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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002C9J

有価証券報告書抜粋 日揮ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度は、引き続き中期経営計画「NEW HORIZON 2015」に沿って“テクノロジービジネスクリエーター”を目指し、技術を基にビジネス開発を推進してきました。重点戦略を①開発技術の早期商業化とライセンスビジネスの拡大、②成長分野における新規ビジネスの創出と推進、③オープンイノベーションの活用による社外との連携強化とし、資源、社会インフラ・ライフサイエンス、環境・新エネルギー、ものづくりの各分野に注力してきました。その結果、特に海外への技術ライセンスや成長分野における新規ビジネスの創出で実績が上がり、また、将来ビジネスの核となる技術獲得のために産官学の連携を図ることができました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、39億60百万円(消費税等は含まない)です。

① 総合エンジニアリング事業
コアビジネスである設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野においては、既存のハイドロカーボン分野、ノンハイドロカーボン分野に加えて、EPCビジネスの領域拡大を目指し、洋上LNG(フローティングLNG)分野、インフラ分野に取り組んできたところ、東南アジアの洋上LNGプラントを受注するなど新しい分野へもビジネス領域を拡大しております。また、近年の動向として、オフショアだけでなく、オンショアにおいても大型モジュール工法が採用される事例が増えてきており、これらのプロジェクトに対しても設計製作から輸送まで難度の高い同工法の適用を検討しております。

石油資源・精製分野
埋蔵量が豊富なオイルサンド油等の超重質原油や重質原油は、軽質原油の代替として、年々生産量が増加しています。井戸元からの原油の輸送や消費地での精製を容易にするために、重質原油の新しいアップグレーディング技術として超臨界水を利用した改質技術(SCWC)の開発を国内外の研究機関と共同で継続して取り組んでおります。具体的には独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の補助事業として、商業プラントの設計に必要なスケールアップ手法の確立等を目指したミゼット装置(5BPSD)による開発を行っており、昨年度装置の建設を終え、当連結会計年度では試験運転を継続しております。

天然ガス分野
中長期的にはエネルギー供給は逼迫すると予想されており、海洋ガス田、シェールガス、中小ガス田や高濃度二酸化炭素(CO2)含有ガス田の開発が注目されています。合成ガスや天然ガスに含まれるCO2を効率的(低コスト、省エネルギー)に分離・回収するHiPACT技術については、世界各地の天然ガスプラントや化学品合成事業向けに商業化を進めております。また、海洋ガス田向けの洋上LNGプラントや、中小ガス田向けの陸上小型LNGプラントの開発については、継続して取り組んできた結果、東南アジアの洋上LNGプラントを日本企業で初めて受注するなどEPCビジネスに結びつく水準に達しました。LNG分野では陸上LNGプラントのEPCと連携したO&M(Operation and Maintenance)手法の基本スキームを開発しており、O&Mサービスの販売活動に展開しております。空気冷却の陸上LNGプラントについては操業場所の気象条件も考慮した解析技術の実用化を進め、LNG生産量を保つための設計手法を確立し、同技術は当社固有の技術として特許申請をしております。
天然ガスやシェールガスは、液体燃料製造や高付加価値の化学品製造の原料としても期待されています。天然ガス原料出発のメタノールやジメチルエーテルと未有効利用オレフィン類の混合原料、または天然ガスのみを原料とするプロピレン製造プロセスは、化学会社との共同による実証試験で目標性能を確認し、現在産ガス国や化学会社等に対して営業活動を展開しながら次世代の高性能触媒を継続して開発中です。

ケミカル・非鉄金属分野
硫化水素は、エンジニアリングプラスチックPPSやメチオニンなどの硫黄を含む化合物を製造するための原料として使用されています。当社が開発した高純度の硫化水素および水硫化ナトリウムを製造するプロセスは、コンパクトで安全性に優れることが評価されて日本国内に5基のプラントの建設実績があり、継続して技術改良してきました。当連結会計年度においては、中国浙江省の浙江工程設計有限公司と同社をライセンスの窓口とする契約を締結し、同社を経由して中国国内の顧客に対して営業活動を行い、中国顧客に対する初のライセンス供与を実現しました。
石油化学向けに開発した高性能向流多段液々抽出装置WINTRAY®については、種々のケミカル分野や非鉄分野でコスト削減と省エネルギー化に貢献することが認められており、適用分野の更なる拡大を目指して改良・開発を継続しております。

