有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R3B5 (EDINETへの外部リンク)
住友金属鉱山株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)
(1) リスクマネジメント
①リスクの考え方
当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方が有ると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して、「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。
②リスクマネジメント(RM)の体制・枠組
1999年に株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、社長を最高責任者とするリスクマネジメントシステム(下図参照)によって各種リスクを管理しています。成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクについては、社長をはじめとする執行役員により経営諸会議で議論し、そこで抽出された特に重要なリスクについては取締役会で審議した上で対応方針及び責任部門を定め取り組み、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクには拠点長が責任者となって取り組むことにしています。リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組などリスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置し、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制を整えています。なお、震災や感染症、社会的に影響が大きい産業事故などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。
(2) 事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
①事業環境の変動
a. 非鉄金属価格の変動
銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動し、それらの影響による変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。
b. 為替レートの変動
銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。
2023年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。
(注)上記の為替レート変動の影響額は国内の製錬収入及び海外換算為替差の合計となります。
c. 法規制の変化
当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。海外における事業活動については、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易・防諜対策等の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、あるいは資源ナショナリズムを背景とした国有化や当社権益の制約など、個々の国ごとに政治的リスクが存在しており、それらのリスクの顕在化により鉱石の輸出禁止による原料供給障害の発生や工場の操業停止などによる当社の事業運営や収益への影響のみならず、ひいては当該投下資金の回収も達成しえなくなる可能性が考えられます。
当社グループは、事業のグローバル展開に伴い、カントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っています。また進出後も海外現地パートナーと協力し、進出状況をモニタリングし、変化に応じて適宜対策を講じています。
d. 非鉄金属原料及び資機材調達の不安定化
銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料には、当社が権益を保有する鉱山からの調達のみならず、当社が権益を保有しない鉱山会社との長期買鉱契約によるものもあります。この長期買鉱契約に基づく毎年の原料購入条件の改定交渉においては、さまざまな市場や操業鉱山の要因により想定した購入条件を確保できるとは限らず、さらには製品価格がLME相場等で決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が停止する可能性があります。これらにより当社グループの工場で操業が停止するなどして、財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性もあります。
これらに対し当社グループは、優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めています。
また、資機材の調達においても国際紛争など地政学的リスクの発現や異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により製造元の稼働停止やサプライチェーンの途絶など、調達困難及びそれら価格の高騰が生じる可能性があります。
当社グループは、これら資機材の供給困難や価格高騰に対し、原単位の向上を図りつつ、資材調達部門において複数購買や代替材の検討など行い、変化に応じて適宜対策を講じています。
②優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大
原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針を進めていく中、資源ナショナリズムの高揚や資源メジャーによる寡占化、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化するとともに参入コストは増大しています。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動、感染症のまん延など様々な事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性もあります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性があります。
これらに対し当社グループは、地域社会との共存を中心としたソーシャルライセンスの獲得を重視するとともに地道に探査活動を続け、また新規のプロジェクトにおいては海外各地のビジネスパートナーと連携し、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。
③市場要求の急速な変化及び新商品開発の長期化
材料事業が対象とする市場では、顧客要求、利用技術、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発が長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の開発中あるいは市場投入準備段階で、技術進歩や顧客ニーズの変化により当該商品が陳腐化し、開発資金の回収が計画通りに進まないこともあり、その場合当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。
当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために十分な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。
④製造物責任及び請求訴訟
製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理のもと、顧客からの要求事項をクリアした品質の確保に努めていますが、車載製品においては、その欠陥によって搭載されている最終商品のリコールや、それに基づく当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜のみならず巨額の財務負担が生じる可能性があります。
当社グループでは、顧客の満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を確立し、品質方針・全社品質目標を定めて、当社グループが求めるQMSのあるべき姿をまとめたSMM品質標準を基準にして改善に取り組んでいます。また、当社グループの品質保証の推進及び品質管理の改善を図るため、品質分科会を運営し、施策の審議と実施状況の確認を行っています。このような組織・仕組みのもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上やトレーサビリティの強化に努めています。
