有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R9SJ (EDINETへの外部リンク)
中部電力株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)
当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。
なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。
また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっている中,設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。
このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,JERAによる休止火力発電所の再稼働やJERAの燃料トレーディング子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達による安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。
収支安定化に向けては,国内エネルギー事業において電源調達ポートフォリオの最適化や市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業のさらなる拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。
さらに,近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や再生可能エネルギーをはじめとする分散型電源の導入拡大,さらには脱炭素化への取り組みの進展などにより,エネルギー事業を取り巻く環境は今後も大きく変化していくと想定される。
当社グループは,「ゼロエミチャレンジ2050」及び「JERAゼロエミッション2050」に基づき,安全確保を大前提とした原子力の活用,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指している。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO2排出量削減に向けた取り組みを着実に進めていく。
2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジするため,「中部電力グループ経営ビジョン2.0」に基づき,人財一人ひとりの成長・活躍を通じたお客さま・社会への多様な価値の提供による,地域・社会の持続的な発展に貢献していく。
ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
①燃料・電力価格の変動等
当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズでは,お客さまに安定して電気をお届けするため,ご家庭などの低圧のお客さまを対象とした一部料金メニューの燃料費調整額の算定に用いる平均燃料価格の上限を廃止した。また,2023年4月から,特別高圧・高圧のお客さま向けの標準料金メニューの見直しにより,電力量料金単価を変更するとともに燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動も反映させる燃料費調整の仕組みを導入した(2022年10月公表)。燃料費調整に関する仕組みの変更などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。
なお,その後の燃料価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,2023年6月から,標準料金メニューの見直し対象である特別高圧・高圧のお客さまに対してご負担を軽減する施策などを実施している。
JERAなどによる燃料調達や中部電力ミライズなどによる市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。
ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
②競争への対応等
電気をはじめエネルギー事業においては,JEPX(日本卸電力取引所)の価格高騰による電源調達コストの増加などを背景に新電力の撤退が相次いでいる中,価格面の競争だけでなく,お客さまが望まれる料金メニューやサービスによる差別化が求められるなど,ご家庭のお客さまを中心に厳しい競争環境は継続しており,今後調達環境が改善した際にはさらに競争は激化すると想定される。
この競争を勝ち抜くべく,中部電力ミライズでは,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,脱炭素などのビジネス上の課題解決を実現するサービスや,お客さまのくらしを豊かにするサービスの提供を進めている。
具体的には,CO2フリーメニュー電気のお届けを通じた再生可能エネルギーの普及・拡大や地産地消に貢献するサービスの提供,家族の絆やつながりを育む「くらしサービス」など様々なサービスを提供していく。
JERAは,休止火力発電所の運転再開などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。
ただし,欧州における紛争のさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
③新成長分野の事業化
当社グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指していく。不動産事業においては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めていく。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与していく。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦していく。
グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。
なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。
グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業の展開にあたっては,カントリーリスクも含め適切なリスク評価を行うとともに,定期的にモニタリングを実施していく。
ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展やカントリーリスクの顕在化などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
④地球環境保全
国の2050年カーボンニュートラル宣言のもと,脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)が成立するなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。
当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」に基づき,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。
具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア混焼技術の確立,非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCO2フリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。
また,気候変動に伴う重要なリスクについては,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営基本計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。
ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした今後の規制措置への対応に加え,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を当社グループが的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
⑤金利の変動等
