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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1005830

有価証券報告書抜粋 日揮ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度は、引き続き中期経営計画「NEW HORIZON 2015」に沿って“テクノロジービジネスクリエーター”を目指し、技術を基にビジネス開発を推進してきました。重点戦略を①開発技術の早期商業化とライセンスビジネスの拡大、②成長分野における新規ビジネスの創出と推進、③オープンイノベーションの活用による社外との連携強化とし、資源、社会インフラ・ライフサイエンス、環境・新エネルギー、ものづくりの各分野に注力してきました。その結果、海外への技術ライセンスの実績をあげ、成長分野における新規ビジネスの創出の機会を得るとともに、将来ビジネスの核となる技術獲得のために産官学の連携を図ることができました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、46億97百万円(消費税等は含まない)です。

① 総合エンジニアリング事業
コアビジネスである設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野においては、既存のハイドロカーボン分野、ノンハイドロカーボン分野に加えて、EPCビジネスの領域拡大を目指し、洋上LNG(フローティングLNG)分野、インフラ分野に取り組んできました。これにより、東南アジアの洋上LNGプラントを受注するなど新しい分野へもビジネス領域を拡大しております。また、近年の動向として、オフショアだけでなく、オンショアにおいても大型モジュール工法が採用される事例が増えてきており、これらのプロジェクトに対しても設計製作から輸送まで難度の高い同工法を適用しております。さらには、同工法を、極寒地での建設にも利用するなど適用範囲を拡大しております。

石油資源・精製分野
世界の石油需要が増大する中、在来型原油資源の代替として豊富な埋蔵量のカナダオイルサンドや南米の超重質油等、非在来型重質油の開発が注目されています。これら重質原油の多くが既発見ながら未開発のままである大きな理由として、消費地までのパイプラン輸送が困難であることが挙げられます。当社は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共同で、超臨界水を利用した改質技術(SCWC)の研究を行っています。この技術は、非在来重質原油を部分改質することにより、パイプラインによる輸送が容易な改質原油を製造する方法です。カナダのアルバータ州に建設したパイロット試験装置(日量5バーレル)を使って、カナダオイルサンドの分解試験を実施しています。このパイロット試験装置の運転を継続して、商業プラントの設計、建設を目指したエンジニアリングデータの収集を行います。

天然ガス分野
近年シェールガスの開発が注目されていますが、中長期的には海洋ガス田、中小ガス田や高濃度二酸化炭素(CO2)含有ガス田など未開発ガス田の開発が注目されています。高濃度CO2含有ガス田に含まれるCO2をセラミック膜で効率的(低コスト、省エネルギー)に分離・回収する技術の開発を進めています。また、合成ガスや天然ガスに含まれるCO2を従来よりも高い圧力で回収できる高圧再生型CO2回収(HiPACT®)プロセスについては、世界各地の天然ガスプラントや化学品合成事業向けに商業化を進めています。
また、海洋ガス田向けの洋上LNGプラントや、中小ガス田向けの陸上小型LNGプラントの開発については、継続して取り組んできた結果、東南アジアの洋上LNGプラントにおけるEPCビジネスに結びつき、複数のプロジェクトを遂行しています。海洋ガス田向けの洋上LNGプラントについてはEPCプロジェクトを遂行中であり、さらに別のFEED業務(Front-End Engineering Design)も遂行中です。また、陸上LNGプラントのEPCと連携したO&M(Operation and Maintenance)手法の基本スキームを開発しており、O&Mサービスの販売活動に展開しております。空気冷却の陸上LNGプラントについては、操業場所の気象条件も考慮した解析技術の実用化を進め、LNG生産量を保つための設計法を確立し、同技術を当社固有の技術として知的財産権の獲得を進めています。
シェールガスをはじめとする天然ガスは、液体燃料製造や高付加価値の化学品製造の原料としても期待されています。天然ガス等から合成されるメタノールを原料とするプロピレン製造プロセス(DTP®)については、現在産ガス国や化学会社等に対して営業活動を展開しております。また、次世代の高性能触媒も継続して開発中です。

ケミカル・非鉄金属分野
硫化水素は、エンジニアリングプラスチックPPSやメチオニンなどの硫黄を含む化合物を製造するための原料として使用されています。当社が開発した高純度の硫化水素および水硫化ナトリウムを製造するプロセスは、コンパクトで安全性に優れることが評価されて日本国内に5基のプラントの建設実績があり、海外では1基が建設中です。また、昨年度において、中国浙江省の浙江工程設計有限公司と同社をライセンスの窓口とする契約を締結して、中国顧客に対する初のライセンス供与を実現した案件については、基本設計がほぼ完了しました。
石油化学、非鉄金属精錬等向けに開発した高性能向流多段液液抽出装置WINTRAY®については、ケミカル分野で東南アジア向けに1件のライセンス売上がありました。設備コスト削減と省エネルギー化に貢献することが認められており、適用分野のさらなる拡大を目指して改良・開発を継続しております。

