有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QXTB (EDINETへの外部リンク)
住友化学株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進しております。
当連結会計年度においては、2022年度から2024年度までの中期経営計画に従い、引き続き、環境、ヘルスケア、食糧、ICTの4分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んでまいりました。
これに基づき、当連結会計年度に計上された研究開発費は、前連結会計年度に比べ207億円増加し、1,956億円となりました。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
エッセンシャルケミカルズ分野では、事業のグローバル競争力強化のために、モノマー製品の触媒・プロセスの改良、合成樹脂の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に取り組む一方で、環境負荷低減に資する資源循環技術の確立に注力しております。
当連結会計年度において、プロピレンオキサイド単産法、塩酸酸化、MMAモノマー、ポリオレフィン等のライセンス関連プロセスに用いる触媒の高性能・長寿命化と安全性・安定生産性の向上を目指した改良研究を継続実施しました。資源循環技術では、リサイクルが容易な包装用ポリオレフィン材料として、素材メーカーとして強みを生かした材料設計技術を駆使し、剛性と耐熱性を単一の樹脂で両立するポリエチレンおよびポリプロピレンのモノマテリアル包材の開発を推進しております。その開発から生まれた、高剛性ポリエチレン「スミクル」は、特殊配合技術により高い剛性を実現し、従来、ナイロンやPETが使われていたプラスチック容器包装の基材層に適用し、ポリエチレンのシーラント層と組み合わせることで、ポリエチレンのモノマテリアル容器包装を作ることができ、国内外のお客様から高い関心を得ております。また、総合リサイクル企業であるリバー株式会社と、使用済み自動車から得られる廃プラスチックのマテリアルリサイクルに向けた業務提携契約を締結し、共同で技術開発を行っております。現在、実証プロセスを建設中であり、2024年度から実証実験、サンプル提供を開始します。アクリル樹脂では、ケミカルリサイクル技術の開発を株式会社日本製鋼所と共同で進め、二軸混練押出機を利用してアクリル樹脂を熱分解し、原料となるMMAモノマーとして再生する独自の基本技術を確立しました。愛媛工場内に、2022年秋に実証プロセスが完成し、2023年上期のサンプル提供開始を目指し、実証実験を進めております。本プロセスで得たケミカルリサイクルMMAモノマーは、当社が展開するリサイクル技術を活用して得られるプラスチック製品等を対象にした「Meguri(メグリ)」ブランドの第一号となります。
なお、エッセンシャルケミカルズ部門における当連結会計年度の研究開発費は74億円であります。
エネルギー・機能材料分野では、環境・エネルギー関連事業を拡大させるため、リチウムイオン二次電池用部材、スーパーエンジニアリングプラスチックス、無機材料、機能性樹脂材料等の幅広い製品領域で、既存製品の競争力強化や新規製品創出に向けた研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度において、リチウムイオン二次電池用各種部材は、自動車向けを中心に、性能向上の要請や需要拡大に応えるため、開発を鋭意進めました。耐熱セパレータでは、性能向上とコスト削減を両立させる技術開発が進捗しており、新規顧客獲得に向けて検討を進めております。正極材は独自技術・プロセスを組み込んだ量産実証設備を愛媛工場に建設中であり、2023年度稼働を予定しております。また、京都大学産学共同研究講座「固体型電池システムデザイン」では、柔軟性を有する固体電解質により、圧力を加えなくても電極との界面接合が可能になる柔固体型電池の実用化に向けた材料および要素技術の開発が進捗しております。
機能樹脂分野では、電気・電子部品分野向けや自動車部材向けにスーパーエンジニアリングプラスチックスの需要が増大しております。ポリエーテルサルホン(PES)では、電動車部材や半導体工程部材、高機能膜向けの開発・拡販を積極的に進めており、液晶ポリマー(LCP)では、高流動性や高剛性を活用した電動車用エレクトロニクス材料に加え、高周波特性に優れたグレードによる高速通信コネクタやフィルム用途グレードの開発を進めており、次世代移動通信(5G)用途で顧客採用が進んでおります。また、LCPの旺盛な需要に応えるべく、愛媛工場において生産能力増強工事を実施中で、今年度の稼働に向け取り組んでおります。
