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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OCWZ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社アドバンテスト 事業等のリスク (2022年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


(1)当社のリスクマネジメント体制について
①組織
内部統制委員会が定めたリスクマネジメント方針のもと、各ユニットがリスクマネジメントを行い、その状況を内部統制委員会が監督・評価してフィードバックを行います。リスク情報は各委員会に集約されます。その他、取締役会、監査等委員会、経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。
有事の際に迅速に対応するため、社長を本部長とする危機管理本部も設置されています。

②プロセス
取締役会、経営会議が策定した経営計画を、各ユニットが自部門の施策に落とし込みます。サステナブル経営推
進ワーキンググループは特にESGの側面から各ユニットの施策立案と活動をサポートします。
内部統制委員会では、それらの施策達成を阻害する要因をリスクと定義し、各ユニット(各本部・事業部門・主要な海外拠点(6拠点))にリスクの特定・評価およびリスク対応の報告を求めるとともに、全社的な視点から各ユニットのリスク分析およびユニット間の情報共有等をサポートしています。各ユニットは、自部門におけるリスクマネジメントの状況を、年2回内部統制委員会に報告します。内部統制委員会は各ユニットのリスクマネジメント状況を確認し、各ユニットに対してフィードバックを行います。
また、各委員会に情報が集約され、それぞれの委員会の担当役員を通じて取締役会・経営会議に報告されています。リスクの重要度・緊急性に応じて、取締役会または経営会議に直接報告されるリスク情報もあります。取締役会または経営会議では、適時に意思決定をして関連ユニットに指示を出す等、コーポレートレベルでのリスク対応を行っています。
緊急の案件が生じた場合には、危機管理本部の指示のもと、より迅速な対応が可能となっています。
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(2)事業等のリスク
当社グループの事業等に関連するリスクにおいて、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のとおりです。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
リスクにおいて想定されるシナリオならびに、リスクへの対応については、個々のリスク項目の中に記載しております。また、「発生可能性」については、短期的視点に加え中・長期的に発生する確率、「影響度」については、発生した際に売上高、当期利益に与える影響により、それぞれ評価しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

リスク項目マップ
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(注)図表の中の記号は、リスク種別ならびに通し記号であり、後述する各リスクの分類と一致しております。
(1)外部環境リスク
(1) - a

当社グループの事業と業績は半導体産業の顕著に変動する需要に影響されます。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境a 業界特性
当社グループの事業は、半導体設計製造会社(IDM)、ファブレス半導体企業、ファウンドリーおよびテストハウスの設備投資に大きく依存しております。これらの企業の設備投資および一般投資は、主に半導体に対する現在および将来の需要、ならびに半導体を利用した製品に対する需要によって決定されます。かかる需要は世界経済の全体的な状況の影響を大きく受けます。
今日までの経験として、半導体業界の不況時において、一般的に半導体メーカーのテストシステム投資を含む設備投資は、半導体の世界的な出荷額の減少率よりも大きく減少します。半導体業界では、過剰在庫の時期が繰返し発生するなど今まで周期的な動きを示しており、そのことが当社グループの製品を含め、半導体業界のテストシステムに対する需要にしばしば深刻な影響を与えてきました。
近年の半導体の複雑化に伴い、信頼性確保の必要性が増大し、同時にテスト効率改善の難易度も高くなる傾向にあり、テスタ需要は今後、持続的に増加することを予想しておりますが、国際政治情勢の大きな変化や深刻な感染症の蔓延等による世界経済への影響による半導体需要変動、テスタ需要変動のリスクは有しています。
世界的な半導体市場は、2019年は、米中貿易摩擦などの地政学的リスクが招いた世界経済成長の失速が、半導体市場にも大きな影響を与え、その結果、前年比12.0%の減少となりました。2020年は、世界経済が新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)のパンデミックの影響で低迷した一方、半導体市場は在宅時間の増加によるパソコンやタブレット端末の需要増加等、複数のプラス要因がこれを打ち消しました。その結果、前年比6.8%の増加となりました。2021年は、世界経済が引き続きCOVID-19の影響を受けつつも徐々に活発化する中、半導体市場は前年の堅調な成長の流れを引き継ぎ幅広い用途で需要が強く、高成長となりました。その結果、前年比26.2%の増加となりました。
SoC半導体の世界的売上は、2019年は、不確実な経済情勢の中で最終製品需要や設備投資が減衰したものの、スマートフォン用の半導体需要が通年継続したため、前年比3.6%の減少にとどまりました。2020年は、リモートワークの拡大やスマートフォン高性能化を背景に堅調な需要環境が続きましたが、一方で米中摩擦先鋭化が影響し、前年比7.4%の増加にとどまりました。2021年は、HPCなどの最先端プロセス品の堅調な成長に加え、車載・産業機器・民生向け半導体の需要拡大により前年比26.8%の増加となりました。
メモリ半導体の世界的売上は、2019年は、メモリ半導体の在庫過剰感から前年比32.6%の減少となりました。2020年は、データサーバーやゲーム機器関連が伸び、前年比10.4%の増加となりました。2021年は、メモリ半導体の大容量化の進展、高速化、高性能化が堅調に進展し、前年比30.9%の増加となりました。