一般産業分野
低炭素社会に向けたスマートコミュニティで必要となるエネルギーマネジメントシステムの開発と実証試験に向け、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会の次世代エネルギー・社会システム実証事業に参加し、商業施設を対象としたフィールドテストを継続して実施しております。また、国内外向けのスマートコミュニティの計画立案にも取り組んでいます。
ライフサイエンス分野では、製薬プロセスに留まらず、一般化学分野にも適用可能な酵素固定化技術のユーザーへの提供を継続しています。また、バイオ医薬品製造技術としてマイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加したバイオリアクターやシングルユース機器のハンドリング技術の開発を行なっております。さらに粉体コンテナのドライ洗浄、ソフトバッグ液中異物検査、中間体・原薬の晶析の解析、高薬理活性物質の飛散性測定技術、連続製造技術等、多角的な技術開発を行っています。
再生医療分野では、過去の経験を踏まえ、高度化に向けた開発を行っています。
病院建設分野では、病院総合運営パートナー事業にも踏み込んだ展開を国内に留まらず海外に向け進め、その成果の一つとしてカンボジアにて病院建設、運営を行うに至っています。

原子力分野
東京電力福島第一原子力発電所の環境浄化に貢献すべく、当連結会計年度においては経済産業省の廃炉・汚染水対策事業補助金の交付を受け、放射性セシウムや放射性ストロンチウムの吸着材を用いた海水浄化技術検証事業、および土壌中放射性物質捕集技術検証事業を実施し、十分な成果をもって終了しました。今後は当該技術を同発電所の環境浄化に活用するべく、技術の実用化に注力します。

新規事業創出分野
クリーンエネルギーとして注目されている水素エネルギー関連技術として、太陽エネルギーや風力などの再生可能エネルギーを輸送・貯蔵するエネルギーキャリア技術が注目されており、再生可能エネルギーを用いた水素やアンモニアの製造システム開発プロジェクトを内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のもとで産学官連携により推進しています。
低品位炭を原料とする石油代替燃料(JGC Coal Fuel: JCF®)については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成により、インドネシアで年産1万トン規模の実証プラントの運転を行っています。このプロセスは低品位炭を高圧熱水により改質させた後、水と混合してスラリー燃料に加工する当社の独自技術で、インドネシアのエネルギー自給に貢献するべく技術開発を進めています。
また、非食物系バイオマスを原料にしたエタノール製造については、次世代技術として酵素法エタノール製造プロセスの開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構からの委託事業として産学官連携により、技術の早期実用化にむけてスケールアップした装置を用いた開発を実施しています。

なお、当事業での研究開発費は20億60百万円(消費税等は含まない)です。

② 触媒・ファイン事業
石油精製分野
石精分野では、シェール革命やエネルギー供給構造高度化法でのさらなる改善要求に伴う業界再編の動き等により市場環境が大きく変化し、またプロピレンを軸にした石化原料需要増が以前にも増して進んでいます。この市場変化へ迅速に対応すべく、流動接触分解用触媒として、重油の白油化、プロピレン増産用触媒の高性能化やアディティブ開発に取り組むとともに、反応解析・シミュレーション技術の深耕に努め、顧客ニーズにいち早く答える体制を整えています。プロピレン増産用アディティブでは、世界トップクラスの製品を上市し国内外への拡販を図るとともに、ブテン増産用等多様なニーズに応えるためのラインナップ強化に取り組んでおります。また、石油精製会社と共同開発・実証化も進めております。
一方、世界的な地球環境保護の観点から、先進国と同様に新興国においても燃料油の硫黄規制が強化されつつあり、水素化処理触媒の需要は今後も堅調に伸びていくと予想されています。新規に開発した高活性軽油サルファーフリー用触媒は実基で良好な性能を維持しており、さらに高性能な触媒の開発に取り組んでおります。新たに開発した残油水素化処理装置用の脱メタル触媒が国内顧客に採用され、実基で優れた性能を発揮しました。また、海外顧客と共同開発した高性能な水素化分解触媒は、実基での実証化で良好な性能を示しております。

