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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1002AN9

有価証券報告書抜粋 五洋建設株式会社 研究開発活動 (2014年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当連結会計年度は、技術基盤の強化を技術開発方針として、ブランド技術の開発や総合評価落札方式の技術提案に向けた技術開発を推進した。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、1,647百万円であった。
また、当連結会計年度における主要な研究開発内容および成果は次の通りである。

(国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業)
1.土木分野

(1)薬液注入工法のコストダウンを実現する新しい恒久薬液の開発

薬液注入固化による液状化対策方法は、地盤の変状をもたらすことがないため、既設構造物の近傍や直下に適用できるという特長がある一方、浸透性の高い薬液を使用することから価格が高いという面がある。地盤に関わる防災のため、液状化対策の広域的な普及が社会的に望まれていることや、他社との競争が激しい状況の中で、従来工法のコストダウンが必須となっている。
そこで、従来の薬液に比べて同程度の強度の発現特性を持ちながら低コスト化を実現する廉価な薬液の開発を行った。新薬液が既設コンクリートに対して影響を及ぼさないこと、および地盤改良体の強度が経時的に低下しないことを各種試験により検証し、実用可能となった。
今後、当社の薬液注入工法において、開発した新薬液の使用を目指していく予定である。

(2)可塑状グラウトを使用した重力式係船岸の増深工法の開発

輪送船舶の大型化は近年の国際的な動向であり、我が国の港湾においても、競争力維持のため、その対応が急がれている。一方、社会基盤全般において、既存施設の戦略的な維持管理や有効活用が求められており、船舶の大型化に対しても既設係船岸を増深する工法を検討する事例が増えている。
そのような状況を踏まえ、独立行政法人港湾空港技術研究所と一般社団法人日本埋立浚渫協会は、2009年度から3年半にわたり共同研究を行い、既設の重力式係船岸に対して、捨石マウンドの一部を改良・固化し掘り下げることで、法線位置を変更せずに数メートル増深可能な工法を開発した。当社は、日本埋立浚渫協会の一員として参画し、施工検討、室内実験、大型土槽実験を主に担当した。設計手法・施工法の検討を進めて工法の実現可能性を検証し、大型土槽において可塑状グラウトを捨石に注入する実験を行い、本工法にて要求される捨石の一部固化が可能であることを確認した。研究レベルでの工法開発は終了し、今後事業に向けた取組みを進める予定である。

(3)施工管理における三次元モデル利活用を促進するリアルタイム3Dビュワーの開発

国土交通省のCIMへの取り組みに代表されるように建設業界において、三次元モデルの利活用に関するニーズが急速に高まっている。当社では、当連結会計年度に三次元モデルを現場で手軽に活用するためのツールとしてリアルタイム3Dビュワーを開発した。
現在、CIMで利用されている3Dソフトウェアは、多くの場合、動作させるパソコンに高い性能が要求され、現場の職員や発注者のパソコンで動作させるのが難しい。また、三次元モデルに多様なオブジェクトや属性データを付与できる一方で、データの追加を繰り返すことによって三次元モデルが大容量化し、取扱いが困難となるという懸念がある。
当社のリアルタイム3Dビュワーは、特別なソフトウェアをパソコンにインストールする必要がなく、パソコンのWEBブラウザで開くことができ、低スペックのパソコンでも動作することが特徴である。また、データをインターネット上に保管し必要なデータのみをパソコンに読み込むことから、利用者がデータの大容量化を気にする必要がない。
現在適用済みの工種は、既設橋脚のアンカー打設のシミュレーションである。今後は、本ツールを用い、施工現場における三次元モデルの利活用を推進し、CIMへの対応を図っていく。

(4)換気設備自動制御システムの開発

メタンガスが発生するトンネルにおいて、安全かつ合理的な施工をするため、自然発生ガスや酸素欠乏空気、粉塵などの有害物質発生量の自動測定と一括処理および発生量に応じて換気設備の風量を自動で調整する換気設備自動制御システムを開発した。
トンネル坑内の環境は、換気設備の換気によって良好な状態に保たれている。しかし、坑内環境は施工状況や季節、天候などあらゆる要素で常に変動する。中でもメタンガスは発生量や発生場所が変動し、一定の濃度に達するとガス爆発の危険があるため、特に注意が必要である。一方で、これまでトンネル工事における換気設備風量は、発生形態や発生源、現場条件によって変動する有害物質発生量に対し、事前に所要換気量を算定して設定するため一定量であった。
本システムで換気設備風量を変動する有害物質発生量に応じたものにすることにより、坑内を安全な状態に保ちつつ、換気設備の消費電力を削減することが可能になった。本システムの稼働は施工中のトンネル現場で実証しており、今後、トンネル現場への積極的な適用を図っていく予定である。