半導体市場の顕著な需要の変動は、以下の様々な要因から影響を受けます。
・世界経済の全体的な状況
・半導体業界の動向
・通信インフラ投資の水準およびスマートフォンやウエアラブル機器などの通信機器端末の需要の動向
・データセンター、パソコンおよびサーバー業界の需要
・テレビ、ゲーム端末、VR(バーチャルリアリティ)/AR(拡張現実感)機器を含むデジタル・コンシューマー機器に対する消費者の需要
・自動車、ロボティックスおよび医療機器などの産業機器市場の動向

2019年度の当社グループは、大手半導体メーカー各社において半導体高性能化への取り組みが積極的に進められたことにより、半導体試験装置の需要が喚起され、とりわけ先端プロセスを用いたスマートフォン用の半導体向けで高水準な試験装置需要が通年継続しました。しかしながら、メモリ半導体の在庫過剰感から、メモリ・テスタ市場は大きく縮小しました。その結果、売上高は前年比2.3%減少の275,894百万円となりました。損益面については、売上総利益率は前年を上回ったものの、将来の成長基盤強化として研究開発やサポート人員のリソース強化のため販管費が増加したことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年比6.1%減少の53,532百万円となりました。
2020年度は、コロナ禍の中でも半導体試験装置事業においてリモートワークの普及や巣ごもり消費の拡大を背景にデータセンターやゲーム機器関連の需要が持続したことに加え、スマートフォン関連領域において端末性能の競争を背景に生じた新規試験装置需要の取り込みに努めました。その結果、売上高は前年比13.4%増加の312,789百万円となりました。損益面については、売上総利益率の良い製品群の売上構成比が減少したものの、事業譲渡益やドイツ子会社の年金制度を統一した確定給付型年金制度へ移行したことに伴う利益など一過性の利益約81億円を計上したことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年比30.4%増加の69,787百万円となりました。
2021年度は、半導体市場の活況を受け、半導体試験装置に対する需要も拡大が続きました。とりわけデータセンターやスマートフォン向けのハイエンドSoC半導体に対し先端技術投資が促進されたことで、SoC半導体用試験装置市場が力強く成長しました。このような環境下で、当社は、強みとする幅広い製品ポートフォリオとグローバル販売・サポート網を活かし、拡大する半導体試験装置需要を着実に取り込みました。その結果、売上高は前年比33.3%増加の416,901百万円となりました。損益面については、親会社の所有者に帰属する当期利益が前年比25.1%増加の87,301百万円となりました。当期利益における前年比増加率が緩やかであるのは、前年度において、日本での繰越欠損金使用および、繰延税金資産約100億円の計上に伴う税金費用の減少があったことによります。
以上のように当社グループの業績は、引き続き半導体業界の顕著な需要変動に大きな影響を受けると考えられます。そのため、半導体業界における大規模な不況が発生した場合、過剰な在庫を抱えたことによる棚卸資産の評価損など当社グループの財務状況と事業成績に、悪影響を及ぼすこととなります。
●対応:
当社グループは、リスクを軽減するため、半導体量産工程の前後にある、半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場への事業拡大を図るとともに、生産のアウトソース化推進、リカーリングビジネスや新規事業を含むサービス他事業の強化により、需要の変動にも対応できる体制構築に取り組んでいます。

(1) - b
当社グループの事業は、国際的な事業展開に伴う経済的、政治的またはその他のリスクを有します。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境b 外部環境への感度
当社グループは世界中で部品の調達、製品の生産および販売を行うため、その事業は国際的な事業展開に伴うリスクを有しております。当社グループの当連結会計年度の総売上高に対し、台湾、中国および韓国への売上が大半を占めるアジア地域(日本を除く)は88.4%、米州は4.9%、欧州は2.8%を占めております。海外事業での売上高は、今後も継続して売上高全体の大きな割合を占めると予想されます。また、当社の販売・サポートの子会社は米州、欧州および台湾、シンガポール、韓国、中国等のアジア地域に展開し、サプライヤーや生産工場も韓国やマレーシア、アメリカなどの海外に展開しております。したがって、当社グループの将来の業績は、以下を含む様々な要因から悪影響を受ける可能性があります。