無機材料分野では、半導体製造装置用セラミックス等向けの超微粒高純度アルミナの開発が進捗しました。従来よりも強度や耐薬品性、審美性に優れるセラミックスが得られることが特長です。現在、量産の準備を整えているところであります。
なお、エネルギー・機能材料部門における当連結会計年度の研究開発費は88億円であります。
情報電子化学分野では、日本国内に留まらずグローバルな技術・研究開発能力を結集し、IT関連の先端技術進化を支える新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度において、まず、ディスプレイ材料分野においては、ハイエンドディスプレイの主流になりつつあるOLEDパネルに対し、当社独自のキーコンポーネントである液晶塗布型位相差フィルムを中小型モバイルまで用途拡大するとともに、薄型化に寄与し耐久性や折り曲げ特性に優れた液晶塗布型偏光板についても開発を完了し拡販を積極的に進めております。今後は、より高機能化するディスプレイに対応する新規機能性フィルムなど各種機能性材料の開発を加速してまいります。また、当社の高分子有機EL材料を用いた中型パネルは、技術確立が完了し、国内外の主要セットメーカーによって各種モニター・ディスプレイとして採用されました。この中型パネルの技術をベースとして、主要パネルメーカーが引き続き、より生産性の高い大型基板を用いた印刷法パネル量産に向けた検討を進めており、当社はパネルメーカーとの共同開発の中で、材料の改良、量産実証を進めております。
半導体材料分野においては、半導体集積度向上という命題に対し、微細加工分野において、最先端技術である超短波長EUV(極端紫外線)光源向けフォトレジストの性能向上および拡販していくとともに、従来の液浸ArFレジストや多層配線用厚膜レジストについてもラインナップを拡充・強化してまいります。
化合物半導体材料分野においては、2022年10月1日付で100%子会社の株式会社サイオクスを吸収合併し、情報電子化学部門内に「サイオクス事業部」および「茨城工場」を新設しました。成長が期待される次世代パワー半導体用の大口径GaN(窒化ガリウム)基板など化合物半導体材料の事業基盤強化を図るとともに、高速・大容量通信、省エネ、自動運転等の技術を支え、より高度な社会の実現に貢献すべく、高周波デバイス用各種エピウェハの設計開発も行っております。
IoT次世代技術として拡大が見込まれる高速通信用デバイス分野においても、窓ガラス等に貼り付け可能なフレキシブル透明アンテナやそれを用いた中継器の開発を加速し公共エリア等での実証実験を進めております。加えて、自動運転技術等に欠かせないセンシングデバイス分野においては、薄膜形成を中心とした要素技術を活用し、鉛フリーで環境に優しい新規圧電薄膜材料やフォトニクス構造を用いたセンサー技術の開発に取り組んでおります。
また、モバイル端末等に使用されるイメージセンサー用途に対しては、ディスプレイ・半導体双方の領域で蓄積した技術とノウハウを活用し、高解像度/高感度化に貢献する多様な機能材料の開発を行っております。
なお、情報電子化学部門における当連結会計年度の研究開発費は199億円であります。
健康・農業関連事業分野では、世界の食糧増産、健康・衛生や環境の改善といった課題解決を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するため、環境負荷低減効果を重視した技術による新製品やアプリケーション、競争力のある製造プロセスの開発を加速化し、コア事業のさらなる強化と周辺事業の拡大に取り組んでおります。
当連結会計年度において、国内農業関連事業については、園芸用新規殺菌剤「パベクト」(一般名:メチルテトラプロール)含有製品を上市しました。続いて、ブドウの着色促進用途として開発を続けてまいりました天然物由来の植物生長調整剤であるアブシシン酸含有製品の上市準備を進めております。また、近年上市しました殺虫剤オキサゾスルフィル、殺菌剤「インディフリン」についても、新用途および新製品の開発を進めております。コメ事業においては消費者や生産地のニーズに合う特徴のある新品種の開発を継続しております。さらに、画像診断技術を活用した病害虫画像診断アプリの機能拡張を図る等、省力化・環境負荷低減技術の開発を通じて農業生産者への総合的ソリューションの提供を拡大すべく、農薬、肥料、コメ事業の製品ポートフォリオ拡充および付随するサービスに関する研究開発を進めております。海外農業関連事業においては、有効成分「インディフリン」を含有する殺菌剤「エクスカリア マックス」をブラジルで上市しました。