(5)リアルタイム水中可視化計測技術4Dソナーシステムの開発

水中施工では、作業状況の視認が困難なことにより、陸上施工と比較し、作業効率や施工精度が低下する。また、工種によっては施工箇所を観察し、船舶機械の重機オペレータを誘導するために、施工箇所近傍に潜水士を配置して重機オペレータと連絡を取りながら作業する場合があるが、重機や吊り荷と潜水士が接触する危険がある。従来、ナローマルチビームソナーを用いて、海底計測が行われてきたが、2次元ソナーという特性上、リアルタイムの海底形状把握には不向きで、作業の手戻りなどの防止が困難であった。
そこで、水中施工において、海底や水中構造物などの形状を4次元で計測し表示する4Dソナーシステムを開発した。本システムにより、水中作業状況をリアルタイムに確認しながら作業を行えるため、作業効率および安全性の向上が実現される。
性能評価実験や適用実績を通して、(一財)沿岸技術研究センターの評価証(第120004号)を取得し、第15回国土技術開発賞で優秀賞を受賞した。
現在までに20件以上の適用実績があり、今後も積極的な適用を図っていく予定である。

2.建築分野

(1)柱RC梁S構法の開発

柱梁接合部を鋼板で覆う、ふさぎ板タイプの柱RC梁S構法を開発した。特徴として、柱と柱梁接合部のCON強度の打ち分けが可能で、柱梁接合部には100N/mm2までの高強度コンクリートを使用できるため、大型施設にも対応できる。また、ブレース付架構にも対応可能とすることで、柱梁部材を縮減することができ、経済的な設計が可能となる。構造実験では、梁段差がある接合部や柱に対して梁が平面的に偏心した接合部についても検証し、構造性能を確認した。実験結果をもとに、日本建築総合試験所にて2014年3月に性能証明を取得。主に物流施設への適用拡大を目指す。

(2)PNW工法の適用拡大

PNW工法は、旧耐震時代に建設された工場などのトラス梁の鋼構造建物に対して無溶接で耐震補強部材を接合する耐震補強技術である。同工法は既に複数の適用実績があるが、部材が組立てトラスである構造に限定されているため、H形鋼の梁と水平ブレースの接合部にも適用できるように架構モデルの構造実験を行い、構造性能を検証した。現在施工中の耐震補強工事に適用予定。

(3)地震観測システムによる建物の健全性評価

本社ビル(飯田橋)、技術研究所および社員寮に、地震動や常時微動などの振動データを計測・抽出できるシステム(地震観測システム)を整備した。将来的には、地震の規模・性状や建物の健全性などを容易に検証・確認できるシステムの開発を目指す。

(4)ZEB化:モニタリングデータの蓄積および効果検証

2012年度に竣工した本社別館を対象に、導入した省エネ手法による効果検証を行った。標準建物に対して、本社別館は44%の省エネを達成した。また、導入した省エネ技術の建物全体における省エネ寄与度を分析しZEB化実現に必要なデータを蓄積した。将来的には、これらのデータやノウハウを設計へフィードバックし、当社の設計施工建物におけるZEB化を目指す。

(5)免震ピットを利用した省エネ技術(クールピット)の開発

土壌と熱交換を行うことにより、外気に比べて安定した温度の空気を得る空調技術であるクールピットを空間、エネルギーの有効活用として、地下免震ピット空間に適用を図り、実建物において、データを収集・分析し、省エネ効果を検証した。

(6)五洋式超高層建物解体工法

本工法は、「動的破砕適用スラブ先行解体工法」、「簡易揚重EV」、「閉鎖型仮囲い」の要素技術からなる。当連結会計年度は、「動的破砕適用スラブ先行解体工法」について、モデル実験、実大部材実験を実施し、非火薬の破砕剤によるスラブ先行解体工法を具現化した。「簡易揚重EV」、「閉鎖型仮囲い」については、基本システムを構築した。

3.環境・リサイクル分野

・サンゴ礁環境保全技術の開発

亜熱帯地区の沿岸・海洋の開発と生物多様性保全を両立させるためにはサンゴ礁環境の保全については必須のテーマである。これに対応するため、サンゴ礁環境保全に関する技術開発は、工事範囲に分布するサンゴの移設工法開発、稚サンゴ着生促進構造物の開発などについて2004年度より取り組んできた。また、2008年6月から西表島の東海大学施設で、継続的なサンゴ礁環境の調査を実施しており、サンゴや海草などサンゴ礁環境を構成する生物の生息適地を、港湾・海岸の計画で培ったシミュレーション技術を活用して評価することについて引き続き取り組んでいる。
今後総合的な環境条件に配慮したサンゴ礁環境の評価技術を確立し、熱帯・亜熱帯海域における施工について、サンゴ礁環境を保全する適切な技術提案を行っていきたい。

4.技術評価証の取得
・航行安全監視システム:NETIS登録(登録番号:KTK-130001-A) 2013年5月
・4Dソナーシステム:(一財)沿岸技術研究センターの評価証取得(第120004号)
第15回国土技術開発賞 優秀賞 受賞
・国土交通大臣認定の再取得(品質基準の変更):再生骨材コンクリート(神奈川1工場)

なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行っていない。

(国内開発事業及びその他事業)
研究開発活動は特段行っていない。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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