・ 米中貿易摩擦等の保護主義政策を受けて輸出入制限や許認可制度の歪みにより当社製品の需要喪失や製品・サービスを供給できないリスクあるいは部品が調達できないことによる供給力低下リスク
・ 部品を調達し、製品を生産および販売する国における政治的、経済的な混乱、紛争、自然災害、疫病またはその他のカントリー・リスク
・ 感染症を含む疫病がグローバル経済発展に伴い世界へ拡散することにより、人の移動、物流を阻害し経済全体が停滞するリスク
・ パンデミックにより特定地域のサプライヤーの生産工場の閉鎖、稼働低下、また移動手段の制限による調達リスク
・ 政治、経済、技術の覇権争いあるいはテロ・戦争等における国家間の関係悪化等による社会的・政治的混乱 が 発生するリスク
・ 税法の改定または当局との見解相違による潜在的なマイナス影響
・ 移転価格税制等の国際税務に関するリスク
・ 事業展開が広範囲におよぶための人事・管理面の困難性
・ 異なる知的財産保護制度
・ 遠隔地であることおよび法規制が異なることによる売上債権回収の困難性
・ サプライヤーや生産工場が、機械加工および組み立てのインフラのレベルが発展途上の国にある場合の調達および生産における品質低下のリスク
・ 地球温暖化に伴う局所的な重大災害発生がサプライヤーや生産工場の操業停止を招き、製品製造や出荷が遅延・停滞するリスク
・ 各国、各地方環境当局の環境規制によるサプライヤーの生産停止リスク
・ サプライチェーンにおいて低品質品および模造品が混入した場合の、コストの増加や納期の遅延および商品修理費用が発生するリスク
・ サプライチェーンにおいて人権侵害に関与するリスク
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、海外拠点のリスクに関する情報収集をタイムリーに行うことに加え、顧客およびサプライヤーとの関係構築をより一層強化するとともに、調達ルートの拡張や生産拠点の柔軟化を図り、経済や政治動向に左右されにくい体制構築に取り組んでいます。またサプライチェーンにおける人権問題に関しては、調達基本方針を定めた上でサプライヤーに対して人権や労働安全に対する取り組みの理解を求める働きかけを行うことでリスクの軽減を行っております。

(1) - c
利用している化学物質に対する規制の強化や環境関連の法規制の厳格化が行われた場合には、その対策に多額の費用が発生する可能性があります。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境c 諸規則改変
当社グループが利用している化学物質の中で、その製造、処理および販売に関し、日本の政府機関や外国の様々な業界組織、またはその他の規制機関の環境関連法と規則が適用されるものがあります。そしてこれらの規制機関は、当社グループが使用する化学物質に対して、適用される既存の規制強化や、新たな規制に乗り出す可能性があります。当社グループは、製品に組み込む部材に含まれる有害物質の排除を進めておりますが、製品の信頼性の確保を優先するため、電子部品の取付けにおいては、一部の製品を除き鉛を含むはんだを使用しております。また、半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品の冷却方式では、使用に関わる法的規制を受けていないフッ素系液体を一部使用しております。当社グループは、製品の安全性や信頼性の確保を第一に、製品の環境対策を進め、化学物質の使用における規制を遵守していると考えておりますが、特定の国において規制要件が変更された場合には、かかる変更に対応しなければなりません。新しい要件への対応のために多額の費用がかかる可能性があります。関連する政府または業界規制への対応ができない場合、販売の継続または拡大の妨げとなる可能性があります。地球環境問題については、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミに関する規制、炭素税等の環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合に、その対応のため多額の費用が発生する可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、環境規制にかかる化学物質の動向ならびに法規制についてモニターするとともに、化学物質については代替技術の検討を行っています。

(1) - d
当社グループは激しい競争に直面しており、シェアを維持、拡大できない場合は、ビジネスが損なわれる可能性があります。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境d 競合他社
当社グループは世界中で激しい競争に直面しております。当社グループの主要な競合企業は、半導体・部品テストシステムの市場においては、Teradyne, Inc.、Cohu, Inc.、YIK Corp.、UniTest Inc. および EXICON Ltd.等があります。メカトロニクス関連の市場においては、テスト・ハンドラでは、Cohu, Inc.、TechWing Inc.、および Hon. Precision, Inc.等、デバイス・インタフェースでは、TSE Co., Ltd.、ESA Electronics Pte Ltd.、TFE Inc.および ISC.Ltd.等と競合しております。一部の競合企業は当社グループよりも多くの資金、その他の資源を有しております。
当社グループはその事業において、テストコストの削減につながる半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を望む顧客からの圧力が強まるあるいは顧客によるテストシステムの内製化など、多くの課題に直面しております。デバイス・インタフェースについては、リカーリングビジネスである特性(顧客のランニングコストに相当)故、常に強いコスト削減要求を受けており、競合企業がビジネス確保の為、コア技術部品のベンダーを買収したり、高性能を実現する上で不可欠なPCBの設計/製造技術が競合企業に流出した場合、製品性能の優位性と価格決定主導権を喪失し、ビジネスの維持/確保が困難になります。
当社グループが競争に打ち勝ち、シェアを維持、拡大していくためには、継続的にそのビジネス・プロセスを改良して製品コストを削減する、あるいは全体的なテストコストを低減させる必要があります。また、競合他社が今後も価格と性能の向上した新製品を投入し、そのカスタマー・サービス/サポートの提供を増強し続けたり、新規参入企業による低価格テスタの投入などが予想されます。競争が大幅に激化した場合、当社グループの利益が減少する可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、顧客ニーズを把握した上で、競合についての情報収集・分析を行い、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、製品競争力が維持できるよう努めています。