本剤は、南米における最重要病害であるダイズさび病に極めて高い効果を示します。また、当社新規殺菌剤「パベクト」は欧州市場を中心とした展開が期待されており、鋭意開発を進めております。バイエル社との雑草防除体系の創出プロジェクト(当社が新規除草剤、バイエル社が耐性作物の開発を担当)では、新規PPO除草剤である「ラピディシル」の登録申請を米国、カナダ、ブラジルおよびアルゼンチンで完了し、大きく開発を進展させたことに加え、本剤は多様な雑草に効果を示すことから、二酸化炭素の放出抑制に資する不耕起栽培に適しており、カーボンニュートラルへの貢献が期待できます。コルテバ・アグリサイエンス社との種子処理技術の開発、商業化プロジェクトにも引き続き取り組んでおります。さらに、当社が戦略的分野と位置付けているバイオラショナル事業では、米国のFBサイエンス社の買収を通じ、成長著しいバイオスティミュラント分野への本格参入を果たしました。バイオスティミュラントは天然物由来の農業資材で、非生物的ストレスに対する防御機能を誘導し作物の健全な成長を促すとともに、栄養素の吸収を促進することによって作物の品質改善や増収効果をもたらします。FBサイエンス社が持つ製品ポートフォリオおよび技術ノウハウを組み合わせることによって、バイオラショナル事業の一層の拡大を図るとともに、化学農薬との新たなシナジーも追求してまいります。
生活環境事業については、重点強化領域の市場セグメントにおける新製品の開発と製品群の拡充を推進しております。引き続き強い市場ニーズのある天然物由来製品に対応すべく、グループ会社と共同で、新規ボタニカル殺虫剤の登録申請、これに続くボタニカル成分の開発および登録申請に向けたデータ取得を順調に進めております。業務用殺虫剤分野では、アメリカ市場で主要対象害虫の一つであるアリの防除用で上市した新製品の拡販および用途拡大、さらなる新製品の開発に取り組んでおります。熱帯感染症対策資材分野では、抵抗性を持つ蚊へ卓効を示す室内残留散布剤の普及に取り組むと同時に、蚊の発生源対策として幼虫防除用新製品の開発・登録を引き続き進めていくことで、長期残効性蚊帳と併せて熱帯感染症を媒介する蚊に対して総合的な防除を可能とする製品拡充に取り組んでおります。また、グループ会社と共同で感染症拡大防止へ向けた抗ウイルス製品の開発も継続しております。
アニマルニュートリション事業については、競争力強化のためメチオニンの合理化製法の開発やプロセス改善に加え、機能性飼料添加物分野における製品ラインナップ拡充のため、飼料効率の改善と安心・安全な畜産物生産に貢献できる新規製品の開発に取り組んでおります。また、近年問題となっている家畜排泄物由来の温室効果ガス(GHG)の低減を目的として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構や国内大学等との共同研究プロジェクトに参画し、引き続きメチオニンを含むアミノ酸バランス改善飼料の技術普及を推進しております。
医薬化学品事業(2023年4月1日付で「ファーマソリューション事業」へ名称変更)については、当社の有機合成プロセスの技術力を駆使した新薬の受託製造品目の拡充、およびジェネリック原薬の製法開発に取り組んでおり、有望な複数の開発品・新製品に対して商業生産へ向けた準備を進めております。核酸医薬原薬につきましては、長鎖RNA需要の成長に対応するため、大分工場内に建設中の新工場が2023年度から稼働を開始する予定であります。新工場の稼働開始に合わせて研究機能の一部を大分に移管することにより、迅速なスケールアップを可能にするとともに競争力のある要素技術の獲得、独自技術の拡張を目的とした研究開発を推進しております。
なお、健康・農業関連事業部門における当連結会計年度の研究開発費は313億円であります。
医薬品分野では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を重点領域として、住友ファーマおよび日本メジフィジックス株式会社における自社研究に加え、技術導入、スタートアップ企業やアカデミアとの共同研究等、様々な方法で最先端の技術を取り入れた研究開発活動を推進し、優れた医薬品の継続的な創製を目指しております。さらに、感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスへの貢献を目指すとともに、医薬品以外のヘルスケア領域における、社会課題の解決への新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の立ち上げを進めております。