⑤人材の確保と働き方の多様化
当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクト参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用を適宜行っていますが、国内においては少子高齢化により労働人口が減少、また働き方改革の流れの中、それぞれの社員のライフスタイルに見合った働き方の推進、各種ハラスメント防止、従業員のメンタル不調に対する丁寧な対応など、多様な選択肢の用意が十分ではないと、人材不足が顕在化する可能性があります。
このような社会的な変化に対応するため、当社グループではDXなどの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働時間の低減を進めてまいります。また働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み、従業員に安全かつ健全な労働機会を設け、人材育成、長期的課題への取り組みを奨励・評価し 、継続的に「挑戦」・「変革」・「成長」ができる企業風土を築き、多様かつ優れた人材の確保・育成と活用を進めていきます。
⑥気候変動への社会的責任
気候変動や地球温暖化の原因とされるGHGの削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントへの対応、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことになりますが、脱炭素社会の対応に基づく企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。
当社グループは2050年までのGHG排出量ネットゼロの実現に向けて、GXリーグへの参画や生産拠点においてクリーンエネルギーの活用や省エネ設備を導入することでGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発などの取組を進めていきます。
⑦激甚化する自然災害
当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域での大規模な地震、風水害等不測の災害や派生事故による操業停止や生産性の大幅な低下、生産設備等への多大な損害が発生する可能性があります。
これら激甚化した自然災害や派生事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っています。
⑧感染症の流行
ここ数年、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症では操業の停止となるなどの大きな影響はなかったものの、今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
従業員の感染防止を優先し、当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えていきます。また取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開していきます。
⑨サイバーセキュリティ
経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、第3者による意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などのサイバーセキュリティリスクが増加・増大しており、それらの弊害により、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、またステークホルダーの当社に対する信用が失われる可能性があります。
これらに対し、当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組み(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。
⑩知的財産保護の遅れ又は他社への侵害
当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令に従って取得保全手続きを行っていますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる可能性が考えられます。
当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めています。
①リスクの考え方
当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方が有ると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して、「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。
②リスクマネジメント(RM)の体制・枠組
1999年に株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、社長を最高責任者とするリスクマネジメントシステム(下図参照)によって各種リスクを管理しています。成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクについては、社長をはじめとする執行役員により経営諸会議で議論し、そこで抽出された特に重要なリスクについては取締役会で審議した上で対応方針及び責任部門を定め取り組み、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクには拠点長が責任者となって取り組むことにしています。リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組などリスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置し、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制を整えています。なお、震災や感染症、社会的に影響が大きい産業事故などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。
(2) 事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
①事業環境の変動
a. 非鉄金属価格の変動
銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動し、それらの影響による変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。
b. 為替レートの変動
銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。
2023年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。
変動要素 | 変動幅 | 連結税引前利益に与える影響 |
銅 | ±100$/t | 27億円 |
ニッケル | ±10¢/lb | 17億円 |
金 | ±10$/TOZ | 2億円 |
為替レート(米ドル) | ±1円/$ | 14億円 |
c. 法規制の変化
当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。海外における事業活動については、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易・防諜対策等の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、あるいは資源ナショナリズムを背景とした国有化や当社権益の制約など、個々の国ごとに政治的リスクが存在しており、それらのリスクの顕在化により鉱石の輸出禁止による原料供給障害の発生や工場の操業停止などによる当社の事業運営や収益への影響のみならず、ひいては当該投下資金の回収も達成しえなくなる可能性が考えられます。
当社グループは、事業のグローバル展開に伴い、カントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っています。また進出後も海外現地パートナーと協力し、進出状況をモニタリングし、変化に応じて適宜対策を講じています。
d. 非鉄金属原料及び資機材調達の不安定化
銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料には、当社が権益を保有する鉱山からの調達のみならず、当社が権益を保有しない鉱山会社との長期買鉱契約によるものもあります。この長期買鉱契約に基づく毎年の原料購入条件の改定交渉においては、さまざまな市場や操業鉱山の要因により想定した購入条件を確保できるとは限らず、さらには製品価格がLME相場等で決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が停止する可能性があります。これらにより当社グループの工場で操業が停止するなどして、財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性もあります。