当社グループの有利子負債残高は,2023年3月末時点で2兆9,257億円と,総資産の45.3%に相当し,市場金利の変動により支払利息が増減するが,有利子負債残高のうち89.8%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は限定的である。
ただし,今後調達する社債・借入金にかかる支払利息や当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,金利などの変動によって増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(2)原子力発電設備の非稼働
原子力政策については,2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定がなされ,同年5月には「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」が成立した。
当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止が10年以上を経過しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。
福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。
また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。
当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。
また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の運転停止状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(3)原子力バックエンド費用等
原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の解体など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されているが,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(4)大規模自然災害等
当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。
当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。
また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。
ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(5)新型コロナウイルス等感染症
当社グループでは,新型コロナウイルス感染症などの流行拡大に対し,従業員・家族・パートナー・お客さまの安全と健康を最優先に,安定供給とサービスレベルを維持していくという考えのもと,在宅勤務や時差通勤などの積極活用,一人ひとりの基本的な感染予防策の徹底などを通じて,感染予防や有事の際のバックアップ要員確保に取り組んでいる。
また,新型コロナウイルスなどの感染拡大に伴う暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透など,大きく変容する社会構造や個人の価値観・行動様式を見据えつつ,社会課題の解決に向けて,コミュニティサポートインフラなどによる新たなサービスの開発・提供を一層加速していく。
ただし,新たな感染症が発生しその影響が拡大・長期化した場合や,当社グループが社会構造の変容を十分に先取りできなかった場合などには,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(6)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)
当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。
今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。
また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,個人情報保護法など,関係法令に基づき,専任部署の設置,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。
加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。
ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(7)コンプライアンス
当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,設備の保安を含む業務運営全般におけるコンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。
具体的には,2019年には「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,取り組みを強化している。
このような中,当社及び中部電力ミライズは2021年4月13日に中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給並びに中部地区における低圧電力及び都市ガス供給等に関して,及び同年10月5日に中部地区における特別高圧電力,高圧電力,大口需要家向け都市ガス等に係る供給に関して,それぞれ独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして,公正取引委員会の立入検査を受け,同委員会の調査に対し,全面的に協力してきた。
2023年3月30日,上記のうち中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,同委員会からそれぞれ受領した。各命令について,当社及び中部電力ミライズは,同委員会との間で,事実認定と法解釈について見解の相違があることから,取消訴訟を提起して司法の公正な判断を求めることとしている。課徴金については,当連結会計年度において独占禁止法関連損失を特別損失に計上した。これらの命令を受けて,当社及び中部電力ミライズは,経済産業省などから補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等の措置を受けている。また,2023年6月19日,電力・ガス取引監視等委員会は経済産業大臣に対して,中部電力ミライズへ業務改善命令を行うよう勧告を行った。今後命令がなされた場合には,適切に対応していく。
この他の案件に対しては,引き続き調査に全面的に協力していく。
当社及び中部電力ミライズは,二度と独占禁止法に関する疑いを持たれることがないよう,2023年4月7日に公表したコンプライアンス徹底策を着実に実施していく。
また,中部電力パワーグリッドにおいて,託送業務システムで管理しているお客さま情報を中部電力ミライズ及びその委託先へ漏えいした事案が判明し,中部電力ミライズにおいて,同社従業員が顧客管理システムを通じて中部電力ミライズ以外の小売電気事業者と契約しているお客さま情報を閲覧していた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,電力・ガス取引監視等委員会より業務改善勧告を受け,同年5月12日,当該業務改善勧告に対応する報告を行った。
加えて,中部電力パワーグリッドにおいて,経済産業省の再生可能エネルギー業務管理システムを閲覧するために付与されたID及びパスワードを適切に管理しておらず,同システム上で中部電力ミライズの従業員においてもFIT認定情報が閲覧可能な状態となっていた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,資源エネルギー庁より指導を受け,同年5月12日,当該指導に対応する報告を行った。
中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年5月12日に公表した再発防止策を着実に実施していく。
その他,当社グループにおいて,不動産投資事業に対し関係行政から処分を受けた事象なども発生しており,これらについても適切に対応していく。
当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。
ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。
(1)事業環境の変化
