環境の維持に努めております。さらに、廃棄物の削減や適切な管理を徹底するとともに、サプライヤーと協働し、新規に投入する資源の最小化や、リユース・リサイクルをさらに促進することで、社会とともに資源の循環利用を加速させる仕組みを構築してまいります。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(5) 事業再編に関するリスク
当社グループは、経営の効率化及び競争力強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員配置等の適正化による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、事業再編後の組織において全社的な戦略上の優先順位が劣後し、経営資源が適切に配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
さらに、投融資等の意思決定の際に、事業戦略、領域、展開国等に内在するリスクが的確に識別されず、投資実行後に当初想定していた利益やシナジー効果を実現できないことや、経営における優先順位の変更による意思決定の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 経営陣と従業員とのコミュニケーション強化を図ることにより、当社グループの経営戦略の浸透を図っております。 事業・地域ポートフォリオマネジメントを強化することを通じて経営資源配分の優先順位を明確にすることにより、事業再編後の組織において、シナジー効果の最大化や戦略実効性の向上が早期に実現するよう努めております。事業再編後のスムーズな組織の構築に向けて、M&Aにおける買収先企業のPMIを強化しております。その一環として、ガイドラインの策定を通じて、PMI推進体制及び進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用による子会社のガバナンス強化を推進しております。さらに、当社又はその子会社による会社の新設、事業再編等を含む投融資に関する事項(投融資案件)については、その内容や金額的重要性に応じて適時適切な判断ができるよう、投資審査委員会やM&A委員会による審査や決議をする体制を整えております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :企業倫理とインテグリティ、コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(6) 他社との連携・企業買収等に関するリスク
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがありますが、買収・投資実行後にグループ全体に内在するリスク及びオポチュニティを適時・的確に識別することができないことに加え、優秀な人材の離職や人材の融合が進まないことにより、当初想定した利益やシナジー効果を実現できない、あるいは買収後に偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する可能性があります。さらに、事業拡大後、当社グループと対象事業の戦略が整合しておらず、全社的な戦略上の優先順位が劣後し、経営資源が適切に配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 低 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 統合時における対応策として、統合に関するグローバル共通のポリシーを策定し、統合後のレビューやモニタリングプロセスを効率的に整備・運用する体制を強化しております。また、環境や人権などのサステナビリティ項目についても、ポリシーに盛り込んでおります。統合後においては、シナジー創出に向けて効率的でフラットかつシンプルな組織構造の構築を目的とし、意思決定の迅速化を含めた組織変革を推進するとともに、対象事業の従業員が当社グループの一員としてすぐに活躍できるよう、インクルーシブな文化の醸成や環境整備に取り組んでおります。 投融資案件については、その内容や金額的重要性に応じて、投資審査委員会やM&A委員会による審査や決議をする体制を整えております。また、買収先企業のPMI強化の一環として、ガイドラインの策定を通じて、PMI推進体制及び進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用によりガバナンスを強化しております。 なお、対応策については2015年に発覚した当社の海外子会社であったJoyou AGにおいて不適切な会計処理が行われていた事実(Joyou問題)への再発防止策を踏まえたものであります。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:環境マネジメント、多様性の尊重 高 :人材と能力開発、企業倫理とインテグリティ、人権、コーポレート・ガバナンス、 リスクマネジメント |
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(7) 人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進に関するリスク
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ダイバーシティ推進における社内の人材育成の重要性が増したこと及び従業員の価値観は多様性や変化に富むことを鑑み、発生可能性を「低」から「中」へ変更しております。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 増加 |
対応策 | 当社グループにおいて、継続的な事業の発展のためにグループ全体で女性のさらなる活躍、障がいのある従業員のための取り組みや人種における平等、性的マイノリティに関する取り組み等を推進しており、地域ごとに人事制度の改定や拡充を行うほか、風土を醸成するために社内イベント等を行っております。 日本において、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開するほか、人事・教育体系を充実させ、従業員の定着と育成に努めております。また、グローバルで活躍できる人材を育成するために、各プログラム(海外派遣研修、選抜型の育成プログラム、eラーニング等)を実施しております。多様なバックグラウンドを持つ従業員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう、ダイバーシティ・マネジメントを推進しており、多様な人材を受け入れる企業文化の醸成、在宅勤務等の職場環境の整備、エキスパート制度等の新たな人事制度の構築に取り組んでおります。 さらに、「シェアード・サービス・センター」をアジアのみならず、欧米諸国及び日本においても設立し、各地域におけるガバナンスを強化するとともに、間接業務の集約化や効率化を図ることにより、日本国内あるいはグローバルにおける将来の労働環境に左右されない柔軟な組織を構築することを目指しております。加えて、「報酬・福利厚生委員会」を設置し、グローバルでの処遇の公平性・透明性に向けた取り組みを強化しております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:多様性の尊重 高 :従業員の安全と健康、人材と能力開発、企業倫理とインテグリティ、人権 |