当連結会計年度においては、精神神経領域では、①ulotaront(開発コード:SEP-363856)について、統合失調症を対象とした米国でのフェーズ3試験ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を推進しました。また、大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を開始しました。②SEP-4199について、米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を推進しました。③また、新たに2品目のフェーズ1試験を開始しました。
がん領域では、①「オルゴビクス」(一般名:レルゴリクス)について、欧州において、成人におけるホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした承認を2022年5月に取得しました。②DSP-7888(一般名:アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)については米国において、固形がんを対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、中間解析で期待した有効性が認められなかったことにより、試験を中止しました。さらに過去の治験結果も含めて本剤の開発方針を検討した結果、DSP-7888自体の開発を中止しました。③TP-0903(一般名:dubermatinib)について、米国において、外部研究機関が急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、期待した有効性が認められなかったことにより試験を中止しました。さらに本剤の開発方針を検討した結果、TP-0903の開発自体を中止しました。
再生・細胞医薬分野では、米国において、他家培養胸腺組織「リサイミック」および他家iPS細胞由来の細胞製品の生産体制の構築に向けて、細胞製品製造施設の建設を2022年8月に開始しました。
感染症領域では、北里研究所との共同研究を通じてカルバペネム耐性菌感染症治療薬を目指し創製されたKSP-1007について、米国でのフェーズ1試験を完了しました。また、米国食品医薬品局(FDA)より適格感染症治療製品(QIDP:Qualified Infectious Disease Product)およびFast Track(FDAとのより綿密な連携や承認申請における逐次審査が可能となる制度)の指定を2022年8月に受けました。なお、本共同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しております。
その他の領域では、①レルゴリクス配合剤については、米国において、「マイフェンブリー」の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを適応症とした適応追加承認を2022年8月に取得しました。また、欧州において、「ライエクオ」の子宮内膜症に対する適応追加申請を2022年10月に行いました。②ビベグロンについては、中国において、過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験を開始しました。
フロンティア事業では、①日本において、株式会社メルティンMMIと共同開発し、同社が2022年5月に医療機器認証を取得した「MELTz 手指運動リハビリテーションシステム」について、2022年9月に同社との間で販売提携契約を締結し、当社が販売を開始しました。②米国において、ビヘイビア社と共同開発したメンタルヘルスVRコンテンツ「First Resort」(非医療機器)について、同社が2022年11月に試験販売を開始しました。③日本において、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社と共同開発した難聴者用マルチ会話表示デバイス「VUEVO」(非医療機器)について、同社が2023年3月に販売を開始しました。④日本において、慶應義塾大学およびi2medical合同会社と共同開発中のうつ病検出・重症度評価支援プログラムについて、プログラム医療機器の優先審査指定制度の初めての対象品目として2023年3月に指定されました。
放射性医薬品については、AMEDによるCiCLE事業の研究開発課題として採択されたセラノスティクス(治療と診断の融合)薬剤開発プロジェクト「CRADLE(Consortium for Radiolabeled Drug Leadership)」を日本メジフィジックス株式会社が中心となって推進しております。
なお、医薬品部門における当連結会計年度の研究開発費は1,096億円であります。