一般産業分野
低炭素社会に向けたスマートコミュニティで必要となるエネルギーマネジメントシステムの開発と実証試験に向けた開発を進めており、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会の次世代エネルギー・社会システム実証事業に参加し、商業施設を対象としたフィールドテストを継続して実施しております。また、国内外向けのスマートコミュニティの計画立案にも取り組んでおります。
ライフサイエンス分野では、製薬プロセスに留まらず、一般化学分野にも適用可能な酵素固定化技術のユーザーの実用化試験のための提供を行っております。また、動物細胞培養に有効なマイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加し適用範囲拡大を目指しております。包材メーカーとの協業による無菌フェルールバックは実用化および販売を開始し、帯電防止等の付加価値向上を図っております。さらに粉体コンテナのドライ洗浄、ソフトバッグ液中異物検査、中間体・原薬の晶析の解析、高薬理活性物質の飛散性測定技術等、多角的に開発を行っております。
病院建設では、病院に関わる業務全体を包含した経営支援システムを開発し、病院総合運営パートナー事業にも踏み込んだ展開を国内に留まらず海外に向け進めております。

新規事業創出分野
無尽蔵な太陽エネルギーに注目し、太陽熱(再生可能エネルギー)を利用したエネルギーキャリア(水素・アンモニア)製造システムを産官学連携して開発するプロジェクトに参画しました。また、太陽熱を利用した海水淡水化技術や太陽光発電技術については、中東地域での商業化を目指して継続して開発しております。
低品位炭を原料とする石油代替燃料(JGC Coal Fuel: JCF®)については、インドネシアで年産1万トン規模の実証プラントの運転を行っております。このプロセスは低品位炭を高圧熱水により改質させた後、水と混合してスラリー燃料に加工する当社の独自技術で、インドネシアのエネルギー自給に貢献するべく開発しております。
また、非食物系バイオマスを原料にしたエタノール製造については、次世代技術として酵素法の開発を継続しております。当連結会計年度においては、さらに技術の実用化のためのスケールアップのための試験研究に着手しました。

なお、当事業での研究開発費は14億28百万円(消費税等は含まない)です。

② 触媒・ファイン事業
石油精製分野
石油精製分野では、シェール革命や新興国の旺盛な石化製品需要、そして日本国政府によるエネルギー供給構造高度化法の施行等により市場環境が大きく変化し、重油需要減少およびプロピレンを軸とした石化原料需要増が以前にも増して進んでいます。この環境変化へ迅速に対応すべく、流動接触分解用触媒として、重油の白油化、プロピレン増産用触媒の開発を推進し、重質油を効率的に分解して白油化する触媒の技術開発に取り組んでおります。世界トップ性能のプロピレン増産用アディティブの工業化を完了し、国内外への拡販を開始致しました。また、石油精製会社と共同で顧客ニーズを取り込んだ共同開発・実証化を進めております。
一方、地球環境保護の観点から、新興国を巻き込んで世界的に燃料油の硫黄規制が強化される見込みであり、水素化処理触媒の需要は今後も堅調に伸びていくと予想されています。新規に開発した高活性軽油サルファーフリー用触媒の実機運転は良好で、さらに高性能な後継触媒の開発に取り組んでおります。また、国内外石油精製会社との水素化処理触媒の共同開発を積極的に進めており、海外顧客と共同で高性能な水素化分解触媒の開発および工業化を完了し、実証化が進んでおります。

石油化学分野
米国発のシェール革命によりケミカルプロセスの再構築が進められる中、国内の石油化学メーカーはますますグローバル化を推し進め、市場での競争力強化に取り組んでいます。このような顧客の要望に応えるべく、ニッケル触媒をはじめベースメタル触媒を中心に、触媒調製技術をブラッシュアップし、触媒特性を向上させる開発・工業化検討を進めております。また、各種ゼオライトの調製技術開発も進めており、ゼオライトを主体とした新規ケミカルプロセス用触媒開発も進めております。