(1) - e
当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関して以下のリスクを想定しています。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境e 災害・壊滅的損失(感染症)
① 当社グループ、顧客、サプライヤーの従業員が感染することによる業務中断や効率低下
② 世界各地の移動制限や都市封鎖が長期化することで生じる次の問題
i) 当社グループや委託先において製造人員の安定確保ができないことによる製品供給能力低下
ii) 移動制限による顧客サポート能力低下
iii) 世界的規模のサプライチェーン寸断(部材調達難、物流遮断等)による製品供給能力低下
③ 世界経済の悪化による最終需要減とエレクトロニクス業界全体への波及、半導体市場および半導体製造装置市場の減速
④ 顧客のサプライチェーン変動などを通じ、半導体産業の構造が中期的に大きく変化する可能性
⑤ ポストコロナ時の人々の生活様式および社会の変化がもたらす事業環境の変容
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、社長直轄の危機管理本部が主導して、(1)在宅勤務、出張禁止など従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、(2)顧客へのオンラインサポート、(3)生産、販売、在庫、物流状況の世界レベルでの把握、(4)感染者が発生した場合のBCP対策、(5)グループ会社間の支援物資融通、(6)資金管理等、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を行っています。

(1) - f
主要な研究開発施設、生産施設、情報技術関連施設、製造委託先またはサプライヤーの施設が巨大な損害を被った場合、業績に重大な打撃を受けることになります。
分類発生可能性影響度
(1) 外部環境f 災害・壊滅的損失(災害)
当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の主要な研究開発施設、生産施設ならびにサービスの拠点は、群馬県、埼玉県および宮城県にあります。また、主要な基幹システムサーバーとネットワークのハブは、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)の承認を受けたシステムセンタに設置され、さらに、日本の一部の事業所にもローカルにサーバーが設置されております。
日本は地震が起こる可能性の高い地域であり、これらの施設、特に半導体・部品テストシステムの工場が地震、洪水等による巨大な損害を受けた場合、事業に支障を来し、製造、出荷および収益に遅れが生じ、施設の修理または建て直しのために巨額の費用が発生する可能性があります。当社グループは、地震以外の原因によるほとんどの潜在的な損失をカバーする保険に加入しておりますが、これらの保険は起こり得る損失すべてを十分にカバーしない可能性があります。また、製造委託先、サプライヤーの施設、または情報サービス網の施設が同様の重大な損害を受けた場合も、当社グループの事業に支障を来す可能性があります。
当社グループは、大規模災害等の危機発生時に備え、各部門で対応手順書を定めておりますが、さらに、基幹事業を停止させないこと、停止した場合でも重要な設備を含め可能な限り短期間で再開させることを目的として、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し実施しております。しかしこのBCP計画が有効に機能しない場合には、大規模災害等の危機発生時に基幹業務が停止し、再開に長期間を要する可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、BCP計画を策定するとともに、生産拠点や外部サプライヤーの分散化、クラウドの活用によるデータの分散保存等により、事業運営に支障が出ないように努めています。

(2)意思決定リスク
(2) - a
企業買収や資本業務提携により生じるのれんおよび無形資産等は、多額の減損損失を計上し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定a 事業価値評価/投資判断
(M&A/資本業務提携)
有形固定資産、のれんおよび無形資産については、減損の兆候が存在する場合に、減損テストを行っております。のれんについては、減損の兆候が存在する場合のほか、年次で減損テストを行っております。
減損損失は、資産、資金生成単位(CGU)またはCGUグループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に認識しております。特に企業買収により生じるのれんおよび無形資産においては、期待されるシナジー効果が出せずに多額の減損損失を計上した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは資本業務提携の推進等を目的として投資有価証券等を保有しております。株価の著しい下落、もしくは当該株式の発行会社の財政状態の著しい悪化により減損処理を行った場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、M&A等の事業取得に際しては、資本コストを意識した回収可能性を十分に考慮したうえで投資判断を行っています。また、M&A後に、戦略・販売網・管理体制・従業員意識・情報システム等を有機的に機能させるため、Post Merger Integration(PMI)計画を遂行し、シナジー効果の早期実現を目指しています。