全社共通およびその他の研究分野においては、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究およびマテリアルズ・インフォマティクス等のデータ科学・計算科学をはじめとする共通基盤技術開発の強化により、環境、ヘルスケア、食糧、ICTの重点4分野における次世代事業の創出加速を進め、社会的課題の解決の実現を推進しております。また、カーボンニュートラル実現の視点からの研究開発の重要性が増していることから、当社は、2021年12月に公表した住友化学グループのカーボンニュートラル・グランドデザインに基づき、「責務」として自らが発生するGHG排出量を2030年度までに2013年度比50%削減、さらに2050年度までにネットゼロ達成に向けた取り組みを進めるとともに、「貢献」についてはGHG削減に貢献する製品・技術の開発、社会実装およびライセンスを通じたグローバル展開に取り組んでおります。当連結会計年度においては、次の進展がありました。
環境分野では、創エネ・蓄エネにつながる次世代電池、地球温暖化対策となるGHG排出削減や資源リサイクルによる環境負荷低減に関する技術開発を加速しております。具体的には、炭素資源循環技術の確立を目指し、グリーンイノベーション基金でのプロジェクトが本格的に開始しました。また、環境に配慮したエタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場(千葉県市原市)に新設いたしました。千葉工場に新設した試験製造設備では、サーキュラーエコノミーの取り組みで協力している積水化学工業株式会社が生産する“ごみ”資源由来のエタノールや、バイオエタノールを原料にエチレンを生産する検討を進めております。
ヘルスケア分野では、再生・細胞医薬や体調モニタリング等の先端医療・予防・診断に関する技術の開発に引き続き取り組んでおります。2022年4月、再生・細胞医薬品の普及に向けて、京都大学発のスタートアップ企業であり、細胞培養技術に強みを持つ株式会社マイオリッジと資本業務提携契約を締結いたしました。
食糧分野では、当社の保有技術を活かすことが可能と思われる機能性飼料やバイオラショナル資材等の食糧の品質・収量向上に資する技術の開発に取り組んでおります。
ICT分野では、有機ELディスプレイ材料、5G/6G等の通信対応材料、次世代半導体関連材料およびイメージセンサー材料等の技術開発に引き続き取り組んでおります。
以上の研究開発の早期の事業化に向け、下記のような取り組みも強化しております。
まず、社外連携の強化のため、日本橋の新本社内に開設した「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」の取り組みが2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。SYNERGYCAは、企業やアカデミア等の皆さまとのコミュニケーションを通じて、新たな価値創造につながるアイデアを生み出すための交流の場で、最新のデジタル技術等を活用して活発な意見交換を促す取り組みが高く評価されました。
また、社内イノベーション促進のために、研究所間の連携強化を進めるとともに、事業部経験者による新規事業インキュベーション体制も構築し、事業化を加速しております。
さらには、デジタル技術の活用により、研究開発活動の生産性向上の取り組みを継続、深化させ、顧客接点強化や顧客満足度向上など事業の競争力強化(DX戦略2.0)を計るとともに、新規ビジネスモデルの構築による事業創出(DX戦略3.0)にも取り組んでおります。
一方、次世代事業の創出加速に向け、大阪地区にインキュベーションとオープンイノベーションの拠点として新たに研究棟の建設を計画しております。また、千葉地区には環境負荷低減技術や新素材の開発拠点として2024年春に新たな研究棟を稼働開始させる予定であります。これにより、現在の筑波地区研究所は大阪地区と千葉地区へ統合、それぞれ地区の特長を活かして、各研究活動のシナジーを促進して研究体制の強化を図ってまいります。
なお、全社共通部門における当連結会計年度の研究開発費は187億円であります。
このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野におきまして着実に成果を挙げつつあります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00752] S100QXTB)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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