当社グループを取り巻く事業環境は,世界経済の回復によるエネルギー需要増加や欧州における紛争などにより燃料価格が高騰したが,2022年度後半にかけては,記録的な暖冬により欧州の天然ガスの在庫蓄積が進んだことなどによりLNGの需給が緩和し,ピーク時に比べ低位に推移した。また,電力卸売価格も低位に推移した。これらにより,2022年度においては,期ずれを除いた連結経常利益は,最終的に1,560億円程度の利益を確保することができた。しかしながら,ロシアから欧州へのガス供給不安などから,今後も国際的なエネルギーの争奪が継続し,為替変動リスクも含め燃料価格のボラティリティが高く,当社グループの事業においても,先行きが不透明な厳しい経営環境が継続している。また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっている中,設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。
このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,JERAによる休止火力発電所の再稼働やJERAの燃料トレーディング子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達による安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。
収支安定化に向けては,国内エネルギー事業において電源調達ポートフォリオの最適化や市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業のさらなる拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。
さらに,近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や再生可能エネルギーをはじめとする分散型電源の導入拡大,さらには脱炭素化への取り組みの進展などにより,エネルギー事業を取り巻く環境は今後も大きく変化していくと想定される。
当社グループは,「ゼロエミチャレンジ2050」及び「JERAゼロエミッション2050」に基づき,安全確保を大前提とした原子力の活用,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指している。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO2排出量削減に向けた取り組みを着実に進めていく。
2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジするため,「中部電力グループ経営ビジョン2.0」に基づき,人財一人ひとりの成長・活躍を通じたお客さま・社会への多様な価値の提供による,地域・社会の持続的な発展に貢献していく。
ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
①燃料・電力価格の変動等
当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズでは,お客さまに安定して電気をお届けするため,ご家庭などの低圧のお客さまを対象とした一部料金メニューの燃料費調整額の算定に用いる平均燃料価格の上限を廃止した。また,2023年4月から,特別高圧・高圧のお客さま向けの標準料金メニューの見直しにより,電力量料金単価を変更するとともに燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動も反映させる燃料費調整の仕組みを導入した(2022年10月公表)。燃料費調整に関する仕組みの変更などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。
なお,その後の燃料価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,2023年6月から,標準料金メニューの見直し対象である特別高圧・高圧のお客さまに対してご負担を軽減する施策などを実施している。
JERAなどによる燃料調達や中部電力ミライズなどによる市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。
ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
②競争への対応等
電気をはじめエネルギー事業においては,JEPX(日本卸電力取引所)の価格高騰による電源調達コストの増加などを背景に新電力の撤退が相次いでいる中,価格面の競争だけでなく,お客さまが望まれる料金メニューやサービスによる差別化が求められるなど,ご家庭のお客さまを中心に厳しい競争環境は継続しており,今後調達環境が改善した際にはさらに競争は激化すると想定される。
この競争を勝ち抜くべく,中部電力ミライズでは,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,脱炭素などのビジネス上の課題解決を実現するサービスや,お客さまのくらしを豊かにするサービスの提供を進めている。
具体的には,CO2フリーメニュー電気のお届けを通じた再生可能エネルギーの普及・拡大や地産地消に貢献するサービスの提供,家族の絆やつながりを育む「くらしサービス」など様々なサービスを提供していく。
JERAは,休止火力発電所の運転再開などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。
ただし,欧州における紛争のさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
③新成長分野の事業化
当社グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指していく。不動産事業においては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めていく。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与していく。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦していく。
グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。
なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。
グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業の展開にあたっては,カントリーリスクも含め適切なリスク評価を行うとともに,定期的にモニタリングを実施していく。
ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展やカントリーリスクの顕在化などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
④地球環境保全
国の2050年カーボンニュートラル宣言のもと,脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)が成立するなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。
当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」に基づき,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。
具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア混焼技術の確立,非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCO2フリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。
また,気候変動に伴う重要なリスクについては,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営基本計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。
ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした今後の規制措置への対応に加え,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を当社グループが的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
⑤金利の変動等
当社グループの有利子負債残高は,2023年3月末時点で2兆9,257億円と,総資産の45.3%に相当し,市場金利の変動により支払利息が増減するが,有利子負債残高のうち89.8%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は限定的である。