(2) - b
当社グループが顧客の技術面の要求を満たす新製品を競争力のある価格でタイムリーに投入できない場合、既存の製品が陳腐化し、財政状態および経営成績に影響を及ぼします。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定b 製品ライフサイクル
当社グループは、急速な技術変化、新しい製品やサービスの頻繁な導入、変化する予測不可能なライフサイクル、進化する業界標準を特徴とするいくつかの産業界に向けて製品を販売しております。当社製品の将来の需要の大部分は、現在設置されている半導体テストシステムでは適切に対応されていない新しいテストニーズを生み出す半導体の技術革新によるものであると予測しております。これらの技術革新に対応する顧客のニーズ、および市場環境に対応したより高い費用効果と効率に対する顧客のニーズには、次のものが含まれます。
· より高度なメモリ半導体、ロジック、アナログまたはセンサー回路を搭載したSoC半導体に対応したソリューション
· 大小のモーター駆動を制御するパワー・デバイスのテスト・ソリューション
· TSV(Through-Silicon Via)技術など先端パッケージ技術を用い、ロジックやメモリなどヘテロジニアス(異種)チップ同士を高度に集積した、複雑なSoCに対応するソリューション
· 電気的特性とタイミング特性を測定、評価することで最先端の半導体プロセスをモニターするパラメトリック試験ソリューション
· より高速に、正確に、安定的にデバイスを搬送するメカトロニクス関連製品
· 半導体チップに組み込まれる自己診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション
· 試験チップ周辺回路に搭載される診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション
· 最終製品の性能を保証するシステムレベルテストのソリューション
· 試験環境を動的かつ繊細にコントロールするテスト温度ソリューション
· 故障時の迅速な対応と修理に要する時間の最短化
· 顧客のテストコストを削減できるようなトータル・ソリューション
· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察に対応したソリューション

また、当社グループは、半導体・部品テストシステムをはじめとする当社製品の需要が、パソコンや高速無線および有線通信のデータ・サービスならびにデジタル・コンシューマー機器、先進運転支援システム(ADAS)、さらにスマートフォン、ウエアラブルおよびデータセンターなどの通信端末に対する需要レベルに、強く影響されると考えています。これらの製品とサービスに使用されている技術の発展により、新しいテストシステムが必要になると思われます。当社グループが新技術を用いて効果的にテストおよび測定できる半導体テストシステムをタイムリーに投入しなければ、既存の製品とサービスは時間の経過につれ技術的に陳腐化します。
当社グループが顧客の技術的要件を満たす製品を競争力のある価格であるいはタイムリーに供給できない場合、その製品が競合他社の製品または代替する技術ソリューションに置き換えられる可能性があります。さらに、当社グループが製品の価格競争力やタイムリーな供給に必要な人材を十分に確保できなかった場合や、顧客が要求する性能基準を満たし許容可能な価格で製品を提供できなかった場合、その顧客による評価を著しく損なうことになります。かかる評価の低下により、将来その顧客に対する製品やサービスの営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、主要な顧客との技術交流イベントを開催し、最先端ソリューションに関する情報交換の機会を設けることで、次の技術革新、新しい製品、および目まぐるしいスピードで創出される新市場を特定することに努めています。そして、次世代や将来を見据えた要素技術の基礎的な研究や、製品開発の初期段階から量産に向けた生産技術の開発を行っています。また、当社グループは、PDF Solutions社との業務提携により、半導体製造工程のデータ解析を活用し、顧客ニーズをタイムリーに捉え潜在的な需要も考慮する新製品の研究を行っております。

(2) - c
当社グループの主な製品の市場は極めて集中しており、販売機会が限られているため、製品の売上を拡大できない可能性があります。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定c ビジネス・ポートフォリオ
半導体・部品テストシステム事業の中でも、特にメモリ半導体用テストシステムの市場は極めて集中したものであり、少数の大きな半導体メーカーとファウンドリーおよびテストハウスが業界全体の売上に大きな割合を占めております。このような業界状況は、近年の半導体業界において、大手の半導体メーカー、ファウンドリーおよびテストハウスによる企業の買収や事業の統廃合などの再編が進むことにより、一層加速していると考えられます。当社グループの売上の増加は、大口顧客から受注を獲得し増加させることができるかどうかに大きく依存します。また、半導体メーカーの統廃合により過剰な設備が中古市場に流れた場合や、あるいは製品が個別仕様への対応に遅れをとった場合にも、製品の販売機会を失うリスクがあります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、様々なアプリケーションに対応した製品を展開することで、顧客とのパートナーシップを強化し、販売機会を逃さないよう努める一方で、新規事業の立ち上げ、M&A等により、事業領域の拡大を目指しております。

(2) - d
当社グループは、設備投資を回収できない可能性があります。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定d 事業価値評価/投資判断
(設備投資)
当社グループは、設備投資を継続的に行っています。設備投資に対して、顧客の設備投資の抑制により想定した販売規模を達成できない、あるいは競合他社との激しい競争による製品単価の下落などにより、設備投資を回収することができない、または回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、資本コストをベースとした回収可能性を十分に吟味したうえで投資判断を行っています。また、投資後は事業成長率をベースにモニターし、資産の有効活用を図ります。