近年、高齢化の進行による高齢世帯の増加及び障がい者人口の増加に対応した製品の必要性が高まっております。また、SDGsの目標5にて掲げられているとおり、企業に対して高齢者や障がい者の雇用だけでなく、ジェンダー格差の是正に対する取り組みも求められております。
このようなニーズに対応するために、多様性から生み出される活力を起業家精神醸成の源と捉え、将来へ向けた成長とイノベーションを達成するために、「LIXILダイバーシティ&インクルージョン宣言」を採択し、グループ内にて実行しております。また、組織の変革と事業戦略の実現に向けてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを加速させることを目的に、2020年9月にD&I委員会を設立いたしました。多様な人材を組織内に定着させるために、組織全体に平等性と包括性を浸透させるための施策を強化するとともに、インクルージョンの文化を醸成し、あらゆるレベルにおいて多様な人材の採用、登用を進めることができるよう、ベンチマークを設定し、進捗をモニターしてまいります。
これらの取り組みにより、現在のみならず将来の事業展開国・地域における当社グループの持続的な成長と存在意義及びブランドイメージの向上を実現することを目指しております。
[戦略リスク 事業横断的なリスク]
(8) 設備等の操業度に関するリスク
当社グループの主要な事業では、多様な製品の製造を行っているため、製造拠点となる工場等の生産設備を数多く所有しており、その展開地域も多岐にわたっております。当該生産設備について、需給の変動、労働力の減少や災害の発生等をはじめとする様々な要因で操業度が低下する可能性があります。操業度の低下により、当初想定した収益を獲得できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 低 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 当社CFO直轄組織がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを推進することにより、遊休資産の発生や業績悪化に伴う固定資産の減損兆候を早期に捉えることを可能とし、業績悪化の兆候を把握した際には適時に対策が打てる体制を構築しております。また、当社グループ全体としての効率を重視した事業用資産の稼働状況や遊休状態の有無のモニタリング及び不動産管理を行っており、関係部署へ定期的に確認を行っております。 また、包括的な損害保険への加入により、財務的損失をカバーするよう努めております。(参照リスク(12)) | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :リスクマネジメント |
[戦略リスク 事業特有のリスク ウォーターテクノロジー事業]
(9) 販売チャネルに関するリスク
当社の連結子会社であるASD Holding Corp.は様々な需要に応じて幅広い製品を展開しておりますが、近年特に北米を中心として流通構造の変革が起きております。具体的には、エンドユーザーへの直接的な販売の拡大が起きており、ASD Holding Corp.においても、ECを活用したウェブサイトでの自社製品の販売等を含め、ビジネスの転換を図り、売上の伸長やコスト構造の改革に努めております。しかしながら、このような販路の転換に対して、想定していた顧客数が確保できない等の理由により、その売上成長が鈍化、もしくはコスト構造の改革が計画通りに進まない場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 販売チャネルの拡大を進めるために、従来、外部の販売代理店が行っていた営業活動を内製化し、非住宅設備案件に影響力を持つ施工会社等のステークホルダーに専門性を持った担当者が直接アプローチすることで自社製品の販売促進に努めております。 また、自社のECサイトを活用し、エンドユーザーからの直接需要を効率的に取り込んでおります。さらに、取引先のECサイトへ新たな機能を追加し、エンドユーザーの購買行動の促進に努めております。 安定した販売活動を支え、運営上の安全性を担保するため、目的に応じ適切な管理システムを導入することで情報漏洩やサイト運営に支障が出ることを事前に防ぐ体制を整えております。また、コスト構造の改革については、当社グループ全体としての効率を重視した製造・物流拠点の選択など、ASD Holding Corp.のみに留まらない改革を進めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :顧客満足、サプライチェーンマネジメント 中 :情報セキュリティ、責任あるマーケティングと広告 |
[戦略リスク 事業特有のリスク ウォーターテクノロジー事業]
(10) ブランドに関するリスク
当社グループの保有する数あるブランドのうち、GROHEブランドは富裕層をターゲットとした洗練されたブランドとして認知されておりますが、競争の激しい環境においてさらなる販路の拡大を目指し、従来の欧州中心のビジネスのみならず、アジアやアフリカ等の新興国への展開を進めております。新興国への販路拡大のためには従来よりも柔軟な価格対応や、地域特有のニーズに応える製品の開発が求められることがあります。しかしながら、これらの施策を実施した結果、様々な文化的背景を持つ地域で意図されたシグネチャーエレメンツに対する認識を維持できなくなる可能性があり、これまで当社の連結子会社であるLIXIL Europe S.à r.l.が維持してきたGROHEブランドの価値が毀損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