これらに対し当社グループは、優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めています。
また、資機材の調達においても国際紛争など地政学的リスクの発現や異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により製造元の稼働停止やサプライチェーンの途絶など、調達困難及びそれら価格の高騰が生じる可能性があります。
当社グループは、これら資機材の供給困難や価格高騰に対し、原単位の向上を図りつつ、資材調達部門において複数購買や代替材の検討など行い、変化に応じて適宜対策を講じています。
②優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大
原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針を進めていく中、資源ナショナリズムの高揚や資源メジャーによる寡占化、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化するとともに参入コストは増大しています。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動、感染症のまん延など様々な事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性もあります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性があります。
これらに対し当社グループは、地域社会との共存を中心としたソーシャルライセンスの獲得を重視するとともに地道に探査活動を続け、また新規のプロジェクトにおいては海外各地のビジネスパートナーと連携し、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。
③市場要求の急速な変化及び新商品開発の長期化
材料事業が対象とする市場では、顧客要求、利用技術、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発が長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の開発中あるいは市場投入準備段階で、技術進歩や顧客ニーズの変化により当該商品が陳腐化し、開発資金の回収が計画通りに進まないこともあり、その場合当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。
当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために十分な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。
④製造物責任及び請求訴訟
製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理のもと、顧客からの要求事項をクリアした品質の確保に努めていますが、車載製品においては、その欠陥によって搭載されている最終商品のリコールや、それに基づく当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜のみならず巨額の財務負担が生じる可能性があります。
当社グループでは、顧客の満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を確立し、品質方針・全社品質目標を定めて、当社グループが求めるQMSのあるべき姿をまとめたSMM品質標準を基準にして改善に取り組んでいます。また、当社グループの品質保証の推進及び品質管理の改善を図るため、品質分科会を運営し、施策の審議と実施状況の確認を行っています。このような組織・仕組みのもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上やトレーサビリティの強化に努めています。
⑤人材の確保と働き方の多様化
当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクト参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用を適宜行っていますが、国内においては少子高齢化により労働人口が減少、また働き方改革の流れの中、それぞれの社員のライフスタイルに見合った働き方の推進、各種ハラスメント防止、従業員のメンタル不調に対する丁寧な対応など、多様な選択肢の用意が十分ではないと、人材不足が顕在化する可能性があります。
このような社会的な変化に対応するため、当社グループではDXなどの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働時間の低減を進めてまいります。また働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み、従業員に安全かつ健全な労働機会を設け、人材育成、長期的課題への取り組みを奨励・評価し 、継続的に「挑戦」・「変革」・「成長」ができる企業風土を築き、多様かつ優れた人材の確保・育成と活用を進めていきます。
⑥気候変動への社会的責任
気候変動や地球温暖化の原因とされるGHGの削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントへの対応、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことになりますが、脱炭素社会の対応に基づく企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。
当社グループは2050年までのGHG排出量ネットゼロの実現に向けて、GXリーグへの参画や生産拠点においてクリーンエネルギーの活用や省エネ設備を導入することでGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発などの取組を進めていきます。
⑦激甚化する自然災害
当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域での大規模な地震、風水害等不測の災害や派生事故による操業停止や生産性の大幅な低下、生産設備等への多大な損害が発生する可能性があります。
これら激甚化した自然災害や派生事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っています。
⑧感染症の流行
ここ数年、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症では操業の停止となるなどの大きな影響はなかったものの、今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
従業員の感染防止を優先し、当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えていきます。また取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開していきます。
⑨サイバーセキュリティ
経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、第3者による意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などのサイバーセキュリティリスクが増加・増大しており、それらの弊害により、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、またステークホルダーの当社に対する信用が失われる可能性があります。
これらに対し、当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組み(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。
⑩知的財産保護の遅れ又は他社への侵害
当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令に従って取得保全手続きを行っていますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる可能性が考えられます。
当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めています。
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