(2) - e
当社グループは新製品の開発コストを回収できない可能性があります。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定e 戦略に基づく実績測定
既存製品の改良と新世代製品の開発は、ほとんどの場合多額な費用を必要とします。さらに、半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の購入決定は高額な投資を伴うため、一般的に販売活動に要する期間が長く、販売に至るまで多大な支出と営業活動を必要とします。当社グループが製品を改良し新世代の製品を投入したとしても、顧客ニーズの変化、競合他社による新技術・新機能搭載製品の投入、顧客による異なる試験機能を必要とする新製品投入、または顧客の製品が当社グループの期待する速度、レベルで成長しないことにより短期間で時代遅れとなれば、開発と営業の費用を上回る売上高を達成できない可能性があります。場合によっては、業界動向を先取りし、顧客側の製品実用化よりも先に製品の開発を行わなければならないため、革新的技術によるビジネス上の実現可能性を判断する前に、多額の投資を行わなければなりません。したがって、顧客がそれらの製品を迅速に投入できない場合や、またはそれらの製品が市場に受け入れられない場合、当社グループは販売量の増加による製品開発投資のコストの回収に失敗する可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、技術交流会等を通じて顧客ニーズを満たす製品ロードマップの策定や、製品のプラットフォーム化による開発効率の向上、ROICによる投資効果の事前評価等により回収率の向上を図っています。

(2) - f
当社グループの製品は価格低下圧力を受けております。
分類発生可能性影響度
(2) 意思決定f 価格設定
当社グループが事業において受けている部材コストアップ、製品価格低下圧力は、営業利益率に悪影響を及ぼします。昨今、多くの当社取引先部品メーカーが材料費の高騰を理由に部品価格の値上げを実施しています。一方で、当社顧客の半導体メーカーは材料費高騰を生産性の向上、テストコスト低減等で吸収しようと努力しており、当社製品価格低下への圧力は依然強い状況です。
また、近年、複数社ベンダー方式を導入する顧客の増加により、一層の価格低下圧力を受けています。今後、価格低下圧力がさらに強まれば、当社グループの将来の財務状況と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、独自技術、付加価値の高いソリューションを提供することで、顧客納得感のある製品価格が維持できるよう努めるとともに、生産コスト低減による利益率の向上にも継続的に取り組んでいます。

(3) 財務 価格リスク
(3) - a
為替変動が収益性に影響を及ぼす可能性があります。
分類発生可能性影響度
(3) 財務 価格a 外国為替
当社グループの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の96.1%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約73%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。当社グループが販売にあたり使用する外貨(主に米ドル)が円高に転じた場合、必ずしも製品価格に転嫁することはできないため、当社グループの売上に悪影響を及ぼす可能性があります。
なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、円と外貨(主に米ドル)の間の大きな為替変動により、海外において円建てで販売される製品価格を引き下げなければならない場合や、また米ドルやその他の外貨建てで販売される製品売上の円相当額が減少した場合には、収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの変動により、製品価格が相対的に高くなり、潜在的な顧客による抑制または先送りが生じる可能性があります。過去において、当社グループが販売にあたり使用する外貨と円との間の為替レートに、大きな変動が生じたことがあります。
また、子会社の報告通貨の外国為替レートが円に対して変動した場合、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。外国為替レートの変動は、外貨建の金額を連結財務諸表の報告通貨である円に換算する金額に影響し、為替変動の向きによっては当社グループの財政状態、経営成績および純資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、保有通貨のバランスを調整することに加え、為替予約取引等の金融商品を利用すること、外貨建て金融資産負債が相殺されるようなバランスシート管理を行うことで、為替変動による影響を少なくするよう努めています。

(4) 財務 流動性リスク
(4) - a
当社グループの売上高は、上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、これらの1社または数社を顧客として失うことや上位顧客の設備投資の変動が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの上位顧客の財務状態が悪化した場合、売上債権の回収リスクが発生します。
分類発生可能性影響度
(4) 財務 流動性a 市場の集中
当社グループの成功は、重要顧客との関係を継続的に発展させ管理することにかかっております。現在ではこれらの少数の顧客が売上高の大きな割合を占めております。顧客上位5社による売上高は、前連結会計年度および当連結会計年度の売上高全体の約34%を占めております。これら主要顧客の1社または数社を失うことや主要顧客の設備投資の変動あるいは主要顧客の主要な製品の成否が、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、多額の債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払が得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、営業効率に配慮しつつ、新領域の参入を含め、新興市場や新規顧客の開拓により、幅広い顧客層を獲得することを目指しています。

(4) - b
当社グループは、必要な時に資金調達ができないリスクを有しています。
分類発生可能性影響度
(4) 財務 流動性b キャッシュ・フロー
当社グループは、必要な運転資金について、営業活動により稼得した現預金を充当するほか、企業買収や急激な経済状況の悪化などで資金調達が必要になった場合には社債の発行や金融機関からの借入れ等を行うことがあります。金融市場が不安定になったり、信用力悪化で当社の信用格付が引き下げられた場合には、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、急激な需要変動に耐えられるよう堅固な財務体質を築くとともに、資金調達が必要な場合には即時の資金借入やコミットメントライン設定ができるよう、複数の金融機関と友好関係を維持しております。