ただし,今後調達する社債・借入金にかかる支払利息や当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,金利などの変動によって増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(2)原子力発電設備の非稼働
原子力政策については,2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定がなされ,同年5月には「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」が成立した。
当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止が10年以上を経過しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。
福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。
また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。
当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。
また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の運転停止状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(3)原子力バックエンド費用等
原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の解体など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されているが,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(4)大規模自然災害等
当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。
当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。
また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。
ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(5)新型コロナウイルス等感染症
当社グループでは,新型コロナウイルス感染症などの流行拡大に対し,従業員・家族・パートナー・お客さまの安全と健康を最優先に,安定供給とサービスレベルを維持していくという考えのもと,在宅勤務や時差通勤などの積極活用,一人ひとりの基本的な感染予防策の徹底などを通じて,感染予防や有事の際のバックアップ要員確保に取り組んでいる。
また,新型コロナウイルスなどの感染拡大に伴う暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透など,大きく変容する社会構造や個人の価値観・行動様式を見据えつつ,社会課題の解決に向けて,コミュニティサポートインフラなどによる新たなサービスの開発・提供を一層加速していく。
ただし,新たな感染症が発生しその影響が拡大・長期化した場合や,当社グループが社会構造の変容を十分に先取りできなかった場合などには,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(6)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)
当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。
今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。
また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,個人情報保護法など,関係法令に基づき,専任部署の設置,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。
加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。
ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
(7)コンプライアンス
当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,設備の保安を含む業務運営全般におけるコンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。
具体的には,2019年には「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,取り組みを強化している。
このような中,当社及び中部電力ミライズは2021年4月13日に中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給並びに中部地区における低圧電力及び都市ガス供給等に関して,及び同年10月5日に中部地区における特別高圧電力,高圧電力,大口需要家向け都市ガス等に係る供給に関して,それぞれ独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして,公正取引委員会の立入検査を受け,同委員会の調査に対し,全面的に協力してきた。
2023年3月30日,上記のうち中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,同委員会からそれぞれ受領した。各命令について,当社及び中部電力ミライズは,同委員会との間で,事実認定と法解釈について見解の相違があることから,取消訴訟を提起して司法の公正な判断を求めることとしている。課徴金については,当連結会計年度において独占禁止法関連損失を特別損失に計上した。これらの命令を受けて,当社及び中部電力ミライズは,経済産業省などから補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等の措置を受けている。また,2023年6月19日,電力・ガス取引監視等委員会は経済産業大臣に対して,中部電力ミライズへ業務改善命令を行うよう勧告を行った。今後命令がなされた場合には,適切に対応していく。
この他の案件に対しては,引き続き調査に全面的に協力していく。
当社及び中部電力ミライズは,二度と独占禁止法に関する疑いを持たれることがないよう,2023年4月7日に公表したコンプライアンス徹底策を着実に実施していく。
また,中部電力パワーグリッドにおいて,託送業務システムで管理しているお客さま情報を中部電力ミライズ及びその委託先へ漏えいした事案が判明し,中部電力ミライズにおいて,同社従業員が顧客管理システムを通じて中部電力ミライズ以外の小売電気事業者と契約しているお客さま情報を閲覧していた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,電力・ガス取引監視等委員会より業務改善勧告を受け,同年5月12日,当該業務改善勧告に対応する報告を行った。
加えて,中部電力パワーグリッドにおいて,経済産業省の再生可能エネルギー業務管理システムを閲覧するために付与されたID及びパスワードを適切に管理しておらず,同システム上で中部電力ミライズの従業員においてもFIT認定情報が閲覧可能な状態となっていた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,資源エネルギー庁より指導を受け,同年5月12日,当該指導に対応する報告を行った。
中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年5月12日に公表した再発防止策を着実に実施していく。
その他,当社グループにおいて,不動産投資事業に対し関係行政から処分を受けた事象なども発生しており,これらについても適切に対応していく。
当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。
ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04502] S100R9SJ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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