また、GROHEブランドを維持する際に、テクノロジー内において一貫性のある戦略に基づいた管理がされない場合、GROHEのブランドやデザインの差別化がなされず、ブランド価値が毀損し、その売上成長が鈍化、もしくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 高 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 継続的なブランド投資によりブランド価値の維持や、製品開発を実施しております。また、グローバルでGROHEブランド及び競合他社ブランドの販売価格を継続的にモニタリング・分析し、収集した情報を元にブランド戦略に沿った価格を設定・共有した上で、当社グループ全体において統一的な施策を立案・実行できる仕組みを整備しております。その結果、競争の激しい市場においてもブランド価値を反映した価格帯を維持できるよう対応しております。さらに、ウォーターテクノロジー事業におけるGROHEブランドの位置付けについて、事業内の他ブランドとの差別化を図るため、ブランドデザインの使用に関するルールを設け、ブランド価値の維持・管理に努めております。このような総合的なブランド戦略により、GROHEブランドの認知度を高め、市場でのトップポジションを維持することを目指しております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:多様性の尊重 高 :顧客満足 中 :責任あるマーケティングと広告 |
[戦略リスク 事業特有のリスク ハウジングテクノロジー事業]
(11) 競合他社との競争・製品価格に関するリスク
当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しております。特に日本国内の建材・建築資材市場は寡占市場となっており、売上収益は競合他社の価格設定に影響を受けます。当社グループは高品質で魅力的な製品を市場へ投入する能力を保持しておりますが、価格面において競争優位に展開できる確証はありません。これにより、当社グループの製品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 競合他社との激しい競争による市場価格の下落に対し、多様なニーズに寄り添った付加価値製品の市場投入による差別化を進め、販売価格の底上げに取り組んでおります。また、生産活動においても、インテリア、エクステリア、ドア製品においては、共通部分の生産を汎用設備で行うことで生産スペースを削減(プラットフォーム化)しており、当連結会計年度にはサッシ製品についてもプラットフォーム化が完了し、投下資本効率の向上を見込んでおります。プラットフォーム化により、新製品の早いサイクルでの市場投入を可能とし、時代に合った新しい価値を常に提供し続けることも可能となります。 その他の取り組みとして、クラウドファンディングを活用し、市場に対して新しい価値を提供する製品を試験的に販売することで、価格ではなく「価値」で顧客に選ばれる取り組みを実施しております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:多様性の尊重 高 :顧客満足 中 :責任あるマーケティングと広告 |
[オペレーショナルリスク]
(12) 災害・事故・感染症等に関するリスク
当社グループは、日本国内及び海外諸国の複数の拠点において生産・販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害、未曽有の大事故や感染症によって、当社グループの生産、物流、販売活動や情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を受ける可能性があります。特に、災害・事故等の発生により、当社グループの国内及び海外工場の生産活動が停止することは、市場への製品供給に深刻な影響を及ぼし、売上収益に悪影響を与える可能性があります。また、感染症の発生や拡大は当社グループ従業員の健康状態悪化による労働力の低下の可能性や、取引先の生産・販売活動の一部停止等、当社グループの事業活動に支障が出る可能性もあります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 中 | 影響度 | 高 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 特に国内拠点においては、事業や財務への影響の低減を目的として、財務的損失をカバーするため包括的な損害保険への加入、工場の分散、耐震工事の実施、サプライヤーの分散や連携強化等により、自然災害等発生時のリスク分散体制を構築した上で、早期に復旧できるようBCP計画の策定及び定期的な見直しを実施しております。また、海外拠点についても、保険への加入等の予防策とともに、当該事象が発生した後に迅速な対応をとることができるような体制構築に努めております。 当社グループでは、従業員及び家族の命の安全確保を最優先に対応しております。ロシア・ウクライナ情勢に関しては、タスクフォースを早々に立ち上げ、従業員とその家族の避難等の支援、営業活動や経済制裁など幅広い論点に対応し、情報共有することで経営層が積極的に関与し必要なグローバル対応を行っております。 感染症対策に関しては、感染拡大を防止するため、出張・移動・出社の制限、感染予防法の周知、感染発生時の対応準備、感染発生時の報告フロー整備などを行っております。また、当社グループでは、在宅勤務の環境整備と運用を従来から推進しており、従業員が安心して働ける環境を構築するとともに、事業活動を従来通り継続することに努めております。 在宅勤務の推進とデジタル技術の活用を踏まえ、有事の際の安否確認、情報共有やコミュニケーションをよりタイムリーに行えるよう努めております。なお、災害発生時の行動や対策についても従業員への周知徹底を実施しております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:気候変動の緩和と適応 高 :従業員の安全と健康、サプライチェーンマネジメント、リスクマネジメント |
[オペレーショナルリスク]
(13) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループが行う生産・販売活動及び各種事業活動は、コンピュータシステム及びコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを利用しております。このため、通信ネットワークに生じる障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウェア、もしくは、ソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによりシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは、業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、売上収益の減少あるいは販管費の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、昨今の高度化・頻発化するサイバー攻撃やDXの推進によりエクスポージャーが高まっていることを鑑み、 発生可能性を「中」から「高」へ変更しております。
発生可能性 | 高 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 増加 |