(5) ガバナンスリスク
(5) - a
CEО等経営層の後継者計画が策定されない、または策定されても機能しない場合、経営の安定性と持続可能性が確保できない可能性があります。
分類発生可能性影響度
(5) ガバナンスa サクセッションプラン
当社グループでは、CEO等経営層の後継者計画については、指名報酬委員会が策定を進めております。しかしながら、後継者計画が策定されない、または策定されても機能しない場合は、経営の安定性と持続可能性を確保できない可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、指名報酬委員会で、(1)求められる人材要件の整理、(2)候補者の選定、(3)時間をかけた候補者の育成、(4)候補者の人物評価、(5)候補者の決定等について審議、実行しております。さらに、取締役会は指名報酬委員会からの報告を受け、主体的にその内容について議論しております。

(6) 評判リスク
(6) - a
当社グループは、ブランド力の毀損または信用喪失などにより、財務状況および事業成績へ悪影響を受ける可能性があります。
分類発生可能性影響度
(6) 評判a イメージ/ブランド力
当社グループは、法令や社会的倫理に違反する行為、あるいは製造物責任を含む安全性・信頼性・製品性能などの低下によりブランド力の毀損または信用を喪失する恐れがあり、結果として取引の停止や制裁など社会的措置を受ける可能性があります。
なお、ISO9001など世界的に認められている品質管理基準にしたがって製品の生産を行っておりますが、これらの製品について欠陥がないという保証はありません。一方、製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。したがって部品の品質不良や製品の製造不良による出荷停止や納期遅延、製品の欠陥による大規模な事故の発生や、製品の障害発生および不適切な障害対応による顧客対応費用の増大や、損害賠償請求などを受ける可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、コンプライアンス部を設置し、会社信用保全のために法令等の遵守意識を高める活動を全社的に継続して行っています。また、安全性・信頼性が高い製品の提供ができるように設計段階でのデザインレビューや製品の生産過程において様々な品質確認を行っている事に加え、品質保証部門によるクロスチェックにより、品質の安定化に努めています。

(7) 情報処理 / IT リスク
(7) - a
当社グループがビジネス上の基幹システムや基幹プロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことができなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
分類発生可能性影響度
(7) 情報処理/ITa インフラ
データとデジタル技術で企業の競争力を高める取り組みであるデジタル・トランスフォーメーションは、IoTや人工知能を駆使したデータ活用による製造現場の革新、生産設備と物流のデータ共有による新価値創出、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経営環境の変化への対応など幅広い分野で期待が高まっています。
しかし、当社グループがデジタル・トランスフォーメーションを進めるにあたり、既存のITシステムの老朽化や複雑化やブラックボックス化により、データが十分に活用されない、あるいは既存システムの維持や保守に資金や人材が割かれ、新たなデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない等によって、データ活用が進まなかった場合、競争力を失う、古いシステムの維持管理費が高額化する、またはシステムの保守運用担当者の退職や高齢化によるシステムトラブルやデータ滅失などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、保有しているITシステムを洗い出し、用途・継続性と市場の新しい技術への代替を推進しております。また、Digital Workplace(デジタル技術が創造する職場)のコンセプトをグローバルに展開し、組織がイノベーションを起こす機会に繋げることに努めています。

(7) - b
当社グループの情報技術ネットワークやシステムが被害を受けたり妨害されたり停止した場合、業務の継続を妨げ、社会的信用を失いかつ多額の費用負担が発生する可能性があります。
分類発生可能性影響度
(7) 情報処理/ITb セキュリティ
当社グループは、機密データや個人情報を含む電子情報の処理、送信、蓄積のために、また製造、研究開発、サプライチェーンの管理、販売、会計などを含む様々なビジネス活動およびそのサポートのために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムに頼っています。当社グループは情報セキュリティ委員会が、情報セキュリティ対策の方針制定を行っております。また、情報技術ネットワークやシステムについては、前述の方針に基づき、IT部門が構築・運用しております。しかし、ハッカーやコンピューターウイルスによる攻撃、情報セキュリティシステムの誤用、不注意な使用、事故や災害などがあった場合には、当社が実施する防御を超え、業務の継続を妨げ、情報の漏洩やその情報が改竄される恐れがあるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務などが発生し、社会的信用、業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、サイバー攻撃に対する常時監視による検知強化や定期的な情報セキュリティ教育を通じた従業員のリテラシー向上に努めています。