石油化学分野
顧客の要望に応えるべく、ニッケル触媒をはじめベースメタル触媒を中心に、活性金属の担持技術、還元技術をブラッシュアップし、触媒特性を向上させる開発・工業化検討を進めております。特にケミカルプロセスにおける前・後処理触媒の高効率化による顧客価値創造に取り組んでおります。また、ゼオライトを主体とした新規ケミカルプロセス用触媒開発も進めております。

環境保全分野
脱硝触媒では、木屑等バイオマス混焼石炭火力発電所が増えつつある中、バイオマス中の触媒被毒成分による活性劣化を抑制する触媒の開発を進め、国内企業との共同研究により新規触媒の実機曝露試験を行っております。また、「水銀に関する水俣条約」により、今後世界的に水銀規制が強化されるため、石炭火力発電排ガス中の水銀を除去するための触媒開発に着手しました。さらに欧州、中国向けにディーゼル車用排ガス浄化触媒の開発を行っております。
中国では石炭火力発電所脱硝設備建設数がピークを超えた一方、セメント炉および鉄鋼コークス炉の排ガス規制が強化され、従来よりも低い温度領域で高性能かつ安価な脱硝触媒の開発・商品化を継続しております。

クリーンエネルギー分野
「水素1年」と言われる2015年において、自動車メーカー各社は燃料電池自動車の販売を発表するなど、燃料電池関連技術に多くの関心が寄せられております。また、政府は2020年に東京で開催するオリンピック・パラリンピックまでに、水素エネルギーの導入を促進し、世界最先端の水素社会をアピールする方針です。このような社会情勢の中、当社は次世代の燃料電池において新規な高機能材料の商品化を目指して材料を大学と共同開発しています。

生活関連・化粧品分野
昨年度より開発に着手した着色機能を付与したラッカー材は特定顧客へのサンプル提供を開始し、顧客評価を取り入れた最適化段階に進んでいます。さらに、高屈折率酸化物ゾルの光学フィルム材等の新規分野への用途開発については、特定顧客との共同開発で開発の加速化を図っています。
化粧品材料は市場ニーズを取り込んだ新商品開発による販売拡大に注力しております。環境負荷の高い樹脂ビーズからシリカビーズに代替したスクラブ材を開発し、数社に採用が決定しました。また、化粧品材のトイレタリー分野への応用についても、継続して開発を行っています。さらに、数年来開発を進めてきた紫外線吸収効果を増幅する光学材についても工業化検討を開始し、商品化直前にあります。

電子材料分野
記憶容量増加に伴う基板面精度向上ニーズに対応する新規砥粒用シリカゾルは、量産採用段階に進みました。本砥粒用シリカゾルは面精度に加え、生産性向上についても訴求性を高めるポイントであり引き続き改良を継続し市場拡大を図ります。
光学フィルム用機能性光学材料は、スマートフォン、タブレットに採用されていますが、用途拡大のため以前より取り組んでいました高画質の4Kテレビの視認性向上を目的とした反射防止用フィルムに低屈折率粒子が採用され今後の拡大が期待されます。また、用途拡大の一環として取り組んだタッチパネルITO配線見え防止液は量産採用されましたが、製品寿命サイクルが短いため採用品種拡大に向けた開発に取り組んでいます。
半導体材料は高純度ナノ粒子調製技術を活かして、主として半導体実装材料分野で使用されるシリカ粒子開発に取り組んでおります。本年度はサンプルワークを開始し、一部製品での採用が決まりました。今後、サイズの品揃えと粒子の形状制御に取り組み訴求性を高める事により、販売拡大を目指します。
また、新規分野開拓のため、粒子配列技術を駆使した超撥水、親水性の機能を有する複合粒子を開発し、新規製品分野である建材や繊維分野への応用開発に着手しました。

ファインセラミックス分野
ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LED照明など、高電力用のパワーデバイスを支える放熱用基板としての、「高熱伝導率窒化珪素基板」の性能向上の開発を行っています。また、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の革新的設計生産技術の中で3Dプリンティングによる構造化機能材料・デバイスの迅速開発に再委託先として参画しております。
その他、材料による差別化を図るため、非酸化物系セラミックスの材料開発ならびにシリーズ化、セラミックス金属複合材(MMC)の開発にも注力しております。

なお、当事業での研究開発費は25億49百万円(消費税等は含まない)です。

また、総合エンジニアリング事業および触媒・ファイン事業に加え、その他の事業において88百万円(消費税等は含まない)の研究開発費を計上しております。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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