環境保全分野
脱硝触媒では、高NO2(二酸化窒素)含有NOx(窒素酸化物)排ガス処理触媒を競合他社に先駆けて国内企業と共同開発し、国内発電所に納入致しました。また、コンバインドサイクルのガス焚き発電所の総発電効率を上げるため、燃焼温度(排ガス温度)が高くなる傾向にある中、高温域の脱硝性能を向上させる触媒を開発し、実商化致しました。木屑等バイオマス混焼発電所が増えつつありますが、バイオマス中の触媒被毒成分による活性劣化を抑制する新規触媒の共同開発を国内企業と進め、技術開発の目途がつきつつあります。さらに、ゴミ焼却場排ガス処理用の脱硝触媒の需要が増えつつあり、これに対応可能な低温用触媒の開発を進めております。
中国では石炭火力発電所数がほぼピークに達する一方、セメントキルンおよび鉄鋼コークス炉の排ガス規制が強化される方向にあります。低温用触媒の開発とともに、他社安価原料との厳しい競争に勝ち抜くべく高品質かつ安価な触媒原料の開発・事業化を引き続き進めております。
クリーンエネルギー分野
この分野では、大きく分けて、クリーン燃料用触媒開発とクリーンエネルギー・再生可能エネルギー創出デバイス用材料の開発に取り組んでおります。燃料電池用材料は本格的な事業化に向け、量産体制の確立を進めるとともに、次世代材料の開発を国内の大学と共同で進めております。また、有機系太陽電池用電極材の次世代チタニアペーストの開発では国内外の顧客から高い評価を受け、事業化に向けた量産化技術を継続して開発しております。

生活関連・化粧品分野
プラスチック眼鏡用屈折率制御酸化物ゾルおよびコーティング液(ラッカー材)は、需要が増加している中国および東南アジアのニーズにマッチした中屈折率から高屈折率眼鏡に対応するラッカーを開発中で、特に拡大が期待される着色機能を付与したラッカー材開発に注力しております。また、高屈折率酸化物ゾルを光学フィルム材や電子材料等の新規分野への用途開発にも着手し、早期事業化を目指しております。
化粧品材料は感触効果が高いシリカマイクロビードを開発し市場展開していましたが、その効果が認められ販売増に寄与しました。また、感触効果に加え光学機能を付与した新規マイクロビードも量産化に目途がつき、市場展開を図っております。さらに、従来のUV吸収材に新規光学機能を付与した材料にも取り組んでおり、基礎的検討段階を終え、事業化検討段階へ進捗しました。

電子材料分野
研磨砥粒用シリカゾルは、アルミ、ガラスハードディスク基板の面精度が求められる最終仕上げ研磨材として使用されていますが、記録容量増加に伴うさらなる基板面精度向上ニーズ対して、新たな研磨砥粒を開発し量産検討を行っております。また、新規研磨基板用途である特殊硝子基材用研磨砥粒についても開発に取り組み、本格量産採用見込みとなりました。さらに、半導体用基板研磨に使用されるCMP用新規砥粒についても開発に着手しております。
光学フィルム用機能性光学材料は、スマートフォンやタブレット端末に使用される光学フィルムに採用されていますが、用途拡大開発に取り組んでおります。その一つとしてタッチパネルITO配線見え防止用塗布液開発に注力し、顧客での実機評価段階に進捗しました。また、フィルム基材以外の用途開発として、太陽光発電パネル硝子の反射防止材に中空シリカゾルが採用されるなど、今後さらなる用途開発に注力していきます。
半導体材料はIC層間絶縁膜などの半導体製造材料からナノ材料活用用途の広い実装材料分野へ取組み中です。粒度が均一ミクロンからサブミクロン高純度シリカ粒子紛体開発に注力し、サンプルワークを開始し、顧客一次評価で良好な結果も得られているため、早期事業化に注力していきます。

ファインセラミックス分野
ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LED照明等の高電力用のパワーデバイスを支える放熱用基板としての「高熱伝導率窒化珪素基盤」の性能アップの開発を行っております。
また、非酸化物系セラミックスの材料開発ならびにシリーズ化、セラミック金属複合材(AMC)の開発にも注力しております。

なお、当事業での研究開発費は24億10百万円(消費税等は含まない)です。

また、総合エンジニアリング事業および触媒・ファイン事業に加え、その他の事業において1億21百万円(消費税等は含まない)の研究開発費を計上しております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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