(8) 業務運営リスク
(8) - a
部品が調達できないことにより製品をタイムリーに提供できない、あるいは市場の急拡大に伴う需要に対応しきれない場合には、将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
分類発生可能性影響度
(8) 業務運営a 外部からの調達
当社グループは、その製品の製造に関し、組立作業の一部をサプライヤーに委託しております。また、当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品における多くの部品は、サプライヤーが当社グループの仕様に沿って製造したものであります。サプライヤーへの依存により、生産工程に対する管理は届きにくく、生産能力の不足、出荷遅れ、基準未満の品質、労働力の不足、高コストなど、重要なリスクに直面する可能性があります。さらに、当社グループは、一部の部品または部分品に関して1社または少数のサプライヤーに依存しており、ほとんどの部品および部分品に関して長期間の供給契約を結ばずに個別の発注で購入しております。サプライヤーが部品または部分品を必要な数量または満足できる価格で提供できなくなった場合、サプライヤーの事業の撤退等により既に採用または今後採用するカスタム部品および汎用部品の生産もしくは販売が中止となった場合、あるいは大規模な災害や電力不足が発生した場合、条件に合った代替品を見つけて仕入れなければならず、それができなければ、テストシステムの供給能力が損なわれる可能性があります。これまでサプライヤーは、製造ラインおよび人員削減による生産能力の適正化を実施してきました。そのため、今後半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の市場が急激に拡大した場合には、回復局面を活かすために人員増を含む生産能力を大幅に増強することや、需要が増加する部品を、サプライヤーから適時適切に確保することが必要となってきます。サプライヤーを選び、適切な代替部品または部分品を選定するのは時間のかかる作業であるため、顧客の要求に合った製品をタイムリーに提供できなくなる可能性があります。また、経済環境の悪化によりサプライヤーの財政状態が悪化した場合や製品需要の大幅な増加に対応しきれない場合、既存の大口顧客を失う、または今まで取引関係の少なかった、あるいは全くなかった潜在的な大口顧客と強い関係を築く機会を失う結果となる可能性があります。このような機会損失は、当社グループの将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、社内ワーキンググループ活動を行い、最新技術を考慮した製品設計に関するルールにしたがって、部品ライフサイクルを考慮しながら、複数調達先を候補とする標準部品リストを作成・更新し、特定のサプライヤーに過度に依存しない体制の構築に努めています。さらに、部品および部分品のサプライヤー選定時には、様々なリスクを考慮したベストパートナー探しを行い、継続的な評価・見直しを行っています。また、部品入手性を向上させる取り組みとして、主要サプライヤーとの供給保証契約の締結交渉や、前工程加工を済ませたウエハーの状態で備蓄する「ダイバンク」等で、中間品を確保する対応を行っております。

(8) - b
労働力市場は競争が激しいため、当社グループが多様な専門技術スタッフや運営上の重要なスタッフを採用し維持できない場合等により、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
分類発生可能性影響度
(8) 業務運営b 人的資本
当社グループは、変化の激しいエレクトロニクス業界において事業を発展させるため、開発、製造、マーケティング、営業、保守サービスなどの分野において専門技術に精通した多様な人材や、経営戦略や組織運営上のマネジメント能力に優れた人材の採用および育成を継続的に行い、維持していくことが重要であると考えております。
そのため、新卒採用のみならず、経験豊かな人材をグローバルベースで幅広く採用、確保するとともに、人事諸制度の見直しや社員教育を継続的に行い、社員の定着と育成に努めております。
しかしながら、必要な人材を継続的に採用し維持するための競争は激しく、計画どおりに進まなかった場合、働く環境の改善が遅れることにより、当社グループの制度が時流に則さないものとなり従業員にとって魅力が薄れ人材が流出した場合、または社員教育が不十分であった場合、当社グループの事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、中長期的な採用計画の策定、グローバルローテーション、働く環境の改善やエンゲージメント向上の取り組み、社員教育への投資等により人材の安定化を図っています。

(8) - c
当社グループは、知的財産に関するリスクとして、第三者にその知的財産を侵害したと主張される可能性、および当社グループの知的財産を適切に保護できない可能性があります。
分類発生可能性影響度
(8) 業務運営c ビジネスの中断
当社グループは、意図せず第三者の知的財産権を侵害し、その結果、侵害の責任を問われる可能性があります。この場合、高額な賠償、裁判費用、またはライセンス料を支払わなければならない可能性や、製品を販売できなくなる可能性があります。
●対応
当社グループは、リスクを軽減するため、第三者の知的財産を侵害することのないよう、製品開発時や製品出荷前において知的財産調査等の実施に努めています。
また、当社グループは、各国で特許権、実用新案権、意匠権、商標権および著作権等を取得することにより、当社グループの知的財産を保護しております。しかし、当社グループの知的財産を侵害していると思われる第三者の製品を入手し侵害を立証することは一般的に困難でもあります。当社グループは、その知的財産権を第三者による侵害から保護することを重要と考え、今後も第三者の製品を監視し、適切な知的財産権の保護に努めてまいります。また、当社グループの顧客に対してもコンプライアンス遵守する旨、発信していきます。

従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01950] S100OCWZ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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