対応策 | 情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する社内規程の整備、不正アクセス等を未然に防止するための対策、従業員に対する教育等を実施し、さらにこれらの取り組みを定期的に評価・見直すことにより、情報セキュリティマネジメントの継続的な改善を実施しております。特に、効率的で安定した事業活動の遂行を担保するため、老朽化した基幹システムの刷新を進めており、また、サイバー攻撃全体への対応としてCSIRT (シーサート: Computer Security Incident Response Team)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築いたしました。 IoT (Internet of Thing)やOT (Operational Technology)も含めたサイバーセキュリティ強化の構築も推進しております。また、個人情報保護に関する法令を遵守すべく、必要な社内規程の整備、EU一般データ保護規則 (GDPR)で要求されるデータ保護責任者を含む個人情報責任者の設置、適切な研修の実施を行っております。 さらに、在宅勤務につきましては、従前より導入を進めておりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、推進されたことに伴い、情報漏洩防止に関するルールの周知・徹底、理解度向上のための従業員教育の強化に努めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :リスクマネジメント 中 :情報セキュリティ |
[オペレーショナルリスク]
(14) 訴訟その他法的手続に関するリスク
当社グループが国内及び海外において事業展開をする上で、訴訟その他の法的手続の対象になる可能性があります。知的財産に関しては、第三者が当社グループの知的財産を侵害する可能性や、第三者から当社グループに知的財産に関する訴訟等を提起される可能性があります。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合、多額の損害賠償金の発生や、事業に要するライセンスの取消し等につながる可能性があります。特に、海外においては、各国により求められる要件等が異なるため、意図せず当該要件等に違反してしまう可能性があります。上記の結果として、当社グループの信頼性や評判を損なう等、ブランドイメージの毀損により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | Legal部門が、契約審査や各国の要件調査等を通じて、訴訟その他法的手続の発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続が発生した場合には、必要に応じて外部専門家と連携しながら適時に対応し、当社グループへの悪影響を最小限に抑えることに努めております。 また、知的財産に関しては、知的財産部門と事業部門が連携し、SATOブランドをはじめとする事業展開に有用な知的財産権の取得を行うとともに、製品開発のステージゲートの中に知的財産権のリスクアセスメントを組みこむなど開発段階から第三者の知的財産権の調査分析を行い、訴訟その他法的手続の発生を未然に防止するよう努めております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 優先:グローバルな衛生課題の解決 高 :リスクマネジメント |
[オペレーショナルリスク]
(15) 製造物責任や補償請求に関するリスク
当社グループが提供する製品・サービスには、欠陥が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるような場合には、多額の支払が生じるとともに、当社グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、売上原価や販管費等が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 開発及び設計の各段階で品質に関するゲートを設け、当該ゲートで指摘された問題を解決しなければ次のゲートに進むことができないルールを定め運用することにより、製品・サービスが大規模な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性を低減しております。また、コストや納期よりも顧客目線での品質を最優先する風土の醸成に努めております。(参照リスク(2)) | ||||
重要課題 との関連性 | 高 :製品の安全性、顧客満足、企業倫理とインテグリティ、リスクマネジメント |
[オペレーショナルリスク]
(16) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対してそれらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得は、マネジメントが確認した3か年分の見積りを基礎としております。当該見積りにおいて、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数の減少が予想される中、粗利率の改善や販管費の削減による収益性向上を見込んでおり、これらの施策の達成には不確実性が伴います。また、税務上の繰越欠損金の繰越年数や使用上限割合が変更される等、当社グループにとって不利な税制改正が行われる可能性が否定できません。これらの結果、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
発生可能性 | 低 | 影響度 | 中 | 重要性の前年 からの変化 | 同水準 |
対応策 | 見積りの達成にあたっては、当社グループ全体の業績管理を担う企画管理部門によるモニタリングを強化しており、見積りの達成を阻む要因があれば、早期に対応できる体制を構築しております。 さらに、当社CFO直轄組織がガバナンス強化の取り組みの一環として国内外子会社の業績管理プロセスを強化することにより、業績悪化の兆候を早期に捉えるようにしております。また、税制改正にかかる情報については、当社税務部門において早期に捉えるようにしております。これらの部門が、業績悪化の兆候や税制改正にかかる情報を把握した際には、当社経理財務部門及び税務部門と協議を行い、繰延税金資産の回収可能性に関して見直しの必要性を含めて適時に対策が打てるような体制を構築しております。 | ||||
重要課題 との関連性 | 中 :税の透明性 |
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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