有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R207 (EDINETへの外部リンク)
オムロン株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループは、技術の強化と人財の育成を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め、研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として進化させ続けている「センシング&コントロール+Think」技術を技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業、電子部品事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。
(1)オムロングループの研究開発への取組み
2022年度の取組みとしては、ロボティクス、センシング、パワーエレクトロニクス、AI・データ解析を自社コア技術の注力領域として継続的な高度化の取組みを行っています。
ロボティクスにおいては、技術・知財本部の研究開発拠点である京阪奈イノベーションセンタにロボット開発専用の実験環境スペース「ROBOBASE」を新設するなど、人に寄り添うロボット技術の開発に注力しています。
フォルフェウスは、オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」で、機械が人の能力や創造性を引き出す「人と機械の融和」をわかりやすく体現するロボットです。2021年度から取り組んだ第7世代は、最新のAIや、ロボティクスなど、オムロンのコア技術の活用により、ダブルスを組む2人のチームパフォーマンスを高める機能を搭載しています。
フォルフェウスを始め、オムロンのコア技術に関する情報はこちらをご覧ください。
https://www.omron.com/jp/ja/technology/
パワーエレクトロニクスにおいては、今後、電気自動車の急速な普及拡大が見込まれている中、技術・知財本部と社会システム事業の開発部門が連携し、電気自動車を大容量の蓄電池システムと見立て、自然災害時には貯めた電気を住宅や施設で活用可能なV2Xシステムの要素技術を開発いたしました。同システムは、既存の太陽光発電や蓄電池システムとも接続が可能でありながら国内最小最軽量クラスを実現、これまで設置が難しかった狭小地等にも設置が可能な高い自由度を実現しています。
また、ロボティクスやAI・データ解析においては、技術・知財本部に属する研究子会社であるオムロン サイニックエックス株式会社の牛久 祥孝がプロジェクトマネージャーを務める研究テーマ「人と融和して知の創造・越境をするAIロボット」が、内閣府が推進する困難でインパクトが大きな社会的課題の解決に取り組む挑戦的な研究プロジェクトに資金を提供する「ムーンショット型研究開発制度」における目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」のプロジェクトに採択されました。
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は442億77百万円、当連結会計年度は501億82百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用64億84百万円が含まれています。
(2)知的財産活動
新たな価値創出を進める中で、知的財産は非財務価値の要素としてますます重要となっています。オムロングループの柱として活動する技術・知財本部傘下の知的財産センタは、知財で新たな価値を創り届け、我々の持続的成長に導くように、ミッション、ビジョンを定めて、日々の活動に取り組んでいます。
知的財産戦略について取締役会の議題として定期的に報告・議論を行うと共に、CTO管掌の元、知的財産センタが司令塔となって、全社横断で知的財産活動に取り組んでいます。知的財産センタは、コーポ―レートの全社技術開発、新規事業創出における知財戦略の策定・実行のほか、事業部門における知財活動の推進責任者を配置し、事業戦略と連結した知財戦略の策定・実行・監督を行っています。2022年度においては、長期ビジョンの実現に向けて知財・無形資産の活用と連結する価値創造ストーリー(ビジネスモデル)の具体化を進めており、「独占排他型」と「シェアリング&インクルージョン型」を最適なバランスで組み合わせ、両利きの知財活動を実行する、全社知的財産戦略の方向性を、取締役会に報告しました。取締役会では、知財活動が従来以上にビジネスモデルに直結した活動に進化している点や、長期ビジョンのコトビジネス化の推進にタイムリーな取組みである点、社内における知財活用の浸透、知的財産財の知見とビジネスセンスを保有する専門人財育成の重要性などについて、活発な議論が行われました。
両利きの知財活動においては、自社特徴技術の権利化とそれを活用した権利行使の強化だけでなく、近未来デザインを実現する複数のシナリオを知財アーキテクチャとして策定し、ソーシャルニーズの先行出願を行うことで、オムロンユニークな価値を届ける知財活動を強化しています。また、技術者の特許に対するスキル向上のための社内研修を、全技術者向けに継続的に実施すると共に、発明褒賞制度や知財表彰制度を活用することで、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的な知財活動の強化を通じて事業成長を図っています。さらに、モノ視点からコト視点への事業環境変化によって発明者の裾野が拡大しているため、技術者のみならず企画部門などの非開発部門のメンバーも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出を推進しています。
2022年度には、公益社団法人 発明協会が主催する2022年度全国発明表彰において、製造装置等の信頼性を高めるソフトエラー対策法の発明で、「発明賞」を受賞しました。本発明は、デジタル機器の中核をなすマイクロプロセッサーやメモリーなど半導体デバイスの偶発的エラーを防ぐことで、製造現場のシステム、そして将来的には、EVや自動運転、医療機器といったデジタル機器の信頼性を向上し、人々の安心・安全を支える新技術です。 |
(3)事業セグメント別の研究開発活動
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
金額(百万円) | |
インダストリアルオートメーションビジネス | 27,028 |
ヘルスケアビジネス | 7,905 |
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス | 3,503 |
デバイス&モジュールソリューションズビジネス | 5,262 |
本社他 | 6,484 |
合計 | 50,182 |
①インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
社会的マテリアリティ実践に対する社会からの期待は一段と加速している中、“社会的”課題と“経済的”課題の両方を同時に解決すべく3つのモノづくりのコンセプトを定めています。人を重労働から解放しエネルギー制御と融合させる「①人を超える自働化」、機械が人に寄り添い人の可能性を引き出し、人と機械が共に成長する「②人と機械の高度協調」、前述の2つのコンセプトを支える、現場の商品や人のナレッジ、そしてデータを繋ぎ、価値ある形に擦り合わせる「③デジタルエンジニアリング革新」です。
これら3つのコンセプトを基に、デジタルデバイス、環境モビリティ、食品・日用品、医療、物流の5つの業界ドメインにおいて、顧客起点で価値創造とグローバルの顧客への価値伝達を進めています。従来のオムロン起点の「モノ」視点から、「コト」視点で俯瞰して顧客課題を捉えるようにシフトし「ソリューション」としての創出・提供にも取り組んでいます。「ソリューション」は様々な先進コア技術やオムロンの幅広いFA商品群を起点にして、機能モジュールやソフトウェア、アプリケーション、サービスを体系的に構成し、各業界の顧客や工程に合わせて提供できるように価値創出を強化しています。新規技術については積極的にパテントを出願や活用する取組みも強化し、各種の受賞も得ています。
②ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、疾患の早期発見・治療に繋げることを目的として、血圧、脈拍、脈波、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を進めるとともに、遠隔診療サービスのシステム開発・改善に取り組んでいます。
呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発にパートナーと共に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな鎮痛技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。
③ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。
エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。
また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。
④デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としてエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。リレー技術において、アーク遮断技術と産学連携による三次元アークシミュレーション技術により蓄電システムの充電および放電時に流れる直流電流のオン/オフ制御と安全遮断機能を1つのリレーで実現すると共に、高電圧直流電流の安全遮断プロセスを解析しその解析結果を構造設計に反映することで製品サイズをコンパクトにした高電圧直流リレーを発売しました。カーボンニュートラルの実現や災害用レジリエンス強化に向けて蓄電システムのニーズが高まっており、太陽光発電システムで作り出した電力の自家消費を目的として家庭用蓄電池は製品の高容量化が進んでいます。これを実現するにあたり製品の安全性と小型化が課題となっており、アーク制御技術とCAEによる評価・解析技術を活用することでリレーの高容量化だけでなく安全性・小型化まで実現し、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会の実現に貢献します。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01755] S100R207)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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